日陰沢橋から蛭ヶ岳ピストン(自然の恐ろしさと優しさを味わった一日山行)
- GPS
- 11:53
- 距離
- 15.8km
- 登り
- 1,754m
- 下り
- 1,758m
コースタイム
天候 | 余りパットしない一日、午後は虎のパンツも登場。 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
青根集落付近では早朝から農家の通行が有るので運転注意。 コンビニは、相模湖ICを出て直ぐに右側にセブン、日連入口交差点を左折して程なく右側にスリーエフが有る。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
道は全般に良く整備されており、迷い易い所や、危険個所は特に無い。神之川から姫次に向かう尾根(風巻尾根)はうんざりする様な急登が延々と続く。何処といった危険個所こそないが、急登も此処までになると、急登そのものが難所となる。 名前の通り、常に強風にさらされているらしく、柔らかい部分が風で浸食されるのであろうか、ガレ石がゴロゴロしている。この日は特別に風が強かったのかもしれないが、強風と急斜面の相乗効果で、ガレ石が人も歩いていないのに落石となって降ってくる。 |
写真
感想
昨年の10月末に、南丹沢の大倉尾根を使って蛭ヶ岳まで日帰りピストンをしたので、今回は北丹沢から同じ蛭ヶ岳に日帰りピストンをしてみることとした。
確実に駐車スペースが確保できる場所ということで神之川ヒュッテの前に車を置き、風巻尾根で姫次に至り、丹沢主脈を伝って蛭ヶ岳に到達するルートである。
大倉尾根ルートと比較して、コースタイムが9時間20分と2時間程短く、累積標高差も1934mということで500m程少ない。
日帰りコースとしては、決して楽なコースではないが、大倉尾根ピストンよりは大分楽が出来るのではないかと、大型連休の最終日に行ってみた。
日蔭沢橋の奥のゲートをくぐって10分程のブラブラ歩きで、ヤタ尾根の取付きを右に見送った少し先に、矢鱈と大仰な東海自然歩道の案内盤がある。この奥に左手の沢に降りる階段がある。
階段は建物の4・5階分はあろうか。階段を下りると立派な橋がかかっている。橋を渡り始めるとクッションが効いている。橋表面のタイルの様な物が樹脂で出来ているようだ。下山時の疲れた足を優しく迎えてくれるだろう。
橋を渡った所が風巻尾根の登山口で、態々急登と記してある。登り始めると確かにいきなり九十九折れの急登が迎えてくれる。いきなりの急登と暫く格闘すると尾根の上に乗り上げ、道は暫しなだらかになる。ヤレヤレと思うのも束の間、道はすぐにトンデモナイ急登になった。地形図で予想はしてはいたが、予想を遥に凌駕した急登である。足首の曲げ角が極端に深くなる為であろう、踵が登山靴にグリグリと擦られる。下山後に恐る恐る靴下を脱ぐと、両足とも踵が見事にひん剥けていた。
急登故に標高はグングン稼いでくれる。丁度ビルの非常階段を登っているが如く、一歩毎に風景の変化が目視確認出来る程だ。
風巻の頭を通過すると道は一気に下る。帰路の登り返しが思いやられる。標高を50m程下げた後に道は再度急登になり袖平山に到達する。このルートの厳しいのはここまでの登りであり、姫次まではほんのひと歩きである。体力の有り余っている御仁を除いて、このルートのポイントは袖平山迄の急登をゆっくりと登ることにあると思われる。この延々と続く急登で余りに心拍数をあげてしまい、大腿四頭筋やヒラメ筋にタップリと乳酸を蓄えてしまうと、帰路の急降下で膝が大笑いをすることになろう。
姫次から蛭ヶ岳までは約2時間の稜線歩きになる。蛭ヶ岳の山頂直下はそれなりの登りではあるが、前半でトンデモナイ大登を経験しているので余り気にならない。山頂直下では風を遮るものが何もないので、この日は強風の方が気になった。山頂に到着した時点での疲労度という点では大倉尾根を渡ってきた時よりも数段低い気がした。
大倉尾根から来た時は帰路を考えると、とてもビールを飲む気にはなれなかった。しかし今日はそうでもなかった。ビールを飲むと一気に足が重くなることは判っていたが、袖平山迄は何ということもない稜線歩きだし、最後の急降下に入る前にはアルコールも抜けきっているだろう。日の長い時期でもあるし、少々遅れても足元の明るい内には下山も出来るだろう。などと考えているうちに、パラパラと雹が降ってきた。雹に背中を押されて小屋に飛び込んだ。「おじさんビールある?」
持参のピザパンとビーフジャーキをつまみにマッタリとした時を過ごしてしまった。
小屋を出て姫次方面に向かう。足は一気に遅くなった。マラソンの給水ポイントで水の代わりにビールを飲むやつは馬鹿だ。マ!いいか。日のある内には下山できるだろう。などとブラブラ歩いているうちに、空が妖しくなってきた。畦ヶ丸の方向で雷鳴がする。雷鳴は大室方面、姫次方面と、東に向って移動している。ただ「ゴロゴロ」言うだけでなく、「バリバリ!ドカーン!」も混ざってきた。
冗談じゃない。姫次は目の前だ。スッカリ虎のパンツに囲まれてしまった。のんびりと尾根を歩いているわけにはいかない。尾根の右手を見ると5m程の深さの谷間になっている。ゴアの上下を着込んで谷間にもぐった。辺りは落ち葉の吹き溜になっている。蛭もいるだろうが、今は虎のパンツの方が怖い。しっかりとフードも絞り、蛭に注意しながら、不本意ながらマッタリとした時を過ごす。小雨なのがまだ救いだが、雨の中でマッタリとしていると、結構冷えてくる。ザックにはウールの山シャツとダウンが入れてあるが引っ張り出す程の事は無い。ツェルトなんぞ出そうものなら、後が面倒だ。
することも無いので鼻歌でも唄う。「雷さんは粋な方だね、戸を締めさせて、二人シッポリ濡らした俄か雨」(メロディーは土佐節でどうぞ)
髭親爺が独りで何を言っているんだか。
やがて雷鳴も遠のいたので尾根に戻り、往路をひたすらに戻る。予想通り風巻の頭の登り返しがキツイ。
風巻の頭には東屋がある。ザックに残ったカレーパンは東京に持ち帰ってもしょうがないので、此処で腹に収める。今日は単独行であるが、高齢者グループで限界にきているメンバーがいれば、この程度の東屋でも生死を分けるのであろう。昨日の白馬の大量遭難のニュースがふと頭をよぎる。
東屋から出ると西日ながら陽が差していた。暖かい、自然の優しさを感じた。程なく大室の山影に隠れてしまうが、今の季節なら、足元の明るい内に下山できる。
やはり急降下だ、ストックを普段より10cm伸ばして丁度いい。やがて沢音が大きくなってきた。ロングコースを歩いている時は沢音のdbが上がるのは心強い。
橋を渡るとクッションが効いている。ガチガチの靴を履いているので、クッションフロアーは心地よい。橋を渡りきると林道に戻る階段が控えていた。最後の最後に難所があった。
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