【神威宣揚】戸隠山・九頭龍山・五地蔵山・高妻山【夏二号・戸隠作戦】【乙46.2】
- GPS
- 10:00
- 距離
- 19.5km
- 登り
- 2,022m
- 下り
- 2,024m
コースタイム
- 山行
- 9:46
- 休憩
- 0:09
- 合計
- 9:55
コースタイム比:0.787
距離:19.49km
上り標高差:1.697km
下り標高差:1.698km
天候 | 曇り、たまに晴れ間 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況:最近雨が続いたため、岩場は濡れ道は一部泥濘化。戸隠牧場への下りは一部沢と化す。蟻の塔渡り・剣の刃渡りは有名。 登山ポスト:戸隠神社奥社前登山口。用紙も置いてあるのがグッド。 飲食店:神社周辺は混む。 |
写真
感想
今春、長野県にある戸隠神社に詣でた際、聳え立つ戸隠山の威容に圧倒され、いつか戸隠の懐に飛び込みたいと思った。
それから3ヶ月。蟻の戸渡・剣の刃渡りを単独踏破できるか不安だったため、同志ヒロシ氏にご同行願い決行と相成る。
当初8月21日を予定したが、天候が思わしくなく順延。8月28日の予報に晴れ間が見えたため準備開始。直前の予報では晴れマークが消え完全な曇りとなっていたが「我ら歩むところ常に陽光あり」と信じて予定通り出発。
前日27日は所々雨が降るなか、万座温泉経由で長野入り。道の駅中条に宿泊する。長野も雲が多く翌日の天気が心配されたが、夜中蒸し暑さに目覚めてふと外を見やると、晴れた夜空に星がたくさん光り輝いていた。明日は大丈夫だろう、万が一悪天候でも万座温泉と満天の星空で悔いなしと満足してぐっすり寝入ったのだった。
翌朝、道の駅中条から戸隠までの距離目測を誤っていたため、当初想定より時間がかかり、0500時には歩き始めるつもりが0530時頃に駐車場に到着。帰りの時間が心配される。
身支度を整えて0543時山行開始。立派な杉並木の表参道を戸隠神社奥社に向かう。随神門を過ぎてしばらくすると傾斜が生じ階段道になる。行程数十分、ウォームアップにはちょうどよい。雲を透過して陽光が射し込む。今日は一定の晴れ間が期待できると天佑神助に感謝する。
奥社に至り、薄雲に透けて見える稜線を見上げた後、神前にて本日は山に立ち入らせていただく旨ご挨拶。奥社前登山口で入山届を投函し、いよいよ入山。
道については、とにかく急登の連続ということに尽きる。しかも前日までの雨のため、或いは濡れ、或いは泥濘と化している。しかし、滑りそうに見えてなかなか滑らないものだ。尤も油断は禁物だが。鎖場の連続が始まったが、「普段歩いている山なら要注意とされるような所もここでは序ノ口なんだよなあ」と思いつつ、しこしこよじ登る。雲間に時折顔を見せる山陵や色鮮やかな花々が心の慰めとなる。
五十間長屋及び百間長屋を過ぎて、いよいよだなと思ったところで、鎖の付いた大きな岩が出現。登ると見晴らしが良さそうだと登ってみる。ちょうど一時的に周囲が晴れ渡っており、見晴らしが良すぎた。恐らく立つだけなら大丈夫なのだろうが、万一の場合が頭を巡り巡って立とうと思ってもなかなか立てない。写真も撮ることができず、あなおそろしやと早々にかつ慎重に降りる。立てたとしても格好悪い立ち方だったろうな。しかし、来るべき最難関の予行演習ができたと思う。ヒロシ氏は結局登らなかった。
そして、ついに蟻の戸渡・剣の刃渡りに到達。おお、切り立っとる。噂に聞くとおり、落ちたらヤバそうだ。まずは蟻の戸渡から。初めてなので四つん這いになって慎重に進む。想像では天辺の部分しか足の置き場がないのかと思っていたが、そんなことはなく足場もしっかりしている。それでも怖いものは怖い。
ヒロシ氏が途中で鎖が垂れているのを発見。それは剣の刃渡りの巻き道だったのだが、降りた方がよかろうとアドバイスし、ヒロシ氏もそれに従う。
ヒロシ氏は巻いた。自分はどうか。自分が戸隠に来たのは、この道を歩くためではなかったか。ここまで来て巻くなどあり得ないという非常に危険な考えで腹を決める。その前段階として、まずは立ち、そして、少しでも歩こうと思った。ここで立ち、歩いてこそ、来た甲斐があるというものだ。
ここなら大丈夫だと確信したところで、ゆっくりと立ち上がり、写真を撮ってもらう。そして、歩く。二、三歩だが満足した。剣の刃渡りはほぼ馬乗り状態で踏破。
立って歩いて渡ることも不可能ではないだろうが、まっ平らな道でもなく、極度の集中と緊張を要する。次に来ることがあれば、息を落ち着かせて蟻の戸渡部分だけでも歩いて渡りたいと思う。
本日の最難関を突破して早くも行程の半分を終えたような気になる。八方睨は我が心と同様に晴れ晴れとしていた。
八方睨以降は稜線歩きとなる。このラインは雲がとれず、殆ど真っ白な中を歩く。所々、雲で見えなくても切り立っているとわかる箇所があるのが恐ろしいところだ。戸隠では出会った人は3〜4人程度、九頭竜山から先は笹で道が隠れ、すれ違う人も「あまり人が来ないんですかね」と首を傾げる。
一不動に至ると何人か休んでおり、戸隠牧場方面から続々と登山者が上がってくる。
その内の男性の一人が「高妻山はもう行ってきたの?」と訊くので「いえ、戸隠から来まして時間があれば高妻山までと考えています。」と答えると、「・・・」とマジマジと私を見ながら押し黙ってしまったので、サクサクと氷清水に降りることとする。
一不動から10分ほど降りると道の傍に水量豊富な氷清水に至る。美味い美味い。一不動にトイレがあるが、水の流れは別方向からのようなので、まあ大丈夫だろう。
水分補給をしたところで、ガレた道を一不動まで上り返す。ああ、こりゃ大変だ。
いよいよ、高妻山まで歩く。それまでの道とは違い、歩くと石がカラコロいう。基本的に稜線歩きのため、それほど辛くは無いが、所々泥濘となっていたり岩をよじ登る箇所があるので要注意だ。道沿いに獣のウンコが点々と落ちていたが、その主を見つけることはできなかった。深緑色っぽかったので、草食性動物ではないかと思うが、カモシカみたいなのがいるのだろうか。
高妻山までは一不動・二釈迦・三文殊・四普賢・五地蔵・六弥勒・七薬師・八観音・九勢至・十阿弥陀とありがたい道標が設けられているが、一〜八の間隔は概ね数分程度なのだが、九〜十は物凄く時間がかかる。九勢至は山頂直下の取りつき部分、十阿弥陀は上りきったところで、最後の一登りには、改めて気を奮い立たせないといけない。延々歩いてきて、さらに急な登りというのはなかなか大変である。特にヒロシ氏にとって見れば、私との共同山行における最高峰(それまでの最高峰は乾徳山)となるので、かなりこたえたと思われる。
GPS(オレゴン450)で五地蔵山となっている所が、実際は七薬師だった。少々信頼性に翳りが生ずる。
十阿弥陀から山頂は大きな岩がゴロゴロしている。中には足を置くとグラッと動くものがあるので要注意だ。
さすがに日本百名山なだけあって、曇天にもかかわらず、十人弱程の人が休んでいる。ここで昼食休憩。どうも最近山頂からの眺めに恵まれていないような気がするが、展望以外にも楽しいことがたくさんあるので良しとしよう。展望を楽しみたければまた来ればよいのだ。
展望も望めず、帰りの時間も気になるので帰ることとする。
一不動から戸隠牧場への道を選択。ガレた下りを慎重に進む。氷清水付近から道に沢が合流して水が流れる中を歩かねばならない。その先では沢が滝となり、我々も鎖で降りる。その後、濡れたトラバースを渡って、そこを離れるのだが、振り返ると、我々が歩いてきた沢道は落差少なくとも十数mの滝になっていた。美しくもおそろしや。ちなみに、通常トラバースに鎖があれば横に渡してあるものだが、ここでは個々に60cm程の鎖が下に垂れているだけである。従って、濡れている鎖を素手・片手で持っているだけでは、足を滑らせた場合、まず間違いなく滑落する。
沢を離れたと思ったらトラバースの先も沢道。道が沢になっている他に、沢を何度も渡る。ただ、足の置き場所を見極めれば靴に浸水することは無い。ヒロシ氏は靴が防水のしようがないため、沢に足を入れて渡渉。サクサク進んでいたが、沢に転落した。岩も濡れていたからなあ。転落したところは見ていなかったが、体を打ったわけではないようなので、足だけズボンといったのだろう。とにかく、濡れただけでよかった。
厳しい道にも終わりがあり、ぐしょぐしょではあるものの平坦な道となれば、戸隠牧場はもうすぐだ。
牧場まで至って、「今日はやったなあ」と感慨に浸ることができる。戸隠だけで満喫、高妻山も含めて満満喫だ。そして最後まで気を抜かせない山だった。「最後まで気を抜くな」ということを体感するという点では、山に行ってみたいという人が最初に行ってみてもよいのではないかしら。冗談だが。
神仙の境地、偉大なる山容、華麗なる花々。戸隠山及び高妻山が晴れて我々を迎えてくれたことに感謝して戸隠を去る。時間が無かったのと混んでいたことで、戸隠蕎麦と温泉は体感できなかった。また来る時に楽しむこととしよう。
〜おわり〜
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