木曽駒ケ岳(過去レコです)。
- GPS
- 32:00
- 距離
- 3.8km
- 登り
- 419m
- 下り
- 433m
天候 | 晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
それなりに危険です。 |
写真
感想
2009年4月11日から1泊2日の登山を何処にしようかと考えて、木曾駒ヶ岳を選んだ。前回天狗岳へ登ってから3週間が経っていた。1週間快晴の日が続き、この2日間は夏日となっていたが、週末は晴れ時々曇りとの天気予報である。4月11日、今日はホテル千畳敷に泊まるだけ、朝ゆっくりと8時半に出発し、高速道路に乗る。先週から休日の高速道路は1000円で乗り放題というわけで、いつもがらすきの東海環状自動車道も車の列が出来ている。中央高速に入ると一層車の数は増し、走行車線を時速80km、今日は急ぐ必要もないのでゆっくり走る。駒ヶ根のバスセンターの駐車場に車をとめ、隣のレストランで昼食。手作りソーセージやピザなどをつまみに、まず地ビールのセットを試す。その中から旨かったものをもう一度頼みグイッ、さらにもう一杯。お腹も一杯、すっかり出来上がってバスに乗り込み、グネグネの山道を30分揺られながらしらび平に到着。夏なら整理券を貰って待たされるのだが、すぐにロープウェイに乗り込む。あっという間に標高2608mの千畳敷まで運ばれ、ホテルにチェックイン。まだ2時を回ったばかり、風呂は4時半からとの事。部屋でビールを飲み、さらに持参のブランデーを追加し、時間を潰す。風呂に入ってすぐに食堂で夕食。ここでもビールを飲み、もうフラフラ、部屋に戻って窓から外を見ると、駒ケ根の夜景が綺麗だ。明日も晴れて呉れ。暖房がガンガンに効いていて、布団もかむらずに寝付く。
外は明るくもう6時、目覚ましを5時半にかけておいたつもりなんだが、なんで鳴らなかったのだろう。窓から外を眺めると雲が多いが、まあまあの天気が期待出来そう。朝食は弁当にしてもらったので、それをザックに入れ、ハードシェルに身を包み外に出る。夏には青々としている千畳敷カールは、真っ白な雪に覆われ、草木はすっかり雪の下。宝剣岳など、急な岩山には雪が付かず、荒々しい黒い地肌を見せている。千畳敷カールの登りは、夏ならばジグザグの階段がついているが、今は乗越浄土に向けてまっすぐに足跡がついている。これはかなりしんどそうだ。6時45分、「ここから先はアイゼン、ピッケルが必要」と、立て札のある所からカールの底に向かって下る。雪は固くしまり、アイゼンがカリカリと快い音を立てる。誰もいないカールを緩やかに登り、やがて宝剣岳を仰ぎ見ながら乗越浄土に向かう急坂に取り付く。最近雪は降っておらず雪崩の危険は無さそうなので、その点は安心。一歩一歩、ピッケルを突き刺し、階段状の足跡を辿る。汗が流れ出る。上着の前をはだけ、風を入れる、帽子をあげておでこを出す。途中、立ち止まって休みを繰り返し、最後の急坂を頑張って登り、ちょうど1時間で乗越浄土に到着。振り返れば、雪を抱いた南アルプスの山々が連なり、その向こうに富士山の頭が白くぼんやりと浮いている。宝剣山荘は雪に埋もれ、煙突だけが顔を出している。いつしか雲も少なくなり、日差しもきつくなっている。ここでハードシェルを脱ぎがてらひと休み。宝剣岳に向ってザイルを肩に3人組が歩を進めているのが見える。しばらく眺めていると、登ったり下ったり、悪戦苦闘している様子である。これはわたし達の行くところでは無さそうだと思う。真っ白な三ノ沢岳を左に見ながら、こまくさ育成場横の凍った道を歩き、中岳の登りに差しかかる。右手に八ヶ岳連峰が浮いている。15分ほどで中岳の頂上に登ると、突然御嶽山が姿を現す。さすが信仰の山、雪を冠ったどっしりした山容からは神々しささえ漂ってくる。目の前には、中岳と左程背の高さは変わらない木曾駒が、丸い丘のように白く座っている。こんなに近かったかな?と思うほどの近さである。駒ヶ岳頂上山荘に向かって中岳を下る。結構急な道で、足跡をたどって慎重に下る。下り終えて見上げる木曾駒は中岳の上から見たのと違って急な斜面である。その斜面に真っ直ぐに頂上に向かう足跡が続いている。少し登って、ひと休み。雪の斜面にひっくり返って見る宝剣、その右手に空木岳、南駒ヶ岳、三ノ沢岳と真っ白な山が続く。昨年佐野さんと登った越百山から南駒、空木のルートを、指さしながらたどる。木曾駒の最後の急斜面、しんどそうだなと思っていたが、あっけなく山頂に到着。まだ9時10分、途中ゆっくり休んでても、登り始めてから2時間20分しか経っていなかった。春の明るい日差し、風は無く、わたし達以外に誰もいない真っ白な頂上、ここはほぼ3000mの世界、まさに天国。手を伸ばせば本当の天国に行けそう、もう行ってもいい、と思うほど。御嶽、乗鞍、霞沢岳、穂高連峰、常念、大天井が連なっている。その先の白馬、右手の浅間山は春霞に遮られて見えない。八ヶ岳連峰、南アルプスの長〜い峰々、空木、南駒と、360度の大展望である。ゆっくりと天国を堪能し、いっぱい写真を撮ってから下りにかかる。この急坂にシリセードの跡がつているが、ちょっと真似をする気にはなれない。男2人、女1人の若者のパーティーが登ってくるのに出会う。本日出会った始めての人達、そのうちの一人は半袖のTシャツ一枚、どんどん汗が出てくるので堪らない、先週登りに来たが吹雪で撤退し、今日はリベンジに来たと云う。中岳からこれまた3人組が下りてくるのが見える。こちらはわたしより年配と思われるおじさんが、中高年のおばさん二人を連れている。昨晩ホテルに泊まっていた人達で、今朝はゆっくり朝食を食べてから出てきたと云う。春とは思えない陽射し、汗がだらだらと流れ落ちる。ハードシェルを脱いでザックに詰め、緩んだ靴紐を締め直して中岳を登り返す頃、お腹がすいてきた。まだ10時を少し回ったところであるが、中岳の頂上で腰をおろし、弁当を取り出す。朝食のかわりに昨晩作ってくれたものであるが、オムスビが3個と豪勢なおかずがついている。山の弁当としては立派過ぎる。乗越浄土から宝剣に向かう人たちを眺めながら弁当を平らげる。急な雪の斜面を這い上がっていく人たち、大丈夫かなと心配しながら見ているが、無事頂上まで登ったようだ。反対方向の伊那前岳の稜線を連なって登る人の姿も見える。雪屁が張り出しているので心配するが、こちらも無事頂上まで行き着いている。Tシャツの男が登ってきて話しをする。2か月振りの山で、千畳敷カールを20分で登ったので息切れがすると云う。ゴールデンウイークのトレーニングのために来た、奥穂に登る予定だがこれもトレーニングで、その後、剣に女の子二人を連れて登る、ダブルザイルが必要かな、とか喋っている。なかなかのツワモノのようである。中岳を下り、乗越浄土から見下ろすと、真っ白なカールの底に向かって足跡が落ち込んでいる。ちょっと怖いぞ。この陽射しで雪は溶け始め、乗っけた足がズルリと滑る。このまま滑り落ちては大変、慎重に足跡を辿って急斜面を真っ直ぐ下る。途中ひと休みして無事カールの底に降り立つ。平らな底は5m以上の積雪、表面は緩んでいるので膝までズボっと雪にはまる。ズボズボとカールを横断し、気がつくと左足のアイゼンがはずれそうになっているのでこれを脱ぎ、最後の坂を登り終える。11時40分、4時間50分の行程であった。ホテルの前は観光客で賑わっていた。
ロープウェイ、バスと乗り継ぎ、天国から下界に下り、こぶしの湯で汗を流してから帰途に着いた。
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