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Yamareco

記録ID: 1537995
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
関東

高天原に神留坐す。富士山【稲荷信者登拝記16】

2018年08月21日(火) ~ 2018年08月22日(水)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
12.5km
登り
1,504m
下り
1,508m

コースタイム

1日目
山行
3:15
休憩
0:35
合計
3:50
10:50
25
12:20
12:40
100
14:20
八合目太子館
2日目
山行
5:20
休憩
2:50
合計
8:10
23:30
0
八合目太子館
3:10
5:30
60
9:10
スバルライン五合目
始めてなので吉田ルートでの1泊2日を選択。山小屋も無理せず辿りつけるように八合目の太子館とした。
TVなどでは撮影の都合で整備された六合目〜七合目、または山頂ばかりが紹介されるが、七合目からは岩場をずっと登ることになる。また、下山道は一切日陰のない砂礫の道を延々と3時間下ることになるので、天候のいい日は熱中症に注意。
山頂に早く到着しすぎたため、暴風雨に打たれながらのご来光待ちが辛かった。
天候 雨のち晴れ
過去天気図(気象庁) 2018年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
■往復 中央本線【大月】→富士急行【富士山】→富士急登山バス【吉田口五合目】(1時間1540円)
大月で富士急行に乗り換え。シーズン中は混み合うのかと思いきや、ガラガラ。登山装備の人もほとんど見ない。バスで向かう人の方が多いのかな。
大月で富士急行に乗り換え。シーズン中は混み合うのかと思いきや、ガラガラ。登山装備の人もほとんど見ない。バスで向かう人の方が多いのかな。
富士急行【富士山】駅到着。ターミナル前でバスのチケットを買い、5番乗り場へ。五合目行きのバスは富士急行の終点【河口湖】からも乗れるが、ここが始発なのでこちらで乗った方がいい。案の定、次の河口湖駅でバスは満員になった。
富士急行【富士山】駅到着。ターミナル前でバスのチケットを買い、5番乗り場へ。五合目行きのバスは富士急行の終点【河口湖】からも乗れるが、ここが始発なのでこちらで乗った方がいい。案の定、次の河口湖駅でバスは満員になった。
バスに揺られて1時間。9:30、富士スバルライン五合目に到着。気温は20℃チョイ。小雨。風はなし。【服装:ベースレイヤー(フェニックスのトランスファー)、モンベルの速乾T、レインウェア(ストライクジャケット)、3シーズンパンツ】
バスに揺られて1時間。9:30、富士スバルライン五合目に到着。気温は20℃チョイ。小雨。風はなし。【服装:ベースレイヤー(フェニックスのトランスファー)、モンベルの速乾T、レインウェア(ストライクジャケット)、3シーズンパンツ】
まずは1時間ほどここでブラブラして高度順応。レストランで朝食を取ってもいいが、それほど空腹感はなかったのであんパンを齧って済ませた。ここではまだ¥100で買えた。ゴミ箱はどこにもないので注意。
まずは1時間ほどここでブラブラして高度順応。レストランで朝食を取ってもいいが、それほど空腹感はなかったのであんパンを齧って済ませた。ここではまだ¥100で買えた。ゴミ箱はどこにもないので注意。
ゆるキャン、富士山に来てないのでは?ヤマノススメに出てきた富士山ぬいぐるみは売り切れだった。
ゆるキャン、富士山に来てないのでは?ヤマノススメに出てきた富士山ぬいぐるみは売り切れだった。
バス亭前の土産物屋の3Fには無料の休憩所がある。男女別なので登山前の着替えはここで。ただ、床は砂だらけで綺麗とは言えない。手前にはコインロッカーもある。
バス亭前の土産物屋の3Fには無料の休憩所がある。男女別なので登山前の着替えはここで。ただ、床は砂だらけで綺麗とは言えない。手前にはコインロッカーもある。
小御嶽神社で安全祈願。御祭神は富士山の神、木花咲耶姫の姉神である磐長姫。授与品が充実していて目移りしてしまうが、荷物になるので断念。
小御嶽神社で安全祈願。御祭神は富士山の神、木花咲耶姫の姉神である磐長姫。授与品が充実していて目移りしてしまうが、荷物になるので断念。
登山口前で雨に打たれている馬。全く動かないので一瞬、作り物かと思った。これに乗って途中まで行くこともできるが、かなりお金がかかるらしい。
登山口前で雨に打たれている馬。全く動かないので一瞬、作り物かと思った。これに乗って途中まで行くこともできるが、かなりお金がかかるらしい。
10:30、いざ出発。高山病の兆候はなし。疲労のせいか、不機嫌な声を上げる下山者が散見されて面白い。気を引きしめて行こう。
10:30、いざ出発。高山病の兆候はなし。疲労のせいか、不機嫌な声を上げる下山者が散見されて面白い。気を引きしめて行こう。
車道のような広い道を20分歩き、六合目への分岐へ。泉ヶ滝とのことだが、ガスでなにも見えない。ここからようやく軽い登りになる。
車道のような広い道を20分歩き、六合目への分岐へ。泉ヶ滝とのことだが、ガスでなにも見えない。ここからようやく軽い登りになる。
六合目安全指導センター前。このあたりで雨足が強くなり、ザックカバーをした。濃いガスで展望は0だが、山は山頂に着いた瞬間に晴れていればいいのだ。
六合目安全指導センター前。このあたりで雨足が強くなり、ザックカバーをした。濃いガスで展望は0だが、山は山頂に着いた瞬間に晴れていればいいのだ。
六合目からはひたすらに九十九折を辿っていく。深い呼吸を意識しながらのんびりと歩を進める。たまに見る緑の石が綺麗だ。
六合目からはひたすらに九十九折を辿っていく。深い呼吸を意識しながらのんびりと歩を進める。たまに見る緑の石が綺麗だ。
六合目から1:00。七合目「花小屋」に到着。初めてのベンチで多くの登山者が休憩している。気温はちょうど20℃というところ。通常は3枚も着ていると暑いところだが、高山病対策でゆっくりゆっくりと歩いているので何とか大丈夫。
六合目から1:00。七合目「花小屋」に到着。初めてのベンチで多くの登山者が休憩している。気温はちょうど20℃というところ。通常は3枚も着ていると暑いところだが、高山病対策でゆっくりゆっくりと歩いているので何とか大丈夫。
七合目からは登山道の様子がガラリと変わり、剥き出しの岩肌を登っていくことになる。傾斜はかなり急で、手を使ってよじ登る場面も多々。
七合目からは登山道の様子がガラリと変わり、剥き出しの岩肌を登っていくことになる。傾斜はかなり急で、手を使ってよじ登る場面も多々。
七合目の半ばあたりで一つ雲を抜け、所々に青い空を眺めることができるようになった。たまに日が差すようになったのでレインウェアを脱ぐ。【服装:ベースレイヤー(トランスファー)、モンベルTシャツ】
七合目の半ばあたりで一つ雲を抜け、所々に青い空を眺めることができるようになった。たまに日が差すようになったのでレインウェアを脱ぐ。【服装:ベースレイヤー(トランスファー)、モンベルTシャツ】
岩場がずっと続く。すれ違えないような登山道の狭い箇所では局地的に渋滞が発生しているが、それ以外はほぼ大丈夫。どうせ高山病予防にゆっくり登っているのだから、多少渋滞しても丁度良い。
岩場がずっと続く。すれ違えないような登山道の狭い箇所では局地的に渋滞が発生しているが、それ以外はほぼ大丈夫。どうせ高山病予防にゆっくり登っているのだから、多少渋滞しても丁度良い。
朱の鳥居が目印の「鳥居館」、瀟洒な外見の「東洋館」と段々高度を上げていく。本日の目的地、八合目は3040m。あと1時間くらいかなと予想。
朱の鳥居が目印の「鳥居館」、瀟洒な外見の「東洋館」と段々高度を上げていく。本日の目的地、八合目は3040m。あと1時間くらいかなと予想。
14:20、本日の目的地、八合目「太子館」に到着。五合目からの所要時間は3:50。高山病予防に700mをのんびりのんびり上がってきたが、ほぼコースタイム通りだろう。
14:20、本日の目的地、八合目「太子館」に到着。五合目からの所要時間は3:50。高山病予防に700mをのんびりのんびり上がってきたが、ほぼコースタイム通りだろう。
山小屋前は休憩の人達で賑わっている。天気がよくなり明るい声が聞こえてくる。
山小屋前は休憩の人達で賑わっている。天気がよくなり明るい声が聞こえてくる。
ここで注意!YAMAPの富士山地図に「七号三勺」と書いてある地点が実際は八合目である。自分も勘違いし、八合目まではまだまだと考えていたが、地図を見て気付いた。無料使用で偉そうな事は言えないが、これは早く修正してほしい。
ここで注意!YAMAPの富士山地図に「七号三勺」と書いてある地点が実際は八合目である。自分も勘違いし、八合目まではまだまだと考えていたが、地図を見て気付いた。無料使用で偉そうな事は言えないが、これは早く修正してほしい。
では早速チェックイン。平安時代中頃の『聖徳太子伝歴』に太子が馬に乗って空を飛び、ここ富士山を訪れたという話がある。俗に「黒駒太子」と言われ絵図にもなっているエピソードだ。ここの山小屋の名前はそれに由来しているんだろう。
では早速チェックイン。平安時代中頃の『聖徳太子伝歴』に太子が馬に乗って空を飛び、ここ富士山を訪れたという話がある。俗に「黒駒太子」と言われ絵図にもなっているエピソードだ。ここの山小屋の名前はそれに由来しているんだろう。
館内は清潔な木造で、なんと斜面に沿った三階立て。従業員の方はとても感じがよく丁寧で、話に聞く昔の山小屋のイメージは皆無。一泊二日¥8500。
館内は清潔な木造で、なんと斜面に沿った三階立て。従業員の方はとても感じがよく丁寧で、話に聞く昔の山小屋のイメージは皆無。一泊二日¥8500。
寝床に案内される。ここの寝具は寝袋。複数人で布団を使うなんてのに耐えられそうになかったのが、こちらを選んだ理由の一つだ。混雑時は1人あたりの割り当ては目測80〜90cmくらいの幅だが、今日は空いているので2人分のスペースを使っていいと言われる。
寝床に案内される。ここの寝具は寝袋。複数人で布団を使うなんてのに耐えられそうになかったのが、こちらを選んだ理由の一つだ。混雑時は1人あたりの割り当ては目測80〜90cmくらいの幅だが、今日は空いているので2人分のスペースを使っていいと言われる。
寝床は上段と下段に別れている。上段は窓があって明るく、高さにも余裕があり下段のような圧迫感がないのが羨ましい。男女同室だが、出来るだけ同性が隣になるような配慮はあるようだ。それはいいが、印象では上段は女性が多いように思えた。同価格なのでそれはどうかと思う。印象だけど。
寝床は上段と下段に別れている。上段は窓があって明るく、高さにも余裕があり下段のような圧迫感がないのが羨ましい。男女同室だが、出来るだけ同性が隣になるような配慮はあるようだ。それはいいが、印象では上段は女性が多いように思えた。同価格なのでそれはどうかと思う。印象だけど。
食事は16:00から到着順にとのこと。荷物の整理や身支度、散策をしていると1:30などすぐに経ってしまう。雲の下に見えるのは山中湖。気温18℃。強めの風。【服装:ベース、Tシャツ、ユニクロのマイクロフリース、Buff】
食事は16:00から到着順にとのこと。荷物の整理や身支度、散策をしていると1:30などすぐに経ってしまう。雲の下に見えるのは山中湖。気温18℃。強めの風。【服装:ベース、Tシャツ、ユニクロのマイクロフリース、Buff】
16:00ピッタリに夕食。メニューはカレーと焼き魚、ソーセージ、漬物、デザートの富士山カステラとバラエティーに富んでいるのが嬉しい。ご飯は少量ならお代わり可能。
16:00ピッタリに夕食。メニューはカレーと焼き魚、ソーセージ、漬物、デザートの富士山カステラとバラエティーに富んでいるのが嬉しい。ご飯は少量ならお代わり可能。
食後に翌日の朝食が配られる。暖めた釜めしに菓子パン、水500ml。食べやすさや腹持ちを考慮してくれているのは分かるんだけど、この菓子パンはあまり美味くなかった…。
食後に翌日の朝食が配られる。暖めた釜めしに菓子パン、水500ml。食べやすさや腹持ちを考慮してくれているのは分かるんだけど、この菓子パンはあまり美味くなかった…。
寝床で持参の食料をチェック。あとドライフルーツとカレーパンまである。夕食時に食べるつもりで茹で卵を持ってきたが、頂いたメニューだけで十分満腹になってしまった。山頂で食べるかな…?
寝床で持参の食料をチェック。あとドライフルーツとカレーパンまである。夕食時に食べるつもりで茹で卵を持ってきたが、頂いたメニューだけで十分満腹になってしまった。山頂で食べるかな…?
忘れずにサプリとビタミン剤を飲んで1日目終了。網野さんのおかげで頑張れます。幸いなことに体調は万全。足のマッサージを少ししておやすみなさい。
忘れずにサプリとビタミン剤を飲んで1日目終了。網野さんのおかげで頑張れます。幸いなことに体調は万全。足のマッサージを少ししておやすみなさい。
初めての場所では寝られない性質なので、22:30にはゴソゴソと起き出して準備開始。これは富士吉田市の夜景を眺められる絶景トイレ。
初めての場所では寝られない性質なので、22:30にはゴソゴソと起き出して準備開始。これは富士吉田市の夜景を眺められる絶景トイレ。
山小屋のお弁当は山頂に回し、持参のカレーパンとカルパスで朝食を済ませる。風が唸っている。防寒にレインウェアの下を重ね、冬装備で出発。気温7℃。強風。【服装:ベース、Tシャツ、フリース、レインウェア、3シーズンパンツ、レインウェアのパンツ、ニットキャップ、Buff】
山小屋のお弁当は山頂に回し、持参のカレーパンとカルパスで朝食を済ませる。風が唸っている。防寒にレインウェアの下を重ね、冬装備で出発。気温7℃。強風。【服装:ベース、Tシャツ、フリース、レインウェア、3シーズンパンツ、レインウェアのパンツ、ニットキャップ、Buff】
ツアーを含む登山客が続々と登ってくる。登山道は鈴なり状態だが、意外なことに渋滞でしばらく立ち止まるということはない。これは空いている方なんだろうな。
ツアーを含む登山客が続々と登ってくる。登山道は鈴なり状態だが、意外なことに渋滞でしばらく立ち止まるということはない。これは空いている方なんだろうな。
1:30ほど登って本八合目の「富士山ホテル」に到着。予想していた渋滞はなく、ほぼコースタイム通りだ。体調はいいが、風がすごい。山小屋前の広場はツアーが集合・点呼に使うので非常に混雑している。
1:30ほど登って本八合目の「富士山ホテル」に到着。予想していた渋滞はなく、ほぼコースタイム通りだ。体調はいいが、風がすごい。山小屋前の広場はツアーが集合・点呼に使うので非常に混雑している。
群集の1人となってひたすら無心に山頂を目指す。江戸時代から変わらない富士山の様子だ。
群集の1人となってひたすら無心に山頂を目指す。江戸時代から変わらない富士山の様子だ。
本八合目「トモエ館」「胸突江戸屋」が立ち並ぶ広場。風はますます強くなり、20mはあるかという程。山小屋のスタッフが「今日は上には長くいられないね」と話しているのが耳に届く。行くべきか、それとも少しでも風を凌げるこの辺りに留まるべきか考える。
本八合目「トモエ館」「胸突江戸屋」が立ち並ぶ広場。風はますます強くなり、20mはあるかという程。山小屋のスタッフが「今日は上には長くいられないね」と話しているのが耳に届く。行くべきか、それとも少しでも風を凌げるこの辺りに留まるべきか考える。
現在時刻1:20。山頂に行くにしてもまだ早すぎるな。どちらにしてもここでしばらく時間を潰す選択が妥当のようだ。雨は降ったり止んだりを繰り返している。
現在時刻1:20。山頂に行くにしてもまだ早すぎるな。どちらにしてもここでしばらく時間を潰す選択が妥当のようだ。雨は降ったり止んだりを繰り返している。
温かいコーンスープを飲み、ここで20分休憩&トイレ。体調がよいので山頂を目指すことに。無謀だろうか。
温かいコーンスープを飲み、ここで20分休憩&トイレ。体調がよいので山頂を目指すことに。無謀だろうか。
9合目までもう少し。雨が強くなり、本格的な嵐となった。急に人が少なくなり、もう渋滞の気配すらない。天候の悪化で多くの人が様子見に入ったのかもしれない。
9合目までもう少し。雨が強くなり、本格的な嵐となった。急に人が少なくなり、もう渋滞の気配すらない。天候の悪化で多くの人が様子見に入ったのかもしれない。
2:20。九合目、迎久須志神社。標高は3600m。あの男体山よりも1000mも高い。さすがに酸素が薄いのか、運動強度と心拍数がまるで釣り合わない。寒くて鼻水が止まらなくなってきた。
2:20。九合目、迎久須志神社。標高は3600m。あの男体山よりも1000mも高い。さすがに酸素が薄いのか、運動強度と心拍数がまるで釣り合わない。寒くて鼻水が止まらなくなってきた。
酷い嵐で手袋がグチョグチョに濡れたところを強風に煽られて、まるで氷の手袋を嵌めているみたいだ!焦って外そうとするが、手がかじかんで動かない。時間をかけてどうにか厚手の防滴グローブに換えられた。危ない危ない。
酷い嵐で手袋がグチョグチョに濡れたところを強風に煽られて、まるで氷の手袋を嵌めているみたいだ!焦って外そうとするが、手がかじかんで動かない。時間をかけてどうにか厚手の防滴グローブに換えられた。危ない危ない。
3:15、ついに山頂に到着。さすがに疲労があり、9合目から35分のところを1時間かけた。星が近い。
3:15、ついに山頂に到着。さすがに疲労があり、9合目から35分のところを1時間かけた。星が近い。
山頂はまさに台風の中のような嵐。風速は20mに近いと思う。体感温度は完全に氷点下で、中にダウンジャケットを着込んだがそれでも寒い。鼻水が止まらないが、拭く余裕もなくマスクの下で流れるままに任せる。これが3700mの嵐!【服装:ベース、Tシャツ、フリース、ダウンジャケット、レインウェア上下、3シーズンパンツ、その他小物全部】
山頂はまさに台風の中のような嵐。風速は20mに近いと思う。体感温度は完全に氷点下で、中にダウンジャケットを着込んだがそれでも寒い。鼻水が止まらないが、拭く余裕もなくマスクの下で流れるままに任せる。これが3700mの嵐!【服装:ベース、Tシャツ、フリース、ダウンジャケット、レインウェア上下、3シーズンパンツ、その他小物全部】
山頂の山小屋はオープンと同時に寒さを凌ごうとする登山客で大行列。しかし当然ながら中の先客も外には出て来ないため、行列は全く進まない。雨風を凌ぐ場所がなく、せめてもと壁に寄り添って立つ。低体温症にならないようにたまに足踏みをしながら、ひたすらに下を向いて耐える。五合目で見た馬のことをぼんやりと思い出していた。あれが明日の自分の姿だったとは。
山頂の山小屋はオープンと同時に寒さを凌ごうとする登山客で大行列。しかし当然ながら中の先客も外には出て来ないため、行列は全く進まない。雨風を凌ぐ場所がなく、せめてもと壁に寄り添って立つ。低体温症にならないようにたまに足踏みをしながら、ひたすらに下を向いて耐える。五合目で見た馬のことをぼんやりと思い出していた。あれが明日の自分の姿だったとは。
1時間半を耐えに耐えて4:45。ようやく東の空が色付いてきた。初めて見る一面の雲海に寒さを忘れる。これはどんなアトラクションよりも圧倒的だ。この直前まで空を覆っていた厚い黒雲と寒さのせいで、御来光待ちの人は大分減った。あれだけいたツアー客もみんな小屋の中に閉じこもっている。
1時間半を耐えに耐えて4:45。ようやく東の空が色付いてきた。初めて見る一面の雲海に寒さを忘れる。これはどんなアトラクションよりも圧倒的だ。この直前まで空を覆っていた厚い黒雲と寒さのせいで、御来光待ちの人は大分減った。あれだけいたツアー客もみんな小屋の中に閉じこもっている。
5:10。とうとう御来光が姿を見せる。太陽の動きってこんなに早かったのか、と思うくらいにどんどん高度を増して行く。冷えきった体に1億4960万kmの彼方から暖かさが届く。
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5:10。とうとう御来光が姿を見せる。太陽の動きってこんなに早かったのか、と思うくらいにどんどん高度を増して行く。冷えきった体に1億4960万kmの彼方から暖かさが届く。
歓声に包まれる山頂にはイベントの後ような一体感がある。日頃の捻くれた性格は吹き飛んで、自然と笑顔になってしまう。日が登ると、御来光のビューポイントでもある奥の成就岳はガラガラだったことがわかる。
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歓声に包まれる山頂にはイベントの後ような一体感がある。日頃の捻くれた性格は吹き飛んで、自然と笑顔になってしまう。日が登ると、御来光のビューポイントでもある奥の成就岳はガラガラだったことがわかる。
朝日に染まる剣ヶ峰を火口越しに。空いた山小屋に駆け込んでラーメンを食べ、どうにか低体温症だけは免れたものの、体中がカチコチで、霜焼け直前の足は一歩踏み出すだけで痛む。お鉢巡りは断念して下山することを即決。
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朝日に染まる剣ヶ峰を火口越しに。空いた山小屋に駆け込んでラーメンを食べ、どうにか低体温症だけは免れたものの、体中がカチコチで、霜焼け直前の足は一歩踏み出すだけで痛む。お鉢巡りは断念して下山することを即決。
「蓋シ神仙ノ遊萃マツ所ナリ」と、古来富士山も神々の住まう山として信仰されてきたが、この天上の光景を前にしては本当にそれ以外の感想は出て来ない。山中異界なんていう表現は突き抜けている。今までの山はなんだったのかと思う。
「蓋シ神仙ノ遊萃マツ所ナリ」と、古来富士山も神々の住まう山として信仰されてきたが、この天上の光景を前にしては本当にそれ以外の感想は出て来ない。山中異界なんていう表現は突き抜けている。今までの山はなんだったのかと思う。
5:30、下山開始。暖かい日差しが注いできたが、風は相変わらずで弱まる気配がない。この風で体力を消耗してしまうので、一刻も早く風が弱くなる場所まで降りたい。
5:30、下山開始。暖かい日差しが注いできたが、風は相変わらずで弱まる気配がない。この風で体力を消耗してしまうので、一刻も早く風が弱くなる場所まで降りたい。
夜明けと共に完全に天候は回復し、美しい雲海に大満足。雲の高度はピンキリで、標高600mの高尾山でも雲海が見られる日もあるし、エベレストの山頂に雪を降らせる雲もある。
夜明けと共に完全に天候は回復し、美しい雲海に大満足。雲の高度はピンキリで、標高600mの高尾山でも雲海が見られる日もあるし、エベレストの山頂に雪を降らせる雲もある。
吉田・須走の下山道は日本とも思えない非常にダイナミックな光景が楽しめる。火星のベースキャンプ…的な。
吉田・須走の下山道は日本とも思えない非常にダイナミックな光景が楽しめる。火星のベースキャンプ…的な。
八合目の分岐。1時間歩いて流石に体が温まってきたので、外す気力も無かったヘッドランプをしまってダウンとフリース、レインウェアのパンツを脱ぐ。すると、水があと250mlくらいしかないことに気付いた。【服装:ベース、Tシャツ、レインウェア、3シーズンパンツ】
八合目の分岐。1時間歩いて流石に体が温まってきたので、外す気力も無かったヘッドランプをしまってダウンとフリース、レインウェアのパンツを脱ぐ。すると、水があと250mlくらいしかないことに気付いた。【服装:ベース、Tシャツ、レインウェア、3シーズンパンツ】
三時間ひたすら九十九折を下る。真夏の日差しを避けられる場所が一切無く、山頂とは一転して今度は暑くてたまらない。この体感温度差はキツイ。斜度はさほどでもないが、足元は砂礫で非常に滑りやすく、転倒する人が散見される。
三時間ひたすら九十九折を下る。真夏の日差しを避けられる場所が一切無く、山頂とは一転して今度は暑くてたまらない。この体感温度差はキツイ。斜度はさほどでもないが、足元は砂礫で非常に滑りやすく、転倒する人が散見される。
七合目トイレ。そろそろまとまった休憩を取りたいけど、ここで水を飲み干してしまった…。この炎天下でのんびりしていても喉が乾くだけなので、行くしかない。出来るだけ発汗での水分の損耗を押さえるため、日焼けを覚悟してレインウェアを脱ぐ。【服装:ベース、Tシャツ、3シーズンパンツ】
七合目トイレ。そろそろまとまった休憩を取りたいけど、ここで水を飲み干してしまった…。この炎天下でのんびりしていても喉が乾くだけなので、行くしかない。出来るだけ発汗での水分の損耗を押さえるため、日焼けを覚悟してレインウェアを脱ぐ。【服装:ベース、Tシャツ、3シーズンパンツ】
雲の向こうに南アルプスが見える。登りから一転、下山時は好天に恵まれたが、これはこれで日差しが厳しい。半袖短パンの外人さんの肌が真っ赤に焼けていて痛々しい。
雲の向こうに南アルプスが見える。登りから一転、下山時は好天に恵まれたが、これはこれで日差しが厳しい。半袖短パンの外人さんの肌が真っ赤に焼けていて痛々しい。
六合目に到着。行きは真っ白で見えなかったけど、こんな展望があったのか。ここまでくれば一安心。景色を楽しみたいが、水が切れて30分以上経っている。
六合目に到着。行きは真っ白で見えなかったけど、こんな展望があったのか。ここまでくれば一安心。景色を楽しみたいが、水が切れて30分以上経っている。
9:15、無事下山!あまり休憩は取れなかったが、3:45もかかった。水分不足のせいか五合目直前はバテバテで下を向いて歩いていたが、軽度なもので、水を飲んだらすぐに回復した。
9:15、無事下山!あまり休憩は取れなかったが、3:45もかかった。水分不足のせいか五合目直前はバテバテで下を向いて歩いていたが、軽度なもので、水を飲んだらすぐに回復した。
さっきまであんなに晴れていたのに、この辺りはもうガスに包まれている。体を拭いて着替えていたらまた快晴になった。本当に激しいな。【服装:ユニクロのドライポロ、3シーズンパンツ】
さっきまであんなに晴れていたのに、この辺りはもうガスに包まれている。体を拭いて着替えていたらまた快晴になった。本当に激しいな。【服装:ユニクロのドライポロ、3シーズンパンツ】
バスに1時間揺られ、富士急行の富士山駅に帰着。今日の富士吉田は35℃の真夏日だった。朝まであの山頂にいたなんて不思議な気持ち。本当にすばらしい体験だった。大変だったが、また必ずあそこに立ちたい。
バスに1時間揺られ、富士急行の富士山駅に帰着。今日の富士吉田は35℃の真夏日だった。朝まであの山頂にいたなんて不思議な気持ち。本当にすばらしい体験だった。大変だったが、また必ずあそこに立ちたい。

装備

MYアイテム
inaritozan
重量:-kg
個人装備
Tシャツ ズボン 靴下 グローブ 防寒着 雨具 ゲイター 日よけ帽子 着替え 予備靴ひも ザック ザックカバー 行動食 非常食 飲料 ヘッドランプ 予備電池 ファーストエイドキット 常備薬 日焼け止め ロールペーパー 保険証 携帯 時計 サングラス タオル ストック カメラ 携帯トイレ
備考 飲料は1.6Lを持参(VAAM、麦茶、水)。山小屋で500mlを購入(朝食分)。山頂でうっかり購入を忘れ、下山中(獅子岩手前トイレ)で水が尽きる。

感想

登山二年目、十六回目の登拝はとうとう富士山へ。

神仙の集う霊山として崇められてきた富士山。古くは九世紀中頃の『富士山記』に登った記録が記されており、江戸時代には富士講という登拝が一大ブームとなった。修験の流れを汲む富士講では山そのものを神とした「不二浅間大日神」とも崇められた。しかしこれだけの山にも関わらず『記紀』に全く言及がないのは不思議な点だ。

登りは時間の心配も特になく、高山病予防にゆっくりと歩を進めたので体力的には十分余裕を持つことが出来た。それよりも夜の嵐に難渋。特に山頂の暴風雨の中での御来光待ち2時間弱で体力の大部分を奪われてしまった。あれがなければお鉢巡りも楽勝だっただろう。

寒さに弱い人は山頂でのご来光は諦め、下の山小屋前から拝むのがよさそうだ。どちらにしろ遥か雲の上なので、光景に大した代わりはない。ただ、山頂でのご来光には達成感があるのは事実。十分な防寒具は必須。

山頂の神社に参拝できず、逃げるようにフラフラと下山しなければならなかったのは残念。途切れぬ暴風のため、お稲荷様セットでのお勤めも全く出来なかった。

■今回の課題
高山病をしっかり回避し、下山も転倒する人が多い中で上手く歩けたが、見込みが甘く、悪天候時の山頂でご来光待ちができる装備ではなかった。また体感氷点下の山頂にいたせいで飲料に対する意識が薄くなり、一転して炎天下となった下山時の飲料水が不足してしまった。これも危なかった。とにかくこの体感温度の大きな変化に対応できなかったのが反省点。帰りの電車で熱が少し出てしまった。


【満足度 ★★★★★5】本当に感動した。環境の厳しさも含め「今までの山はなんだったのか?」と思うようなスペクタクルに満ち溢れた登山だった。混雑も祭りだと思えば楽しめる。

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ハイキング 富士・御坂 [2日]
富士山登山 富士吉田ルート
利用交通機関: 電車・バス
技術レベル
1/5
体力レベル
2/5

この記録で登った山/行った場所

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