剱岳(白萩川〜大窓〜池の平山にて撤退)
- GPS
- 18:12
- 距離
- 19.4km
- 登り
- 2,511m
- 下り
- 2,511m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
◆白萩川〜中仙人谷〜大窓 ・一部雪渓も残るがアイゼンは不要だった。 ・途中1800m付近に崩落地があるため落石およびルート取りに注意。 ・念のためロープ、捨て縄等の持参を推奨。 ◆大窓〜池の平山 ・雪が残っていると草付きが滑りやすいので注意する。 ・池の平山手前で恐らく岩の崩落でルートが取りづらい箇所がある。(自分たちは懸垂下降でクリアした) |
写真
感想
YSHR先生から大窓から北方稜線経由で剱岳に行かないかと声がかかった。
今週末の天気は快晴予報で前日までに新雪が積もったので間違いなく絶景が期待できる、これは行くしかない。
いつものように0時に馬場島スタートということだが今回はフライングなしとのこと。マジですか?
結果的には今回は本当にフライングなかった。毎回これでよろしくお願いします。
馬場島の車は多かった。
恐らく早月尾根から今シーズン最後の剱岳を楽しもうという人が多いのだろう。
自分たちは皆さんとは別ルートで白萩川を目指す。
このルートは4月に剱岳周回でスキーで滑ったのと、6月に西仙人谷経由で剱岳を踏んだのと、これまで2回歩いている。
いずれも積雪期だったので無雪期の白萩川は自身初となる。
白萩川の登行のみを考えれば沢装備が望ましいのだが、今回はアイゼンを使う可能性があるので重登山靴でいく。
登りでドボンしないように気を付けなければ。
そんなわけでいつも通り闇夜の登山スタート。
際どい渡渉や滝も登場するが何とかこなしていく。
スタートから6時間半ほどで大窓に到着。まあ想定内といったところか。
しかし問題はその後だった。
大窓から小窓を目指して歩き始めたものの池の平山の手前で想定外の難所にぶち当たった。
これはYSHR先生としても想定外だったようでクリアするルートを探して右往左往するもなかなか見つからない。
ギリギリ登れる崖を探して登ってみたもののルートに乗るためには懸垂下降が必要な状態。
ハーネス着けて何とかクリアしたものの今度はロープが抜けない・・・岩に直接巻いたのが凶と出た。
仕方ないのでYSHR先生が再度登り返してスリングを使ってロープを抜けるように工作して再度懸垂。
ここでちゃんとロープを回収できたことが後々命拾いすることに繫がる。
何とか先へ進めたもののここだけで1時間以上費やしてしまった。
その後なんとか池の平山まで登頂。初登頂なので嬉しい。
そこから見た新雪を纏った小窓の王や池の谷ガリーの絶景は本当に素晴らしかった。
だが、景色は美しいのだがあの斜面を登ったりトラバースすると思うと気が重い。
時間は足りるのだろうか・・・不安が募る。
そんな時にYSHR先生がうっすら雪が乗った草付きでスリップ。やばかった。
きっとこの先の岩場も同じ状況だろう・・・
リスクに対する嗅覚が半端ないYSHR先生がここで撤退を決断。
そうと決まれば大窓に向かって来た道を戻ろう。
来るときに手間取った難所は再度懸垂下降で切り抜ける。本日2回目。
もうこなれてきて要領も良くなってきた。
来た道を戻るだけとはいえ、雪が融けて滑りやすくなっているため慎重に高度を落としていく。
大窓まで戻ったら登りでは使わなかった旧鉱山道を使ってみようということになった。
上部は藪もほとんどなくて快適に降りられたが次第に藪が濃くなり、最終的には進退窮まり崩落地を懸垂下降する羽目に。本日3回目。
灌木を支点としたが頼りなかったためヒヤヒヤしながらの懸垂となった。
この崩落地は落石が激しく歩いている最中にも横から後ろからガンガン石が落ちてくる。
YSHR先生と「早く安全地帯に逃げよう」と示し合わせて足早に安全地帯まで逃げてホッと一安心。
今日は色々と刺激が強すぎる。
そして沢の下降で4回目の懸垂・・・もう勘弁してほしい。
スリングも捨て縄も使い果たしてロープも大活躍・・・備えがなければどうなっていたことか。
最後も長い長い河原歩き&渡渉ですっかり日も暮れてしまった。
最後取水口に辿り着いた時は正直「命拾いした・・・」と思った。
剱岳は踏めなかったが未踏だった池の平山へ登ることができ、また、降雪直後の美しい剱岳を眺めることができたので結果オーライ。
YSHR先生、ありがとうございました。
コメント
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YSHR先生、さんちゃん、
18時間以上もの格闘、お疲れさまでした。
大窓から池の平山南峰までの部分は、剱岳北方稜線のなかでテクニカル的に最難部分です。私もかつて何度か計画しては、弾かれてきました。岩がもろい部分も多くて、ある意味、チンネよりも難しいかもしれません。また、自然条件によりその難度は倍にも3倍にもなり、撤退判断は正解だったと思えます。
あの谷口ケイさんパーティも、6ミリロープ(たぶんダイニーマ製)で懸垂下降を繰り返して、盛夏の北方稜線を突破しています。
https://www.patagonia.jp/blog/2015/09/patagonia-ambassador-summer-holiday-kei-taniguchi-naoyuki-kato-2/
クマ
クマさん、こんばんは。
クマさんの2度に渡るクライミング講習会のおかげで何とか今回のルートを無事にこなすことができました。
この場を借りて改めてお礼申し上げます。
今回のルートは自身初だったもののYSHR先生は何度か歩かれたご経験があったので今回も何とかなるだろうと思っていましたが、新雪や崩落等、予期しない条件が重なり撤退を余儀なくされました。
改めて山のコンディションの違いにより難易度も数段変わってくるということを肌身で感じたところです。
YSHR先生はオールマイティですが自分は岩屋でもクライマーでもなくてあくまでも「山スキーヤー」なので、今回のようなシビれる山行はほどほどにしておこうと思います
けど、やっぱりこのルート、難しかったんですね・・・あんなとこ簡単ですよと言われたら悲しいものがありますが(笑
そういえば、YSHR先生が懸垂以外でも普通にクレイムハイストとか使っててさすがだな、と思いました。自分ももっとクマさんに教えてもらわなければ
やっぱりいざという時の技術や装備等の備えは大切だなと実感しました。
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