久松山・本陣山・天神山 〜毎日見ている山を歩いてみた〜
- GPS
- 05:53
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 527m
- 下り
- 518m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
公共交通機関で来られる方は、市内循環の100円バス「くる梨」を利用すると便利です。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありませんが、分岐が多いので、地図やGPSで方向を確認しながら歩きましょう。 |
その他周辺情報 | 鳥取市は温泉地なので、旅行で来られた方はぜひ温泉に入って帰ってください。公衆浴場としては「日の丸温泉」や「元湯温泉」などがあります。深夜・早朝とお昼時は営業していないので、営業時間を確認しておいでください。 食べるものも旨いものがいろいろあります。ゆっくりしてってね。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
ウインドブレーカー
サポーティングタイツ
日よけ帽子
靴
サブザック(15L)
折り畳み椅子
昼食(棒ラーメン+刻み野菜+ソーセージ)
ドリップコーヒー
深型パン
バーナー
割り箸
行動食(飴)
非常食(シリアルバー)
飲料(お茶600mL+水900mL)
地図(コース図)
iPhone(GPS+カメラ)
iPad mini
バッテリー
携帯電話
腕時計
手拭い
目薬
メンタム軟膏
|
---|
感想
前日の天気予報が「曇/雨」、降水確率が30〜40%と、山歩きを決行するか中止するか、微妙な状況だったので、近場の山に登る計画を立てた。そのうち行こうと思いながら後回しになっていた、地元鳥取市の久松山(きゅうしょうざん)だ。私の職場はこの久松山にほど近いところにある。朝はいつもこの久松山の方向へ車を走らせながら、「いい天気だなぁ、山頂の石垣が良く見える」とか「雨が降っていて山頂が見えないなぁ」などと思いながら通勤している。けれども、この周辺でうろうろすると知っている高校生たちに出くわして、あれこれ言い訳(?)をしなければならないのが面倒臭い。単独登山男子は日頃の数多の圧迫から逃れるために山を歩くのだ。‥とは言っても、一番身近なトレッキング(ハイキング)スポットをないがしろにしてはダメじゃないかと、この半年ずっと心に引っかかっていた。
そんなこともあったものだから、出発地点に設定した久松山麓鳥取県立博物館前までは家族に自家用車で送ってもらった。まずは城跡である久松公園を少し探訪する。白い木造洋風建築の「仁風閣(じんぷうかく)」の前庭に入ってみる。おお、これは確かに先日テレビで放映していた「るろうに剣心」の戦闘シーンで見たぞ、夜のシーンだったけど、あそこのバルコニーで香川照之が叫んでた。などと回想しながら、庭を一回りした後、鳥取城唯一の復元された木造建築物だという二の丸中仕切り門をくぐって石段を上って行った。次の目当ては日本でここにしかないという丸い石垣だ。私も地元民なので子どものころから何度もこの城跡は訪れているが、そんな珍しい石垣があるとはつゆ知らず。調べてみるとやはり復元されたものらしい。鳥取城は最近整備されてきているが、以前は石垣の崩れたところや草が生い茂っていて入れないところも沢山あった。そんな中に歴史的な遺物もあったのだろう。稲荷社の赤い鳥居をくぐって少し登ったところに「天球丸」という広場、そしてその縁から下を見ると、おお、確かに丸い不思議な石垣がある。「巻石垣」というそうだ。崩れそうになった石垣の補強に石を積んだものらしい。なるほどー、抑え込んで崩れないようするために丸くしたんね。あれ、この位置って、私の職場のすぐ裏だ。意識しないと見えないものだな。
城跡を散策した後で、いよいよ山頂へ向けての上りに入る。稲荷神社裏の道が山頂への登山路になっている。傾斜はそこそこあるが、多くの市民が気軽に上る山なので、道は踏み固められていてわかりやすい。城山だけあって(?)坂道の階段は石造りだ。樹木の名前を記した札も所々に設置されていて確認しながら歩くことができる。途中に合目を記した標識も立てられているが30mほど歩いて1つか2つ道を曲がれば次の合目に達するので「もうこんなに来たんだ」と、達成感は半端ない。さすがに5合目の社に来ることには額から汗は垂れているし息も少しは上がっているが、少し休憩してお茶で喉を潤すと、山頂までもう少しと意欲が湧いてくる。若いカップルから杖を持った高齢者まで様々な人がそれぞれのペースで歩いている。私も焦らずキノコやドングリを探しながら登って行った。
九合目を超えると、山上の石垣が見えてくる。休憩所もあるが、最高地点の天守閣跡石垣の上まで上がって休憩をとった。この山頂へ向かうには様々なルートがあるようで、何度も上っている人は地図に無いルートを探して登ってきているようだ。10人以上の人が鳥取市街地を一望できる山頂で憩っていた。市街地の近くでこれだけの眺望のある山はなかなか無いのではないだろうか。麓から30分足らずで登れて眺めは最高!あらためて地元久松山の魅力を実感した。山好きの人は鳥取市へ立ち寄ることがあったら是非久松山へ登ってみてください。さすがに革靴やサンダルで登るのはきついかと思いますが、運動靴なら十分登れます。
ここで山を下ってしまってはあまりにもあっけないので、ここから本陣山方向へ山道を縦走する。ここは中国自然歩道として整備されており、道は歩きやすく、分岐点には標識が立っていてきちんと確認しながら進めば迷うことはない。久松山山頂が今回行程の最高標高点なので、足取りも軽くやや下りの山道を歩いて久松山の裏手に回っていった。程なく「十神(とがみ)砦」の標識があったので一旦そちらへ向かう。国土地理院の地図では久松山山頂ではなくこの少し裏手の高台に「∴鳥取城跡」と表記されている。そこは大きな花崗岩の岩塊があり、周囲の山を見渡すことができる場所だ。戦国時代、織田軍を率いた秀吉が鳥取城を攻めた時に陣を築いた本陣山(太閤平)も望める。この十神砦で吉川経家と、本陣山の豊臣秀吉が対峙していたことを思うと、確かに鳥取城の重要な砦だったのだろう。
十神砦から林道へ引き返し、本陣山方向へ進んだ。スギ、ヒノキ、アカマツなどの針葉樹とクヌギ、コナラ、スダジイなどの広葉落葉樹が混在した、植生の変化が楽しめアップダウンも小さな歩きやすい歩道だ。ただ、眺望はあまり良くない。途中に「展望所」の標識があったのでそれに従い左に折れると木造の東屋があった。ベンチとテーブルがあるので一休みできるが、眺望は木々の隙間の一角(北西方向かな)がわずかに開けているだけだった。そして再び中国自然歩道に戻る。本陣山と摩尼山方向の分岐点へ差しかかったところで時刻がまだ12時前だったので、まだ歩いたことのない摩尼山方向へ歩を向けた。昨晩ルート検討をした際に、中国自然歩道の説明地図の中に「休憩所」というのを見つけていたので、時間があればそこまで行ってみようと考えていたのだ。ここも森の中の歩きやすい歩道なので、気持ちよくどんどん歩ける。先ほどの分岐点から10分ほど歩いて休憩所へ到着した。「休憩舎うらじろのき」と掲示されている。そしてその前にはこの小屋の名前の由来となったウラジロノキ(バラ科ナナカマド属)とその説明板がある。地面を見ると小さな赤い実がたくさん落ちている。鳥の声も聞こえる。ここで一休みをして本陣山方向へ引き返した。
本陣山へは12時半過ぎに到着した。ここは樗谿(おうちだに)公園からのハイキングコースの終着点になっている場所で、私も子供の頃から何度か歩いて上ったことのある場所だ。樗谿からは舗装された道路が続いていて、歩いている人が多くいる。この日も上ってきた何人かの人と挨拶を交わした。説明板を見ると、この本陣山の電波中継所の脇に豊臣秀吉が陣を張った「秀吉本陣跡」があるらしい。本陣山とか、太閤ヶ平という名前は秀吉由来だということは知っていたが、本陣跡の遺構が残っているということを意識したことはこれまであまりなかった。中継所の横を入っていくとそこに土塁と壕で囲われた四角い陣地が確かにあった。地名としての本陣ではなく、戦国時代の本陣跡というのを初めて意識して見た。
ここで昼食にすることにした。本陣山はお手軽に登れるハイキングコースなので、多くの人は手ぶらかまたは水筒を持っている程度だ。ここで調理をして食べるような奴は滅多にいないのでちょっと恥ずかしい気はあったが、私の山歩きの楽しみの4割ぐらいはこの山頂ランチだと開き直って調理を始めた。今日の昼食は、前回の県民の森車中泊のとき( https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1284068.html )と同じ、ソーセージ入り野菜煮込みラーメンだ。前回は明かりの無い中での闇鍋だったので、あらためて明るいところで作ってみたのだ。先日は車で荷物を運んだので2バーナーで調理したが、今回は15Lのリュックに詰められる装備ということで深型パン1つのみ使用のワンバーナークッキングとした。家でカットしてきた野菜を炒めた中に水を加え、ソーセージと棒ラーメンを入れてしばらく煮込みスープを入れて完成だ。口径の広い鍋で煮込んだせいか、スープが少なくて味も濃いラーメンになってしまった。改善の余地ありだな。そんなことをしている間にも麓から歩いてきた人が何人かベンチで休憩し喉を潤して下りて行った。ここは市民の憩いの山としてとても良い場所なのだが、トイレが無いのが唯一残念なところだ。
さて、腹も満たして後半戦へ出発、次は天神山へ向かう。地図に道も載っていない天神山を経由地に選んだのは、ここに三角点があるからなのだ。それも、我が家から多分一番近い三角点だ。私の家の窓からもすぐに見える、その山が「天神山」という名前だということをこのたび初めて知った。三角点があるならきっとそこへのルートもあるだろうと、立ち寄ってみることにしたのだ。舗装道路をしばらく下り、2号休憩舎「ほほじろ台」のすぐ下手を山手に上がる3号歩道に入った。ここからは山道だ。けれども山道はいろんな木や草花やキノコが見つけられて楽しい。分岐点を間違えないようにGPSで場所をチェックしながら天神山への上りルートまでやってきた。基本、尾根を辿ればそのうち山頂につくだろうと山の中に分け入ってみた。なんとなく踏み跡があるような所を歩くようにしてみたが、すぐにシダの薮になってルートを見失った。どこをどう行けばよいのかわからないが、とにかく高い方へ。すると、突然山道に出た。あれ、どうも私が山に分け入ったのと違うポイントから天神山へ向かうルートがあったようだ、やれやれ。けれどもこれで格段にスピードアップした。そして更に高い方へ。尾根の途中には直径2mほどの窪地が2つあった。内側には石垣が組んであるようだ。こんな場所に井戸は無いだろうし、何の穴だろう、戦国時代の遺構なのだろうか。そのまま進むとそこから更に少し歩いたところに三角点の標石を発見した。「大切にしましょう三角点 国土地理院」の標識もちゃんと立ててある。ここから我が家が見えないかと探したが、ヒノキ林の木の隙間から微かに見える家並みがどこなのかの判断はできなかった。けれども、これから我が家の窓からこの天神山を望むたびに、「あの山頂に立ったんだ」と、これまでより親近感を持てるだろう。
今回のトレッキングコースの3つのピークを制覇してあとはゴールの樗谿(おうちだに)公園へ向かうだけだ。3号歩道の沢筋に下りる場所が国土地理院地図と若干ずれていて確認のために道を行き戻りしたりはしたが、気を付けて見れば薄いながらも歩道がある。それに従って歩けば下っていくことができる。樗谿から本陣山への舗装道路は多くの人が歩いていたが、未舗装の山道はほとんど歩く人が無いようだ。私のようにキノコの写真を撮ったりGPSを頼りに三角点を探したりするのでなければ、眺望の良いところも無く足元のぬかるむところもあってそれほど積極的に歩く理由もないコースかもしれない。けれども私はただ歩くだけの舗装道路より木の根の張った坂道や落ち葉の重なる細い道の方が何だか心が癒される。そんなことを思いながら、谷筋の薄暗い道をしばらく歩いて行くと林の向こうに明るく開けた場所が見えてきた。大宮池だ。池の脇の本陣山へ向かうメインルートの舗装道路へ合流した。ここへ来ると再び多くの人と出会う。遊びに来てくつろいでいる家族、何かの実習だろうか学生と先生らしき団体、夫婦らしきカップル、小学生男子グループ…等々。リュックを背負っている人はいない。この場所は既に登山道ではなく市民公園なのだ。ゴールは間近、樗谿神社(因幡東照宮)の門の前を通り過ぎ、参道を歩き、鳥取市歴史博物館の前を通り過ぎて、樗谿公園の前まで来て今日の全行程を終了した。
公園のベンチに腰かけてお茶を飲み、一休みした。小学生の女の子と母親が公園の木の下でドングリを拾っている、のどかな日常に帰ってきた。鳥取市内にもいいところがあるじゃないかとあらためて感じることができた。自宅の窓から見える山、通勤途中の道の先に見える鉄塔がある山、職場のすぐそばにあった珍しい石垣とそれを従える城山、そんなところを歩いてみて、何気なく暮らしているこの町の歴史や自然を少しは見直すことができたような気がした。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する