47.トムラウシ山 「奇跡の価値は」
- GPS
- --:--
- 距離
- 14.8km
- 登り
- 1,284m
- 下り
- 1,277m
コースタイム
1010山頂-1140前トム平1150-1220コマドリ沢出合1230-1350カムイ天上1355-1435温泉コース分岐-1455短縮登山口 所要時間:4時間45分
合計:10時間15分
天候 | 曇りのち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
30台前後は駐車可能かと思いますが、未舗装の狭い道を走るので、レンタカーの方は注意が必要かと思います。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口からコマドリ沢出合までは晴れていても登山道がぬかるんでいるので、ゲイターは要るかと思います。 長時間の登山になるので、帰り道に分岐を間違えないように、よく確認して帰りたいものです。特に温泉コース分岐は短縮登山道から入ったのに、疲れていてよく確認せずに温泉口登山道を降っていたという痛恨のミスはありえると思います。 登山ポストは短縮登山口にあり。 下山後の温泉は国民宿舎 東大雪荘を利用。入浴料500円。 |
写真
感想
第47座 奇跡の価値は
十勝岳からの続き
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-128848.html
13日、十勝岳登山の後、富良野市〜麓郷〜南ふらのと南下して鹿追まで来たところで北上してトムラウシを目指した。ダムの横を通り、カーナビで目的地としてセットした国民宿舎 東大雪荘まで10キロを切ったところで未舗装道路に突入した。東大雪荘は場所を確認したのみで立ち寄らず、短縮登山道へ向かう細い道をただひたすらにレンタカーを走らせた。
ちなみに今回のレンタカーは軽自動車で、登り坂を走るとエンジンが悲鳴をあげていた。そうして走っているうちに短縮登山道の駐車場に着いた。ここは30台前後は駐車出来る駐車場と、バイオトイレが完備されているが、水場はないので、ここに来る前に購入するなり、汲んでおく必要がある。僕が着いた頃には、15台のクルマが停まっていて、一人用テントが一張り張られていた。僕はここで車中泊をすることにしたが、レンタカーなので車内が狭くて、なかなか眠ることが出来なかった。
14日3時に起床。パッキングと食事と準備体操をやっている最中に、続々とクルマが駐車場に入って来た。今回登るルートは「短縮登山道」と呼ばれるコースを通って山頂を目指す。短縮とはいえ山頂ピストンで16.5キロ、登山時間が9〜10時間の長丁場となる。コース上には山小屋はおろか避難小屋もなく、生で飲める水場もない。5〜6時間で終わっていた今までの登山とは訳が違うぞと自らを戒めた。
いつもはハイドレーションシステムに2リットルの水を入れていたが、単純に考えて、今までの登山の倍の時間は歩く訳だから、それとは別に2リットルの水を持っていくことにした。そして、低体温症対策としてダウンジャケットを保険として持っていくことを決めた。そして、昨日の十勝岳登山で出来た左足のマメは患部をテーピングで補強した(つもり)。そしてまだまだ暗い4時10分に出発した。
カムイ天上までは様子を見ようと、序盤の登りをこなしていった。カムイ天上に着いたのが5時10分。コースタイムより10分早く登れている。取りあえずは大丈夫みたいだ。と確認した僕は先を進んだ。ここからは平坦な笹林になるが、登山道のぬかるみが噂通りにひどかった。土質が柔らかめなので、濡れやすく乾きにくいのであろうか。途中、30分ほど降るところがあって、折角、高度を稼いだのに勿体無いなぁと思いながら降っていった。この坂道が帰り道に牙をむくのではないかと思うと、厄介な山だな、トムラウシは。と思った。
6時30分にコマドリ沢到着。ここは煮沸を条件にだが水場があるそうだが、今は枯れていて水は流れていなかった。ここからは再び登りになるが、沢の対岸はお花畑となっており、緑の斜面に黄色い花が点々と咲いていた。そして草木が生えない岩だけの登山道に入った。ここはナキウサギの巣らしくて、ところどころ、「チュン、チュン」という鳴き声が聞えたが姿は見えなかった。それでも、一度はナキウサギらしき姿を捉えたのだが、歩いている僕に気づくと、あっという間にハイマツの中へ戻っていった。
7時35分、前トム平到着。ここから見上げる山頂が近づいている感じがしたが、ここからが長かった。トムラウシ公園というところまでまた降りていかなければならない。
「また、降りるんかい!」
折角登ったのに、降りなければならないのは、気分が萎えた。しかし、その萎えた心をトムラウシ公園は癒してくれた。岩と地塘がいい具合に配置された庭園のような場所であり、北アルプスの雲ノ平を小さくまとめた感じの場所であった。そして再び登り始め、やっとのことで南沼キャンプ指定地に着いた。ようやくここまでたどり着いたのかという思いよりも、まだ登るんかい! という思いで一杯だった。
9時40分、山頂に着いた。天気は曇っているものの、大雪山や十勝連峰が見えたので、こういう天気が僕が下山するまで維持して欲しいと願った。記念撮影や三角点踏みをやった後にハイドレーションシステムの水の量を確認したら、2リットルあった水が空に近い状態だった。これからでも、いかに僕がトムラウシと格闘したかご理解頂けるであろう。2リットル予備で持って来て良かった。妥協して持って来なかったら・・・・と思うと、背筋が凍る思いである。水をハイドレーションシステムに移し替え、カロリーメイトを食って、10時10分に下山を開始した。
11時40分、前トム平、12時20分、コマドリ沢と通過。いつもなら通過だけだが、長丁場であるので10分ほど休んで、疲れを抜いてから歩き始めた。コマドリ沢からは、30分ほどの登りがあるがこの難所を越えれば、短縮登山道駐車場は近いと自らを励ましながら登り切ったが、平坦な笹林とぬかるんだ登山道との格闘が待っていた。その格闘が何故か長く感じた。その時僕は思った。
「あぁ、俺も疲れているな」
と。
カムイ天上手前で、とうとう雨が降り出した。この時既に林の中だったので、雨はここまでは届くまいと思って、レインジャケットは着なかった。13時50分にやっとカムイ天上に到着。ここから温泉コース分岐まで長く感じた。いきは楽に登れたのに、こんなに苦しく長く感じるのは何故だろう。ここに来るまで充分に体を鍛えて挑んだはずなのに・・・・。
でも、ブラックアウトまでには充分過ぎるほどに間に合うぞ。道を間違えなければな・・・・。
そんなことを考えながら降っていった。
14時35分に温泉コース分岐に着いた。ここからは短縮登山道駐車場へ向かうコースと、温泉コースを降るコースと分かれる。ここで間違えて温泉コースを降るという痛恨のミスを犯さないために道標を見ながらいった。
「いいか、今から短縮登山道駐車場へ向かうんだぞ! 温泉コースじゃないぞ!」
そして、残り0.7キロの平坦な登山道をラストスパート。14時55分に短縮登山道駐車場に着いた。所要時間は約10時間。トムラウシに登ったというよりは、闘った。といったほうが相応しいのではないかと思える今日の登山であった。
雨がひどいので逃げるようにして駐車場を脱出。温泉に入るため国民宿舎 東大雪荘に立ち寄った。衣類を脱いでみて驚いたのが、右足のかかともマメが出来てなかったが、赤く腫れていて、しわの谷間に血がにじんでいた。左足のマメもテーピングが完全に剥がれ、補強も役に立たなかった。温泉に浸かって、休憩室で少し休んだが、足が重く感じて、明日は大雪山は登れないなぁ〜と思った。
しかし、登山が終わっても問題が二つ残っていた。それはレンタカーの給油がまだなことと、宿泊先が決まってないことであった。当初の予定は、大雪山の旭岳ロープウェイの駐車場か、最悪、道の駅南ふらので車中泊と考えていたが、今の疲労の具合を考えると車中泊は無理だと思った。でも、それよりも給油を何とかすることが先だと豪雨の中をレンタカーを走らせた。
給油は富良野市内で閉店準備中のガソリンスタンドで無理をいって給油してもらって(感謝です!)、何とかガス欠で立ち往生という最悪の事態は回避された。残る問題は今日の宿泊先だ。カーナビで健康ランドかネットカフェがないか検索した結果、旭川に健康ランドがあることが解った。疲れた体に鞭を打つようにして旭川に向かって北上した。僕の中ではまだ登山が続いていたのだ。
21時前に、旭川市内の24時間営業の旭川健康ランドに到着した。これで長い長い登山は終わったなと安堵した。腹が減っていたので、館内のレストランで食事とビールで乾杯。ここまで無事故でたどり着いた自分自身を労った。食後、仮眠室で寝たのだが、周囲はいびきの大合唱なのに、この日はぐっすりと眠れた。相当疲れていたんだなぁ・・・・。
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