幌尻岳がつぶれて樽前山(過去レコです)。
- GPS
- 56:00
- 距離
- 11.1km
- 登り
- 1,313m
- 下り
- 1,310m
天候 | 曇り。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
飛行機
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありません。 |
写真
感想
アミューズトラベルのツアー登山で、幌尻岳に登ることにした。渡渉に備えて魚釣り用のウェーディングシューズを後輩ののO君から借り受け、一度近隣の沢に入って試し、準備万端整えた。避難小屋泊まりのため荷物が沢山、おまけに登山靴も入れなければならないので70Lのザックはギュウギュウ詰め。2011年7月9日、中部空港10時発のANA705便に乗り込んで、新千歳空港で集合。ツアー客は全員で16名、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、山口から男9名、女7名が集合。ガイドは3人。さらに現地のガイドが一人合流すると云う。小型バスに乗り込み平取(びらとり)町へ向かう。バスの中でガイドのリーダーが登山の説明をし、「わたしは今までに幌尻岳には6回登ったが、全て頂上まで登る事が出来た」と云う。じゃあ、今回も大丈夫だろうという空気がバスの中に流れる。時間もまだ早いので、途中、二風谷(にぶたに)のアイヌ集落を復元した場所に立ち寄り、暇つぶしをする。本日の宿泊は「とよぬか山荘」。山荘とは云っても、廃校となった旧豊糠小中学校の跡。泊まる場所は教員用の宿舎で、長屋の一軒に男9人が押し込まれる。食事は運動場をはさんだ校舎でジンギスカン。翌日の出発は朝3時と早立ちなので、夕食後早々と就寝。夜中、屋根を叩く音に何度も目を覚まさせられる。朝2時に起き出して、朝飯と昼飯用にオムスビ4個をザックに詰め、ウェーディングシューズを履き、真っ暗闇の中、校舎の玄関に集まる。バスのドライバーと爺さんが話をしている。どうやらこの爺さんが現地のガイドらしく、「夜中に幌尻山荘と無線で連絡を取ったら、大雨だと云っていた」と話している。幌尻岳に降った雨は北カールに流れ込み、それが全て額平川に流れ込むので、川はすぐに激流になると云う。雨が止めば流れ去るのも早く、3時間も待てば渡渉可能になるのだが、雨は降ったり止んだり。ガイド4人とドライバーが鳩首会談し、ここで待っていても埒があかないので取りあえず登山口まで行こうと、爺さんの4駆とバスに乗り込み、山道を1時間ほど走る。登山口の15km手前に車止めがあり、鍵を開けて入る。雨の中を無理して登り遭難する人が後を絶たず、昨年は死亡者まで出たので、今年の7月から個人の車は入山禁止となり、専用のバスしか通ることが出来なくなった。バスの出発時間は朝の3時、7時、11時の3本だけ。われわれのバスは3時過ぎに出発し、4時前から空は白み始める。4時半前に登山口に到着、ここからはバスは入れない。登山口からは爺さんの4駆で、数人が渡渉地点の取水口まで偵察に行く。彼らを待つ間も雨が降ったり止んだり、仰ぎ見ればぶ厚い黒雲が天を覆っている。爺さんから無線が入る。「これはちょっと無理だろう。バリバリの山屋なら渡れないこともないが、団体さんでは止めた方がいい。幌尻山荘には15人泊まっているが、下山は止めている」。1時間程して爺さん達が戻り、再び鳩首会談が始まる。あ〜でも無い、こ〜でも無い。飛行機に乗ってわざわざやって来た客なので、そう簡単に結論を出す訳にはいかない。突如大雨が降って来たのをきっかけにようやく中止の結論を出す。客の誰もが納得し、文句をいう者はいない。通夜の客を乗せたバスが「とよぬか山荘」に戻ると、7時のバスに乗るためにお客が集まっている。ここは小降りなので皆さん登る気満々だが、結局バスは出ず。翌日の情報では、幌尻山荘の15人はこの日、下りることが出来なかったそうである。添乗員役の大阪のガイド、田中さんがこれから先の手配をしている間、教員宿舎に戻って朝飯のオムスビを食べながらひと休み。
9時半に「とよぬか山荘」を発ち、富良野観光に向かう。えらい違いだが、朝からバスの中で缶ビールを飲むのも悪くない。富良野のハーブ園で昼飯用のオムスビを2個平らげ、「ふらのワイン」でワインの試飲。「富良野チーズ工房」でチーズの試食。富良野を見おろす展望台に寄り、平取町老人福祉センターの「びらとり温泉」で、かいてもいない汗を流す。「とよぬか山荘」は本日は予約で満杯。田中さんは今夜の宿泊先を求めて携帯電話をかけまくる。夏の間は日本の山でアルバイト、冬はニュージーランドで日本人相手にガイドをしている田中さんは、ビクとも慌てた様子を見せ無い。あちこち連絡を取り、ようやく探し当てたのが二風谷の民宿「チセ」。素泊まりと云う事で、「びらとり温泉」併設の食堂で夕食を摂ってから民宿に向かう。「チセ」の6畳間に3人ずつ、わたしの相客は広島の人と四日市の人。四日市の御仁は、最後の百名山に幌尻岳を選んだ人、さぞかし残念だっただろうが言葉には表わさない。みんな知っている、「幌尻岳は登れないのが当たり前」。2回目、3回目はザラ、「わたしは前回予備日付きのツアーで来たが駄目でした」と広島の御仁。夜9時頃、5人連れの客が入って来る。今朝、とよぬか山荘の前で7時のバスを待っていた人達で、今日は行き先を変更して雌阿寒岳に登って来たという。聞くと、「山口から車で新潟まで走り、新潟からフェリーでやってきたが、幌尻岳に登れない日が3日間続いていて、明日がラストチャンス、3時のバスで登る」。
未明、山口の一行が宿を発ち、われわれは明るくなってから起床。本当なら幌尻山荘で食べる為に持ってきたレトルト食品に、お湯をかけて食べる。幌尻岳の代わりに田中ガイドが選んだ山は「樽前山」。一応「花の百名山」に入っていると云う。8時に出発し、支笏湖に向かう。登山口の説明板によると、樽前山は三重式火山で、現在も噴気活動があり内輪山への立ち入りは禁止されていると云う。中心部の溶岩円頂丘は1,041mであるが、本日は外輪山の東ピーク(1,022m)までの登山となる。ここはすでに七合目、サブザックに水と雨具を入れ、登山口に入る。ダケカンバの林、ガスの立ち込めた中、階段を登る。早々とタルマイソウが現れる。これはイワブクロで、別に樽前山が発見地でもないが、ここに多くが生育していることによりタルマイソウと呼ばれている。すぐに高い木は無くなり、低木の茂みの中に階段が続く。やがて階段は終わり、低木も無くなり、軽石の転がる無毛地帯をトラバース。こんな荒涼とした所に、ウラジロタデ、マルバシモツケ、エゾイソツツジ、これらのかげにシラタマノキが咲いている。50分ほど登って稜線に上がると、そこは東山と西山の分岐。向こう側には溶岩ドームが見える筈だが、乳白色の中に溶け込んでしまっている。軽石の敷き詰められた外輪山を少し辿ると東山、そこには「樽前山山頂1、022M」と記された真新しい大きな看板が立っている。風が吹きまくる中、色んなムシが一杯寄ってきて、服やズボンにつく。本州の山で顔にまとわりつく小さなブヨのようなものではなく、結構大柄なムシ達。顔はネットで覆ったが、両手5か所が噛まれ、その後数日間痒みが取れなかった。下山途中の展望台でしばらく休んでいると、ガスが薄くなり眼下に支笏湖がうっすらと現れる。休暇村支笏湖の日帰り温泉で汗を流し、昼食を摂る。生ビールを2杯。新千歳空港への途中、サッポロビール北海道工場を見学。見学後、出来立てビールの試飲。北海道限定サッポロクラッシックが旨く、お代わり。売店でこれを買い求め宅配とする。空港の売店でトウモロコシの宅配を頼み、機上の人となる。山は逃げないが、人間はいつまでも待てない。リベンジ出来るのかな〜、自信は無い。
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