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記録ID: 128845
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無雪期ピークハント/縦走
甲斐駒・北岳

北岳

2007年10月06日(土) [日帰り]
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GPS
08:25
距離
10.7km
登り
1,723m
下り
1,715m

コースタイム

広河原バス停 06:15
大樺沢二俣  08:00-08:10
八本歯ノコル 09:45
北岳     10:40-11:20
北岳肩ノ小屋 11:45-11:50
白根御池小屋 13:05-13:20
広河原バス停 14:40
天候 山麓から中腹くらいまでは終日良く晴れていましたが、山頂付近では次々とガスが上がってきて、残念なことに満足な展望は得られずじまいでした。
過去天気図(気象庁) 2007年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
(行き)
甲府駅 04:00-(山梨交通バス)-06:11 広河原バス停
(帰り)
広河原バス停 16:00-(山梨交通バス)-17:56 甲府駅
コース状況/
危険箇所等
※登山行程が1日に収まっているため、1日行程として登録しましたが、前夜に甲府へ移動して前泊しているので、行程全体としては1泊2日となっています。

全区間、問題なく歩ける状況でした。
ただし白根御池小屋から広河原への下りは、樹林帯の中の急降下です。滑りやすい箇所や大きな段差などに少々難儀させられて、あまり快適には歩けませんでした。

※デジカメを持ち歩くようになる以前のため、写真はありません。
※GPS導入前なので、ルートは推測です。

感想

南アルプスの3回目には、日本第2位の高峰である北岳を選びました。これまでの2回と同様に、前夜に甲府入りして朝4時のバスを利用する「前日発・ほぼ日帰り」というプランで出掛けます。

3時15分頃に駅前のバス乗り場に出てみると、この日も山梨交通の係の人(8月の仙丈ヶ岳の時と同じ人)が列の整理を行っていました。
3連休の初日とあって、すでにザックの列はかなり長く延びています。指示に従って列の末尾に自分のザックを並べると、2番目のグループの末端近くだったので、2号車の最後のほうで乗ることになりそうです。
最終的には4台編成での出発となりましたが、座席定員24名に対して、4号車が27名乗車という情報なので、3名ほど立ち乗りが出ていた模様です。
基本的には全員が座れるように考慮して配車されているようですが、出発時刻間際に来ると座れないこともあるようなので、確実に座るためには早めに並んでおくしかないのでしょう。

広河原はいつ来ても涼しくて、この日もバスから降りるとフリースのベストと手袋を着用します(でもベストは登り始めると、じきに不要になりました)。
少なくともこの時点では好天で、最初に渡る吊橋から、遙か遠くに高く聳える北岳を望むことができました。

はじめは樹林の中を比較的穏やかに登っていき、しばらくすると水量のある支沢を横切ります。
沢床の石を伝っての渡渉は、派手に靴を濡らすような所でもないのですが、いつものようにメッシュ地のトレイルランニングシューズで来てしまっていたので、靴の中に浸水してしまいました。

その後は崩壊地を迂回するために、仮設の橋で右岸に渡ったり、左岸に戻ったりします。やがて道が沢筋を進むようになると、どんどん傾斜が増していき、次第に息が乱れがちになりました。
大樺沢二俣の分岐点に着く頃には、かなり疲労も溜まっていたので、そこで靴の中や靴下を乾かしがてら、小休止を入れていきます。目の前には、バットレスの大岩壁が間近に迫っていて圧巻でした。

大樺沢二俣から左俣に入って、次の目標となる八本歯ノコルを目指します。その目標地点はすでに見えていて、それだけに標高差が相当にあるのが否応なく目に入って、この先が思いやられます。
実際にここからは、登るにつれて傾斜がきつくなっていくのですが、大きな岩がゴロゴロする道をペンキマークに導かれて進んで行くうちは、まだ序の口です。
バットレスへの分岐を見送った先で、岩屑混じりの滑りやすい急坂を過ぎて、ハシゴを1本登ると小尾根に乗ります。そこからは、小沢を挟んで目前に迫ったバットレスの眺めが素晴らしい迫力でした。

そしてここからいよいよ容赦のない登りとなって、何本ものハシゴが次々と現れます。ハシゴはどれも木製で、手すりが付いている登りやすいものですが、ほぼ垂直の移動が連続するのはさすがにこたえます。
所々で短い1本を立てつつ、いったい何本のハシゴを通過したでしょうか。でもそれが報われるかのように、急登の分だけ上からは急速に稜線が近づいてきて、やっとの思いで八本歯ノコルに到着です。

でも、ちょうど八本歯ノコルに上がった頃から、稜線の両側からガスが勢いよく上がるようになってきて、せっかく稜線に立ったのに展望がなくなってしまいました。
近くは問題なく見えるので、歩く上での支障はありませんが、頂上付近を見上げても見えたり見えなかったり、という状況です。

この後も、垂直というほどではないけれど、斜めなのがかえって不安定で歩きにくいようなハシゴを何本かやり過ごし、北岳山荘への近道が分岐する地点を通過します。
さらに岩陵帯を登って徐々に高度を増していくと、今度は吊尾根の分岐点です。
そこで吊尾根の先に目をやると、北岳山荘までは辛うじて見えていましたが、その先の間ノ岳方面は完全に雲の中。この稜線の景色を楽しみにしていたので、これにはガッカリです。

吊尾根の分岐を過ると、道は穏やかになります。やがて行く手には頂上に立つ標識などが見えるようになってきて、足取りも軽くなり、最後はあまり息も乱れずに頂上に到着しました。
雄大な展望を期待して着いた頂上も、今はガスの中にあって、特に、南側に続くはずの南アルプス核心部方面の眺めは全くありません。
近くにある甲斐駒ヶ岳や鋸岳、仙丈ヶ岳などが、時折思い出したように1山ずつ交代で顔を出したりしている程度でした。

そんな中て「富士山だ」という歓声に釣られて振り向くと、ほんの一時雲海の中に頂上部のみ現れた富士山が意外なほどに低く見えて、自分がいかに高い場所にいるかが実感できました。
方角によっては時々見通しが良くなったりするようなので、このままこの頂上でしばらく粘ってみることにします。
そるとその甲斐あってか、時には北アルプスまで眺められる瞬間もあって、一番いい時には槍・穂高から白馬に至る長い稜線と、その奥の立山までをしっかり見渡すことができました。
こちらと違って北アが晴れているらしいのが幸いして、経路上で邪魔をする雲さえ切れてしまえば、槍の穂先なども含めて広いエリアを割とクリアに見ることができたのです。

ただし陽射しがなく、時折強い風が吹く頂上では、長居するにつれて身体が冷えていきます。フリースのベストの上にウインドブレーカーを重ねて、手袋も冬用を着用して寒さを凌ぎます。
結局40分粘ったところで、さらなる展望の好転はないと判断して、これ以上身体を冷やすのを避けるためにも、重い腰を上げて下山にかかることにしました。

冷たい風が強まる中で、肩ノ小屋へ向けて岩陵帯を下って行きます。
歩き始めて間もなく、パラパラという音とともに、何やら上から舞ってくるものがありました。見るとなんと霰(あられ)です。
ほとんどの時間は僅かに舞う程度でしたが、瞬間的には少しまとまった量が降ることもあって、岩道だけに足元が濡れてからでは面倒と先を急ぎます。
しかし心配したほどの降りには結局ならず、肩ノ小屋が見えてくる頃には降り止んでいました。

肩ノ小屋の前まで下りると、霰が降り止んだどころか、陽差しさえ復活してきました。ガスの中にあるのは頂上付近だけだったようです。
途端に展望も良くなって、頂上では全く見られなかった八ヶ岳が、なんと全容が眺められるようになっていたり、北アルプスも常時遮られずに見られるようになりました。

肩ノ小屋の先は、景色の良い広い尾根を快適に下ります。小太郎尾根の分岐を見送った後は、ジグザグの急坂が白根御池小屋の前まで続いて、かなり長く感じました。
その途中で御池が下に小さく見えるようなると、以降は背中にずっと陽射しを受けることになって、この季節でもかなり暑さを感じながらの下りとなります。
急坂をやっと下り切ると、緑色の水をたたえる白根御池のそばを通って小屋の前に出ます。最近新築された大きくて綺麗な小屋で、外にもいくつかのベンチが置かれています。
帰りの広河原からのバスの時間には、相当の余裕を持って降りられそうだったので、ここで少し息を整えていきました。

白根御池小屋からの道は、まずは長いトラバースで始まります。その間はほとんど平坦なのを期待していたのですが、意外にもアップダウンが結構あって、精神的にへこむ区間でした。
トラバースの後は、長い急な下りに変わります。樹林帯の中の急降下で、滑りやすい木の根の張り出しや大きな段差、下りにくい階段などが連続して、少し難儀する箇所もあり、今回のルートで唯一歩きにくいと感じる区間となりました。
1時間あまりで600mを下って、右手から大樺沢の水音が大きく聞こえるようになってくると、ようやくこの長い急降下も終わりが近くなります。
ついに朝に登った大樺沢ルートに合流すると、あとは緩やかになった下り坂で広河原へと戻りました。

広河原へに戻った時点で、バスの時間まで1時間以上あります。甲府行きのバス停にはザックが1個置いてあるだけで、その後ろに自分のザックを並べて、しばらく周囲を散策していました。
発車時刻の20分ほど前に戻ると、列はかなり延びていたのですが、なんと甲府行きのバスも市営駐車場行きのバスも1台ずつしかない模様です。早く下りてきたのは正解でした。
当然のように立つ人が続出した上に、乗り切れない人も多く残されました。しかも、発車間際になって北沢峠からのバスが複数台やって来て、乗れない人がどんどん増えていきます。
苦情も多く出されて、慌てて無線で配車している様子も見られましたが、その後すぐに発車となったため、結局どう解決されたのかまでは見届けられませんでした。

翌週、山と溪谷社ホームページの山岳情報を見て驚きました。北岳山荘からの10/09(火)の情報として、
  「大樺沢二俣から八本歯のコルへのルートは、土砂崩れのため通行止めになりました。大樺沢右俣ルートか、白根御池小屋ルートをお越しください。」
と出ているではありませんか。ほんの3日前に登った時には、特に崩れやすそうな箇所は見当たらなかったと思っているのですが、一体何が起こったのでしょう。
もしもこの土砂崩れが私の山行前に起きていれば、ルートの変更を余儀なくされていたところで、僅か数日の差でギリギリセーフ。こういうこともあるのですね。

詳細な記録のページ
http://cellist.my.coocan.jp/yama/mt2007_10_12/mt2007_10_12.html#20071006

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