利尻山(過去レコです)。


- GPS
- 56:00
- 距離
- 12.4km
- 登り
- 1,562m
- 下り
- 1,562m
天候 | 雨。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
船 飛行機
帰りは利尻空港から新千歳空港。そしてセントレアへ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
それなりに危険個所あり。 |
写真
感想
アミューズの利尻山・礼文岳に申し込んだが、礼文島は余分なのでアミューズはキャンセルし個人で行く事にした。アミューズは6月12日からの3泊4日、登山専門の旅行会社が計画するぐらいだし、この時期は梅雨のない北海道が良かろう。1ヶ月以上前に近畿ツーリストで飛行機の手配をした。千歳から利尻までの飛行機はとれたが、それに間に会う中部国際空港からの便がすでに予約で満席。仕方が無いので中部国際空港から稚内まで飛び、稚内からフェリーで利尻島に渡ることにした。帰りは利尻空港から千歳空港でトランシットし、中部国際空港までの便が取れた。
09年6月13日(土)、中部国際空港へ。荷物を預けるべく並んでいると、稚内行きの便は天候不良につき札幌か旭川に行くことになるかもしれないとアナウンスがある。ひょっとすると旭川からJRで稚内まで行くことになるのかな、それとも旭山動物園見学に変わるのかな。プレミアムラウンジでビールを2杯飲んでから搭乗口へ。10時20分、ANA395便は予定通り離陸。札幌にも旭川にも行くことなく無事稚内空港に着陸し、まずはひと安心。小雨降る中、レンタカーで宗谷岬へ。気温は6℃、風が吹きまくり、かもめが舞い、海は黒く、荒涼とした景色が、北の果てにいることを実感させる。カッパを着ていても寒いので早々に引き上げ、道路を渡ったところのレストランでウニ丼を食べる。お味噌汁はシジミかと見紛うホタテの稚貝。こんな小さな貝、採っていいのかな。時間は余り無いので他にはどこも寄らず、海沿いの国道238号線を逆戻り。稚内駅でレンタカーを返し、雨の降る中ザックを背負い、コロコロバッグを引っ張ってフェリーターミナルまで歩く。利尻島行きの改札口の前には長蛇の列が出来ているが、わたしは待合室の椅子に座って、缶ビールを飲みながら出発を待つ。旅行カバンの人、ザックをかついだ人、ほとんどが団体さんのようである。ハートランドフェリーは、離島の連絡船にしては結構立派な船。雨の中、タラップを上り、係員に案内された一等ラウンジは豪華客船の雰囲気。3時半、船は滑るように港を離れ、心配していた船酔いも無く、無事鴛泊港に到着。楽しみにしていた海上からの利尻山はすっぽり雲に覆われ、姿を見せて呉れなかったのは残念。ホテルの迎えのバスに乗り、港の中の利尻マリンホテルへ。フロントで、翌日登山口まで5時に運んでくれる事と、朝飯を弁当にしてもうよう頼む。売店で明日の朝食用に牛乳と餅菓子、そして携帯トイレを買う。早速入ったお風呂は、肌がすべすべとなる気持ちの良い温泉。夕食はウニ、アワビ、タコ、ホタテ、リシリヒラメ、煮魚と、地元の海産物が盛り沢山。味噌汁はここもまたホタテの稚貝。計画通りに利尻島に来られたことを喜びながらすっかり平らげて満腹、酔いも回る。部屋に帰って携帯電話の目覚ましを4時半にセットし、ベッドに入るともう起きていられない。
翌朝4時半に起床、外はもう明るい。さすが日本最北端、日の出は3時48分、日の入りは7時24分、たっぷりと昼間がある。天気予報どおり、雨。カッパを着込み、ホテルのマイクロバスで登山口まで運んでもらう。運ちゃんが、もう隣の宿の団体さんは出発したと云う。先に登っている人がいるのは心強い。利尻山は利尻富士と呼ばれているが、「富士山の5合目以上が海に浮かんでいる感じ」と記されている。利尻北麓野営場の登山口は標高220m、頂上までの標高差は1500mもある。これは富士吉田口から富士山、上高地から穂高岳へ登るのに匹敵する標高差。日帰り登山にしては少々しんどそう。1週間前、頂上付近の登山道で崩壊があり、まだ亀裂もあるので要注意、運ちゃんは雪が降るかもしれないと云うし、ま、いつもの如く行ける所まで行こうと、5時25分、登山道の入り口で登山靴の底を洗って登り始める。チップの敷き詰められた道はコンクリートの道となり、10分程で甘露泉水に到着。そこは3合目、ポン山へのハイキングコースを分け、ここからは山道となる。鬱蒼としたエゾマツやトドマツの林の中の道を緩やかに登り、35分程で4合目に到着。汗をかくので長袖シャツを脱ぎ、Tシャツのうえにカッパをはおる。後から来た団体さん、「どこから来たの」と尋ねると、「群馬」。「へ〜、遠いところから」、考えてみればわたしはもっと遠い所から来ている。団体さんを先に行かせ、わたしも出発。比較的緩やかな登りであるが、道はぬかるんでいて、これを避けて通ることは出来ない。早くも登山靴は泥だらけとなる。下ばかり見ているとゴツン、アタマ注意。エゾマツやシラカバの大木に蔦がからみつき、ササやシダやフキのみどりが雨に濡れて輝いている。これはウコンウツギ、あれはエゾノヨツバムグラか。道端にはヒトリシズカが群生し、ヒトリサワガシ、オオゼイシズカ状態、これだけ沢山咲いているのも珍しい。快適に歩いて5合目でひと休み。登山口からおよそ1時間半、自作の予定表を見ると順調に経過している。ガスが流れて利尻山のなだらかな裾野が見えるが、頂上や礼文島までは到底見えそうも無い。徐々に傾斜を増した登山道、これはミヤマエンレイソウ。ダケカンバは矮小化し、強い風のため斜めに生え、登山道にせり出している。それをよけながら登り、6合目に達する。すでに森林限界、ハイマツだけで遮るもののないビュウーポイント、第1見晴台と書いた標識があるが、どちらを眺めても乳白色の世界が広がるばかり。群馬の団体さんはいつの間にかわたしよりずっと後ろに。溶岩の転がる登山道は七曲りとある。オオバナノエンレイソウの群落。急な斜面をジグザグに登り、7合目に到着。果たして予定通りの時間で登っているのかと、ポケットから予定表を取り出して見ようにもビチョビチョとなって判読不能。でも大分予定よりは早く登っていそう。元気を出してさらに登る。時折ガスが流れて現れる利尻山の山肌は、至るところに雪を残している。第2見晴台は知らぬ間に通り過ぎ、息を切らせて8合目に到着。長官山と書いてあるが、ここはただの通り道。別の団体さんが休んでいるのを追い越し、先に進むとぬかるみの下り坂。かなりの急斜面を、木の枝を掴みながらぬるぬると滑り降り、避難小屋に到着。小屋の中は団体さんで一杯なので、外の濡れたベンチに腰をおろし一服。ベンチの後ろに咲いているザゼンソウ、たった一輪で寂しそうに見えるのは疲れたせいか。団体さんのガイドが、「あの人はもう駄目だ」と云いながらロープを取り出している。恐らくここから引き返すのだろう。しばらく休んで元気を取り戻し、団体さんより先に登り始める。エゾノハクサンイチゲの大群落、これに混じってイワベンケイ。泥沼状態の溝状の急坂。非難小屋から40分程で9合目に到着し、ここで再びひと休み。相変わらず、360度乳白色の世界。どこが頂上か判らないがあと少し。赤茶けた溶岩石のゴロゴロする急坂を登る。エゾエンゴグサやバイケイソウが目に留まるが、肝心のリシリヒナゲシ、ボタンキンバイはまだ時期尚早か。「通行注意! 登山道の右側土壌が崩壊し、大変危険な状況です。トラ縄は危険箇所を知らせるロープですのでつかまらないでください!」と、真新しい看板が立てられている。右側がスッパリと崩れ落ちた溶岩のガレ場の尾根、覗き込むのも恐ろしく、左側に寄って登る。無事渡り終えると、雪の残った溝状の道。そして右手から沓形コースの道が合流。このコース、雪の上に足跡は無く、人の通った気配は無い。もうひとふん張り、雨はミゾレとなり、ミゾレは雪となった10時55分、赤い祠の建つ頂上に到着、とうとう頂上まで登ってしまった。登りはじめてから5時間半、予定より大分早い所要時間であった。しかし登っては見たものの、見渡す限り相変わらずの乳白色、じっとしていると寒い。長居は無用、祠をバックに写真を撮っただけでさっさと下山開始。泥状の登山道をゆっくり慎重に下っていると、ハーネスにロープをつけたおばちゃんが、ガイドに引っ張り上げられながら登ってくる。避難小屋から引き返すのかと思っていたが、なんと頂上まで頑張るとは、パワーは無いけどおばちゃんパワー、恐ろし。果たして下りはどうなるのやら、明るいうちに下山出来るのかちょっと心配。崩壊場も無事通り過ぎ、9合目から避難小屋へ。避難小屋には誰もいず、ホテルの作ってくれた弁当を取り出して昼食とする。その間に、団体さんがやってきて、小さな小屋はすぐに満員となる。入り口際に座って食べているので、ドアーを開けているとすっごく寒い。おむすびを持つ手がぶるぶる震える。人が出入りするたびにドアーが開き、その度にわたしが閉める。このマナーの悪さ、いい加減にせんかと叫びたくなる。団体さんが去りホットするのも束の間、次の団体さんがやってきて同じことを繰り返す。座っていては寒くなるばかり、わたしも出発。8合目では沢山のザックがデポしてある。先ほどの団体さんが長官山に登っているようだ。こんな日にわざわざ登る気はしないが、おそらくツアーの行程に入っているのだろう、気の毒に。それとも一等三角点を撫でないと気がすまないという人がいるのかな。ここで団体さんは全て追い越し、どんどん早足で下る。靴はドロドロ、ズボンの裾もドロドロであるが、気にしていては下れない。バチャバチャと泥を跳ね上げ、ぬかるみも何のその。膝に来たのだろう、よたよたと下っているおっちゃんを追い越し、相変わらずの早足で下る。甘露泉で靴を洗い、登山口に帰りついたのは3時前、予定より随分早い行程であった。野営場の水場でカッパのズボンと靴とストックを洗い、公衆電話でホテルに迎えの車を頼みベンチに腰をおろしてひと息つく。
この山の名前は「利尻山」であるが、深田久弥はその著「日本百名山」で「利尻岳」としている。このことについて、山岳写真家の三宅 修は、「ちょっと奇異に感じるのは、アルペンムードの1721m峰が一般の利尻山と呼ばれ、おだやかな490m峰が礼文岳と呼ばれていることだ。深田久弥が利尻岳としているとおり、山と呼ぶより岳のほうがふさわしいのではなかろうか」、としている。確かに、岳は山の上に丘を載せた山より高い山。でもわたしは利尻山を利尻岳と呼ぶことに賛同しない。利尻山は別名「利尻富士」。○○富士は多けれど、本家本元ニッポンイチの富士山を始め、津軽富士は岩木山、鳥海富士は鳥海山、榛名富士は榛名山、諏訪富士は蓼科山、信濃富士は黒姫山、伯耆富士は大山、玖珠富士は涌蓋山と、○○富士は○○山が圧倒的に多い。中には由布岳の豊後富士、開聞岳の薩摩富士なんてものもあるが、利尻山は利尻山で良いではないか。標高500m以下の低山でも、○○岳と名の付いた山は幾らでもある。勝手に名前を変えないで欲しい。
ホテルに帰って冷えた身体を温泉で温める。夕食はとても全部は食べきれず、今日もまたバタンキュー。
ゆっくりと起床。朝食もしっかり食べ、レンタカーで島を1周することにする。海岸沿いの広い道路、車は少なく快適にドライブ。反時計廻りで、まずはエゾカンゾウ群生地の沓形岬へ。「どんとどんとどんと波乗り越えて・・・」の石碑、作詞の時雨音羽はこの地の出身。次は「北のいつくしま弁天宮」へ。傍らの「寝熊の岩」、「人面岩」、その気で見なければそう見え無い。海面は昆布で埋め尽くされている。「麗峰湧水」で喉を潤し、「仙法志御崎」へ。囲いの中のアザラシ2頭、餌を求めて付いて来る。売店で利尻昆布をお土産に。オタトマリ沼は、水面に利尻富士が映されるので有名だが、水面どころか実物にもお目にかかれない。今日は雨は止んだが空は雲に覆われている。名物ソフトクリーム「万年雪」は250円也、美味い。西海岸を北上し、時間が無いので姫沼には寄らず高山植物展示園を目指す。ナビが無いのでウロウロし、結局場所がわからず断念。野生のアザラシを見に行くべく、まずはペシ岬へ。丘に登って眺めると礼文島が、そしてポンモシリ島と思しき小さな島が見える。富士野園地へ向かい、目の前のポンモシリ島を眺めると、アザラシらしき姿が3っつ見える。これぞ野生のアザラシ、ちょっと感激。レンタカーを返し、送迎車で利尻空港へ。搭乗手続きに並んでいると何だか見覚えのある人、アミューズのガイドさんだ。わたしもこのツアーに参加していた可能性があったんだ。
利尻空港を飛び立った飛行機の窓から、雲の上に浮かんでいる利尻山を一瞬見ることが出来た。島を離れる時に初めて目にした利尻山は、真っ白な雲の絨毯の上にただ一つ黒い頭を出し、格調高い孤高の山であった。千歳空港までのフライトは短いが、千歳空港は発着の飛行機で混み合っていて着陸を待たされる。やっと着陸したかと思えば、バスでグルグル連れまわされ、買い物する暇も無くすぐに中部国際空港行きの機内に。セントレアからはうまい具合に岐阜行き特急に乗れ、順調に帰り着くことが出来た。
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