富士山(須山口〜精進口)
- GPS
- 15:40
- 距離
- 39.0km
- 登り
- 2,377m
- 下り
- 2,962m
コースタイム
天候 | 曇り時々雨(強風),のち曇り一時晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り:本栖入口〜富士急河口湖駅(富士急行バス) |
予約できる山小屋 |
八合目池田館
|
感想
久しぶりに富士山に登ってみようと思う。他の山から何十回と眺めたことのある富士も、1回しか登ったことがない。
■計画
どうせ登るのであれば、前から歩きたかった精進口登山道も歩きたいと、計画を立ててみるが、なかなか難しい。公共交通機関を使っての日帰りは、私の体力ではとても無理だ。それなら青木ヶ原の樹海にテントを張って、2日間で歩こうと思ったのだが、調べてみると、樹海はすべて富士国立公園内で、テント禁止とのこと。山小屋は使わないことにしているので、途端に難しくなってしまった。
色々考えた挙句、須山口から登り、精進湖側に抜けることにした。須山口で仮眠をとった後、夜中にスタートすれば、なんとか1日で歩けそうだ。
■前日
御殿場を出発する最終バスで、水ヶ塚公園に向かう。家を出る時は晴れていた空も、どんどん雲行きが怪しくなってきて、バスを降りる時は土砂降りの雨だった。
こんな天気だというのに、水ヶ塚公園の駐車場には車が沢山停まっている。どうやらここから富士宮登山口まで行くバスが出ているらしい。
今日は仮眠をするだけの予定だったので、ツェルトとシュラフだけしか持ってきていない。しかし、ツェルトを実際に使うのは初めてだ。ツェルトを雨の中で使うと、浸水でとても惨めな思いをするらしいのだが、この土砂降りでは、シュラフが使えるのか心配になる。
まず、登山口に行き、立派な道があることを確認したあと、ツェルトが使えそうなところを探しに、人気のない腰切塚への山道を登っていく。
すると、思いがけず、腰切塚の頂上で、コンクリート製の展望台を発見した。これは使える。展望台の下には、雨を防げる4メートル程の空間があり、地面は土のままだ。支柱を使えば細引きも張れる。予想外の幸運に気を良くして、ツェルトを張り、潜り込んでみると、なかなか快適だ。シュラフにくるまって横になる。普段と違い、マットもないのだが、さほど気にならない。
お陰で6時間ほど眠ることができた。
■当日
0時ちょうどに目を覚まし、出発の準備をする。
天気は依然として悪い。雨は弱まったが、風が強いのが心配だ。
水ヶ塚公園に降りてくると、登山者の姿がちらほらと見える。ここから登って行く人もいるのかもしれない。
真っ暗な中、須山口の登山道に向かう。樹林帯の中、道幅2mもありそうな道が続き、ヘッドライトの灯りでも全く問題ない。木々で遮られた強風は、ちょうどよい案配に弱められ、涼しい風に吹かれながら快適に登って行く。
御殿庭の手前で、ヘッドライトに照らされて、地面に白い物が浮かび上がった。一瞬、雪が積もっているように見えたが、コケの一種のようで、とても美しい。辺り一面に生えている。これは夜見た方が良いに違いない。
三合目を過ぎて、宝永山に向かう分岐辺りで、樹林帯が途切れると、強風を直に受けるようになる。霧が急速に濃くなって、視界が全く利かない。
昼間と違い、ヘッドライトの光が目の前の霧に反射するので、1m先くらいしか見えなくなってしまった。
これは危険と感じ、一旦、富士宮口の五合目に避難して、待機することにするも、道が見えない。かがむようにして道を探しながら五合目への車道に辿り着いた。
五合目には、車が沢山停まっていて、登山者の姿も見える。あまりの視界の悪さと強風で出発を控えているようだ。
しばらくベンチに腰掛けて、夜が明けるを待った。明るくなれば、もう少し視界が利くだろう。
4時30分過ぎ、ようやく明るくなってきたので、出発することにする。
風は少し弱まったように思えた。登山口から登って行くと、続々と人が下山してくる。
あのガスと強風の中、歩いていたのだろうか。
すぐに風が強まり、雨も降り出した。頂上まで辿り着けるか心配になるが、上から降りてくる登山者には、小さい子供もいることだし、まだまだ行けそうだ。
富士山では、普段山に登らなそうな人が沢山見られ、装備が不十分な人も多く見受けられる。私が、さっきから気になっているのは、パーカー姿で登っている若者だ。既に全身びしょぬれに違いない。そこに、この強風では、あっという間に低体温症になってもおかしくないのだが、何故か元気に登って行く。
風は更に強くなり、立っているのが大変だ。風に煽られてバランスを崩すことも頻繁になってきた。それでも、上からはどんどんと降りてくる。足下がスニーカーの人も多く、大変そうだ。降りてくる人の表情は沈んでいて辛そうだが、外国の人は、どこか楽しんでいる感じだった。
八合目を過ぎた辺りから、下山者にしか遭遇しなくなってきた。かなり危険な状態と思われたが、この強風は背後(南側)からやってくる。吉田口の方に抜けてしまえば、山に遮られて、風が弱まるのではないかと期待して登って行く。
最後の登りで、誤ってブルドーザー道に入ってしまう。大回りをしながら、風に押されて登って行くと、ようやく火口の淵に出た。剣ヶ峰まで200mと書かれた道標を目にするも、風が強すぎて、向かう気にならない。すぐに下山口のある久須志神社に向かう。
このお鉢巡りが辛かった。立っていられない程の強風が東側から吹いて来て、吹き飛ばされそうになる。ザックカバーが3回程、はぎ取られた。姿勢を低くしたり、石垣の影に避難したりしながら、這々の体で山小屋まで辿り着いた。
小屋の中は、びっしりと人で埋まっている。雨が雨具の中まで吹き込んでしまい、体がかなり冷えてしまった。温かい食べ物を頼んでいる人が羨ましい。
小屋の陰で風をよけながら、乾いたTシャツに着替えて、下山を開始した。
期待した通り、富士宮登山道と比べて、風が弱い。雨も止んで、雲の間から晴れ間が見えるようになってきた。
あれほど濃かった霧も無くなって、八合目辺りでは、山中湖を見下ろす素晴らしい景色が広がった。他の登山者も歓声を上げている。
ここからの下りはとても快適だ。吉田口の下山道はブルドーザーで作られていて、幅が広い。砂礫がクッションとなって、膝の負担も少なく、小走りで下って行く。
河口湖口五合目は、溢れんばかりの人でごった返していた。大型バスが続々とやってくる。登山口というよりは、どこかの観光地のイメージだ。
スピーカーの騒音が鳴り響く中、精進湖への道を進む準備をする。
既に大分疲れたが、距離的にはまだ半分以上残っている。
今回は距離が長く、水切れが心配で、水を5L背負って登ったが、寒かったこともあって、まだ1.5ℓほどしか消費していない。軽い食事と足へのテーピングをした後、四合目に向かった。
ここは幅3mはありそうな、林道のような感じの道だ。この道に入ると、急に静かになった。今日は、1000人以上の登山者を見かけたが、この後、5合目から下では一人の登山者にも遭遇しなかった。
溶岩石がごろごろとしている道を進む。カラマツやコメツガの林の中を、鳥の鳴き声を聞きながら下って行く。この辺、学術参考林と書かれたプレートもあり、途中、先生と生徒と思われる集団に出会う。先生が木の名前などを生徒に教えていた。
三合目付近は、木のチップが地面に敷き詰められていて、疲れた足にはとても助かる。
一合目を過ぎた辺りで、樹海の雰囲気が出てきた。巨大な溶岩石がごろごろとして、その上に木が生えている。他ではまず見られない光景だ。
暗く陰鬱な感じを想像していた樹海は、広葉樹も多く、日が当たると、とても明るい雰囲気だった。
そこからも幅2mほどの整備された道が延々と続く。素晴らしい自然の中を進むが、この先は、足全般の痛みが酷く、景色を眺めるゆとりが無かった。
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