掛橋谷山〜奥八丁山☆秋の北山の深奥部へ
- GPS
- 05:16
- 距離
- 11.1km
- 登り
- 613m
- 下り
- 620m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
コースは全般的に昨年の台風によると思われる倒木により荒れている。 掛橋谷は山と高原地図では破線で記されているもののところどころに踏み跡がある程度で、基本的には踏み跡なし。渡渉は多数。幾つかの滝は高巻きが必要。バリルートとしては難度の高い部類と思われる。 掛橋谷山〜奥八丁山は歩きやすい自然林が多いが、奥八丁山の手前で尾根上に杉の幼木と低木の藪があり。 奥八丁山からのルートもほぼ同様。下から登った場合はスキー場のリフト跡からは藪の中のルート・ファインディングが必要となるであろう。 |
写真
感想
この日は翌朝から名古屋で出張の予定があるので中央アルプスの山を予定していたのだが、天気が芳しくない予報へと変わったので、中央アルプスは諦めて京都の北山の山を探す。京都北山の地図を紐解くと八丁川の流域に掛橋谷山と奥八丁山という二つの山名が目に入る。この二つの山の間には地図では登山道は記されてはいないが、尾根でつながっているので周回が可能であろう。この山々にアプローチするには佐々里峠を越えて、佐々里の集落から八丁川に沿って南下することになるので、京都の市内からでもアプローチが遠く感じられる。
下山を予定する佐々里スキー場の跡のあたりに車を停めようと思っていたが、スキー場への入り口らしきものは見当たらないままに気が付いたら林道をかなり奥深くまで入っていた。林道には車止めを意味するのだろう。赤いポールが現れるが、折良く道路脇に広地があったのでそこに車を停める。
まずは掛橋谷山を目指し、八丁川に沿って林道を辿る。この山は以前の地図ではカヤンダンと記され、掛橋谷山という山名は括弧内に入れられいたようだ。どういう意図があって山名を改めたのかわからないが、カヤンダンというのは掛橋谷山の南東のカヤン谷の奥にある山という意味で、谷奥の山を指すこの地方特有の呼び方である。
深い山間には朝晩の冷気が滞留しやすいせいだろうか、わずかではあるが樹々が淡く色づき始めている。カヤン谷から流れる川に架かる橋を渡り、カヤン谷に入るとまもなく再び橋が現れる。八丁橋というらしい。端を渡るとすぐに掛橋谷へと入る小さな鉄橋が現れる。橋を渡り左岸に刻まれた細いステップを辿り谷に入る。
所々で不明瞭になりがちな踏み跡とは対照的にすぐに一番谷の道標が現れた。古い木製の道標の脇には真新しい立派な道標がある。渡渉を繰り返しながら水通しに谷を進む。先ほどの同様の二番谷の道標を過ぎるとV字谷は狭くなり、小瀧が連続する。このあたりの山域に多くみられるが、滝は漆黒の層状チャートが規則的な縞模様を呈する。
落差の小さな滝を越えたところで、その奥に釜を有する小瀧が現れた。滝の落差は小さいものの滝釜が深すぎて滝に近くことは到底、無理である。左手の急斜面を登り、滝を高巻くと、その先には植林地の中を流れる平流が現れた。この植林地に至る踏み跡は全く見当たらなかったが、この植林地にたどり着くには我々が通過してきた急斜面を皆、通って来られるのだろうか。
植林地の中を上流へと向かうが、沢沿いには多数の杉の倒木が見られる。おそらく昨年の台風によるものだろう。この倒木が沢の遡行の難易度を高くしているのは間違いない。
今度は三番谷の道標を右手に見送って沢筋を上流へと詰める。四番谷の沢の奥には小さな滝が目に入るので立ち寄ってみる。
沢の水量は少なくなるが、再び狭いV字谷となり、小瀧が現れる。今度も左側の斜面を高巻いて越える、行く手には数メートルの高さの滝が現れる。この滝を越えるには右手の斜面を高巻くしかないように思える。微かな踏み跡が斜面に向かっているように思われるが、急斜面を折り重なる倒木が塞いでいる。谷を戻って手頃な尾根を登るということも考えたが、なんとかこの斜面を越えることが出来ないかと斜面を登ってみる。
倒木の箇所に到達すると倒木の下にロープがある。本来はロープの助けを借りて滝の左岸を越えたいところであるが、それがままならない。結局、何本もの樹の枝を乗り越えて、滝の落ち口になんとか到達することが出来るだった。この滝を越えると、植林地の中の平流となった。ここまでの道のりの困難さが嘘のように沢沿いには明瞭な踏み跡が現れた。
やがて水がきれると正面には峠が見えてくる。源頭部の林床にはイワヒメワラビが緑のカーペットのように一面に繁茂している。掛橋谷山に向かう稜線に向かって源頭を詰めると雲の合間から日差しが差し込んだ。
ふと足元を見ると靴を登ってくるヒルに気がついた。家内も足元を確認するとスパッツのファスナーに一匹、小さなヒルが嵌まり込んでいるのだった。幸い、どちらも吸血されてはいないようだ。
峠には?側から登ってくる登山路がある。この登山路を辿りかけたが、掛橋谷山の山頂を通るのではなく、西側お通過しているようだ。なだらかな尾根筋を辿って山頂を目指すが、所々に樹にテープはつけられてはいるものの踏み跡は極めて希薄だ。掛橋谷山の山頂部はいくつかの山名標が架けられた小さな広場・・・
先ほどの鞍部に戻ると稜線を北に辿る。檜の植林で覆われた尾根上の小ピークca800mから東に伸びる尾根に入り、奥八丁山へと向かう。尾根の藪の状態によっては奥八丁山まで時間が読めないことになるだが、尾根に入ると下藪の少ない自然林の尾根が広がっている。
尾根は小さなアップダウンを繰り返すが、いずれも高低差50m以内の小さなものであり、斜度も緩いので歩行は苦にならない。
しかし、奥八丁山の山頂に近づき、その手間の小ピークに差し掛かると尾根上は杉の幼木と灌木で濃密な藪が現れる。鹿よけのネットが張られているのでネットに沿って進むが、藪の中に倒木が現れるとどこでも歩ける訳ではないので、倒木を越えるのに難儀する。しかし藪が密集するのはわずかな区間のみで、奥八丁山の登りに差し掛かると再び歩きやすい自然林となる。
奥八丁山の山頂は樹林の中の狭い空間である。山頂から東は地図上では破線での登山道が記されているので明瞭な踏み跡があるのかと期待したが、少なくとも登山道と呼べるレベルの踏み跡はない。杉の植林地になり、杉の枝葉を踏みながら歩くことになる。
標高700mのあたりで尾根を左手に大きく曲がって佐々里のスキー場跡地を目指して尾根を下る。尾根の傾斜がきつくなり灌木の藪が出現するが、テープがつけられているので、テープを信じて進むと忽然と明るい場所に飛び出す。左手の杉林の中には何やら緑色の鉄製の人工物があるかと思えばリフトの遺構のようであり、ゲレンデの跡地にでたようだ。ゲレンデの跡地には赤松の幼木が育っているが、樹々の間をすり抜けて下るのは問題ない。しかし、後数年もすると踏み跡のない斜面は通貨が困難になるのかもしれない。ゲレンデはかなりの急斜面であり、このスキー場はスキーヤーを選んだことだろう。斜面の下の方にはプレハブ小屋と広場が見えた。
無事、ゲレンデを下ると、林道に出るのに八丁川を渡る橋があるのかと期待したが、そのようなものは全く見当たらない。橋の跡はあるものの肝心の橋はすっかり流されてしまっているようだ。靴を濡らさずに渡渉できるところはないかと川沿いを歩くが、そのような箇所は全くなさそうだ。仕方なく靴を脱いで裸足で川を渡る。川の水は既にかなり冷たい。なるべく浅いところを選んだつもりではあったが、長靴でも渡渉は困難であったと思われる。
林道に上がると所々で八丁川の流れを眺めながら駐車地を目指す。川の淵になると水は美しいエメラルドグリーンを呈している。日差しが当たると一層、美しそうだ。また季節を変えて、晴れの日に訪れてみたいところである。
京都の北山の奥深さを堪能した一日であった。
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