北岳バットレス 第4尾根主稜〜上部フランケ b沢から
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- GPS
- 56:00
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 1,689m
- 下り
- 1,677m
コースタイム
- 山行
- 5:16
- 休憩
- 1:19
- 合計
- 6:35
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
- 山行
- 11:33
- 休憩
- 1:32
- 合計
- 13:05
天候 | 26日:晴れのち雨 27日:雨のち晴れ 28日:快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
長袖インナー
ソフトシェル
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
予備手袋
防寒着
雨具
バラクラバ
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
行動食
非常食
飲料
水筒(保温性)
コッヘル
食器
ライター
地図(地形図)
トポ
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
針金
ガムテープ
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
ナイフ
カメラ
テントマット
シェラフ
クライミングシューズ
ハーネス
ヘルメット
チョーク
確保機
ロックカラビナ
カラビナ
クイックドロー
スリング
ロープスリング
セルフビレイランヤード
ハンマー
|
---|---|
共同装備 |
調理用食材
調味料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
調理器具
ファーストエイドキット
ツェルト
ポール
テント
キャメロット
ストッパー
ナッツキー
ギアスリング
アングルハーケン
ダブルロープ50m2本
|
感想
2015年の南アルプスの夏合宿で知り、奥山章の”ザイルを結ぶとき"で舞台となった北岳バットレスには、単純に、憧れがあった。3000m級の山で、広河原あるいは大樺沢二俣から見えるその象徴的な岩稜帯に、いつか登ってみたいという思いがあった。後輩Kの熱烈な思いもあってか、山岳部で学んだ技術や知識を基に、大学の夏休みをつかって、アルプスのバリエーションルートに挑むことにした。
0日目(25日)
甲府駅で野宿する。シュラフカバーのみで十分であった。
1日目(26日)
Kは酔っ払いに寝床を邪魔され、慣れない環境もあってか、両者寝不足気味。計画ミスで朝4:35甲府駅発のバスが無いことに3日前ぐらいに気付き、広河原行き5:30発のバス(乗合タクシー)に乗るためにタクシーで芦安駐車場へ向かった(9000円)。山道と寝不足が相まってKは車酔いに襲われ、なんとか広河原に着く。増水が予想されて、より安全で確実な、白根小池小屋へ直接行くルートを選び、小屋に2時間程で到着する。テントを張り、b沢出合を第1目標として偵察した。b沢を見つけたものの、取付であるその奥のbガリー大滝までは行かずに12時半頃に引き返した。15時頃から天気が悪くなる予報であり、周りもガスっていたので、早目に引き返した。しかし本降りとなったのはその日の21時頃。取付へ着けるかという不安を抱えたまま、テントに籠った。
2日目(27日)
未明から雨が強くフライシートに当たり、起床予定時間の2:30までおさまらなかったので、停滞を決する。雨は正午まで続いた。止むとスッと不安も消える。時々ガスが晴れて、バットレスや池山吊尾根付近の紅葉が顔を出す。Kが文部科学省登山研修会で習った効率的なマルチピッチ方法の"つるべ方式"をテント場付近の緩い斜面で行った。元々大学近くの岩場でその方式で練習していたが、より速く効率的な方法があるということで、2ピッチを2、3回繰り返して練習した。同じテント場で停滞していたT大学山岳部も目標が同じであることを知る。明日は好天が予想され、19時ぐらいに就寝した。
3日目(28日)
2:30起床。月明りで外が明るい。テントから這い出ると雲1つない星空であった。北岳のシルエットが不気味に浮かび上がっていた。3:30に小屋のテント場を出発した。外は寒く池の湖面は凍っているが、歩くうちに温まった。二俣分岐までの道で、木の幹に足を滑らせ、2mぐらい下まで滑落した。ヘルメットや厚いレインウェアを着ていたこと、ブッシュの上に落ちたことから、大事に至らなかったが、断崖だったらと思うとゾッとする。気温が低く、木の幹の上を通る時はより慎重に行きたい。外が暗いため、目印の付いている登山道とはいえ、ルートファインディングが難しかったが、偵察時より速くb沢出合に着いた。
出合付近は一般登山道が錯綜している。より確実性を高めるためにb沢を遡行することにした。途中から、他の記録にも説明されてるように、b沢とc沢の間にある小尾根の踏み跡を辿り、何とかbガリー大滝に着いた。取付で登攀準備をしているとT大学の3人パーティーが登ってきた。
bガリー大滝はクラック沿いに3ピッチとった。ハーケンは所々に打ってあり、登りやすい
ロープを解き、踏み跡を辿る。その後、登り過ぎて浮き石だらけの細いルンゼに入ってしまった。落石を多数落としてしまい、後続に迷惑をかけてしまった。そのまま登り切って懸垂下降でcガリー側へ下るか、そのルンゼに入る前に微かなバンドを辿るのが安全策だろうか。後で肩の小屋の方に聞くと、目印として木にテープが垂れ下がっているらしい。我々はルンゼを慎重にクライムダウンし、後者を探し当て、cガリーへ入った。
cガリーもザレていて浮石が多く、間隔を空けて速やかに右岸へ渡渉し、落石に注意してガリーを上った。20mぐらい登ると、「4」という赤文字が描かれた岩が見える。そこが第4尾根主稜の第1テラスに続く所謂「ヒドンスラブ」である。実際ロープを出して第1テラスへ2ピッチ登ったが、後半のピッチは足場も安定していてランアウトした。
第1テラスからマッチ箱まで快適なリッジクライミングとなり、適当にピッチを切った。出だしのクラックは、フットジャミングしてレイバック気味に登る。頭上に見えるピラミッドフェースはcガリー側を巻くと登りやすい。マッチ箱へ行く最後のピッチは、出だしが垂壁となり、グレードVはあると思う。ハーケンも過剰に打ってあるので、リードのKはヌンチャクをかけてそれに掴まりながら登った。
マッチ箱の懸垂支点は、浅いピナクルに新旧のスリングが3本ほど巻かれていた。ピナクルに垂直にハーケンが打たれていて、スリングが外れないように多少補強されていた。残置カラビナは3つ。第4尾根主稜のコル側と、別ルートである上部フランケの凹角内にそれぞれ終了点があったが、前者は狭そうで、最近の記録では後者に下りる方法が多数だったので、後者へ下りることにした。セルフを取り、ダブルロープをハーネスから外し、パートナーと同時に束ねて、1本目をザックにしまい、もう1本を懸垂支点に掛けてザイルダウンした。
再びザイルを付け直して、凹角内を直上して2ピッチ切って枯れ木テラスへ。噂通り、主稜の一部がcガリー側へ崩落している。昔はそのままリッジを直上できたのだろう(2008年の記録では存在している)。中央稜への取付きも崩落していて、取り付きはかなり困難になっていると思う。休む暇もなく城塞ハングのチムニー取付きまでトラバースして、ピッチを切った。高度感が直に伝わってきてスリル満点であった。最後にKがかけたヌンチャクを掴みながらチムニーを超えて、終了点のハイマツ帯で確保器具を全て解いた。
山頂まで明瞭な踏み跡が続いていたが、空気が薄いせいか、脚が重かった印象である。山頂は晴れで、甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳がはっきり見えた。肩の小屋経由で御池小屋に下り、デポした荷物を背負ってその日の甲府駅行きバスの最終便に乗って帰路についた。
反省点としては体力、コーヒーなどが挙げられる。今シーズン、学業を優先してしまい、中々登山ができず、持久力が落ちた。そのため御池小屋から広河原への下りの終盤でバテてしまった。ギリギリ間に合ったからセーフであるが、もっと前の段階でバテていたら、バスに間に合わず、思わぬ怪我につながっていたと思う。日頃から怠らずにせめて筋力トレーニングでも行っていればよかったと思っている(スクワット、ランニングなど)
あとはコーヒーなど忘れないこと。嗜好品はキャンプでは欠かせませんね。
(希少種タカネマンテマは見つからず)
Berg Heil!!
※ルート図のピンク線は極めて不正確です。特に、3日目の二俣から山頂までの日程です。悪しからず
今回は夏休みに前半に行った白神横断ともう一つの大きな山行であった。先輩から計画を聞きやりたいと思った。成功させるために座頭石で訓練もしたし、もんとけんでやらった事も役に立った。アプローチも含めると13ピッチもあるルートを登れたのは良い経験と自信になった。
反省点は横断バンドの所で踏み跡らしきものがあったのに確認もせずにルンゼを詰めてしまい、時間ロス、落石の危険を招いてしまった事である。今回は2箇所程控蕕離團奪舛鬟蝓璽匹靴燭両方A0でしかのぼれなかった。もっと強くなれるよう練習しなければならない。
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