笈ヶ岳(大笠から千丈平経由で)激闘17時間
- GPS
- 17:09
- 距離
- 19.7km
- 登り
- 2,624m
- 下り
- 2,636m
コースタイム
- 山行
- 15:47
- 休憩
- 1:18
- 合計
- 17:05
3.32 1552m アカモの頭
4.04 1570m 旧避難小屋 水場
4.44 1821m 大笠山
5.30 1680m 稜線から下降
6.45 1470m 千丈平
7.34 1370m シンノ又切替点
8.51 1730m 錫杖岳
9.53 1841m 笈ヶ岳山頂
10.00 1841m 笈ヶ岳山頂発
10.50 1730m 錫杖岳
11.52 1370m シンノ又切替点
13.05 1470m 千丈平
14.30 1680m 稜線
15.50 1821m 大笠山
16.30 1570m 旧避難小屋 水場
17.02 1552m アカモの頭
18.20 580m 登山口
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
#大笠山までは登山道明瞭 #大笠山から先の稜線は激藪、登りは100m進むのに30分ほどかかる箇所も多し #稜線から外れ千丈平へしばらくは激笹薮、下りはマシだが登りは地獄 #千丈平は魔界の迷宮だった #シンノ又1350mから進路を折れ沢を詰めて稜線へ、稜線まで沢登り藪は無し #稜線から笈ヶ岳まで激藪、遅々として進まない #行きも帰りもシンノ又まで500m下って500m登り返す、行きも帰りも同じくらい時間はかかる |
その他周辺情報 | 五箇山くろば温泉 城端SAに温泉あり |
写真
感想
笈ヶ岳は登山道はなく激藪を回避するため通常雪のある残雪期に行くことが多い、雪のない時期ならどこから行くにも激藪に挑まなければならず200名山最難関だろう。
過去に厳冬期4回、残雪期1回、無雪期2回挑戦しいずれもワンディでピークを踏んでいる。ただ大笠山からのルートはまだ未挑戦である。一度厳冬期に挑戦したいと考えていて今回その下見も兼ねて千丈平から沢を繋ぐルートを開拓してみた。結果17時間の激藪との格闘になった。このルートは稜線の激藪を回避してなおかつ水を得られるというメリットを活かせると思ったものだが沢の中は狙い通りであったが一旦沢を外れると周囲の見えない激藪でわずか100mの距離にも30分以上かかるような場所も多くて難を極めた。
深夜23時半に自宅を出て桂湖へ向かう。大笠山の山頂で朝日を拝むマンダム作戦である。1時19分登山口の大畠谷橋をスタート、満天の星を見上げ無事帰還できるように祈った。いきなりの急登を階段、鎖を手がかりにガンガン行く。標高が低くて蒸し暑い、川の音が次第に聞こえなくなりグングン標高が上がるのがわかる。1500mまで順調に高度が上がるがこの先アップダウンが多くて高度は上がらず時間だけが過ぎて行く。
旧避難小屋跡に到着、東の空が少し赤くなり周囲も白んできた。水場には水はなかった。冬が過ぎるとホースの位置がずれて水は出なくなる。今日は千丈平で水は取れるので問題ない。ここから最後の急登をこなして稜線に出ると予定通りご来光となった。素晴らしい朝である。深夜に出なければこの感動は味わえない。山に来て良かったと思える瞬間である。まずは遠くの白山が赤く染まった。次に笈ヶ岳、そして大笠山にも日が当たる。稜線もキラッキラに輝き出した。山が一番映える時間帯である。
すぐに大笠山のピークだった。目指す笈ヶ岳の存在感が半端ない。さあ先を急ごう。この先登山道はなく激藪となる。藪は灌木笹のミックス、本当に手強い、密度が濃くて行く手を遮る。メット、サングラス、ノーズガードは必須だろう。たまらず稜線から出て東の斜面を進もうとするが足元が濡れて滑る上に傾斜が急で滑落したら谷まで落ちるのでかなり神経を使った。時間はかかるが稜線を実直に進むのが無難だろう。
1680mまで下降してここから稜線を離れて千丈平へ下降する。すぐに猛烈な笹薮になった。下りはまだマシだがこれを登り返すのは相当大変だと思った。ガンガン下ると沢筋に出て藪は薄くなり楽になった。この時期の千丈平は魔界の迷宮と言って良いだろう。全く視界はなく藪地獄だった。ぐるぐるワンデリングしてシンノ又にようやく合流できた。シンノ又は緩徐な沢で大きな滝はなかった。足元は水陸両用のパドルシューズなので水の中にジャブジャブ入る。グリップは良く濡れた岩も滑らない。
1370mまで下降し左から入る沢に合流した。この沢を詰めて稜線の錫杖岳を目指す。この沢も快適で大きな滝もなく涼しくて助かった。そろそろ日も上がり稜線は地獄だろう。水は沢の半分くらいまでありその先は涸れ沢となって藪漕ぎなく錫杖岳に到着した。目指す笈ヶ岳が藪の隙間から見える。もう目の前だ。しかし藪は激しく遅々として進まなかった。下りに比べ登りの激藪はまさに地獄だった。すぐ先に見えるのに一向に進まない、藪に突かれ全身傷だらけだ。最後の気力を振り絞り籔をかき分けると山頂に飛び出した。スタートから8時間半であった。
山頂の展望は素晴らしく白山を始め北ア全般が手にとるように見渡せた。辛い道のりだったから感慨も一入であった。ただまた帰りも長いのでピークで長居はできない。写真を撮ってすぐに帰還開始、下りの激藪はまだ許せた。サングラスをしていなければ目を突いて大変だろう。錫杖岳の登りは難儀だったがすぐに沢に入ると藪から開放されルンルンであった。日も上がり暑くてもう沢の中で頭から水浴びした。水のない稜線は地獄だろう。快適に沢を下りシンノ又まで無事下降して進路を右にとり千丈平へ向かう。最後の水場で水をたっぷり補給して頭から水を被り上りの激藪に備えた。
千丈平の迷宮を無事こなし、GPSを頼りに稜線を目指す。しばらくは涸れ沢が続いたが徐々に藪が出てきて稜線手前高度差100mは猛烈な笹薮地獄、笹が進行方向に倒れていて全く進めない、今思い出してもおぞましい、這々の体で稜線に出てここから籔を回避するため東側の崖をトラバース作戦とした。灌木にぶら下がりながら滑る足元を慎重に行く。決して人にはお勧めできない。滑落すればただではすまない。稜線の激藪をとるかどっちもどっち。
大笠山が近づいてきたもうすぐ藪から開放される。しかし山頂手前の笹薮もめちゃ難儀だった。もう勘弁してくれと天を仰いだら直にピークに飛び出した。ヤッター、もう藪から開放される。山頂で夕暮れの記念写真を取る。笈ヶ岳はもう雲の中である。さあ下山を急ごう。藪のない登山道は快適だった。途中残雪を帽子の中に入れクーリング、ガンガン下り桂湖が見えるとっ登山口はすぐだった。
17時間の完全燃焼、国道スタートの厳冬期より時間はかかった。激藪の殿堂笈ヶ岳に新たなルート開拓ができ感無量である。タイツは穴だらけ体中擦り傷だらけ、その勲章に有り余る戦果であった。
お疲れ様です!いつも医院のブログ、記録楽しく拝見しております。大笠山日帰りでも白山よりタフなのにそこから笈ヶ岳まで藪漕ぎでいかれるとは凄いです。しかも単独で!先生の山行はいつも「自分も頑張らねば!」と刺激になります。これからもご活躍お祈りいたします。どうぞお怪我のないように。
D3310様レス有難うございます。
当初午前中に帰還できるだろうとの読みでしたが、厳冬期に国道から歩いた時より時間がかかるとは思いもしませんでした。激笹薮では足も滑る上に竹に正面からつっかれ何度も天を仰ぎました。人生と同じで限界まで頑張ってこそ始めて道が拓けるんだと自分に言い聞かせました。記録のないコースに最初に足跡を残す、これが登山の醍醐味だと思います。
お忙しい時間の合間に私の様な者の書き込みにご返信ありがとうございます。2〜3回山ですれ違ったこともありますが、いつも下山中で風のように去って行かれました。早月尾根ではご子息のTさんもお見掛けしましたもう、大きくなられたでしょうね。またどこかでお会い出来ればお声掛けさせてください。私も同市在中の40代男で新聞などでご活躍いつも拝見しております。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する