【百名山・過去レコ】信州・戸隠〜高妻山縦走(サークル有志山行)



- GPS
- 32:00
- 距離
- 15.0km
- 登り
- 1,769m
- 下り
- 1,796m
コースタイム
- 山行
- 9:30
- 休憩
- 2:00
- 合計
- 11:30
- 山行
- 2:00
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 2:10
天候 | (初日)晴れのち曇り(夜、風雨強し…) (2日目)未明より暴風雪、のち晴れ |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
(復路)戸隠キャンプ場前よりバスにて長野へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
・戸隠山手前の岩場、通過・スライド注意 ・高妻山直下の急斜面、残雪期はアイゼン必須(特に下降時注意…) |
写真
感想
[以下、サークル会誌の後輩K氏執筆の記事から抜粋・加筆・編集]
他に複数の有志ツアーが企画されたこともあり、今回のツアー参加者は2名のみ。前日(5/23)上野発23:30頃の夜行急行で出発、長野に翌5/24午前4:00頃到着。急行列車は比較的空いており、大宮からは一人1ボックスを占有しゆっくり眠れた。長野から奥社入口まではタクシー利用、4人で相乗りすれば一人1,200程度で済み、出発時間も早くできてナイスである。明日は天気が崩れそうなので、本日中に高妻山をピストンすることに決定。タクシーの運転手さんから聞いたコワーイお話を思い出しながら、スギが綺麗に立ち並ぶ鬱蒼とした樹林の一本道を奥社へと向かう。
ここからは手の届きそうなところに八方睨のピークが見えるが、実際には約2時間の急登。今のところ残雪のありそうな気配は全くなく、ザックにくくり付けたピッケルがずっしり重く感じられる。奥社左手の尾根に取り付くが、急な上に滑りやすく、道はあまり良くない。尾根に出て少し進んだところで一回目の休憩、下からハイキング風の身軽なパーティがやって来て、先に行ってもらう。五十間長屋、百間長屋と窪んだテラス様の岩場を過ぎ、大きく聳える岩を左へ巻くと、そこから頂上まではクサリ場の連続。天気は上々、風もさほど強くないが、前のパーティがつっかえて中々前へ進めず、脇のクサリで遊んだりして時間を潰す。クサリ場は概ねクサリなしでも登れるが、ホールドがしっかりしておらず、騙し騙し登っていく。K氏は最初のうちクサリを使わず登っていったが、ホールドが脆いため最後はクサリ様の助けを借りていた。有名な「蟻の塔渡り」のところまで来ると、切り立った尾根ながら所々木も生えており、あまり高度感はない。「落ちたら終わり」の本当にコワい区間は1mほどだが、2名とも小屋泊まりの結構な荷物を持っているため慎重に通過、八方睨に無事到着。
この年は雨が多いらしく雪は少ない様子で、ピークからは後立山連峰も望める。ここからはフツーの道で、これで危険な区間は終わったと思ったのも束の間、下りのルートは滑りやすく、satonao1jpnは早速転倒、ニッカボッカに大きなシミを作る。その下、僅か2-3mの降下区間が硬い雪の斜面になっており、K氏は慎重に下るも、途中から下まで滑っていた。気温も上がり、ここで二人は「短パン化」、濡れたニッカを乾かしながら進むことに。我々が休憩を取っていると、八方睨で追い越したパーティが雪の斜面に差し掛かり、同じく「3重人間雪崩」を引き起こしている。先頭の方は全くお気の毒です…。
雪が少ないなどと嘆いていたものの、やはり北側斜面には結構な残雪があり、しかも結構硬くて滑る上、所々にシカの丸い落とし物があって、うっかり手を付くと大変。雲行きを見る限り、天気も西の方から下り坂のようだ。昼頃にはこの日宿泊予定の一不動小屋に到着。小屋入口のドアはなくなっており、少々ショック…。その先、二釈迦から五地蔵までは鋸のような尾根を登ったり降りたり、荷物も重く、雪も付いていてコースタイムのキープに四苦八苦。五地蔵の先は更に雪も多くなり、二人ともピッケルを発動。八丁ダルミからはササのアーチの下を登っていくが、1ヶ所だけ雪で覆われた斜面を通過する20〜30mぐらいの区間があり、硬い雪面は蹴り込んでも2-3cmしか引っかからず、ルートも一旦尾根を右へ巻き気味に突き上げているため、結構急である。足を滑らせたら雪面の硬さ、身体のバテ具合、荷物の重さから見て、ピッケルで止められる保証はなかった。「アイゼンを持ってくれば…」と思うものの後の祭り。この頃には空も雲に覆われ、風も強くなってきて、気温も下がって雪面は更に硬くなる、登ったは良いが下りは雨の中…と考えがドンドン悪い方へ傾く。satonao1jpnは既にバシバシと雪面を登り、斜面の上で待っているが、すっかり弱気になったK氏はしばし迷った末に、今なら降りる自信あり、ということで登頂は断念。頂上にはsatonao1jpnのみ向かうことに(K氏は高妻山頂上でモモ缶を開けることを楽しみにしていたが、結局実現せず…)。
約20分後、K氏は雪の斜面の取り付き点まで戻り、自らの安全が保障されると、今度は急にsatonao1jpnのことが心配に。もし自分の目の前を同氏が谷間へと滑り落ちていったらどうしよう…万が一そんなことになったら、楽しみにしていたモモ缶が食べられなくなってしまう…[K氏は缶切りを忘れていた…]。などと考えに耽るうち、どれくらい時が経っただろうか、上方から「オーイ」の声。背の高いササに遮られて上方は見えないが、程なくsatonao1jpnが無事下りてきた。早速お楽しみのモモ缶を食べながら登頂の様子を聞くと、同氏は急登で両足が攣った挙句、下りで雪の斜面を2-3m滑った由(ササの藪に突っ込み、何とかストップ…)。ともかくも、無事で何より。心配された天気はどうにか持ち堪えたものの、時刻は既に16:30を回っており、いくら日の長い季節と言っても、明るいうちには小屋へ辿り着かねばならない。二人は大急ぎでこの日のお宿、一不動の避難小屋へ向かい、18:15頃無事着。夕食後、昼の休憩時に予め仕込んで冷やしておいたゼリーを食べ、「ウマイ!ウマイ!」と言っているうちにその日は暮れた。入り口の扉がなく、吹きっ晒し状態の中、夜半からは激しい風雨となり、不安と寒さのうちに就寝。
翌朝、目が覚めると相変わらずの物凄い暴風雨、朝食を取るうちに雨がボタン雪に変わった。これは大変だ、早く下山せねば、と完全装備で小屋の外に出てみると、高妻山の方に青空が見え、あれよあれよという間に陽が差してきた。どうやら強烈な低気圧は足早に通過していったようだ。二人は、うっすら雪化粧した高妻山に別れを告げ、麓のキャンプ場へと谷を下っていった。途中、ややシビアな区間もあったが、適当に変化があって面白いコースである。09:30頃にはキャンプ場のバス停着、天気は快晴、掃き残したような雲が雨上がりの真っ青な空にかかり、新緑が眼に眩しい。爽やかな高原の風も吹き渡り、何をとっても申し分なかった。
二人はこの後、バスで長野に出て、名物の信州そばを食べた後、周遊券にて追加料金なしで乗れる列車を求め特急「しなの」で松本へ移動。satonao1jpnはまだ一度も訪問機会のなかった松本城へ、K氏は空腹感を克服せんと馴染みのトンカツ屋へと散った。それにしても、長野からの信越線はろくろく急行を走らせない不届きな線である!我々”ビンボー登山者”の力強い味方、中央線の急行からは、途中八ヶ岳、鳳凰、甲斐駒、そして金峰山と沿線のメジャーな山々がことごとく見え、我々の目を楽しませてくれた。この日、同じサークルの2年生別パーティが、積雪と悪天のため赤岳攻略に失敗し、早々撤退しているとは夢にも思わぬ我々であった。
<本ツアーでの反省点>(satonao1jpn)
本文中にも記したとおり、高妻山直下の雪田で下山時に僅かながら滑落し、一瞬寿命の縮む思いをさせられた。いくら山頂が目の前にあると言っても、装備不十分の場合はK氏のように自重するのが筋というものであろう…。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する