槍ヶ岳「49歳の挑戦:本命/大キレット断念」


- GPS
- 56:00
- 距離
- 49.1km
- 登り
- 3,181m
- 下り
- 3,177m
コースタイム
10/10 槍沢ロッヂ6:03−水俣乗越分岐7:00−天狗原分岐7:55−10:25槍ヶ岳山荘10:40−10:54槍ヶ岳11:28−11:40槍ヶ岳山荘12:01−12:30大喰岳12:39−13:12中岳14:03−南岳14:27−14:35南岳小屋
10/11 南岳小屋6:43−天狗原分岐7:04−8:02天狗池8:10−槍沢分岐8:35−9:05槍沢ロッヂ9:55−一ノ俣10:22−11:09横尾11:22−徳沢12:26−明神13:30−上高地14:35
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
「中岳〜南岳」と「天狗原」は大きな岩のガレ場でペンキのマークをたどります。ガスが濃い場合はマークを見落とさないようにすることが必要に感じました。 |
写真
感想
いろいろなことがあって… 4月、山登りの再開を決意し、今年の最終目標を「槍穂高縦走」に決めた。体力や感覚(気力)が足りていないことは充分に分かっていたので、準備の期間を半年程度と考え、トレーニングを開始した。
20年以上自家用車で通勤していたのを自転車に変えた。ダイエットのために、テレビで紹介されたロングブレスとバーベルによる筋力トレーニング、ストレッチを始めた。毎朝の犬の散歩で負荷をかける歩き方を始めた。1ヶ月もたたないうちに5垳採未掘▲戰襯箸侶蠅盖佑瓩襪海箸できた。今も続けられている。自分でも驚いている。
8月、北アルプスに出かけた。自分に「数日間、登山を続ける体力や気力があるのか?」、「山の感覚があるのか?」、もしくは「取り戻せるのか?」を自分なりに判断しようと思った。最も重視したのは「岩稜に対する恐怖感」に耐えられるかではあった。久しぶりの本格的(?)な山行を計画するにあたり、ヾ篶如↓1発2日 F山日の稜線歩行、そ蕕瓩討任呂覆せ外茵↓ツ控離、Π汰缶(山荘泊、エスケープルートの有無)…etc. を考慮し、「牛首ノ頭」「五竜岳〜八峰キレット」を選んだ。1泊2日で「八方尾根入山〜唐松岳〜五竜岳〜鹿島槍ヶ岳〜爺ヶ岳〜柏原新道下山」を歩き通せたが、多くの課題を得ることができた。
9月、立山室堂での会合のついでに「雷鳥沢〜真砂山〜雄山〜一ノ越〜黒部ダム」を歩いた。岳沢の長い下りイメージとしてのチャレンジだった。また、準備の仕上げとして、難所+長距離の「蟻の戸渡〜戸隠山〜高妻山」を計画したが悪天で行けなかったこと、また10月6日に槍穂の初降雪の情報は多少不安を抱かせた。
10月9日(火) 上高地より入山し、槍沢ロッヂ泊。飛ばしすぎて靴擦れ発症。
10月10日(水) 槍ヶ岳・大喰岳・中岳・南岳を経由し、南岳小屋泊。午後はガスに巻かれる。
10月11日(木) 気温が氷点下まで低下し、全てが「エビのしっぽ」で覆われた。小屋の方のアドバイスもあり、大キレットを断念して槍沢経由で下山した。残念な思いもあったが安堵の気持ちもあり、天狗原まで雑に降りてしまった報いを上高地までの平行道で味わい、地獄のロードにしてしまった。つくづく実力不足を感じた山行だった。
1日目 10月9日(火) 上高地12:50−明神−徳沢−横尾−16:10槍沢ロッヂ
急用で長野出発が1時間以上遅れた。上高地でゆっくり昼食をとり、のんびり上高地〜槍沢ロッヂを散策するつもりだったが、上高地出発が午後1時になってしまった。午後5時には暗くなるとのロッヂの方の話もあり、飛ばしすぎてしまった。結果… 両足踵+右足裏の3カ所に靴擦れをつくってしまった。おまけに左足の処置をしくじった。のちのち3日目の地獄を迎えることになる。
槍沢ロッヂには風呂がある。入らないつもりでいたが、ついつい入ってしまった。湯冷めしないよう心がけたが、夜布団に入る頃に寒気を感じた。ホッカイロでお腹を温めたことで何とかなったが、うかつであった。
携帯電話(AU)は圏外だったが、テレフォンカードが使える電話があって利用させて戴いた。夜、林立する大木の間にきれいな星空が見えた。
2日目 10月10日(水) 槍沢ロッヂ6:03−槍ヶ岳−大喰岳−中岳−南岳−14:35南岳小屋
快晴の朝、気分良く出発し快調にとばす。大雪渓を始めとしていくつかの沢を登ったが、槍沢は明るい。朝日が当たると明るさが増す。紅葉もあり、黄金色に輝く。気温も上昇し、水俣乗越分岐あたりでは半袖で歩いた。
槍沢上部で槍ヶ岳が見えるたとき、素直に感動した。その頃から雲がわき出し、稜線を越えて吹き下ろす風が冷たくなってきた。長袖→フリース→毛糸の帽子→ミトンと服装が夏から秋、初冬に激変した。岩に書かれた数字も800、700、500と減り、400、200、150を経て槍ヶ岳山荘にたどり着いた。稜線の向こうに見える裏銀座の山々は紅葉で黄色く見えたが、すぐにガスに巻かれてしまった。
30年前にも東鎌尾根を通ってこの場所にきたが、そのときは台風通過直後の強風で槍ヶ岳の山頂を踏むことなく西鎌尾根に向かったことを思い出した。槍の穂先を間近で見たのは初めてである。登山と下山の道が分かれていると聞いたことがあったのでどっちだろうと悩んだが、登山者も下山者も誰もいないので、楽そうな方を選んで登った。
右側のハシゴを登り詰め、3180m槍ヶ岳の山頂に立った。「く」のじの形の山頂で、1番奥に祠があるが、想像より広い頂上にちょっと感動(?)。30分以上の時間、槍ヶ岳の頂上を独り占めにした。下山した今、最高に贅沢な時間を過ごしたのかもしれないと思う。
槍ヶ岳山荘でカレーライスの昼食をとった。「山小屋で昼食(軽食)が食べられる」というのは知っていたけれど、実際体験するまで信じられないことだった。一応… 念のため… 昼食用のパンは用意していたが… 躊躇なく注文した。いいのかなぁと思いながらも3000mのカレーライスを堪能した。
槍ヶ岳山荘を出発する頃にはガスに巻かれ、大喰岳・中岳・南岳を素早く通過し、ガスの中の南岳小屋に到着した。こじんまりとしたいい感じの小屋で、従業員の方もすてきな人たちでした。今まで靴擦れにはガムテープで対応していたので、早速小屋の方に「ガムテープ20僂曚病廚韻泙擦鵑」とお願いすると「テーピングもありますがガムテープでいいんですか?」と優しい言葉を頂いた。本当にうれしかったです。テーピングは贅沢です。
壁際の寝床だったので、壁に当たる風や風で揺られた物が当たる音を聞きながら浅い眠りについた。やっぱり大キレット通過に不安があったのだと思う。
3日目 10月11日(木) 南岳小屋6:43−天狗池−槍沢ロッヂ−横尾−徳沢−明神−上高地14:35
4:30風の音が聞こえる。 5:00風が弱まった気もするし変わらない気もする。 5:30窓から見えるのは白いガス。 5:45タバコを吸いに外に出るがガス・風・白い風景… 小屋や石垣は一面エビのしっぽ。 6:00朝食。どうするか悩む。あまり食が進まない。 6:20小屋の方にこれからの天気と大キレット情報を尋ねる。
小屋の方の「今日のキレット通過はおすすめしません。」の一言で大キレットを回避することを決めた。すっきりと決断できたことに自分でも驚いた。残念な気持ちはあるが、安堵の気持ちが大きかった(様な気がする)。長い下りを考え、再びガムテープを所望する。「ガムテープを頂きたいのですが、今度は一本丸ごとお願いします。」笑顔でガムテープを渡して戴きました。
両足踵部分にガムテープをたっぷり貼り付け、完全冬山装備を身につけ、6時43分に南岳小屋を出発。南岳山頂付近で自宅に帰宅の電話を入れた。妻は喜んでいた。ずっと気にはなっていたが、心配かけてばっかりで申し訳ない気持ちで一杯になった。
天狗原分岐から200mも下るとガス(雲)の下に出た。風がやむとともに雪交じりの小雨になった。天狗原までの大岩がごろごろしている道を「やっぱり大キレットは行けなかったよなぁ」などとぐだぐだ思いながら… 「左足の靴擦れが痛いなぁ」と弱音を吐きながら… 「上高地まで遠いなぁ」と愚痴を言いながら… 雑に下ってしまった。その結果… 天狗池付近で左足首に痛みを感じ始めた。
槍沢の戻った頃には「両足踵部分の靴擦れの痛み」と「左足首ねんざの痛み」でペースは落ち始めた。槍沢ロッヂで抜いた女性登山者に一ノ俣出合付近で抜かれた頃には気持ちが半分折れてしまった。そこからの4時間は地獄そのもの。左足をかばって歩いたら右足付け根が痛み出して、ついには上高地直前の小梨平キャンプ地で休まなければならなかった。それからの10分は情けないの一言。上高地バスターミナルの食堂が1階にあって欲しかったのが本音。生ビールを飲みながら、下山が正しかったことを痛感した。
今回の参考で学んだことがたくさんあった。
ヽ彑修僚電仍碍い鮖箸Π幣紂⊂綛眞呂里茲Δ癖森堝擦鯤發ための運動靴を用意すること。南岳小屋のように登山者の安全を考えて山小屋のスリッパでの外出を認めない小屋もある(しごく当然)し、テント泊ではテントシューズは便利である。
何かと便利なガムテープを用意する。一巻きは無駄だが、タッパなどに巻いて貼り付ければ邪魔にはならない。
どうしても若い頃のように下りが早い。筋力の衰えを認識してゆっくり丁寧に下ること。
し搬單渡辰陵夙バッテリーは用意したが、デジカメにはない。電池式のデジカメがいいかもしれない。
ゾ屋泊の山行で必要な装備が用意できた。全て使用し、使わなかった装備は一つもなかった。成果としていきたい。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する