裏越後三山縦走 (荒沢岳・中ノ岳・越後駒ヶ岳)
- GPS
- 31:10
- 距離
- 32.6km
- 登り
- 3,132m
- 下り
- 3,128m
コースタイム
- 山行
- 9:04
- 休憩
- 1:22
- 合計
- 10:26
- 山行
- 6:32
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 7:07
5:36荒沢岳登山口-9:38荒沢岳-11:03灰ノ又山-12:00頃水場-13:30兎岳-15:53中ノ岳-16:02中ノ岳避難小屋
10月28日(土)
5:32中ノ岳避難小屋-8:25越後駒ヶ岳-9:46小倉山-11:18銀の道入口-12:37荒沢岳登山口
天候 | 10月27日(金):快晴、無風・微風 10月28日(土):曇り(高曇り)、無風・微風 |
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過去天気図(気象庁) | 2017年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・荒沢岳登山口-荒沢岳 歩き始めは普通の登山道だが、前グラ下から前グラ付近は難所。鎖、ロープ、ハシゴが連続。気が抜けない区間が続く。この区間の鎖類は、今年は10月28日で取り外しを行うとWebサイトに掲載があった。鎖などがなくてもギリギリなんとか登降は可能と思うが、慣れない人は無理と思われるし、ある程度慣れている人であっても、特に下りは難しいと思われる。荒沢岳をピストンする人以外は登りで利用する方が無難。最初の鎖が見えた時点でストックは仕舞った方がよい。荒沢岳山頂直下にも数カ所鎖等あり。登山者は大変少なく、この日は誰も見掛けず。 ・荒沢岳-兎岳 大変快適な縦走路。登山道の整備状況は完璧に近い。アップダウンもそれほど多くないので体力的にも楽。巻倉山手前にある水場(沢水)は利用可能。登山者は大変少なく、この日は誰も見掛けず。 ・兎岳-中ノ岳-中ノ岳避難小屋 雪がなければ普通の縦走路だが、この日は登山道上にも積雪があり、所々難儀な歩行を強いられた。アイゼンが要るほどの積雪でも雪の硬さでもないので、慎重に進むしかなかった。特に日影の斜面の岩と雪がミックスになったトラバースは気を遣った。今シーズンこの区間を今後歩くならアイゼン持参は必須。登山者は大変少ない。 ・中ノ岳避難小屋 既に冬囲いをされていて、小屋への出入りはハシゴを使って2階の小さな窓から行うが、大きなザックを持っての出入りは困難。ザックを落としたり、人間が落ちたりする危険もあるので要注意。天水のタンクは既に取り外されていて、宿泊の場合は水を持ち込む必要がある。携帯(ドコモ)は不安定だったが使用できた。トイレは小屋の中に入れば利用可能。 ・中ノ岳避難小屋-越後駒ヶ岳 天狗平以降は大変歩き易いが、それまではアップダウンもあり、笹が生い茂って登山道を覆っている箇所や、岩場を両手を使って乗り越すところなどあり楽ではない。登山道の整備は必要最低限というか、ほぼされていない箇所が多数。登山者は大変少ない。 ・越後駒ヶ岳-小倉山-明神峠-石抱橋-荒沢岳登山口 越後駒ヶ岳へのメインルートの1つなので、歩いている人は大変多い。小屋直下の岩場が少し嫌らしいが、それくらいしか危険なところは見当たらない。明神峠から石抱橋へ至る銀の道は、傾斜が緩くとても歩き易い。石抱橋から荒沢岳登山口には車道を歩く。 |
写真
感想
数年前から機会を窺っていた荒沢岳、兎岳、中ノ岳、越後駒ヶ岳を周回する裏越後三山の縦走をようやく実施することができた。想像以上にきつい山行だったが、そのため満足度も高い。もう一度歩くか?と言われれば今のところはノーとしか言えない。
初日。荒沢岳登山口にある駐車場は5時に着いたがガラガラだった。先客なのか、乗用車が一台とまっているが、ひとけはない。まだ真っ暗なのでヘッドライト照らしながら食事と準備をする。有り難いことにトイレもあってとてもきれいだった。5時30分を回った頃に出発。登山口にはいきなり10月22日に登山道上の鎖を外す、の文言が掲げられていたが、事前にウェブで調べたところ、取り外しは10月28日とのことだったので、安心して出発できた。いずれにしても、シーズン終わりギリギリのようだ。歩き始めは完全にガスの中。樹林帯でどうせ展望はないのだからガスでも良い。歩き始めて30分もしないうちに雲の上に出たらしく、樹間からあたりが良く見えるようになった。天気予報通りに快晴の好天である。風はない。荒沢岳はここくらいしか日帰りで登れる登山口がなく、どんなところかと思ったが、始めはごく普通の登山道だった。が、途中からかなり様相が変わる。鎖場が連続し始めたのである。登山口にも掲示してあったが、鎖、ロープ、ハシゴの類は確かに必要最低限しか用意されていない。アルプスの一般的な縦走路は、時に過剰に鎖などがかけられているが、ここは全くそんなことはなかった。なるべく手掛かり、足掛かりを探して登るが、それでも所々で鎖などを利用せざるを得ない。いきなりの厳しいルートだと思った。途中で止めて敗退するのもありだが、その場合この難儀な鎖場を下るという罰ゲームのような状態になるので、とにかく慎重に先に進むしかなかった。正直なところ、この鎖場はもう二度と歩きたくない。鎖場が終わった後、ストックを再度両手に持ち歩行開始。最後荒沢岳の山頂直下で鎖が出てきたが、そこはストックを持ったままなんとか切り抜ける。出発から4時間程で荒沢岳山頂に到着。眺めは大変良く、これから先の縦走路も、その先の中ノ岳、越後駒ヶ岳も見える。中ノ岳は、こうしてみると大変堂々としていて、この辺りの盟主のようにさえ見えた。先はまだまだ長いが、いきなりの鎖場連続で精神的にとても疲れた。とは言え、繰り返しになるが、あの鎖場は降りたくないので先に進む。ここから先の兎岳までの縦走路は、古い登山地図には掲載されていないが、実際に歩いてみると整備は完璧に近かった。草や笹が刈り払いされていて、ルートは大変に明瞭だった。が、荒沢岳と兎岳のピークを繋ぐ縦走路のためか、前後左右人の姿は全く見えなかった。好天の空の元、貸し切りの登山道を進む。途中いくつかの地味なピークをこなすが、アップダウンはそれほどきつくはなかった。正午前頃に水場付近に到着し、案内版の通りに沢を下るが、イマイチどこが本来の水場なのかはよく分からなかった。とは言え、今日持参した水は既に多くを消費していたし、今日の午後から明日の駒の小屋までの水は確保しないとならないので、沢できれいそうなところで取水した。ここでは4リットル弱の水を汲んだので、ザックはずっしり重くなる。重いのは慣れているので我慢できるのだが、重い物が上に乗りすぎてバランスが悪い。背中でザックが横に振られるが、命の水なので、とにかく運ぶしかない。ここまで時折登山道上やその脇で見られていた残雪は、兎岳への最後の登りになりかなり明瞭になってきて、雪の上を歩く時間が圧倒的に長くなってきた。まだ氷にはなっていないので、アイゼンが必要な状況ではないのだが、ところにより硬い雪があって、つるっと滑りそうになることもあった。時間はかかるが慎重に進むしかない。午後1時半に兎岳に無事到着。荒沢岳からの縦走路は快適だったが長かった。ここから先、中ノ岳までも雪がべったり着いている。雪さえなければ快適な登降だろうし、時間もそれほどかからないはずだが、雪の上を歩かざるを得ないため、慎重になるしかない。水場で汲んだ水は、少しは減ったがまだ3リットル以上残っていて、重さ的にはほとんど変化が見られない。雪と水に苦しんで歩いていると、背後から登山者がひとり。同じコースで歩いてきたらしい。避難小屋泊かと思ったが、今日中に下山するという。足の速そうな人ではあったが、さすがに最後は真っ暗だろう。先に進んでもらう。午後も2時を回ると、日がかなり斜めに差すようになり、それまでのポカポカ陽気もなくなり、徐々に寒さを感じるようになる。それでも風がほとんどないので、長袖シャツだけで過ごせるのは幸いだった。日がだいぶ傾いた16時前にようやくこの日の最後のピークである中ノ岳に到着。雪がなければもう30分くらい早くこれたと思うが、今日は無事に到着できたので良しとする。山頂からは周囲がよく見渡せるが、さすがにこの時間になると雲が多くなっていた。ここからは10分もかからずに避難小屋に到着。約10.5時間行動したことになる。日の出前から歩き出し、日の出ている時間は目一杯使い切ったことになる。避難小屋は外から見ても既に冬囲いをしていて、普通のドアからは入れそうもなかった。2階へ通じるハシゴがあるのでそれを使って登るのだが、入口が小さくて体が入らない。ザックを先に入れたいが、ハシゴなので身の安全も確保しなければならない。どうしたものかと思案し、ザックに入っていた水などの重量物を小屋内に入れ、軽くなったザックを押し入れ、最後に自分の体を小屋に入れた。難儀した。小屋には誰もいず、ひょっとして貸し切りか?とも思ったが、到着直後に一組、さらに日の入り時刻直前にもう一人到着し、計4名で使用することになった。いずれにせよ大きな小屋なので4名での使用であれば広々使用できた。日が完全に落ちると小屋内も寒くなるが、それでも小屋の温度計を見る限り10℃を割るくらいなので、寒くて堪らない状況ではなかった。翌日の準備と体のケア、同宿の人と情報交換などして19時前には就寝。今回は冬用のシュラフ持参なので寒さを感じることなく眠れた。
2日目。快適な小屋で暖かい寝袋から出られず、4時15分にアラームが鳴ってから二度寝しそうになった。小屋の外の様子は分からないが、風の音も雨の音も聞こえないので、穏やかそうだった。身支度、食事、パッキングを済ませて外に出る。小屋から出るときは、同宿の人にザックをロープで下ろしてもらった。感謝。前日、兎岳から中ノ岳まで雪でペースを落としたので、この先もひょっとすると雪が多いのかと思い、真っ暗な中早朝の硬い雪の上を歩くことを躊躇い出発を5時30分過ぎまで遅らせた。これではクルマで移動してきた昨日と出発時間が変わらないが、安全のためなので致し方ない。歩き始めは例によって雪があったが、じきに消え、結局その後は越後駒ヶ岳まで雪は全くなかった。どうやらこの山域では兎岳と中ノ岳が例外的に積雪が多かったようだ。その代わり、今度は笹が登山道を覆っていて、先が全然見えない。小屋に登山道の手入れはしていないと注意書きがあったが、本当であった。辛うじて踏み跡が見えるので完全にロストすることはなかったが、ペースは全く上がらない。その上笹のないところは岩場をよじ登ったり降りたりするところが連続し、ここもまた快適にペース良く歩くことはできない。ほぼ藪漕ぎの笹藪歩きと、天然のフィールドアスレチックが延々と続く。遠くから見ていた中ノ岳から越後駒ヶ岳の縦走路は快適そうだったが、実際に歩くまで分からないものである。天気は高曇りで、周囲はよく見えた。天気予報は今日は終日雨はなさそうだったが、遠くには湧いている雲も見えたので、早めの行動が吉と思われた。頑固な笹藪と岩場の登下降に飽き飽きした頃にようやく天狗平に到着。ここからはようやく快適に歩けるようになった。越後駒ヶ岳の山頂には8時半前に到着。日帰りで登って来るにはまだ早いのか、山頂滞在中は誰も登って来ず、貸し切りの山頂を楽しむことができた。ここからは八海山がよく見える。いつか縦走したいがいつできるだろうか。下山を始めると、続々と登りの登山者とすれ違う。さすがに百名山、昨日の貸し切り登山道とのギャップは相当のものである。駒の小屋は写真のみで素通り。手持ちの水が心許なければ給水する予定だったが、日照がなく涼しいので重量を増やすことなく下山することに。ここから下も続々登って来る、歩いている時間より止まってやり過ごす時間のほうが長いくらいだった。順調に高度を下げ、その後は高度が下がらず細かなアップダウンを繰り返しながら明神峠に到着。ここから少し進んで銀の道への入口から下り始める。この道は、名前が素敵で一度歩いてみたかったのだが、登山道というよりも昔からあるルートのように思えた。クラッシックルートとでもいうべきか。傾斜は緩いし、落ち葉が多いので膝にも大変優しい。時折風が吹き抜けて、落ち葉のシャワー状態になっていた。このルートはもう一度歩いてみたい。明神峠で分岐して以降は、登山者はまた全く見なくなった。枝折峠から往復の人が多いのだろう。無事に下り切り、岩抱橋に到着。ここは春の山スキーで何度が来ているので見覚えがあった。登山道はここで終わり、あとは車道を1キロ超歩いて駐車場に戻る。2日目は約7時間行動だった。
無事裏越後の三山を縦走できたが、初日があまりにもキツ過ぎて、もう一度実行する気には全くなれない。2泊3日の行程なら体力的には楽だろうが、どこかでビバークするしかなく現実的ではない。正直なところ、2017年で一番きつい一日だったと断言できる。
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