茶野〜鈴北岳〜三国岳☆犬上川源流域周回
- GPS
- 06:26
- 距離
- 14.1km
- 登り
- 1,312m
- 下り
- 1,294m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
三国岳から送電線鉄塔は踏み跡不明瞭 送電線鉄塔からはヤマレコマップ上の実線の登山道はなく、巡視路の踏み跡を辿って林道終点に下降 |
写真
感想
先週の日曜日に待望の車が納車されたところだ。車が手に入ったら真っ先に訪ねたいと思っていたのが福寿草の咲く鈴ヶ岳である。連休明けまで休校となっている長男と次男も一緒に行くという。息子達二人と一緒に山に出かけるのは実に久しぶりだ。蔓延しつつあるコロナウイルスのせいで外出の自粛が叫ばれているところではあるが、登山口まで車でアプローチする限りにおいては登山は許容して欲しいところだ。
鈴ヶ岳には複数のルートが考えられるが、三国岳を周回し鳴川谷林道に下山するコース取りを考えるので、登りは大君ヶ畑(おじがはた)から茶野を経由して登ることにする。少し前に万野から大見晴を経て茶野を周回したところではあるが、標高774.9mの三角点の置かれた万野は近江百山の一つに数えられてはいるが、標高938mは200m近く高く、好展望が広がるこの茶野こそ近江百山に相応しい魅力を備えているように思われてならない。
車は茶野の登山口の道路脇の広地に停める。登山口とはいえ、そのような道標があるわけではなく、あるのは送電線巡視路を示す小さな標識だけだ。ススキの原を過ぎて檜の植林地の中を緩やかに登る。林の中には早速にも苔むしたカレンフェルトの岩が登場する。カレンフェルトの鋭角的な形状は長い年月に及ぶ雨食の結果なのだが、苔むしたカレンフェルトは見るたびに地面から生えてきたかのような錯覚を覚える。樹林の間からは遠くにこれから辿る三国岳の姿が見える。
まもなく右手に落葉松の樹林が広がるようになると、その向こう側の急斜面は前回の山行で下降したところだ。ここは地図では判りにくいが二重尾根となっており、今回は送電線巡視路を辿って左手の緩やかな尾根を進む。我々の存在に気がついていないのだろうか、林の奥を猿の群れが悠々と横切っていくのが見える。林床には鹿の骨の一部が散乱していた。鹿の骨の残りを持ち去ったのはあの猿達だろうか。
植林の端まで来ると、樹々の間に差し込む木洩れ陽が新緑の若葉を輝かせる。急傾斜の尾根の下部にたどり着くと、送電線巡視路は右手の斜面をトラバースしながら登ってゆく。ここからは急斜面を直登するか送電線巡視路を辿るかの選択になる。そのことを子供達に説明すると次男はすかさず直登しようという。
斜面にはいく筋かの薄い踏み跡があるようだ。急斜面ではあるが次男は黙々と私の歩く後をついてくる。ところどころに樹に巻かれた古いテープも見かけると、次男は安心するようだ。
急斜面を上部まで登ると途端に斜度は緩やかになり、尾根の左手には樹木のない草原が広がっている。草原に出ると左手にはこれから周回する予定の焼尾山と三国岳が見える。冬枯れの草原の斜面を登るにつれ背後には霊仙山の展望が大きく開ける。
落葉樹が疎らに生える広々とした尾根を辿ると、まもなくカレンフェルトが散乱する茶野の山頂に至る。すぐ手前になだらかな山頂台地を有する山が見えるが、その一角に大見晴と万野のピークがある。琵琶湖の対岸では湖西の山々が青いシルエットを見せている。茶野の山頂では持参してきたグレープで小休憩をとる。
前回、歩いた時も冬であり、ほぼ同様の景色ではあるのだが、大きく異なるのはR307から絶え間なく車やバイクのエンジン音が聞こえてくることだ。前回、谷が静まり返っていたのはR306は冬季通行止のせいであったことに思い至る。
茶野から少しの間は樹木の少ない苔の尾根を歩くが、桜峠にむけて尾根が下にさしかかると自然林の樹林に入る。尾根の右手、南側は急峻な斜面となっている。前回の万野からの周回ではこの斜面を登ってきたのであるが、上から見下ろすとよくこんな斜面を登ったものだと思ってしまう。
桜峠からは鈴ヶ岳にかけて広々とした自然林の尾根が続く。鈴ヶ岳に至る二重尾根のあたりはグリーンシーズンには一面にワラビが繁茂する斜面だった憶えがあるのだが、今はその情景が信じられないほど枯れ草による茶褐色のカーペットが広がっている。やがて鈴ヶ岳の山頂が近づくと尾根から北側の斜面に多数の黄色い花々が目に入る。福寿草だ。斜面の下の方に至るまで、かなり数の花が咲いている。
荷物を降ろし福寿草の写真を撮るが、花に興味がない子供達には退屈な時間だったようだ。程々のところで花の写真を諦めて鈴ヶ岳の山頂に向かう。尾根の北斜面の福寿草は山頂に至るまで連綿と続く。鈴ヶ岳の山頂に至ると驚くほど人が多い。鞍掛峠か御池岳の方からここまで来られたのだろうか。
ヒルコバに下り、鈴北岳へと登り返すが、ここでも数多くの人とすれ違う。一昨年の秋、鈴ヶ岳から御池岳まで歩いた時のほとんど人と出遭わない静かな山行とは大違いだ。鈴ヶ岳の福寿草を目当てで来られる人もおられるだろうが、コロナウイルスの感染拡大のせいで山に登る人が多いのだろうか。
樹木のない鈴北岳の山頂からは、少し風が強いので鞍掛峠にかけて少し下ったところでのランチを提案するが、次男がここで食べたいというので、山頂の少し南側で御池岳から北西に伸びる稜線を眺めながらランチ休憩にする。この日は予め水分を吸わせたバスタを茹でたところにクリームシチューを溶かしたものだ。
鈴北岳を後にすると鞍掛峠までは多くの人が歩いている。鞍掛峠トンネルの東側の登山口から登って来られた人が多いようだ。焼尾山への登り返しになると、それまでの広々とした樹木の少ない尾根から落葉樹の樹林帯となり、途端に人は少なくなる。
三国岳へのジャンクション・ピークから焼尾山まではわずかな距離ではあるが、次男は往復を面倒臭がるので私と長男だけで山頂を往復することにする。尾根からは北側に展望が開け、これから辿る三国岳の展望が大きく開ける。尾根上にはバイカオウレン、イワウチワの花が咲いている。
山頂で引き返すと三国岳へ次男と家内を追う。次のピークca890mで二人は待っていた。ピークから西側に伸びる尾根にもテープと踏み跡がついているので慎重な次男は私と長男をここで待つことしたらしい。
三国岳へは樹高の低い落葉樹の細尾根が続く。足元を見るとカタクリの葉が数多く見られるが、花は一向に見当たらない。このあたりではカタクリの花期はもう少し先なのだろうが、うまく花期に訪れると相当数の花を見ることが出来そうだ。ようやくちらほらと咲いているカタクリの花をいくつか見かけることが出来たのは、三国岳の最高点が近づき尾根が登りにさしかっかったあたりだった。
三国岳の山頂は小さな鞍部を越えた先の次のピークだ。最高点と山頂が一致しないことが不思議にも思われるが、よくよく考えていると三国岳ならではのこと、すなわち近江、美濃、伊勢の国境稜線が交わる点が最高点と一致していないからだ。地図で確認してみると、東の烏帽子岳へと続く美濃と伊勢の国境稜線はこの三国岳山頂から伸びている。三国岳山頂はすでに文字が擦れてほとんど読めない木の山名標があるばかりだったが、山頂の南側からは茶野、鈴ヶ岳、鈴北岳と前半に辿ってきた山稜を一望する。
三国岳からは鳴川谷へと下る尾根に入るためには三角点がおかれたピークを越える必要がある。ダイラの頭に向かう尾根には明瞭な道が続いているようだが、この鳴川谷に降りるルートは辿る人はほとんどいないのだろう。三角点ピークに登る道は途端に踏み跡が不明瞭となる。三角点から先はシャクナゲの藪となり、ますます道は不明瞭だ。やがて尾根は急下降となる。尾根芯は灌木の藪が続くが、左手は下生の少ない檜の植林なので、植林地の中の急斜面を下降する。
送電線鉄塔にたどり着くと、鉄塔から先の尾根上には送電線巡視路の明瞭な踏み跡が続いているのを見て、子供達も安堵したようだ。送電線鉄塔からはこの踏み跡を辿って下降する。ヤマレコマップでは林道終点に向かって右手の斜面を下降する紫の実線で記された登山道が記されているが、GPSで位置を確認しつつ登山道を探るが登山道はその痕跡も全く見当たらない。この北部鈴鹿においては地図に記されている道が実際には道がないことがあるので驚かないが、鞍掛橋から桜峠に登る道も実際には送電線鉄塔から先は完全に消失している。巡視路と思われる踏み跡は尾根を先に進んでゆくので、この道が正しいことを信じて踏み跡を辿る。
やがて踏み跡は植林地の中をジグザグと下降しながら下ってゆく。テープ類は一切なく、植林地の中のかすかな踏み跡のみが頼りだ。薄暗い植林地から林道終点に飛び出すと一気に林道周囲には鮮やかな新緑の世界が広がる。
林道の水溜りにはなにやら黒い影が見える。最初は堆積した落葉かと思ったが、よくよく目を凝らして見ると無数のオタマジャクシであった。この林道は終点まで車で入ることが出来そうだが、オタマジャクシが成熟する前に車が通ったら車に轢かれてしまうことになるだろう。林道沿いに咲くミツバツツジ、キケマンソウ、斑入り山吹にミツマタなどの花々を楽しみながら歩くうちに国道までの道のりは意外に短く感じられる。駐車地までは国道を10分ほどの道のりであった。
大君ヶ畑の集落ては桜が満開であり、前回の万野への登山口となる妙玄寺に立ち寄ると既に無住の寺の前でも大きな桜の樹が満開の花を咲かせている。門前では早くも躑躅の花が咲き始めていた。
コメント
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新車いいですね〜 面白い車を買われたのかな?
鞍掛峠へのR306を走っていた時、右手に綺麗な稜線が見え、後で調べてみると茶野から鈴ヶ岳への稜線のよう。地理院地形図には登山道が明記されてはいるものの歩かれている方は少ない模様。それでもヤマレコユーザーさんのレコは上がっているので、参考になりそうなルートをいつもの様にカシミール3Dに登山道追記しておりました。
三国岳から鳴川谷へのルートも同じような話でして、こちらも追記はしてあるものの未だ踏めていない山域です。鳴川谷へのルートはP714経由と鞍部から林道終点への2ルート有るようで追記してあるこのルートも山猫さんの今回のログを参考に登山道の調整もしておこと思います。
「カレンフェルトは見るたびに地面から生えてきたかのような錯覚」
これっておっしゃるのがよくわかります。こんな風景は、秋芳洞へ行かなくては観られないかと以前は思っておりましたが、鈴鹿で見られるとは… まだまだ歩けていない鈴鹿のお山、これからも楽しみです。
コロナ禍が渦巻く毎日にて、建築関係のセミナーや講習会・勉強会もことごとく中止や延期となっております。山猫さんもお仕事上何かとご不便とご不安もあるものかと。ご自愛くださいませ。
ののさん コメント有難うございます。
長男も次男もいずれも受験だったこともあり、二人の息子が揃って山行に一緒に出かけるのは一昨年の初秋に三国岳から野坂山まで若越国境稜線を縦走した時以来なのでした。
車はあまりない車だと思いますが、それはまた改めて・・・
茶野から鈴ヶ岳への稜線は実にいいですが、今回、歩いた茶野に登る稜線の東に広がる草原の斜面も実に素晴らしいと思います。ののさん好みだと思いますので、是非。降雪があれば雪の時期もいいだろうと思っていたのですが、今年はその機会がありませんでした。
三国岳から鳴川谷は意外にも驚くほどレコがないですね。p714を越えてしまうと、鳴川谷の渡渉が必要だと思いますので、今回私達が下ったルートがおすすめのように思われます。
私は2月の下旬から7月までほぼ毎週、出張の予定が入っていたのですが、それはすべてキャンセルまたは延期です。延期は延期で後で大変なことになりそうなのですが、今は毎日、目先の状況を乗り切るのに必死です。
京都もついに緊急事態宣言の対象地域になりそうですね。
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