《南安曇山地》金松寺山、天狗岩、黒沢山、鍋冠山
- GPS
- 18:27
- 距離
- 37.7km
- 登り
- 2,390m
- 下り
- 2,458m
コースタイム
- 山行
- 8:04
- 休憩
- 0:23
- 合計
- 8:27
- 山行
- 9:53
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 10:00
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
写真
装備
個人装備 |
スパイク地下足袋+脚絆
焚き火セット
ノコギリ
弁当
水筒
軍手
ラテルネ
地図磁石
防寒具
雨具
寝袋+カバー
マット
軽登山靴とアイゼン(不使用)
|
---|---|
共同装備 |
ツエルト
6mm×10m
鍋
|
感想
松本から見る北アルプス南安曇山地の一番前列は2000m以下なので針葉樹林に覆われ半分道もない。ここを全部歩いてみたいと35年前から思っていた。金松寺山から鍋冠まで。雪を使って藪漕ぎをパスしたかったが少々遅すぎて雪は全くなし。それでも人に会わない二日間、自分だけの山で自由気ままに過ごした。
山に関係ない人ならともかく、「北アルプス」では大雑把すぎる。梓川と高瀬川に囲まれたこの山域を南安曇山地と密かに呼ぶ。
上高地線に乗って波田駅へ。梓川の河岸段丘を下り、渡河して大久保の集落を直進し、金松寺にお参り。車の来ない林道を登り蕨をとってジグザグ道を登る。金松寺山は下から見ると立派だが、天狗岩への通過点のよう。
高校の時、梓川村倭のみえこさんが、「よねやまクン山登るんなら、金松寺山登りなよ」と勧めてくれた。オートバイで麓まで行ってどこをどう登ったか憶えがないが送電線の補修ルートを雨の中登り、送電塔の下にずぶ濡れでテントを張ったが、翌朝やる気なくして下山したことを思い出した。あれはどこの道を登ったのだろう。
天狗岩は絶壁に足をぶら下げて安曇野を見渡す展望台だ。鉢盛山、御嶽山、乗鞍から南アルプス、中央アルプス、筑摩山地まで見える。ハーケンが一本刺さっている。
ここから先は道がない。結構濃い笹薮をこいで黒沢山を目指す。笹には密度のムラがあり、タイヘンだけど中級くらいか。黒沢山は森の中、唐突に着く。ザックを下ろす雰囲気でもない。残雪を当てにしてきたが殆ど無かった。一畳か二畳分が東側吹き溜まりに時々あるくらい。これだけでもあると助かる。なければ水が飲めない。
黒沢山北のコルで、一人分平らで3畳ほどの雪渓がある脇で泊まる。笹の葉を敷き詰め寝床とし、タープを張り、枯れ枝を集め火を焚く。水を作って飲酒。展望は無いが樹間に松本平の夜景が美しい。ごろ寝したがたいして寒くなかった。良い季節になった。
翌朝、朝日を浴びて麺を茹で出発。1956m峰はハンガリー動乱、1968mはプラハの春。この稜線は反ソ蜂起の年号が並ぶ。次の1887は・・・、明治中期?笹藪はシラビソ林では薄く、カラマツやダケカンバでは濃い。常緑樹の下は雪が積もらないため地面が寒く、南方性の笹が育たないのだ。
冷沢峠への下降部の笹が一番濃かった。峠では、冷沢用水の説明書きを読んで感激。なんと1817年、ウイーン会議の直後の開通らしい。そんな時代に20年以上かけ分水嶺を越える地形的弱点を利用して水を引くなんて。現場に歴史を書いておいてくれる説明は本当にありがたい。雪を溶かして焚き火で作った木くずだらけの水を捨て、価値ある冷沢の水を汲む。
峠に宿泊道具と雪のために用意した軽登山靴やアイゼンをデポして鍋冠山往復。
松本から見る鍋冠は甲府から見る櫛形山にどこか似ている。どちらも国境稜線の前列にあって黒くて丸い。山頂での展望がなく、また森の美しさも似ている。シラビソやコメツガの大木が聳える良い山だ。ただ、峠で靴をデポしたが、標高1970m以上では雪ベッタリになり、地下足袋では冷たくて苦労した。
冷沢峠からの下り、展望台までは歩きやすい通行止め林道。展望台からは安曇野と小倉の山麓集落が展望できた。ここから標高差1000m、直滑降の夏道を下る。地形図には道が記してあるが、ほぼ全て廃道になっている。地形図の道にちかいところを地図を読みながら正確に辿る。踏み跡があるところもある。1100mから下は道というより急なルンゼのようだ。廃林道を三回横切り、北小倉の集落へ。最奥はお宮と鎮守の森のある情緒あるところ。扇状地を延々下る。田に水が張られ、農家の庭先の石楠花や躑躅の花を眺め、遠くの松本の町、向かいの筑摩山地の峰々を愛でながら。山麓下山至福の時だ。一日市場の駅前で電車待ちの間足のストレッチ。一日市場の駅は初めてだ。三郷村のあの娘のことなんか思い出す。プラットフォームの腰掛けで常念から金松寺山までの山嶺を眺める。歩いてみてはじめて、尾根と谷が立体的に理解できた。誰も行かない山だけど、僕にとっては意味のある山嶺を全部歩いて満足だ。
帰宅すると、女二人がケーキを買って出迎えてくれた。ゆうべは誕生日だったので。
コメント
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遂に行きましたね。ヤブコギは思いの外酷い有様ではなかったようで何よりでした。
冷沢用水部分の地形は面白い。水引くかよぉ、素晴らしい。
もっと炙り食をもっていてけばよかったなァ・・・。
ここの尾根歩けそうだなと思って検索していたらこの記事が出てきたので拝見しました。黒沢山から先が藪漕ぎなのですね。初日に大滝山北峰までいけたら2日目に徳本峠から新島々まで歩けるかなと思ったのですが、うーん前半がスルスルいかないと厳しそうな。。。
他にも興味深いルートいくつか歩かれているようなので、また覗きにきます!
感想ありがとうございます。松本から真正面の山なのに道がないんですよね。展望も無いですが。
天狗岩付近から先全部藪こぎです。しかしずっと猛烈ではないので地図磁石で行ける人ならという感じです。
こういうルートなので一日でごっそり行く見込みは見込みとして、余裕ある日数があったほうが、気が楽ですね。
また覗いてください。
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