南八ヶ岳縦走 −にごり酒と追憶の硫黄岳−


- GPS
- 17:02
- 距離
- 31.9km
- 登り
- 3,160m
- 下り
- 2,970m
コースタイム
- 山行
- 6:58
- 休憩
- 1:50
- 合計
- 8:48
- 山行
- 6:30
- 休憩
- 2:04
- 合計
- 8:34
天候 | 1日目阿弥陀岳ピークまでは赤岳は見えていたが、以後はガスで隠れたり現れたり。その後雪。2日目終日ピーカン |
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過去天気図(気象庁) | 2018年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
帰路の赤岳鉱泉-美濃戸山荘間で一部ログ消失。 積雪情報があったので、アイゼン・ピッケルは装備していったが、結果的に使用しなかった。使用するとしてもチェーンスパイクの方が御しやすい。 2300m以上くらいで積雪数cmあり。早朝はところどころ凍結もあり。 <美濃戸口-御小屋山-不動清水> 快適樹林歩き。水場は未確認。 <不動清水-阿弥陀岳> 金曜夜の雪がちらほらと出てくるが登行に支障なし。 <阿弥陀岳-中岳との鞍部> 急下降。この日は雪がついてなかったため支障なし。 <中岳との鞍部-文三郎尾根分岐> 雪がついているが整備されたつづら折りで歩きやすい。 <文三郎分岐-赤岳> クライミング要素の入る岩稜帯。雪が岩の隙間に入っておりスリップ注意。下降の方が難しそうではある。 <赤岳-地蔵の頭> 雪付きの下りはスリップ滑落に注意。注意していけばアイゼンは不要ではあった。 <地蔵の頭-台座の頭> 岩稜帯ではあるが、雪付きだったものの注意深くスタンス・ホールド選べば特に支障なし。 <台座の頭-硫黄岳> 特に問題なし。 <硫黄岳-夏沢峠> 1日目は雪も少なくガレ場の浮石に注意すれば特に問題なし。 2日目は雪も増えておりスリップに注意を要した。下りの方が危険そうであった。 <夏沢峠-本沢温泉> 特に支障なし。本沢温泉-本沢入り口、本沢温泉-根石岳(白砂新道)は台風の影響で閉鎖中。後者は倒木のためとのこと。 <夏沢峠-根石岳山荘> 朝は凍土・霜柱状態。 <根石岳山荘-西天狗> 朝は凍結、雪でスリップ注意。 <硫黄岳-赤岳鉱泉> 支障なし。 <赤岳鉱泉-美濃戸山荘> 旧道使用。苔ぬめりでのスリップ注意。雪よりもスリップした。 微妙に登り返す。 <美濃戸山荘-美濃戸口> 柳川の橋が崩壊。歩行者用の橋がかかっている。 |
その他周辺情報 | もみの湯 500円なり。 |
写真
感想
濁り酒飲み放題の本澤温泉小屋ツアーと言うシンモンさんの誘いに乗ったのは、お酒の魅力もさることながら、提案された生き返りのルートに大変魅かれたからだった。というのも...
登山に興味を持ち始めた学生時代、一人では初めての3000m級の山にと八ヶ岳を選び、その時のルートは稲子湯から入って中山峠、天狗岳、夏沢峠から硫黄岳に上がって硫黄岳石室(今の硫黄岳山荘)に泊まった。次の日は横岳、赤岳と縦走する予定が悪天候で赤岳鉱泉へと真っすぐ下山した。それが41年前だ。その後赤岳には何度か登り最近では一昨年の12月だが、天狗岳、硫黄岳にはそれ以来行っていない。横岳はその数年後にも正月山行として赤岳から行く筈だったが、この時も天候理由で赤岳から引き返し、未踏のままだった。阿弥陀岳は多分38年ほど前でそれから行っていない。ということで40年の空白を一気に埋めるまたとないチャンスを掴んだのだった。この話を歩きながら散々していたので、それに沿ったタイトルをシンモンさんが付けてくれている。
上記のように、本沢温泉には近くをかすめて通っているがここも行ったことはなく、標高の高い温泉地としてそれこそ40年前から知ってはいるので、それも楽しみだ。しこたま飲んで2日目はヘロヘロであるくとシンモンさんが宣言していたので楽勝コースを設定するかと思ったらさにあらず。南八ッと北八ッの間で稜線の東側にある本沢温泉に行くのに、西側の美濃戸口からアプローチし、南の主要峰を軒並み越えていく贅沢コース、それもやまのこ村への林道が車両進入不可で歩く距離が伸びた。土曜日の天候不安で阿弥陀岳は外しても良いかと相談していたのに、結局フルに歩くことになった。2日目も本沢温泉から天狗岳への最短ルートが倒木で通行止めで夏沢峠回り、西天狗まで行ってまたまたロングコースとなった。
1日目の土曜日、美濃戸口から少し別荘地を歩いていくが、ほぼいきなり御小屋尾根へと登って行く。青空も見えて案外天気は良いじゃないかと思ったのは束の間で、次第に雲が増えて来たが、それでも阿弥陀の山頂からうっすら雪化粧の赤岳が堂々と見えていた。赤岳に移ったところで視界がなくなり、そのまま晴れずに横岳の稜線を渡って行って僕の横岳デビューとなった。そして41年ぶりの硫黄岳。これも41年ぶりの視界なしで方角を見失いそうで怖かったのを思い出した。明日に期待して夏沢峠、本沢温泉へと黙々と(時々しゃべってたか)下って行く。
こうして1日目は少しがっかりさせたのもお天道様の演出か、2日目の劇的で完璧な晴れは嬉しかった。硫黄岳爆裂火口を眺めて小屋を後にし、凍った道を夏沢峠へ登り返し。夏沢峠の雰囲気は全く覚えていない。峠から根石岳、あ、こんなピークもあったっけという感じ。西と東の天狗岳、ここは硫黄岳に先立って同じ日に登ったけど展望はあったので覚えているぞ。硫黄岳はもちろんよく見えている、待っていろよ。そして再び夏沢峠から硫黄岳。山頂への登りで先頭を行く僕がかなり速かったとシンモンさんに言われたけど、僕はそんなに急ぐつもりはなかった。酒がやっと抜けて丁度元気が戻って来たのと、こみ上げる懐かしさで無意識に頑張っていたかも知れない。
快晴の硫黄岳に着いて見て、写真などでは知っている景色だけど、横岳・赤岳・阿弥陀岳と並ぶ姿は直に見ると絶句に尽くしがたい。たっぷりのんびり休んで、コーヒーも沸かして飲んで、ご満悦で赤岳鉱泉へと下りていくことになった。
露天風呂と濁り酒三昧の本澤温泉小屋も期待通り楽しかった。本人大丈夫だろうと思っているが記憶にないこともあるかも知れない。ご迷惑かけていたとしたらシンモンさん御免なさい。
寒気が入り高所では降雪が予想される10月終盤の土日。行き先を思案していたら八ヶ岳の本沢温泉で「山神祭」と称してにごり酒が振る舞われるとのこと。
HPで確認するとこの時期に毎年2週続けて執り行われるらしい。
せっかくのお酒なので連れを探そうと思い、およその計画とともにIMPの掲示板に同行者を募ったところ、Nishidenさんからお付き合いしますよと書き込みをいただけた。そもそもよく考えれば条件に合うのはNishidenさんくらいしかいない(笑)。指名しているようなもんですね、ありがとうございます。
私にとっては全てがはじめての八ヶ岳。
Nishidenさんにとっては学生の頃から通い慣れている八ヶ岳。しかし今回通るピークでは横岳は未踏だという。硫黄岳は40数年前に登ったきりで眺望は得られなかったらしい。本沢温泉は通過したこともないと。
道中は様々なことをお話した。Nishidenさんの学生の頃の自転車や山の話、留学中のカリフォルニアの山の話、奥さんの話、山の会の話、昔友人と果たせなかった山行の話、英語をしゃべること、「記憶」の話、漢方の話、オーレンの謂れ、などなど。Nishidenさんとの普段の会話はくだけた内容がほとんどだが、時折はっとするような知的な話題が出てきて新鮮に感じる。自分は面白い話題をなかなか提供できない。
Nishidenさんは近々米国時代を振り返ってお話をする機会があるらしく、色んな記憶を辿ったためか、いつもよりは昔語りが多い印象だった。
その一つ。同僚で山仲間だった友人との30年以上も前の鹿島槍の山行の話。
後立山を縦走したが、天候の加減でキレットを超えれず鹿島槍のピークを逃したらしい。その後大分経って同窓会の席で「もう登れる体じゃないよ」と友人に言われるまで、いつか一緒にピークを踏むつもりで長い間未踏としていたのだという。「すぐに一人で登りに行きましたよ」と照れ隠しのように言う。
赤岳にはいくつかの登山道があるが、Nishidenさんは権現からの縦走以外はすべて踏破しているとのことだった。それこそ夏も冬も。
自分は阿弥陀岳のピークに立って初めて赤岳を見た。写真もまじまじと見たことはなかった。想像していたよりも荒々しく、八ヶ岳ってバブリーなお気軽な山域と勝手に思っていた自分がおかしかった。なんだ普通に岩場じゃないか。
楽しく攀じってピークを踏んだ。赤岳以後はガスに覆われて我慢の縦走となったが、雪付きの岩場歩きはそれなりにスリリングで楽しめた。
硫黄岳にさしかかるころにはプチ冬山となってしまい乾いた雪もパラパラ降ってきた。しかしNishidenさんの足が絶好調で、ものすごい勢いで硫黄岳山荘前からピークへ向かう。ついていくのが大変。
残念ながら初の硫黄岳ピークでは全く眺望がなかった。しかし明日は必ず晴れるので自分はただの一日待てばよい。
たまたまピークで写真を撮ってあげた女子達に、40数年前も全く見えなかったんですよ、とNishidenさんはこぼしておられた。
えー40数年前って…お幾つなんですかぁーと喧しい。
長居は無用なので本沢温泉に下山した。
夕食の時間に追われつつ野天風呂を満喫。標高ランキング上位三つの野天風呂(本沢温泉、白馬鑓温泉、高天原温泉)を制覇!
食事の場でにごり酒が振舞われた。同席となった埼玉からのカップルと小桶に入ったにごり酒をお代わりすること3杯。小一時間ですっかり酔ってしまった。
談話室では西尾市から来た仲良し五人組とお話。紅一点の女子を中心に楽しそう。西尾市のゴレンジャーですね。西尾市主催のマラソン大会が開催出来たらお邪魔させてください。
しかし皆さんピークは踏まないという。そういうのも有りなのね。
酔い覚ましに内湯にも入って就寝。アルコールと温泉でポカポカ温まって快適に眠れた。
翌日、更に雪景色が増していた。放射冷却で冷え込んでピリッとしている。最高の朝だった。
前夜のアルコールは残っているものの快適に登り返して夏沢峠へ。真っ白に化粧し土は凍り、霜柱が降りている。
根石岳から東西天狗岳を踏んで、北八ヶ岳を目にした。こちらは南と異なり柔らかい山容。やっと地図が三次元化された。
天狗岳からの引き返している道中で、「ここからは40数年前と同じルートですね」とNishidenさん。違うのは今日は完璧な晴れであること。
来た道を夏沢峠まで引き返した。あとは硫黄岳へ最後の登り返しを残すのみ。
自分にとっては初めての、そしてNishidenさんにとっては40数年前に見逃した硫黄岳からの眺望を目指す。
やっつけちゃいましょう!と一声かけて登り返した。昨日と同じく硫黄岳への登りではものすごい勢いで進んで先行者を追い抜いていく。自分の中で「追憶の硫黄岳」なんてドラマを作りながら、少しずつピークに近づくNishidenさんを後ろからカメラに収めた。まぁついていくのは大変です。
ピーク!
ここからの展望を始めて目にする二人。片や40数年越しのベテラン、片や一日越しの八ヶ岳初心者。
感慨深さは人それぞれかも知れないが、景色は40数年前も今もきっとさほど変わっては居ないだろう。
誰もが喜ぶ素晴らしい景色だった。
大勢のピストン登山者とともに広い山頂でお昼を食べて、あとは紅葉を楽しみつつ下山した。
Nishidenさん、同行・八ヶ岳の様々なレクチャーありがとうございました。
そして今シーズンの山スキーもお手柔らかにお願いします。
いえいえ、布団を敷かずに畳んだ布団に斜めに寝始めてしまったので、そっと毛布を2枚おかけしただけですよ!
風邪を引かれては困りますしねっ
一人でこっそりと内風呂に入っちゃいましたし
都合が合えば同行させてもらいたかったのですが、惜しいチャンスを逃した。にごり酒ではないですよ、八ヶ岳の縦走の方です(笑)
Nishidenさんのいつもより嬉しそうではしゃいだ感じが微笑ましいですね。
お風呂もにごり酒、ってことはないですよね。そうだったら明日にでも出かけます(笑)
redsronさん、おはようございます。
外湯は白濁・硫黄臭、内湯は茶濁・鉄臭でした。
濁ってはいますが残念ながらアルコール分はなさそうでしたねぇ。
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