【奥美濃】不動山(ロボット尾根〜励谷・ゴヨクラ谷遡下降)
- GPS
- --:--
- 距離
- 14.4km
- 登り
- 1,852m
- 下り
- 1,841m
コースタイム
天候 | 小雨(時々晴れ間) |
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過去天気図(気象庁) | 2019年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
奥美濃の秘境として千回沢山と並び称される不動山。例によって登山道のない藪山で,無雪期の場合,通常はホハレ峠を越えて門入から沢詰めか,赤谷側からタンド谷を詰めることが多く,どちらも2日以上を要する(残雪期には尾根沿いに日帰りが可能なようだ)。今回は,福井県側からロボット尾根を辿って越美国境稜線を越え,西谷の支流である励(はげん)谷・ゴヨクラ谷(ゴヨグラ谷とも)を遡下降して日帰りでの不動山訪問を試みた。 <ロボット尾根〜ロボットピーク> ロボット尾根は大河内川から標高点722mを経由してロボットピーク(Ca1290m)に至る尾根。枝打ちなど手入れされた形跡があり,薄い踏み跡が途切れがちながらロボットピークまで続いている。1050mまでは,藪はほどんどなく,高い頻度で白いビニールテープのマーキングがしてあるので,普通に歩ける。しかし,1050mを越えたあたりから背丈くらいの笹薮や灌木の藪に覆われ,踏み跡を見失いがちになるので注意。特に1050mのあたりの笹薮はすごいが,笹の下には比較的しっかりした踏み跡がつづいており,それを外さなければ体力の消耗を最小限にできる(踏み跡を外すと,かなり激しい藪漕ぎを強いられる)。時折ピンクや白色のテープがついているが,途切れ途切れなのであまり頼りにはできない。 <ロボットピーク〜励(はげん)谷下降> ロボットピークから北側の夏小屋丸(1294m)との間の鞍部まで降り,そこから励谷に下降する。ロボットピークから鞍部までは,尾根の東側は笹薮が薄くはっきりした獣道もあるので,歩きやすい。 励谷は,1000mくらいまで険しいV字谷の中に滝がいくつか現れ,意外に下降に手こずる。大きい滝はないが,つるつるの滝が多くクライムダウンが難しいうえ,灌木が高い位置にしかないV字谷のため,懸垂支点を取るにも,高巻きするにも苦労する。今回は時間的な余裕がなかったため,大部分を高巻いた。1000mより下部は,谷の傾斜も緩み,1つ2つ高巻きさせられる滝がある以外は,楽に下降できる。 なお,この谷の高巻きは,もれなく急斜面+泥壁+激藪で結構大変。 <ゴヨクラ谷遡行〜不動山> ゴヨクラ谷は760mあたりで励谷から別れ不動山に突き上げている支流。簡単に直登できる小滝が3つほど出てくるくらいで,難しい箇所はない。 不動山までの詰めは,山頂の直前50mほどが背丈くらいの笹薮となっており,藪漕ぎになる。山頂には薄い踏み跡(おそらく獣道)があり,三角点の周囲はわずかに刈払いがされている。 <復路> 往路を戻るが,励谷は直登が難しい滝がいくつかあるため,往路で高巻きした箇所を覚えておいたほうが,帰りにスムーズ。 |
写真
装備
備考 | ・40mロープを携行しましたが,使いませんでした。ただし,励谷の源頭部は険しく滝もいくつかあるため,持っていたほうが無難。沢通しの下降にこだわる場合は,ハーケンもあったほうがよさそう。 |
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感想
先週登った千回沢山がよかったため,今度はお隣の不動山にも登りたくなってしまった。
しかし,不動山は,千回沢山以上にアプローチが難しい山で,どんなに地形図をにらんでも,無雪期に話を限定する場合,岐阜県側からでは2日以上はかかってしまいそうであった(「奥美濃」なので,できるだけ岐阜県側から入山したい,という気持ちが強いのだが…)。本当は赤谷からタンド谷を詰めて登頂するのが最も魅力的なラインに見えるのだが,これも2〜3日かかるだろう。しかし,今季は泊まり山行ができる日程は確保できそうにない。
来年に回すしかないかと半ばあきらめながらも,未練がましく地形図を見つめていると,意外なことに、福井県側の大河内川沿いの林道からのアプローチが最も近いことに気が付いた。そこで,最初は「大河内川長トコ谷遡行〜励谷下降〜ゴヨクラ谷遡行」という計画を立てたのだが,さすがに行程の全てが沢登り(しかも長トコ谷と励谷上部の情報がほとんどない)だと,行動時間が日帰り可能な範囲に収まらない。そこでなおも調べていくと,無雪期は藪でとても歩けたものではないと思い込んでいたこの山域の尾根の中で,ロボットピークから伸びる一本の尾根,通称「ロボット尾根」は,過去にロボット雨量計(今は撤去されている)のための道がつけられており,今もその痕跡が残っているという情報を得た。この区間だけでも尾根歩きとすることができれば,何とか日帰り可能な範囲に収められる。しかし,その道の「痕跡」なるものがどの程度のものなのか…しょっぱなから激しい藪漕ぎに直面して敗退するのではないかという懸念も抱えつつ,今回の山行を迎えた。
結果として,懸念のロボット尾根は,藪は濃いものの,思った以上にしっかりした(といっても,あくまでこの界隈にしては,という意味だが)踏み跡が続いており,問題なく稜線に上がることができた。この山行で一番ほっとした瞬間だった。
また,励谷やゴヨクラ谷も,さすが奥美濃の美渓の一つである金ヶ丸谷の支流であるだけあって,巨木が並ぶ深い森に包まれた素晴らしい渓谷であり,不動山は別にしても,この谷を歩けただけでも今回の山行は十分な価値があった。実際,不動山に向かうゴヨクラ谷の出合に着いた時,その先に流れ下っていく励谷の姿があまりに美しかったので,そのまま励谷に沿って降りて行ってしまいたい,と思ったくらいだった(本当に降りてしまうと,確実にビバーク決定ですが…)。
不動山は,奥美濃の典型的な山頂で,背丈くらいの笹薮の海の中に,猫の額ほどの切り開き,その真ん中に三角点,それだけである。聞こえるのは一面の笹藪のさやめきと,急登に次ぐ急登を終えたばかりの自分の激しい呼吸の音だけ。それだけだが,それで十分幸せであり,十分よい山頂である。
今回は日の短い時期であるため,登り出しの2時間あまりと下山時の1時間あまりは闇下での行動となったが,日の長い時期であれば,明るいうちに山行を終えられると思う。しかし,本来ならば,せっかくの奥深い山と美しい渓谷なのだから,余裕のある日程を組んで,じっくりとこの山に取り組むのが王道だろう。今度は別ルートから,赤谷や西谷の河原で焚火の夜を重ねながら,ゆっくりと不動山を再訪してみたいと思う。
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