記録ID: 1534245
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無雪期ピークハント/縦走
甲斐駒・北岳
鋸岳 ハードな急登・想像以上にガレガレ
2018年07月21日(土) [日帰り]
山梨県
長野県
体力度
6
1~2泊以上が適当
- GPS
- 13:47
- 距離
- 24.3km
- 登り
- 2,221m
- 下り
- 2,215m
コースタイム
日帰り
- 山行
- 11:09
- 休憩
- 2:32
- 合計
- 13:41
距離 24.3km
登り 2,221m
下り 2,220m
●はじめに
言うまでもありませんが、僕自身が登った時のコース詳細となります。川の水の量によっては、渡渉回数が増えると思いますし、大雨が降れば河原の状況も変わり、角兵衛沢出合までのルートも変わると思います。また、鋸岳は今でも崩壊を続けている山なので、ガレ場の状況も変わるかもしれません。
●地形的な特徴(熱中症に注意)
地図を見るとすぐわかりますが、戸台川の河原(谷間)を行き来します。また、この谷間は南北方向に向いており、鋸岳の斜面は西側を向いています。そのため、朝日の差し込む時間が遅く、朝は曇りのような暗さ、樹林帯は夕方のような暗さで、気が滅入ります。日が谷間に差し込むと明るくなりますが、鋸岳の斜面には西日が容赦なく降り注ぎ、灼熱地獄と化します。特に下りのガレ場は休める木陰もなく、ものすごく暑かったです。水を多めに準備し、熱中症にはくれぐれも注意したほうが良いと思います。谷に日が差し込むと、あとは夕方まで日が差し込むので、早朝の薄暗さが嘘のように明るく気持ちのいいルートになります。
●脚が消耗するコース
コース全般的に、浮石の上を歩きます。河原もそうですし、登り下りのガレ場もそうです。普通なら大きいから動かないだろうと思い込んでいる石も容赦なく動きます。最初の河原で脚の筋肉を消耗したところに、角兵衛沢のガレ場でさらに痛めつけられます。第1高点〜第2高点までのアップダウンでさらに脚を攻撃され、下りのガレ場とすべりやすい枯葉でトドメを刺されます。
●ケータイがつながらない・人がいない
駐車場からすでにドコモケータイが圏外です。あと、人がいません(土曜日なのに!)。駐車場には自分のほかに2台の車が止まっていて、そのうちの1台は、すでに出発した模様、もう1台は北沢峠へ行くといっていました。何が言いたいのかというと、コース上で歩行不能、イコール、死ということです。遭難しても助けも呼べませんし、人も通りません。くれぐれも怪我だけはしないようにしないといけません。自分が行っておいて何ですが、ソロは自殺行為に近いです。
●ロープやハーネスは?
しっかりとしたクサリ(たぶんステンレス製)がかけられており、ロープは要らないと思います。僕自身、懸垂下降用にロープは持っていきましたが、使いませんでした。クサリ場に慣れている人なら、ハーネスも要らないと思います。クサリは結構長いので、腕がパンパンになる(パンプする)人は、ハーネスとフィフィはあったほうがいいです。クサリの輪が小さいので、カウテールだとカラビナがうまくクサリにかけられません(試しにやったらダメでした)。
●コース概要
このコースですが、以下のようなルートをたどります。
(1)駐車場から戸台川の河原を遡上〜角兵衛沢出合まで
(2)角兵衛沢を渡渉
(3)樹林帯〜紺色の石のガレ場〜茶色の石のガレ場〜角兵衛沢のコルへ
(4)角兵衛沢のコル〜第1高点
(5)小ギャップを下って登る
(6)鹿窓へのトラバース〜鹿窓〜クサリを使って下降
(7)大ギャップのトラバース〜登り返して樹林帯へ
(8)樹林帯〜第2高点
(9)第2高点〜中ノ川乗越〜熊ノ穴沢登山道(樹林帯へ)
(10)熊ノ穴沢出合を渡渉〜河原を下って駐車場へ
コース上にはテープやリボン、看板やマークがあちこちにあり、それを辿っていくと迷うことなく行けます。ところどころマークは無くなりますが、すぐに現れます。テープはほとんどがピンクで視認性が良いものでした。
(1)駐車場から戸台川の河原を遡上〜角兵衛沢乗越まで
(1)は、北沢峠までの一般登山道?のようでした。角兵衛沢乗越までは、第3堰堤(下流にある・正式名は戸台第3砂防ダム)〜第1堰堤(上流にある)があります。正確には、第3堰堤〜三峰川発電所〜第2堰堤(二重堰堤です)〜第1堰堤と辿ります。駐車場〜第2堰堤までは砂利道の車道(工事車両用?)があったようで、その車道が川の氾濫?でところどころ無くなっているような状況でした。第2堰堤から先は、河原と一般登山道を辿ります。一般登山道も川の氾濫や土砂崩れで部分的に無くなっている状態でした。駐車場〜第3堰堤〜第2堰堤までは、右岸の車道を辿ります。車道は第2堰堤まで続いており、第2堰堤を越えるための階段につながります。階段で第2堰堤を越えたところのすぐに道標が立っていました。次は道標のとおりに左岸側に一般登山道を探すことになります。第2堰堤を越えると広い河原にでますが、右岸に一本木があり、テープがありました。その木から左岸をみると、左岸側にも木にテープが付けられています。あとは順々にテープを辿っていけば左岸にある一般登山道へ入ることができます。一般登山道は河原よりも山側にありました。ちなみに運が良かったのか、水量が少なかったのか、渡渉は必要ありませんでした。しかしその一般登山道も部分的に無くなっており、ところどころで河原⇔一般登山道を行き来しました。第3堰堤は一般登山道を辿っていけば自動的に越えることができます。そのまま進んでいくと、角兵衛沢乗越の道標が現れます。道標どおりに河原に降りるとケルンがあるので、そこで渡渉すれば鋸岳へのルートに乗ることができます。
(2)角兵衛沢を渡渉
意外と水が冷たかったです。意外と川幅が狭く、そのぶん急流になっていたので、渡渉ポイントがなかなか定まりませんでした。注意というか絶対にしてはいけないのは、コケないことでしょうか。装備を濡らした場合は、装備も重くなるし、靴も濡れて靴づれが起きるので、素直に引き返したほうが良いと思います。あと、結構深いので、用心深く浅いところを探しつつ、渡渉しました。自分は渡渉対策としてサンダル(モンベルのソックオンサンダル)を持っていき、さらに裾絞りパンツ(ゴムで裾を絞れるパンツ)を履いていき、その場でももまでまくりあげて渡渉しました。ただ、人がいない(本当にいないんです)ので、パンツ一丁で渡ってもいいのかもしれません。
(3)樹林帯〜紺色の石のガレ場〜茶色の石のガレ場〜角兵衛沢のコルへ
樹林帯には、テープがあちこちにあるので、ほとんど迷わないと思います。注意点としては、本当に薄暗いので、目を凝らしてよ〜く探すこと、でしょうか。テープが見つからない場合は、最後に見つけた地点まで引き返したほうがいいと思います。しばらく登っていくと、紺色の石のガレ場につきます。僕はここで、ヘルメットを装着し、ストックを出しました。ガレ場の中でもここはまだマシですが、大きな石でも浮いていて容赦なく動きます。足を挟まれたり、ねん挫しないように注意が必要です。最初は左側を登り、途中から右側へトラバースしました。しばらくすると、紺色から茶色の石のガレ場につながります。これ以降、ガレ場は右側(岩山のそばの右側)を登ります。進んでいくうちにところどころで樹林帯があり、テープもあります。樹林帯の中⇔ガレ場に出る、を繰り返すことになりますが、圧倒的に樹林帯の中のほうが登りやすいです。茶色の石のガレ場から角兵衛沢のコルまでは、川の支流のようにガレ場が合流していて、一か所でルートミスをしてしまい、正しいルートへ戻りました。他のかたのレコにあったのですが、(ガレ場の支流の合流点のところでは)岩山の左側へと進むと正しいルートを辿れるようです。角兵衛沢のコル直下では、岩山の脇を登っていくことになりますが、細かいガレ場で崩れるというか、滑るような感じになります。岩山の岩肌を右手でカチ持ちしつつ登ると結構楽に登れます。
(4)角兵衛沢のコル〜第1高点
踏み跡がしっかりとあり、一本道なので、(仮にガスっていたとしても)まよわず行けると思います。危険個所もありません。第1高点から先は長いクサリ場が現れるので、しっかり休憩すると同時に、ハーネスを装着したしました。
(5)小ギャップを下って登る
ここまでで、結構疲れていると思います。いきなり長いクサリ場の下降なので、集中して降りないとヤバいと思いました。下降後の登り返しですが、クサリをちょっと(3分の1くらい?)登ると、左側(の草付き)に登る道が現れるので、それを辿ると楽に登れます。
(6)鹿窓へのトラバース〜鹿窓〜クサリを使って下降
小ギャップを登ったあとは、いよいよ鹿窓となります。鹿窓へは、岩のピークを巻くようにトラバースします。結構な崖になっていて、トラバース中に万が一落ちたら多分死ぬと思います。とはいえ、岩には持つ部分(いわゆるホールド)がたくさんあるので、しっかり持ってバランスを崩さないように足を送っていけば、すんなりとトラバースできます。すぐに鹿窓が現れるので、クサリを使って下降します。ほぼほぼ懸垂下降のように、クサリをまたがって降りていくと、すんなり降りられます。降りたら、右側の草付きにルートがあるので、そちらを辿ります。踏み跡もあるし、ちょっと見ずらいのですが肌色のテープが木についているので、迷わないと思います。有名な?間違いのルートですが、これはすぐにわかりました。間違いルートの写真ではイマイチわかりずらいのですが、もう本当に写真どおりなので、実際は誰でもわかると思います。ちなみに、テープどおりに行けば、自動で大ギャップトラバース地点へ行けます。
(7)大ギャップのトラバース〜登り返して樹林帯へ
コースの核心部といわれる大ギャップのトラバースですが、草付き〜岩の基部〜樹林帯の間にガレ場が2つあるので、滑落しないように慎重に進まないといけません。ここも歩いてるそばからガラガラと崩れます。岩の基部〜樹林帯へのガレ場は特にひどいので、なるべく岩の基部の岩肌にあるホールドをしっかり握りながら上のほうに登り、トラバースをします。トラバース後、上のほうに向かって右側の樹林帯に逃げ込めば、クリアしたも同然です。
(8)樹林帯〜第2高点
急登ですが、一般登山道のように踏み跡も明瞭ですし、危険個所はありませんでした。第2高点まで一本道です。
(9)第2高点〜中ノ川乗越〜熊ノ穴沢登山道(樹林帯へ)
第2高点〜中ノ川乗越までは、(登ってきた道を右側だとすると)向かって左側へと降りていきます。すぐに踏み跡明瞭な道へ続きますし、登ってきた道と違うので迷わないと思います。中ノ川乗越〜熊ノ穴沢登山道の樹林帯までは、細かい石のガレ場〜岩山を右側に巻く〜大きな石のガレ場〜樹林帯となります。細かい石のガレ場は、最初は右側を行き、途中でテープが現れるので、それを境に左側を降ります。降り切ったところで右側へと続くガレ場が現れると同時に、赤で「クマ」と書かれた岩が現れるので、そのとおりに下っていきます。これ以降のガレ場は石が大きく、しかも浮いているのでバランスを崩しやすいです。僕も2〜3回バランスを崩しては転んだりしました。降りていく途中に目印は全くなく、果たしてルートがあっているのか、結構不安になります。また、木陰もない(そもそも木が生えていない)灼熱地獄なので、熱中症になるんじゃないかと心配になりました。ところどころ、1本木が生えているので、そういうところで休憩したほうがいいかもしれません。しばらく降りていくと、下降方向左側に細長い樹林帯が現れます。さらに降りていくと、樹林帯につながりテープが現れるので、以降はテープを辿ります。樹林帯までテープはありませんが、樹林帯ではテープがたくさんあるので、迷わないと思います。樹林帯はほとんど人が通らないのか、ルートが針葉樹の枯葉で覆われており、結構滑るので注意が必要です。
(10)熊ノ穴沢出合を渡渉〜河原を下って駐車場へ
熊ノ穴沢出合までが結構長いです。ただ、出合まで行ってしまえば、あとは渡渉して帰るだけなので、気が楽です。しかも遅くまでしっかりと日が差し込むので、焦ることなく帰れると思います。熊ノ穴沢出合から角兵衛沢出合までは、一般登山道でテープもしっかり付いているので、迷うことはありませんでした。角兵衛沢出合から駐車場までも一度通った道、迷うことはありません。しかし、一般登山道や河原の歩きやすいこと、行きは歩きづらいなぁ、と思った道も、あれだけやったガレ場の効果なのか、帰りは超ラクに感じられます。
●黒戸尾根とどっちがハード?
両方日帰り・自虐的ツアーを身をもって経験したから言えますが、鋸岳のほうがハードだと思います。それは危険度でも言えますし、救助を呼べない、というメンタルでもハードだと思いました。
GPSの記録によると、
黒戸尾根: 距離22.2km 標高差2,191m
鋸岳: 距離24.3km 標高差1,665m(角兵衛沢出合〜熊ノ穴沢出合だと、距離10.4km 標高差1,355m)
という結果に(誤差あり)。角兵衛沢出合〜熊ノ穴沢出合で考えれば距離当たりの標高差が大きいので、黒戸尾根よりも登っている感が強いんだと思います。あと、数値的には黒戸尾根のほうが大変そうですが、整備された登山道ですし、人もいるし、山小屋もあるので、メンタル的にはすごく楽です。
言うまでもありませんが、僕自身が登った時のコース詳細となります。川の水の量によっては、渡渉回数が増えると思いますし、大雨が降れば河原の状況も変わり、角兵衛沢出合までのルートも変わると思います。また、鋸岳は今でも崩壊を続けている山なので、ガレ場の状況も変わるかもしれません。
●地形的な特徴(熱中症に注意)
地図を見るとすぐわかりますが、戸台川の河原(谷間)を行き来します。また、この谷間は南北方向に向いており、鋸岳の斜面は西側を向いています。そのため、朝日の差し込む時間が遅く、朝は曇りのような暗さ、樹林帯は夕方のような暗さで、気が滅入ります。日が谷間に差し込むと明るくなりますが、鋸岳の斜面には西日が容赦なく降り注ぎ、灼熱地獄と化します。特に下りのガレ場は休める木陰もなく、ものすごく暑かったです。水を多めに準備し、熱中症にはくれぐれも注意したほうが良いと思います。谷に日が差し込むと、あとは夕方まで日が差し込むので、早朝の薄暗さが嘘のように明るく気持ちのいいルートになります。
●脚が消耗するコース
コース全般的に、浮石の上を歩きます。河原もそうですし、登り下りのガレ場もそうです。普通なら大きいから動かないだろうと思い込んでいる石も容赦なく動きます。最初の河原で脚の筋肉を消耗したところに、角兵衛沢のガレ場でさらに痛めつけられます。第1高点〜第2高点までのアップダウンでさらに脚を攻撃され、下りのガレ場とすべりやすい枯葉でトドメを刺されます。
●ケータイがつながらない・人がいない
駐車場からすでにドコモケータイが圏外です。あと、人がいません(土曜日なのに!)。駐車場には自分のほかに2台の車が止まっていて、そのうちの1台は、すでに出発した模様、もう1台は北沢峠へ行くといっていました。何が言いたいのかというと、コース上で歩行不能、イコール、死ということです。遭難しても助けも呼べませんし、人も通りません。くれぐれも怪我だけはしないようにしないといけません。自分が行っておいて何ですが、ソロは自殺行為に近いです。
●ロープやハーネスは?
しっかりとしたクサリ(たぶんステンレス製)がかけられており、ロープは要らないと思います。僕自身、懸垂下降用にロープは持っていきましたが、使いませんでした。クサリ場に慣れている人なら、ハーネスも要らないと思います。クサリは結構長いので、腕がパンパンになる(パンプする)人は、ハーネスとフィフィはあったほうがいいです。クサリの輪が小さいので、カウテールだとカラビナがうまくクサリにかけられません(試しにやったらダメでした)。
●コース概要
このコースですが、以下のようなルートをたどります。
(1)駐車場から戸台川の河原を遡上〜角兵衛沢出合まで
(2)角兵衛沢を渡渉
(3)樹林帯〜紺色の石のガレ場〜茶色の石のガレ場〜角兵衛沢のコルへ
(4)角兵衛沢のコル〜第1高点
(5)小ギャップを下って登る
(6)鹿窓へのトラバース〜鹿窓〜クサリを使って下降
(7)大ギャップのトラバース〜登り返して樹林帯へ
(8)樹林帯〜第2高点
(9)第2高点〜中ノ川乗越〜熊ノ穴沢登山道(樹林帯へ)
(10)熊ノ穴沢出合を渡渉〜河原を下って駐車場へ
コース上にはテープやリボン、看板やマークがあちこちにあり、それを辿っていくと迷うことなく行けます。ところどころマークは無くなりますが、すぐに現れます。テープはほとんどがピンクで視認性が良いものでした。
(1)駐車場から戸台川の河原を遡上〜角兵衛沢乗越まで
(1)は、北沢峠までの一般登山道?のようでした。角兵衛沢乗越までは、第3堰堤(下流にある・正式名は戸台第3砂防ダム)〜第1堰堤(上流にある)があります。正確には、第3堰堤〜三峰川発電所〜第2堰堤(二重堰堤です)〜第1堰堤と辿ります。駐車場〜第2堰堤までは砂利道の車道(工事車両用?)があったようで、その車道が川の氾濫?でところどころ無くなっているような状況でした。第2堰堤から先は、河原と一般登山道を辿ります。一般登山道も川の氾濫や土砂崩れで部分的に無くなっている状態でした。駐車場〜第3堰堤〜第2堰堤までは、右岸の車道を辿ります。車道は第2堰堤まで続いており、第2堰堤を越えるための階段につながります。階段で第2堰堤を越えたところのすぐに道標が立っていました。次は道標のとおりに左岸側に一般登山道を探すことになります。第2堰堤を越えると広い河原にでますが、右岸に一本木があり、テープがありました。その木から左岸をみると、左岸側にも木にテープが付けられています。あとは順々にテープを辿っていけば左岸にある一般登山道へ入ることができます。一般登山道は河原よりも山側にありました。ちなみに運が良かったのか、水量が少なかったのか、渡渉は必要ありませんでした。しかしその一般登山道も部分的に無くなっており、ところどころで河原⇔一般登山道を行き来しました。第3堰堤は一般登山道を辿っていけば自動的に越えることができます。そのまま進んでいくと、角兵衛沢乗越の道標が現れます。道標どおりに河原に降りるとケルンがあるので、そこで渡渉すれば鋸岳へのルートに乗ることができます。
(2)角兵衛沢を渡渉
意外と水が冷たかったです。意外と川幅が狭く、そのぶん急流になっていたので、渡渉ポイントがなかなか定まりませんでした。注意というか絶対にしてはいけないのは、コケないことでしょうか。装備を濡らした場合は、装備も重くなるし、靴も濡れて靴づれが起きるので、素直に引き返したほうが良いと思います。あと、結構深いので、用心深く浅いところを探しつつ、渡渉しました。自分は渡渉対策としてサンダル(モンベルのソックオンサンダル)を持っていき、さらに裾絞りパンツ(ゴムで裾を絞れるパンツ)を履いていき、その場でももまでまくりあげて渡渉しました。ただ、人がいない(本当にいないんです)ので、パンツ一丁で渡ってもいいのかもしれません。
(3)樹林帯〜紺色の石のガレ場〜茶色の石のガレ場〜角兵衛沢のコルへ
樹林帯には、テープがあちこちにあるので、ほとんど迷わないと思います。注意点としては、本当に薄暗いので、目を凝らしてよ〜く探すこと、でしょうか。テープが見つからない場合は、最後に見つけた地点まで引き返したほうがいいと思います。しばらく登っていくと、紺色の石のガレ場につきます。僕はここで、ヘルメットを装着し、ストックを出しました。ガレ場の中でもここはまだマシですが、大きな石でも浮いていて容赦なく動きます。足を挟まれたり、ねん挫しないように注意が必要です。最初は左側を登り、途中から右側へトラバースしました。しばらくすると、紺色から茶色の石のガレ場につながります。これ以降、ガレ場は右側(岩山のそばの右側)を登ります。進んでいくうちにところどころで樹林帯があり、テープもあります。樹林帯の中⇔ガレ場に出る、を繰り返すことになりますが、圧倒的に樹林帯の中のほうが登りやすいです。茶色の石のガレ場から角兵衛沢のコルまでは、川の支流のようにガレ場が合流していて、一か所でルートミスをしてしまい、正しいルートへ戻りました。他のかたのレコにあったのですが、(ガレ場の支流の合流点のところでは)岩山の左側へと進むと正しいルートを辿れるようです。角兵衛沢のコル直下では、岩山の脇を登っていくことになりますが、細かいガレ場で崩れるというか、滑るような感じになります。岩山の岩肌を右手でカチ持ちしつつ登ると結構楽に登れます。
(4)角兵衛沢のコル〜第1高点
踏み跡がしっかりとあり、一本道なので、(仮にガスっていたとしても)まよわず行けると思います。危険個所もありません。第1高点から先は長いクサリ場が現れるので、しっかり休憩すると同時に、ハーネスを装着したしました。
(5)小ギャップを下って登る
ここまでで、結構疲れていると思います。いきなり長いクサリ場の下降なので、集中して降りないとヤバいと思いました。下降後の登り返しですが、クサリをちょっと(3分の1くらい?)登ると、左側(の草付き)に登る道が現れるので、それを辿ると楽に登れます。
(6)鹿窓へのトラバース〜鹿窓〜クサリを使って下降
小ギャップを登ったあとは、いよいよ鹿窓となります。鹿窓へは、岩のピークを巻くようにトラバースします。結構な崖になっていて、トラバース中に万が一落ちたら多分死ぬと思います。とはいえ、岩には持つ部分(いわゆるホールド)がたくさんあるので、しっかり持ってバランスを崩さないように足を送っていけば、すんなりとトラバースできます。すぐに鹿窓が現れるので、クサリを使って下降します。ほぼほぼ懸垂下降のように、クサリをまたがって降りていくと、すんなり降りられます。降りたら、右側の草付きにルートがあるので、そちらを辿ります。踏み跡もあるし、ちょっと見ずらいのですが肌色のテープが木についているので、迷わないと思います。有名な?間違いのルートですが、これはすぐにわかりました。間違いルートの写真ではイマイチわかりずらいのですが、もう本当に写真どおりなので、実際は誰でもわかると思います。ちなみに、テープどおりに行けば、自動で大ギャップトラバース地点へ行けます。
(7)大ギャップのトラバース〜登り返して樹林帯へ
コースの核心部といわれる大ギャップのトラバースですが、草付き〜岩の基部〜樹林帯の間にガレ場が2つあるので、滑落しないように慎重に進まないといけません。ここも歩いてるそばからガラガラと崩れます。岩の基部〜樹林帯へのガレ場は特にひどいので、なるべく岩の基部の岩肌にあるホールドをしっかり握りながら上のほうに登り、トラバースをします。トラバース後、上のほうに向かって右側の樹林帯に逃げ込めば、クリアしたも同然です。
(8)樹林帯〜第2高点
急登ですが、一般登山道のように踏み跡も明瞭ですし、危険個所はありませんでした。第2高点まで一本道です。
(9)第2高点〜中ノ川乗越〜熊ノ穴沢登山道(樹林帯へ)
第2高点〜中ノ川乗越までは、(登ってきた道を右側だとすると)向かって左側へと降りていきます。すぐに踏み跡明瞭な道へ続きますし、登ってきた道と違うので迷わないと思います。中ノ川乗越〜熊ノ穴沢登山道の樹林帯までは、細かい石のガレ場〜岩山を右側に巻く〜大きな石のガレ場〜樹林帯となります。細かい石のガレ場は、最初は右側を行き、途中でテープが現れるので、それを境に左側を降ります。降り切ったところで右側へと続くガレ場が現れると同時に、赤で「クマ」と書かれた岩が現れるので、そのとおりに下っていきます。これ以降のガレ場は石が大きく、しかも浮いているのでバランスを崩しやすいです。僕も2〜3回バランスを崩しては転んだりしました。降りていく途中に目印は全くなく、果たしてルートがあっているのか、結構不安になります。また、木陰もない(そもそも木が生えていない)灼熱地獄なので、熱中症になるんじゃないかと心配になりました。ところどころ、1本木が生えているので、そういうところで休憩したほうがいいかもしれません。しばらく降りていくと、下降方向左側に細長い樹林帯が現れます。さらに降りていくと、樹林帯につながりテープが現れるので、以降はテープを辿ります。樹林帯までテープはありませんが、樹林帯ではテープがたくさんあるので、迷わないと思います。樹林帯はほとんど人が通らないのか、ルートが針葉樹の枯葉で覆われており、結構滑るので注意が必要です。
(10)熊ノ穴沢出合を渡渉〜河原を下って駐車場へ
熊ノ穴沢出合までが結構長いです。ただ、出合まで行ってしまえば、あとは渡渉して帰るだけなので、気が楽です。しかも遅くまでしっかりと日が差し込むので、焦ることなく帰れると思います。熊ノ穴沢出合から角兵衛沢出合までは、一般登山道でテープもしっかり付いているので、迷うことはありませんでした。角兵衛沢出合から駐車場までも一度通った道、迷うことはありません。しかし、一般登山道や河原の歩きやすいこと、行きは歩きづらいなぁ、と思った道も、あれだけやったガレ場の効果なのか、帰りは超ラクに感じられます。
●黒戸尾根とどっちがハード?
両方日帰り・自虐的ツアーを身をもって経験したから言えますが、鋸岳のほうがハードだと思います。それは危険度でも言えますし、救助を呼べない、というメンタルでもハードだと思いました。
GPSの記録によると、
黒戸尾根: 距離22.2km 標高差2,191m
鋸岳: 距離24.3km 標高差1,665m(角兵衛沢出合〜熊ノ穴沢出合だと、距離10.4km 標高差1,355m)
という結果に(誤差あり)。角兵衛沢出合〜熊ノ穴沢出合で考えれば距離当たりの標高差が大きいので、黒戸尾根よりも登っている感が強いんだと思います。あと、数値的には黒戸尾根のほうが大変そうですが、整備された登山道ですし、人もいるし、山小屋もあるので、メンタル的にはすごく楽です。
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年07月の天気図 |
アクセス |
戸台河原駐車場に駐車しました。駐車場へは途中で砂利道となりますが、水たまり痕が深くえぐれており、クルマの底を擦るので注意が必要です(軽く擦りました)。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
駐車場からすでにドコモケータイがつながりません。登山届は必ず提出し、可能なら2人以上で行ったほうがいいと思います。ガレ場多数、滑落したら止まらないと思います。ミスると、はっきり言って普通に死ねます。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
ゲイター
日よけ帽子
靴
サンダル
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
ライター
地図(地形図)
笛
ヘッドランプ
予備電池
GPS
ロールペーパー
携帯
時計
タオル
ツェルト
ストック
カメラ
ヘルメット
|
---|---|
備考 | 水を2.5L持っていきましたが、ギリギリでした。もう少しあったほうがいいと思います。 |
感想
ヤメておいたほうがいいです(爆) 甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根と同じですが、みんなのヤマレコを見て、「これなら行けるんじゃね?」と思ったクチです。結果的には行けましたが、結構脚がヤラれます。あと、登りも下りも「まだ着かないのか…」と何度も心が折れそうになりました。理由はあとで述べますが、この時期は想像以上に暑いので、時期的にもおススメできません。標高が高いクセに何でこんなに暑いのか…熱中症になったらホントにヤバいなと思いました。
ただ、その分、完登したときの喜びは大きかったです。黒戸尾根に日帰りで登ったことのある人には、完登したときの感動がわかると思います。僕自身も黒戸尾根日帰りをやりましたが、喜びはあれに近いです。
登る人もあまりいないし、第一に詳細なルート概要がほとんどないので、ならば自分で行って書いてみようじゃありませんか。ということで、一応、鋸岳に興味があるかたや、登ってみたいと思っているかたの参考になればと、コース詳細を書いてみようと思います。
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nyajilaさん、こんにちは!
こりゃ、また、ハードな処に行って来られましたね〜
私も半世紀も昔に、山岳会の仲間たちとこの場所に行きました。
当時は鎖などなくて、ハーケン打って懸垂下降した記憶があります。
大勢でしたし若さで登れたように思いますが、確かに、ソロは凄くヤバイ場所ですね〜。
もっと際どい場所、しんどいコースはイロイロあると思いますが、ソロで事故ったら連絡方法なしって・・・メンタルなプレッシャーは凄く負担ですよね
とにかく、ご無事で何より、お疲れさまでした。
f15eagleさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
いやー、急登もですが、なにより暑くて辛かったです。2,000メートルなので、12度は気温が低いと思ってましたが…よく考えたら盆地のような地形なので暑いんでしょうね。
北アと違って南アは人が少なくて静かですが、万が一の時を考えると不安になります。今でこそクサリもあって僕みたいなヘッポコクライマーでも登れますが、昔の方がはるかに難易度高かったんでしょうね。
これ以上難易度高いルートにソロで行くと死んじゃうので、自粛します(笑)
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