厳冬期常念岳・鍋冠、大滝山、蝶ヶ岳から縦走
- GPS
- 39:11
- 距離
- 33.7km
- 登り
- 2,971m
- 下り
- 2,948m
コースタイム
- 山行
- 6:38
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 7:12
- 山行
- 7:44
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 7:58
- 山行
- 6:45
- 休憩
- 0:37
- 合計
- 7:22
- 山行
- 2:48
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 3:02
- 山行
- 6:35
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 7:48
- 山行
- 5:51
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 6:18
天候 | 前半晴れ、後強風ガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
小倉から蝶ヶ岳までは山スキーが最適 |
その他周辺情報 | 烏川林道終点近くの須砂渡食堂 https://www.azumino-biz.net/food/shop/susado-shokudo.html |
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
ファイル |
(更新時刻:2020/02/10 18:10)
|
写真
装備
個人装備 |
スコップ+のこぎり
アイゼン・ピッケル
ビーコン
ラジオ+天気図
その他冬山泊個人装備(寝具一式・ナイフや灯り地図磁石)
わかん
|
---|---|
共同装備 |
ツエルト
ストーブ・鍋
6mm×10 mシュリンゲ
|
感想
1日目:晴れ 安曇野から鍋冠山へ
松本の自宅から見える「安曇山地」の、播隆上人槍ヶ岳初登ルート、小倉付近から取り付く。昨春、冷水峠から下降したルートを取る。しめ縄をくぐり作業道はどこかへと続くが地形図を見て1382から落ちる尾根を登る。人工林の急斜面にヤブはなく、凍ってもいずキックが効く。今年の少雪であっというまにスカイラインの1382まで。
冬季閉鎖中のスカイラインをズボズボラッセルしながら冷水峠へ。ここは地形の弱点を利用して文化年間に山麓の部落が水道誘水施設を工事して作ったところ。
ほどなく針葉樹林の中に一泊。松本平の夜景が樹間にキラキラしている。まずまずのペースで来たけれど、ラッセルが深い。ずっと四股踏み、お相撲歩きをしている。ストックなしで、バランス感覚磨く。
2日目:晴れ 鍋冠を超える
スキーを置いてきたことを後悔する。膝までのわかんラッセル。なかなか進まない。夏時間読みの2.5倍。踏み込んで沈むということは、山に二度登っている勘定だ。
鍋冠山は松本から目立つ、中華鍋の焦げたのを伏せたような格好。濃い針葉樹林は天然林のよう。遠景は無し、森を堪能する。樹間から常念岳の気配があるが、全容を見せたのは一度だけ。前常念への張り出しが、軍艦のようだ。最低コルの広い樹林帯の中で2泊目。美しい森だ。コル付近は二重稜線で、楽園のような雪の窪地。7時間もサボらずラッセルして、これっぽっちしか進まない。スキーがあればなあ。
3日目:晴れ 大滝山へ。
八丁ダルミの長い森を抜けて大滝山へ。ようやく針葉樹林を抜けてダケカンバの疎林を抜け、大滝山へ。穂高と槍が見え、北アルプス全域が無風快晴で見えた。大滝山は初めての登頂。南端の三角点を往復する。この間にも結構背の高い針葉樹の森がある。槍穂高、常念、松本平がそれぞれ絶景に見える、北端のポイントにイグルーを作る。松が持ってきたズブロッカをなめて、至福の夕刻。僕のウチが、松本城が、岡の宮神社が見える。
4日目:晴れ 強風→ガス強風 蝶ヶ岳小屋で天気待ち
朝焼けの穂高連峰、常念を眺めてイグルーを出る。大滝山からは吹きさらしも多く、ラッセルはそれほど潜らない。これまでより速度が上がり、3時間で蝶ヶ岳へ。このころ、寒冷前線の通過で台風並みの強風地吹雪になる。蝶ヶ岳を越えて樹林帯へ伸ばす予定だったが、小屋の裏に冬季小屋入り口を見つけてしまい、ちょっと風よけにお邪魔する。中はすごく快適で、風収まるのを待とうか、とお茶を沸かすうち、あまりに快適なので一泊していくことにする。だって、トイレまで付いている。
外の轟音の風をききながらラジオで午後四時の天気図を書く。きのう鬱陵島にあった小さな低気圧が前線付きに発達して、さっき過ぎていったところだった。
気温は低いながら足を伸ばして平らな板床の上で眠れる快適さ。松がペットボトルに湯たんぽを作ってくれて、象足に左右一本ずついれると、朝まで足が冷たくない。これはすごい。お湯をこぼさず入れるのに、防寒テムレスがまたよく働く。
明日朝になっても強風が収まらなければ、もう4日も使ってしまったから、常念方面に進めるのは無理かも。ここから下山の可能性も考える。
5日目:晴れ 常念岳越え
起きると風は多少あるが意外にも快晴で、富士も浅間も御岳もという好天で、行くしか無い。真っ赤な穂高連峰を見て常念岳へ。蝶槍までにかかる時間で、その先に行くか判断しようと出発したが、夏道と変わらないスピードで行けたので、そのまま前進する。
蝶槍からの下りは腰までのラッセルだったが、スピードは落ちない。この区間には針葉樹林もあり、良い泊まり場多数あり。常念岳への登りは酸素切れというか、苦しかった。急な傾斜で突き上げる、登り甲斐ある良い形。やはり良い山だ。雪の山頂は夏よりも斜面が集約していて、心地の良い場所だ。松本平を見おろす。いつも下からはおなじみの常念岳から。
山頂にイグルーを、という案もあったが、明日、最終日の下降路が安心なルートではないので、今日のうちに樹林限界手前まで下ろすことにする。前常念を経由しての下降路は、ガスになると難しい。傾斜も急で足場の雪も腐っている。
樹林限界の200mほど上に小さな雪のテラスを見つけ、そこにイグルーを作ることにする。これより下ると穂高が見えなくなる、ぎりぎりまで松本平が丸見えなところに泊まりたかった。しかし、雪が悪く柔らかい。積雪も浅く、広範囲からブロックを取り、だましだまし作る。三度崩れた。風が強いので隙間を念入りに塞ぐ。松本平に山脈の影が伸びてゆく。お城のライトアップが真っ先に光りだした。
夜半強風で、僅かな隙間から雪が吹き込み、室内に積雪した。降雪よりも風が強い晩にこうなる。惨めなものだ。
6日目:ガス雪 三股経由で下山
雪で濡れ濡れながら、湯たんぽで足は冷えなかった。凍った靴に毎朝息切れしながら足を入れ続けて、今日は下山。
山頂に泊まらなくてよかった。この視界では下降に苦労したと思う。気まぐれにズボズボに潜る急傾斜にバランス崩さぬよう尾根を慎重に降りる。樹林帯に入ると風が弱まり安心感がある。この尾根も夏道を外すとハマりそうなので、ありがたいペンキの印を慎重に探しながらラッセルする。
かめさんが車で迎えに来てくれるというので、スマフォでお願いする。冬季閉鎖林道を歩き、途中、「大平原」を迂回する近道は、数百メートルほど林道が土砂崩落していて、急斜面の泥壁トラバースやイバラの藪こぎもあった。
林道ゲートにお迎えと両者同時に到着。そのまますぐ下の須砂渡食堂でとんかつを食べる。サラメシ現場男たちでいっぱいの店。こんな林道終点付近になぜ???
車回収の折、小倉のりんご農家の知り合いの所によって松がりんごを一箱買って帰った。
ウチに帰ると娘が、「毎日おとうがあのへんを歩いているなって山を見上げて思っていたよ」と、うれしいことを言った。こっちも見ていた。松本の町や、女鳥羽川あたりを。
常念岳は二年前、鷲羽岳を目指して松本市街から遠望した際に是非厳冬期に登りたいと思った山だった。今回そこに立って二年前の自分を見降ろした。
雪に宿り、○○をし、日の出を拝み、ラッセルを繰り返して山頂を目指す六日間の山行は、天候に恵まれもしまた厳冬期らしい目にも遭えた。
冬山に初めて登ってから30年経ったが、ここまで止めず登り続けて来てホント良かったと思えた今回の山行だった。
本山行不在中、次女が「オトウチャンが居ないと寂しいね。あ、でもこれ言わんといてね」を繰り返したとの家内からの報告もまた、今回の嬉しい収穫だった。いつもはクールガールなので。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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前に鍋冠山〜大滝山に行った時、私の軽ワゴンを出したのですが、
助手席にいても林道がおっかなかった!
その三郷スカイラインは昭和30-40年代頃観光開発で
ゴンドラだかリフトを通す計画があったと聞いてびっくり。
ゴンドラできなくてよかったね。
静かな山でした。
昭和40年代は山岳観光開発時代でね、林道作ると管理もタイヘンなんだよ〜。これからは広げた風呂敷たたんで行く時代ですね。以前はあのスカイライン、冬になると盆地から白い筋が見えた記憶があります。数十年で樹林に覆われ、今は展望も無いのではないかな。
初めまして
たがじょ会員のnitadoriと申します。
2月南八甲田山でイグルー泊しましたが
湿雪降る中イグルー造りして衣服結濡らす結果となりました。
湯たんぽの書き込み拝見しましたがイグルー泊ではかなり有効なのでしょうね。
また湯たんぽはイグルー泊では必ず携行されているでしょうか⁈
湿雪の中、ご苦労さま!一刻も早く屋根を作らなければと焦るでしょうね。
湯たんぽは同行者氏がやっていまして、今回米山は初めてです。500ml、広口のペットボトル(ビタミンウォーターのやつとか)が使いやすいです。ボトルを支える左手には、防寒テムレスがいいです。イグルーに限らず、寒い季節の沢登りでもいいですね。
ありがとうございます。
ビタミンウォーターのペットボトルを使い象足の中に入れる発送なんですね^_^
次のイグルー泊で体験してみたいと思います。
以前小型プラスチック製の湯たんぽあれば雪山泊で使えるかなとの発想で購入していましたが部屋の片隅に置いたままです。
ザックのパッキングではガサばりそうです。
私はまだイグルー泊2回目です。
心配性なのか崩れない様に、自分ではある程度強固で綺麗に作りたくなります、そのため
時間がかかりご一緒したメンバーの方々にご心配をおかけしました。
メンバーの方からももっと雑でもいいから短時間での築造が望ましいとのアドバイスいただきました。
今回のレコで写真拝見しましたが参考にさせていただき練度向上を図りたいと思います。
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