今年の登り納めは山の怖さを教わって 霊仙山
- GPS
- 07:30
- 距離
- 11.3km
- 登り
- 930m
- 下り
- 907m
コースタイム
13:15霊仙山最高点12:40 - 13:55避難小屋14:30 - 15:10お虎ヶ池 -
15:52汗フキ峠 - 16:08登山口
天候 | 山間部で大雪の予報もありましたが実際は青空も広がるうれしい誤算。 午後には少しずつ雪雲が広がりましたが下山まではほとんど降りませんでした。 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
先週よりも林道の雪は少なかったようです。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
今畑からの西南尾根は、雪で登山道の判別ができない状況です。 トレースもなく、新雪ラッセル初体験となりました。 |
写真
感想
先週のルート変更によって宿題となった霊仙山の西南尾根。
これを残して年越しはできないと今回の予定は決まっていました。
先週の教訓から今回準備したのは予備の手袋(軍手ですが)。
フードがなくて耳が心配なのはマフラーでなんとかなるか?
雪の反射光も無視できないと偏光サングラス。
すべてが身の回りにあった間に合わせ品ですが役には立ちそうです。
スタート時間も前回と同じ8時です。
天気予報は西高東低の冬型で北風が強く山沿いでは大雪も・・・
行ってみての状況でスタートするか否かを判断しよう。
到着して喜んだのは空が穏やかに晴れていたこと。
風もほとんどなくスタートを迷う状況ではありませんでした。
天気予報が良い方に外れてくれた! とテンションが上がります。
先週よりも登山口周辺の雪は少なくて最初はアイゼンなしで歩き出します。
程なく汗拭峠。
ここから今回はいったん大洞谷に下ります。
駐車地点よりも標高が下がってさらに川沿いを下ります。
落合の集落に着きました。
地図には廃村となっていましたが、見ると今でも普通に生活しているような佇まい。
電柱も電線も普通にあって、どうなんだろうと思いながら歩きます。
音がしないことに気付きました。
人の気配だけがない・・・
道を振り返っても歩いてきた私の足跡しかない。
ここは廃村なのか?
上空ではずっと飛行機の爆音のような音が響いています。
後で知ったこの音は上空を吹く北風の音でした。
落合を抜けて今畑の集落へ。
ここは建物も荒れていてずいぶん前に人は出てしまっているようです。
ここからあらためて登山道に入ります。
時間は9時。
登山口には登山ポストもあり整備されている印象です。
50mほど登ったところで尾根にでました。
ここから笹峠、霊仙山最高点まで尾根を辿ればいいわけです。
(まだここの厳しさを感じていません)
尾根に出るまでの道には案内用のロープもあり、自分で頭を使うシーンはありませんでした。
その先で待っていたのはトレースのないバージンスノーの尾根。
まだ積雪はそれほどの深さでもなくサクサクと雪を踏んで登っていきます。
けっこうな高さの斜面を登りきると傾斜は緩やかになりますが雪は深くなってきました。
1歩1歩が膝上くらいまで潜ります。
雪がやわらかいのでまだそれほどの抵抗感はありませんが、進むペースは目に見えて遅くなっています。
青空の下、彼方に稜線歩きのゴール地点(最高点)が見えています。
この尾根の地形のどこを辿れば歩きやすいのか探りながらの歩行。
尾根の左は雑木林の中を歩く感じでよさそうでした。
足を踏み入れると・・・進めない!
茂みの上に積もった雪は下が空洞になっているわけで、そこに足を取られて立ち往生のシーンが続きます(汗)
尾根の頂上の尖った線上を歩いてみますが、雪が他より深くなっているようで足の取られ方がやはり大きいようです。
右手の岩場の斜面沿いはところどころ岩が覗いていて足を置くと安定します。
ただ岩陰のくぼみでは身体が落ち込むような恐怖感もあり、1歩を出すのに勇気が要ります。
結局足の踏み場に迷いながら、足を取られながら次の1歩、次の1歩と進んでいきます。
目指すピークはまったく近づく気配がありません。
このペースだと何時間かかるんだろう・・・?
まだ10時台ですが一日の行程が心配になります。
エスケープルートはないに等しい状況です。
偏光サングラスのおかげで青空が素晴らしく、あたりの樹氷が際立っています。
ただこの日ばかりは立ち止まっても景色に見とれる余裕がなかったのが初心者の悲しさ・・・
体力と時間のことばかりが頭を支配している時間が続きます。
最高点に着いたのは13時。
今畑から登りだして4時間で着いたのがウソのようです。
何よりここから先はトレースを辿れるのがありがたい!
強風にさらされながらコルを過ぎ、1時間後に経塚山から北東の避難小屋にたどり着きました。
中には15人ほどの団体さんが休息中でちょっと驚いたのですが、すぐに皆さん出て行かれるとあとは私一人でした。
ここまで寒さに震えるシーンはあまりなかったようですが、手袋は雪でぐっしょり濡れて手はかじかんでいます。
(寒さを感じる余裕もなかったのが本当のところです)
ラーメンとコーヒーで身体を中から温めて一休み。
小屋の外は轟々と風の唸りが響き、多少の心細さを感じます。
30分後に小屋を出て寒風の中へ。
経塚山に登り直し、あの懐かしい汗拭峠を目指します。
(山頂三角点は今回スルーです)
下りだす道の一帯は岩場になっていて足跡がつきにくい状況の中を方向を定めてしばらく下っていたのですが、気がつくと何もない雪の中を歩いていることに気がつきました。
「何もない」というのはトレースや目印になる地形ってことですが、つまりここまできてルートを見失っていました。
あいかわらず膝上まで埋まる雪の中で地形図を広げますが、焦って白くなった頭は何も判断しようとはせず、方向だけを定めてひたすら雪を掻きます。
時間は15時を過ぎ、西からの太陽に照らされて自分の影が長いのが気になります。
後どのくらいで暗くなり始めるのか、ここから避難小屋までは戻れるのか、何らかの連絡手段はあるのか・・・
立ち止まって考えることも怖くてできず、方向だけを頼りに進んだ数百m。
気持ちだけが先に行って体はついていかず、雪の中でもがく時間が続きます。
雪原にトレース跡を見つけました。
避難小屋にいた団体さんのらしいはっきりした新しい靴跡が続いています。
助かった・・・
大声が出てしまいました(恥)
迷っていた時間はわずか20分ほどでしたが、自分の経験では何と比較するわけにもいかずにパニクっていたんですね・・・
そこからは見つけたトレースから一瞬たりとも目を離せず、集中して歩いていました。
(人の足跡の上を歩くのがこんなに楽だなんて!)
先週落ちたお虎ヶ池を通り過ぎ、先週の昼食場所を過ぎ、汗拭峠に戻ってきました。
なんていろいろありすぎた一日でしょう!
駐車場所まで下りながら今日を振り返ります。
ルートの選択。
装備とそれを扱う技術。
的確な状況判断をするための知識、経験。
単独で歩くことの限界。
下山は「幸運で」するものではない。
偶然に頼った安全などあり得ないことを自分の身体に叩き込まれた授業でした。
今年の最後をこんなに中身の濃い山行で、しかもなんとか無事に終えることができました。
見よう見まねで始まった山歩き。
登らせてもらったすべての山が先生でした。
山は怒ったり笑ったりはしません。
いつもじっと静かに私を見ています。
未熟さ故に浮き沈みする私の心を映す鏡です。
来年もまた未熟な心のまま山を歩きます。
「また来たよ」
「おかえり」
こんな会話を交わすのが楽しみです。
ありがとう。 よい年を!
素敵ですね
今回も臨場感たっぷり、終盤はドキドキしながら読ませて頂きました。
今の時期、日が短くて焦りますね
美しい景色を堪能しに、来年も向かわれますよね??
monsieurさんにはきっと、
「また来てね」と山の先生が笑いかけてますよ
体験したことの大きさにまだ圧倒されていますよ
比良の雪山を見ると緊張してしまいます
ちょっとトラウマになっているようです
翌日にワカンと防水手袋を手に入れました。
絶対必要だと実感したもので
登りよりも下山時の景色を綺麗だと思ったのも初めてですね
無事に下山されて何よりです。
霊仙、無雪期に一回登ったきりですが、積雪期も良いですね。
機会が有れば行ってみたいです。
雪が有ると夏道は消えてしまうため、踏みあとがない時は自分でルートを定めることになります。
雪山の面白いところですが、これが結構不安ですね。
地形図とコンパスが必要です。
持っていても、視界がなくなると山は怖いです。
ワカンも欲しいかも。
この辺りの雪は濡れるので、手袋などの予備も必要です。
入山時間も早い方が焦らずに済みます。
私もあまり人の事は言えませんが、今回の経験から装備や計画を今後の山歩きに生かしてください。
木に付けられた変なプレートの類い、伊吹山でもみました。
なんの目的で、誰が付けたのか分かりませんが、あまり気分の良い代物ではないですね。
道標って訳でもないし、山には全く関係ないし、内容はつまらないし。
山に来てまで下界の古い映画の事など知りたくも有りません。
伊吹のそれは殺人がどうのとか
来た痕跡を残したいと思っている、悪い癖がある人のようで。
ゴミを取り付けないで、持って帰れと言いたいです。
先行者のトレースを発見するまでの
切迫したお気持ち、拝見してて身に沁みる
思いです。
晴れ間があって、視界もクリアーなはずなのに
時間がどんどん切迫して、日が傾きつつあるときの
焦り。まして今回、曇りつつあったようで
尚更でしょうね。
夏山でもしょっちゅう道迷いをする僕に
冬の霊仙山は、まだまだ難しいかな?と感じつつ
スキルUPのために、ぜひクリアーしておきたい
目標になりました。
今までは冬山は、冠雪しても道が分かりやすく、
かつ無雪期に登ったことのある山しか
この時期は登らないようにしていたのですが、
monsieurさんの山と向き合う姿勢は
参考になります。
現在の自分の経験、技術レベル、考え方、装備・・・
今回のルートをもう一度歩くとしたら何を備えるべきか、少し見えてきた気がします。
一度歩くからこそ見えるものも確かにありますが、その前にできる準備はもっとあるはずですね。
今できることを無理やり広げようとしてはいけない。
目線の高さを保つこと。
大きな教訓でした。
今回の私の無謀な山行を参考にしてはいけませんよ
地に足つけてというのが難しいことに気付かなかった私の至らなさです
次に生かしてこその経験なので、自分なりの消化・吸収をしますよ
お互い安全に ですね。
霧氷とすばらしい天気とに恵まれたようで本当にうらやましいです。
こういうご褒美があるから、寒い中雪山に登れるというものです。
西南尾根は名前(というか福寿草?)が有名なわりに、歩き辛いので個人的にはあまり好きではないです。
樹林側に踏み入れても岩場側を歩いてもどっちつかずで、苦闘する様子がよく分かります。
霊仙山の山頂エリアは起伏に乏しく、登山道が雪に埋もれてしまうと難しいですね。下山時であればなおさらです。
今回はコンパスを信じて復帰されたようですが、
こうやって道具に対する信頼を高めておくことも後々役に立つことだと思います。
樹林側に踏み入れても岩場側を歩いても・・・ってその通りなんです。
トレースのないルートを歩くイメージがないままのぶっつけ本番でしたがペース配分を知れたのが収穫ですね。
(強がっておきます )
道迷いは後から振り返ると経塚山からの下りの一瞬の油断が原因です。
次にここを歩くとき同じ間違いを繰り返さないために今できることをやりなさい!
山からの叱咤が聞こえるようです
無事の下山 何よりです。23日よりアップ拝見するまで少し心配でした。
天候に恵まれ うらやましい限りです。
私も本日12/25とある山に登りましたが 敢無く敗退 しました。(詳しくは後日)レコで・・・・・。
防寒関係ですけど よくある「ワークマン」や「職人の店」などに安価で(ユニクロより安い)しっかりと寒さをしのげる商品が充実していますよ ファッション性はありませんが機能性は抜群です。私の山行道具はほとんどそこで調達しています。
それと「落合」も廃村です。霊仙の麓は廃村だらけでもあります。
「雪の霊仙山」2週連続登頂お疲れ様でした。 では良いお年を!
monsieurさん、こんばんは
物凄く貴重な体験をされたのですね
霊仙山にしろ、御池岳にしろ、鈴鹿北部の山々の頂上付近はこの時期は慎重に進まないと怖いですね
とくにトレースが無い状況でしたら進むべく方向をシュミレーションしながらじゃないとホントに迷いそうです
残雪期の西南尾根や山頂付近でも私は迷いかけました
あっ、伊吹から見る霊仙山も綺麗でしたよ
慣れた山でも新雪だと迷いかける事はありますから…
でも冬山って良いですね
手袋は100円ショップでも売っている撥水性のあるものが良いでしょうね。←100円ショップでも100円では売ってない様ですが
後、ネックウォーマーも便利ですよ。帽子と組み合わせれば目出帽の代わりになりますし
先週の霊仙山レコにいただいたメッセージに、「西南尾根はもっとハードな・・・」と書かれたのを私が勘違いしたんです。
「ハード」を体力的な厳しさと思い込んでしまったのですが、これは技術的な意味だったんですね
自分の技術を鍛えてしっかり歩けるレベルにすることですね
ワークマンを今度ぜひ覗いてみますよ
言われてみると確かに! って感じですよね
25日にどこに行かれたのか興味ありますね
レコを楽しみに見せてもらいます
「ものすごく貴重な体験」・・・と言っていただいてありがたいですが、下山後丸二日間は雪山を見ると体が硬くなっていました。
しばらくは比良に限定してのトレーニングをと考えています。
(このシーズンがはじめてなのは比良でも同じですが )
自分の身を守るための管理ができていないことに気付かされた今回の山行でしたが、片やシスターズを雪の伊吹に連れて行っているutaotoさん・・・
間違いなくスーパーお父さんだと断言します
ネックウォーマー
これはいいことを教えてもらったかも
今回寒さで一番応えたのは耳でした。
フードがないダウンジャケットのためにマフラーで耳をカバーしようとして四苦八苦していました
(マフラー巻いてサングラスかけて避難小屋に入っていったんです)
さっそく試してみますよ
私はスキーの経験がほんの数回、スノボはやった事も無いので雪山を歩くのは、ほぼ未経験です。
なので雪山が怖ろしいというイメージがつきまとっていたのですが
皆さんのレコを見て、雪山の美しさに引き込まれています
私も、これからは予備手袋も持ち歩きますが、使い捨てカイロも持参しようかなと思ってます。
最初から封を開けても良いのですが、必要になった時に開けても良いかな〜なんて ザックに入れてます。
ワカン買ったのですね!私も検討中です
次回のレコに出てきますでしょうか??楽しみです〜。
それでは来年もよろしくお願い致しますネ
山に雪が積もるとなんだかまったく別物になります
道が見えなくなる感覚はもちろん経験がなくて、広げた地形図の情報が頭に入らないパニック状態も初めてでした。
さすがに日数を経て原因はいくつか見えていますので、次回からは経験を生かして動くつもりですよ
ただ本当に経験を積み重ねないと冗談ではすまない事態がけっこうすぐにやってきます。
レベルの階段を1段飛ばしに駆け上がるのではなく、いままでやってきたようにステップを小さくして少しずつ進むこと。
小さな「できた !」をたくさん積み重ねること。
単独行でできることは限られますから自分を見失わずに雪山になじんでいきたいです
次回はワカンも使いますのでどたばたレコをお楽しみに!
よいお年を
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