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Yamareco

記録ID: 1626838
全員に公開
ハイキング
朝日・出羽三山

朝日連峰縦走(葉山〜大朝日岳〜以東岳〜天狗角力取山〜障子ヶ岳)

2018年10月18日(木) ~ 2018年10月22日(月)
 - 拍手
体力度
10
2~3泊以上が適当
GPS
35:09
距離
64.9km
登り
4,920m
下り
4,710m
歩くペース
速い
0.80.9
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
2:52
休憩
0:05
合計
2:57
11:43
40
スタート地点
12:23
127
14:30
14:35
5
14:40
2日目
山行
11:39
休憩
0:06
合計
11:45
5:32
57
6:29
297
八形峰
11:26
111
中沢峰
13:17
43
前御影森山
14:00
37
御影森山
14:37
7
大沢峰
14:44
0
大沢峰水場
14:44
14:50
67
15:57
70
平岩山
17:07
10
大朝日岳
17:17
大朝日小屋
3日目
山行
6:35
休憩
0:07
合計
6:42
9:00
23
大朝日小屋
9:23
9:30
7
金玉水
9:37
53
中岳
10:30
40
西朝日岳
11:10
81
竜門山
12:31
35
寒江山
13:06
27
北寒江山
13:33
47
狐穴小屋
14:20
60
中先峰
15:20
17
松虫岩
15:37
5
以東岳
15:42
以東小屋
4日目
山行
5:59
休憩
0:09
合計
6:08
5:55
5
以東小屋
6:00
6:05
12
以東岳
6:17
42
松虫岩
6:59
27
中先峰
7:26
7:30
16
狐穴小屋
7:46
16
三方境
8:02
80
高松峰
9:22
14
オバラメキ
9:36
48
コバラメキ
10:24
24
二ッ石山
10:48
31
湯沢峰
11:19
39
ウツノシマ峰
11:58
5
天狗角力取山
12:03
天狗小屋
5日目
山行
4:39
休憩
0:10
合計
4:49
5:30
15
天狗小屋
5:45
66
粟畑
6:51
6:17
41
障子池
6:58
27
障子ヶ岳
7:25
19
小障子
7:44
30
紫ナデ
8:14
50
1196m地点
9:04
9:14
16
出合吹沢渡渉地点
9:30
15
林道終点
9:45
南俣沢出合
天候 10月18日:晴れ
10月19日:曇り
10月20日:曇りときどき晴れ
10月21日:晴れ
10月22日:快晴
過去天気図(気象庁) 2018年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
山形鉄道フラワー長井線 白兎駅で下車。徒歩15分ほどの葉山森林公園登山口から葉山へアプローチ。

バスタ新宿 - 山形駅間:
高速バス 4,300円

山形駅 - 赤湯駅間:
JR奥羽本線 米沢行き 580円

赤湯駅 - 白兎駅間:
山形鉄道フラワー長井線 690円
コース状況/
危険箇所等
「山と高原地図2018年版 朝日連峰」には表現されていない、または読み取るのが困難な分岐・藪漕ぎ区間等が多くあり、表記のコースタイムを当てにし過ぎるのは危険だと感じた。また森林限界以下は熊の通り道となっているようでいたるところにフンがあり終始緊張しながら通過した。熊鈴やラジオを鳴らすなどの対策は必須。

【白兎登山口〜葉山山荘】
特に危険箇所なし。水場(鉾立の水)へのアクセスも容易。

【葉山山荘〜八形峰】
道型が不明瞭な箇所が多くなり、ところどころで藪漕ぎとなる。

【八形峰〜中沢峰】
道型を追うことが難しく、ほとんどのセクションで激しい藪漕ぎを強いられる。山と高原地図にない分岐もあり注意が必要。水場も初見では気付くのが難しい。

【中沢峰〜御影森山】
地図上では点線区間だが全区間刈り払われており通行に支障なし。

【以東岳〜狐穴小屋】
危険箇所は無いが、稜線が広いため道型が曖昧でロストしやすい。

【高松峰】
急なザレ場の斜面。トラロープはあるが滑落に注意。縦走路への復帰は非常に分かりづらいが、左手に注意しながら少し降ると色あせたテープが巻かれているので見逃さないように。
その他周辺情報 - 山形駅のマックスバリュは早朝から開いているので食材の調達に便利。
- 赤湯駅の構内でそば等軽食あり。
- 白兎駅から徒歩約15分のところにセブンイレブンあり。
- 大井沢「湯ったり館」で300円で日帰り入浴可。
白兎駅からスタート。
2018年10月18日 11:28撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/18 11:28
白兎駅からスタート。
2018年10月18日 12:23撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/18 12:23
2018年10月18日 12:26撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/18 12:26
2018年10月18日 12:26撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/18 12:26
2018年10月18日 13:42撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/18 13:42
2018年10月18日 14:14撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/18 14:14
2018年10月18日 14:20撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/18 14:20
2018年10月18日 15:58撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/18 15:58
2018年10月19日 05:54撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/19 5:54
2018年10月19日 07:00撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/19 7:00
2018年10月19日 11:22撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/19 11:22
2018年10月19日 15:56撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/19 15:56
2018年10月19日 16:00撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/19 16:00
2018年10月19日 17:05撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/19 17:05
2018年10月19日 17:15撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/19 17:15
2018年10月20日 09:03撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 9:03
2018年10月20日 09:15撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 9:15
2018年10月20日 09:24撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 9:24
2018年10月20日 10:22撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 10:22
2018年10月20日 11:25撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 11:25
2018年10月20日 11:40撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 11:40
2018年10月20日 12:30撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 12:30
2018年10月20日 12:59撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 12:59
2018年10月20日 13:14撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 13:14
2018年10月20日 13:20撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 13:20
2018年10月20日 13:26撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 13:26
2018年10月20日 13:37撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 13:37
2018年10月20日 13:51撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 13:51
2018年10月20日 14:20撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 14:20
2018年10月20日 14:20撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 14:20
2018年10月20日 14:51撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 14:51
2018年10月20日 15:09撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 15:09
2018年10月20日 15:42撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/20 15:42
2018年10月21日 05:54撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 5:54
2018年10月21日 06:06撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 6:06
2018年10月21日 06:10撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
1
10/21 6:10
2018年10月21日 06:13撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 6:13
2018年10月21日 06:31撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
1
10/21 6:31
2018年10月21日 06:48撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 6:48
2018年10月21日 07:23撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
1
10/21 7:23
2018年10月21日 07:35撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
1
10/21 7:35
2018年10月21日 07:48撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 7:48
高松峰からの降り。
2018年10月21日 08:07撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 8:07
高松峰からの降り。
2018年10月21日 08:07撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
1
10/21 8:07
高松峰からの降りから縦走路に復帰するポイント。トレースが判別しづらい。
2018年10月21日 08:40撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 8:40
高松峰からの降りから縦走路に復帰するポイント。トレースが判別しづらい。
トレース側から見た景色。途中からロープがなくなる。
2018年10月21日 08:40撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 8:40
トレース側から見た景色。途中からロープがなくなる。
下は崖。
2018年10月21日 08:40撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 8:40
下は崖。
こんなテープがぶら下がっているが、上からは死角になっており見えない。
2018年10月21日 08:40撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 8:40
こんなテープがぶら下がっているが、上からは死角になっており見えない。
そのまま降ってしまうと下まで滑落する。
2018年10月21日 08:44撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
1
10/21 8:44
そのまま降ってしまうと下まで滑落する。
2018年10月21日 09:06撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
1
10/21 9:06
2018年10月21日 10:45撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 10:45
2018年10月21日 11:22撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 11:22
2018年10月21日 11:57撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 11:57
2018年10月21日 12:02撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 12:02
2018年10月21日 12:54撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 12:54
2018年10月21日 12:57撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/21 12:57
2018年10月22日 05:28撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
1
10/22 5:28
2018年10月22日 05:45撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
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10/22 5:45
2018年10月22日 05:55撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
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10/22 5:55
2018年10月22日 06:20撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 6:20
2018年10月22日 06:20撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 6:20
2018年10月22日 06:22撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 6:22
2018年10月22日 06:28撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
1
10/22 6:28
2018年10月22日 07:43撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 7:43
2018年10月22日 08:50撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 8:50
2018年10月22日 09:03撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 9:03
2018年10月22日 09:24撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 9:24
2018年10月22日 10:13撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 10:13
2018年10月22日 12:06撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 12:06
2018年10月22日 12:47撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 12:47
2018年10月22日 12:48撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 12:48
2018年10月22日 14:29撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 14:29
2018年10月22日 18:08撮影 by  E-M1MarkII, OLYMPUS CORPORATION
10/22 18:08

装備

個人装備
ザック(40L) パックライナー フロアレスシェルター スリーピングパッド スリーピングバッグ(下限0℃) ビビィ ガスストーブ レインウェア インシュレーション ストック コンパス ラジオ 熊鈴 ナイフ モバイルバッテリー

感想

好天を狙って秋の朝日連峰へ。縦走路へのメジャーな登山口は大鳥、祝瓶山荘、朝日鉱泉、白滝などがあるようだが、夏山シーズン以外は基本的にタクシーでのアクセスとなり1〜2万円弱をその運賃に使わなければならない。そのため、ややマイナーではあるものの鉄道のみでチープにアクセス可能な白兎登山口を旅の起点に選んだ。

【アプローチ】
新宿〜山形駅:高速バス(夜便)
山形駅〜赤湯駅:JR奥羽本線 米沢行(約30分)
赤湯駅〜白兎駅:山形鉄道フラワー長井線 荒砥行(約50分)

【白兎登山口〜葉山山荘】
白兎駅から葉山森林公園キャンプ場を目指して15分ほど歩く。キャンプ場入り口からさらに数分進んで左手に見える鳥居が葉山への登山口となっている。道は明瞭で迷うことはない。紅葉が美しいブナ林に見入りながら歩いていると数十メートルおきにクマの糞に出会い、その度に緊張が走る。このセクションはできるだけ素早く通過したい。葉山山荘の手前には分岐があり「鉾立の水」という銘板がかけられていて、左の道が水場へと続いている。山頂へ行く前に寄っていくのがおすすめ。山荘には薪ストーブがあったのでありがたく使わせて頂いた。

【葉山山荘〜御影森山〜大朝日小屋】
葉山山荘〜八方峰間は特に問題なかったが、八方峰〜中沢峰間はトレースが不明瞭な箇所が多く、何度もロストしては復帰することを繰り返した。特にひどかったのは1275mのピーク付近だが、本来ならここは南西から巻かなければならなかった。あとから気付いたのだがなぜかその時はピークを目指してしまい、激しい藪漕ぎとロストに(自爆で)意気消沈させられた。いつか正規ルートの検証のために再訪したいものだ。それを置いても藪は濃いめで、中沢峰に着く頃にはクマへの警戒感も相まって疲弊し切っていた。ここから御影森山への道も藪漕ぎと聞いていたので嫌気がさし、今日はこの下にある祝瓶山荘に泊まることにした。祝瓶山荘は管理人さんに鍵を開けてもらわないと入れないらしく、電話をかけてみる。宿泊したい旨を伝えると、なんと今期は林道の崩落により山荘まで行けないため、開けることができないとのこと。なんてこった...と文字通りに声に出して大きなため息をつく。いっそここでビバークしてしまおうかとも考えたが、せめて水場がある大沢峰までは行ったほうがいいと思い直し、意を決して再び歩き始めた。こうなったら藪でも何でもかかってこい、と開き直り進むものの、それらしいセクションが一向に出てこない。それどころか最近刈払われたと思しき跡すらある。まだかまだかと気構えしているうちに、気付けば前御影森山を過ぎて御影森山に着いてしまった。これは嬉しい誤算だ。刈払いしてくれた方々に心から感謝しつつ、稼いだ時間を無駄にしないため先を急ぐ。時刻はこの時点で15時を回っていたが、もともと大沢峰で水を確保してビバークする覚悟だったので気は楽だった。それに運良くいつものペースで歩ければ17時半前後に大朝日小屋に辿り着くこともできなくはなさそうなので、ランも混ぜつつ先を急ぐことにした。水量豊富な中沢峰の水場で補給をしつつ、予定時刻ぴったりに小屋に到着。ちょうど雨が降り出してきたところだったので心底ホッとした。山荘内はストーブこそないものの綺麗に手入れされており、快適に利用させて頂いた。

【大朝日小屋〜寒江山〜以東小屋】
この日は余裕のある行程のため、8時頃までゆっくりして出発。すっきりしない天候だが時折青空が顔を覗かせる。大朝日小屋から少し下ると金玉水の水場があるので、ここで今日の水分を補給しておく。ここの他、以東小屋までの間には竜門小屋と狐穴小屋にそれぞれ水量豊富な水場があるので、水の心配をしなくていいのが嬉しい。ルートは広々とした稜線が延々と続き最高に気持がいい。明日はすっきりと晴れるらしいので、大朝日岳方面の眺めが楽しみだ。のんびりと歩きながら16時前には以東小屋に到着した。

【以東小屋〜三方境〜天狗小屋】
6時前に小屋を出る。天気は良さそうだが風がとても強く、雲も濃い。朝日を写真に収めるためにしばらく粘っているとようやく晴れてきて、思わず叫び出してしまうほどの素晴らしい風景が現れた。たおやかな稜線を赤々とした朝日が照らす様に言葉を失い、熱いものが込み上げてくる。本当に来てよかった。予報通り、この日は終始すっきりとした青空が広がる気持ちのいい一日になった。道を覆う霜や頬を叩く寒風が東北の冬の始まりを感じさせる。狐穴小屋までは昨日来た道を戻るだけだが、松虫岩のあたりで危うく西の尾根の方に行ってしまいそうになった。広々とした砂礫状の稜線は地形の特徴を捉えづらく、見た目の緩さに油断すると道迷いにつながることを学んだ。

狐穴小屋で水を補給した後、木道を辿ってまずは1440mの高松峰を目指す。ここからオバラメキまでは東側が切れ落ちた非対称かつ急峻な尾根になる。高松峰の先端からはやや北側の斜面をトラロープ伝いに降りるのだが、降りた先のルートがなかなか見つからない。45度はあろうかと思しき急斜面を上り下りすること数回、やっと左手側にトレースがあることに気付いた。一応テープは付いているものの、日に焼けて真っ白になっており遠くから視認するのは難しい。トレースも上から見ると死角になっており、一発で行くのはかなり厳しいのではないだろうか。様子見としてもう少し降っていたらそのまま崖下まで落ちていた可能性が高く、これを書きながら思い返していても身震いがする。自分がアホなだけかもしれないが、個人的には今回のルートで一番注意が必要な場所だと感じた。ここさえ越えてしまえば天狗小屋まで難所はほぼない。樹林帯歩きがメインだが開けた岩場に出ることもあり南東方面に大朝日岳を望むこともできる。開けた山頂の天狗角力取山(てんぐのすもうとりやま、と読むそうだ)まで来るとすぐ下に小屋が見え、13時前に到着。当初はこの日のうちに下山してしまう予定だったが、小屋の前で日向ぼっこをしているうちに気分がよくなってしまい、もう一日くらいゆっくりしていこうと思い直した。

【天狗小屋〜障子ヶ岳〜南俣沢出合】
いよいよ最終日だ。栗畑から焼峰方面へ行くか、はたまた障子ヶ岳方面で降るか迷っていたが、小屋でご一緒させて頂いたMさんの勧めもあって障子ヶ岳ルートを選んだ。どの方向から眺めても見事にピラミダルな山様はアプローチもなかなか厳しかったが、朝日を浴びて真っ赤に燃え上がる紅葉を眺めながらの尾根歩きは至福という他ない時間だった。障子ヶ岳から紫ナデへの尾根は東側が切れ落ちておりやや慎重さが必要。紫ナデ以降はひたすら降るのみだが、旅の終わりが感じられてなんとなく寂しくなる。南俣沢出合まで来たところで先ほどのMさんと合流。実は出発時、よかったら車で観光していきませんかとお誘い頂き、ここで待ち合わせる約束をしていたのだ。ありがたくご一緒させて頂くことにして、まずは大井沢温泉「湯ったり館」で5日分の汗と疲れを落とす。その後、鶴岡市の知る人ぞ知るラーメン店「琴平荘」へ。月曜だというのに僕らが着いた時点で2時間半待ちの大繁盛でさすがに面食らった。下山後はだいたい何を食べても沁みるほど美味いのであまり信用はできないが、それを差し引いても確かに美味かった。道の駅などにも寄り道しつつ、最終的に鶴岡駅まで送って頂きなんとお礼をしていいのやら...。この場を借りて改めて感謝します。名残惜しさを感じつつ東北新幹線で東京へ戻ると、つい数時間前までいた山の景色が夢のように感じられるのであった。

-----

東北の山には漠然とした憧れを抱いていたので、今回これだけ充実した山行ができてただただ感無量である。序盤の激しい藪漕ぎすら良い思い出になりつつあるし、なんならまたやっても良いなんて考えていたりするのだから可笑しなものだ。だけどその先に広がる、あのたおやかな稜線を目にすればきっと誰でもそう思うに違いない。次回は月山も絡めたより長い行程に挑戦してみたい。

あとから知ったところによると、葉山から三方境を経て以東岳、大鳥池に至る道はかつて直江兼続によって拓かれた朝日軍道という山岳道路だったのだそうだ。有志の方々によって当時のルートを正確にトレースする試みも行われており、こちらも大変興味深い。

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