赤牛岳北西稜〜薬師見平〜中ノタル沢〜上ノ廊下
- GPS
- 104:00
- 距離
- 56.2km
- 登り
- 5,214m
- 下り
- 3,861m
コースタイム
- 山行
- 10:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 10:30
- 山行
- 12:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 12:00
- 山行
- 8:20
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 8:20
- 山行
- 5:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 5:30
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
薬師見平へは地図をよく眺めて是非オリジナルなルートを目指してみてください 記録です https://1064nm.tumblr.com/post/187045775214/ |
写真
装備
個人装備 |
ロープ 6.5mm 35m
捨て縄 6.5mm 7m
ハーケン *4枚(未使用)
ハンマー
ウェットスーツ上下
ライフジャケット
懸垂セット
|
---|
感想
●憧れの地
薬師見平や高天原新道について調べていくうちに憧れていった。
2017年に薬師岳の稜線を歩いたときに、赤牛岳の下の方に見えていた平たい湿地。自分の足でそこへ行きたかった。
パーティで行くことも考えたが、黒部源流域や薬師見平、高天原新道への想いを共有できる人と歩きたかったから、今回の旅は単独行にした。
●どこから、どこへ繋ぐか
薬師見平へのアクセスは主に以下の6つがあるが、僕はこの場所を"経由した旅"としたかったからピストンは避けた。
1.赤牛岳北西稜
2.無名沢左俣(薬師見平南西の沢)
3.中ノタル沢
4.口元ノタル沢支流
5.高天原新道・南側(廃道)
6.高天原新道・北側(廃道)
このうち5,6の高天原新道については廃道となっている。さらにトレースできないのであれば藪も困難と考え却下した。
沢を遡行する場合、単独で滝の登攀に不安があったので、自ずとアプローチは"1.赤牛岳北西稜"に決まった。
次に考えるのはどう繋ぐかだが、"4.口元ノタル沢支流"は沢にたどり着くまでの藪が多いと考え却下した。
そして高天原新道を避けた場合、上ノ廊下を遡行するか下降するかで必然的に今回のルートが確定する。
つまり、上ノ廊下を遡行の場合は"2.無名沢左俣(薬師見平南西の沢)“、下降の場合は"3.中ノタル沢"にするのが最も効率がいい。
ただ、地図をみたとき、1→2と、1→3、と繋げたときどちらが綺麗か。
下降のルートも決まった。
●赤牛岳北西稜
2016年に赤牛岳から読売新道を下りた。今までずっと見えていた北西に伸びてる自然な尾根を歩くわけじゃないのかとそのとき思った。
そして今回、その尾根を歩く。このルートは、2〜6の沢経由と違い、水場が全く無い。
読売新道を歩いたときは3リットル以上担いだ水を奥黒部ヒュッテまでに全部飲んでしまったので、今回は5リットル担いだ。
また、少しでも節約するため夜のうちから行動することにしたが、寝坊して三俣山荘を2:00発。
上ノ廊下に繋げるため、ライフジャケットやウェットスーツ、ロープを背負った登山は辛かった。
結局歩くのが遅いのと重装備で赤牛岳山頂は10:20だった。
北西稜へ踏み出す。鹿島槍ヶ岳から牛首尾根へ踏み出したあの高揚感と同じものがあった。
岩陰でお昼寝をしたりしながら岩の尾根を下っていくと湿地が見えた。薬師見平だ。
難所は無いが、ものすごい藪である。炎天下の中の藪漕ぎで水がどんどん減っていく。休むとヤブ蚊に集られる。
予定ではP2210の方に行って、高天原新道の痕跡を探そうと思っていたが、藪が濃すぎて最短距離で下降した。
水は3.7リットル近く飲んでいたが、池の水を飲むことにならなそうでよかった。
●薬師見平
藪漕ぎが終わり、少し開けると見えたのは薬師見平ではなかった。
なんと踏み跡である。思わず大声で叫んでしまった。
そう、高天原新道の痕跡に違いなかった。その道を薬師見平の方面に進んだ。
大量のブルーベリーを食べながら、少し行くと藪が出て、また少し行くとその踏み跡が導く先に湿原があった。薬師見平だ。
15:40、着いた。ついにたどり着いた。静かだった。夏の雲と池、薬師岳が綺麗だった。
穏やかな湿原の周りをブルーベリーを食べながらお散歩した。ペンキ跡や"高天原新道"と書かれた看板は2時間ほど探したが見当たらなかった。
とにかく水が飲みたくて、晩御飯は水を使わないクッキーにした。炎天下の中の長時間行動で疲れていたのでぐっすり寝れた。
翌朝起きると、湿地の上にはモヤがかかり、目の前には染まった薬師岳が見えた。言葉がない。
どんどんと色が変わっていく薬師岳をしばらく眺め出発の準備をする。来てよかった。
●中ノタル沢
沢装備に着替えるとザックがかなり軽くなった。
薬師見平を出発するが、出発と同時に藪漕ぎ開始である。
ただ、ここの藪漕ぎは快適ではないが、「おいしい藪漕ぎ」である。
そう、薬師見平はブルーベリー畑なのだ。ブルーベリーを大量に頬張り、ハイマツをかき分け一歩進むとまたブルーベリーが出てくる。
しばらくすると、沢地形になったので下っていく。狙い通り中ノタル沢の支流に入れた。
奥多摩のツメのような沢を下っていくと、大きくガレた中ノタル沢にぶつかった。
中ノタル沢は滝がいくつかあるが、ほとんどはザックを滝下に投げてから空荷でクライムダウンをした。
1箇所、倒木を利用して懸垂をした。順調に下っていくとついに上ノ廊下が見えた。叫んだ。
●上ノ廊下
水量は少なかった。問題ない。
出合からは薬師岳が見えた。去年は雨に降られていて、何も見えなかったな。
ウェットスーツとライジャケを着て、ザックは本来の軽さになった。
上ノ廊下を遡行するときの核心は下の黒ビンガのあとのゴルジュ帯だが、今回は下降だったので気が楽だ。
そのゴルジュ帯もただただ楽しい。プカプカ浮きながら延々とご褒美の上ノ廊下を流されていった。
暑かったので足の付く場所でも無駄に泳いで(流されて)いたら、下の黒ビンガを過ぎたあたりではもう体が冷え切っていた。
そして東沢谷が、旅の終わりが見えた。
●繋ぐ場所
藪をかき分けてたどり着いたそこは、ほんとうに時間の流れが変わったかのように静かだった。
ワタスゲが揺れ、トンボが飛んで、ゆったりと風が吹き抜けて。
夏の雲と、大きな薬師岳を見ながらぼんやりと過ごした時間は本当に心地よかった。
そして何より、あの日歩いた赤牛岳、あの日見た湿原、あの日遡った黒部川、
僕が歩いてきたそんな山と山を奥黒部の楽園は繋いでくれた。
8/11 三俣山荘(2:00)〜鷲羽岳(3:30)〜赤牛岳(10:20)〜P2465付近(13:20)〜薬師見平(15:40)
8/12 薬師見平(6:00)〜中ノタル沢(7:00)〜上ノ廊下(8:20)〜下の黒ビンガ(10:20)〜奥黒部ヒュッテ(11:40)
Tumblerのほうも読み、ええ山旅やなぁと感服しました。(最初にTumblerのほうだけ読んでました。)
2008年9月に計4人のパーティでtumblerの「2.無名沢左俣(薬師見平南西の沢)」と書かれてる谷から薬師見平に詰め上がり、同じく中ノタル沢を下降しました。折立in黒四ダム(扇沢)outで2泊3日。2泊目が薬師見平だったのですが、トロリーバスの最終時刻に間に合わせるため、最後は必死のパッチでしたw
nkzwさんの2日目と3日目の行動時間、凄いなぁと思います。
またの山行記録upを勝手に楽しみにしてますー
コメントありがとうございます!
記録存じています、合理的でいいラインですね!
3日目はダラダラしてたり、船を待ってたりで、実際の行動時間は短いです
中ノタル沢が思ったより緊張する場面がいくつかありましたが笑
nkzwさんみたいな凄い人に記録(と言っていいのか…)を知ってもらえてて光栄です。お返事あざました。沢や谷の下降は、まぁ、やっぱ緊張しますよね。ロープ抜いちゃうと、最悪、進退窮まる可能性もなくはないですから。北又谷のはヤマレコにアップしないんですか?あの動画は なかなかインパクトありました
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