OP尾根から十勝岳
- GPS
- 32:00
- 距離
- 12.1km
- 登り
- 1,277m
- 下り
- 1,268m
コースタイム
11日 吹上温泉-(3)-OP尾根取付-(2)-逆Z下-(3.5)-P-(1)-R-(+)-上ホロ避難小屋C1
12日 C1-(技術訓練3h+15分)-上ホロ-(1.5)-十勝岳-(2)-十勝岳避難小屋-(1-)-吹上温泉
天候 | 10日:気圧の谷が過ぎ、沿海州の高気圧の張り出し 11日:高気圧圏内 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
2回目のOP尾根だが、2月に行ったときに比べて雪が少なく厳しいルート状況だった。当然と言えば当然だが、やはり初冬時期は幅があるので、特に核心部は雪の付き方次第でフレキシブルなルート取りが求められるだろう。今回は雪が多い上に安定していて雪崩の心配が少なかったため、その点では取れるルートは多かったと思う。上部は初冬時期では雪が多いではないだろうか。Gap1の下りは、適当にピンを取って懸垂してしまえば雪の少ない初冬時期なら降りた後トラバッて逆Z下まで行けるだろう。co1750からの核心部だが、尾根上はザイル出さないと行きたくないところがいくつか出てくる。そこをかわすために急なトラバリを強いられるため、そこのルート判断と雪崩の判断が必要となる。初冬時期の雪の量なら、Pくらいまではそこまでシビアでもなく、弱テできるところもあるのではないだろうか。第2リッジ付近のトラバリルートは行っていないので、yadamakeのヤマレコの記録を参考にしてください。 |
写真
感想
11日 気合いのOP尾根
いよいよ5人そろっての準備山行の始動。天気予報も上々の中、吹上温泉を目指す。温泉に到着するも、雪がない…。
ブッシュとの戦いを覚悟してツボで出発。
最初は三段山の夏道を登って行く。天気も良く、周辺の山々もよく見えている。
雪が増え、ズボズボがだるくなった辺りでスノーシューに変えて、2段目を越えた1370付近から尾根を外れてナマコ尾根を目指す。
尾根を下して行くところは急なのでツボ。ナマコ尾根はブッシュでていて黒々としており、だるそうなので、尾根の左の沢型を詰めるところまで詰めて、1450付近でOP尾根に取りつく。
ナマコ尾根から下ろすところは岩が出ていたので適当にかわす。ここまでかなりCTがかかると思っていたが快調にこれた。
OP尾根に取りつく前にアイゼンに変える。OP尾根の取りつきはなかなか急だった。八十さんと二人で、先に尾根上にでて後続を待つもなかなかこない。
木村さんが新品のロルマを落としただの、店長は新品のザックがピッケルに貫かれただの、片山は部室のビーズがど〜のなど、いろいろ錯綜していたようだ。
OP尾根上もBushで少しだるめだが、前日くらいに雨がふったのか、雪が締まっているのでそれほどでもない。
少し登るとGap1が見えてきたのでピッケルを出す。Co1600付近のGap1は八十さんトップで進んで行く。
マジ岩稜になる手前くらいのハイマツをピンに大沢側に懸垂するのが一番楽そうだ。
他にもBush掴んで強引に降りれそうなところがいくつか。
結局、そのまま尾根上進んでいき、切れ落ちたところをクライムダウン。岩がらみの6,7mほどで、ホールドスタンスは多めだが、最後の1.5mが足場がなくホールド頼りに強引に降りる。
八十さんは苦手な感じなのか、悲鳴を上げつつルートを開いていた。
別に落ちてもなんともないが、怖いものは怖い。後続は最後のところの角岩にシュリンゲをかけて、ゴボウっぽく下る。
ここで、ハーネスをつける。このとき、Lはザックを滑落させ、テルモスさんが大沢へ。しょっぱいミス。あやうく大変なことになるところだった。
逆Zもブッシュブッシュ。岩の基部をトラバッて、ルンゼ地形を登る。
今回はパーティを二つに分け、ワンゲルでよく行かれるルンゼと、その先10mほどトラバッた先にあるルンゼを登った。トラバリ自体は急で硬めだが、ブッシュが多いため高度感は感じない。手前のルンゼはブッシュを掴みつつ8mくらい。最後少し岩が当たるので慎重に行く。先のルンゼは登ったわけではないが、ブッシュは少なく素直な直上で最後岩が当たるとのこと。
逆Zの上も細い岩稜になっている。そこを越えると尾根が広くなりブッシュも埋まり、いよいよ冬山らしくなってくる。
時折、ガスに巻かれることもあるが、いい天気。富良野、十勝、前十勝など周囲の山々を見ながら思い思いに登って、co1750の岩稜帯の手前まで。
ここからがいよいよOP尾根の核心かつもっともかっこいいところ。青空を刺すような岩塔と雪稜が美しい。
最初の岩稜は上も行けそうだが、クライムダウンが出てきて怖そうなので、巻くことにする。
ここが、Gap2か?
木村トップで行くも、最初の2歩くらいで、団子気味のステップが崩れて滑落した。「滑停姿勢!」と本気で叫んだのははじめてだ。
最初は止まらないかと思っていたが、20mほどで止まった。ひやりとした。とりあえず、怪我もなく無事なようだ。雪崩は大丈夫そうなので、
登り返して合流してもらう。とりあえず、落ち着いてもらい、その間に八十さんにルート工作をお願いする。
本気で死ぬと思ったらしく、かなり落ち込んでいる。とりあえず、先の落ち着けそうなところまで。
滑落したところは8m、バックステップで岩の基部まで下り、そこから15mほどトラバリ。気温が上がり団子が怖いので、横這いでトラバる。少し上の岩のテラス経由でも行けそうだが、団子による滑落が恐そうだった。
ここからしばらくは、表面は少し団子気味で中はかなり硬いという雪質に悩まされることとなる。
次のリッジの手前で弱テができたので、その先のルートのために両側の斜面で掘る。結果は腰。まぁ、ここまでの感じからかなり安定してそうなのは分かっていたので、より安心して進められる感じだ。
ここで、滑落について状況を話しあう。木村さんの自己評価ミスが主たるものだが、パーティ全体も慎重に進めることにする。
リッジを越えて、しばらくは軽く岩をかわしつつ、尾根伝いに行けるが、第2リッジ手前の岩稜に行く手を阻まれる。
5mほど登った尾根上は雪をかぶった岩稜で、両足の幅な上アップダウンもある。全員で行くならザイルが必要だ。
八十さんとここのルート状況を確認し、八十さん無理ということなので、下にいた店長にトラバって巻くルートを探してもらう。
探してもらう間にLは尾根上を通過。岩稜をピッケルてつつきながらを確認して慎重にステップを作って行く。すると、その先に岩稜よりもさらにほっそ〜いナイフリッジが現れる。なるほど、これが第2リッジね。硬くてステップ切って行くとかほぼ無理なので、必殺馬乗りで突破。
雪崩に関しては岩がありそこまで怖くない。10mほど馬乗りでいき、太くなってからの残りの10mは立ち上がって通過。
馬乗りからの復帰もなかなか怖い。
そんなところを恐怖混じりで嬉々として進んでいる間に、店長がトラバリルートを見いだし、尾根への直上に入ってくる。
直上部もかなり急で、後で聞いたところ、ダブルアックスしたくなるような斜度と雪の硬さだったそうだ。
直上で出口は第2リッジの太くなるところ。太くなったといってもかなりの細さなので、のるところもかなり大変そう。トラバリ部分は15m直上部10mだろうか。トラバリ部分も横這いで通過していた。
よくそんなところをトップしたものだ。上で騒いでいたのが気に入らなかったのか店長はごきげんななめだ。
ひとつひとつのポイントの突破の体感時間は長く感じられ、進んでいるのか不安になるが、突破するごとに近づいてくる大砲岩が確実に進んでいることを実感させてくれる。
Pの岩は適当に越えて、P先の岩稜は上を行けそう。トラバって岩稜をかわすルートは真っ白で弱テセーフでようやく評価のために入れるかという斜面だった。
引き続き店長にトップしてもらう。最初の岩を軽く巻いて、1.5mの段差を越えてそのまま岩稜を越えて、第3リッジに入って行く。段差も岩が当たるが、立ち上がるところも岩が当たりなんとも怖い。足元に岩が当たらないか慎重に確認しながら、リッジへと入って行く。
途中八十さんがバランスを崩しヒヤリ。ここも、細いところが10mほど、少し太くなてって15m続く。硬く高度感のある中、足元を確認しつつ慎重に突破。
ようやくOP尾根の核心部が終わりほっと一息。地図上で500mほどの距離だが、そこにかかった純粋な時間もあるが、使った集中力、精神力からくる長さはかなりのものだ。あとは、稜線を目指すだけ。
大砲岩のところで、42代高田さんと5年前に安政火口の雪崩で亡くなられた方々の追悼を行う。ここまでこれたことに感謝しつつ都ぞ弥生を歌う。高田さんの好物のチョコを忘れたかと思ったが、八十さんが持っててセーフ。
大砲岩は適当に交わして主稜へ。盟主十勝岳が美しい。
そして、どこまでも続く雲海が、まだ冬ではないところをかき消し、その上にでることが許されているのは、真っ白な山々のみ。
初冬なのに春時期のような白が支配した世界が広がっていた。
沈んでいく夕陽と暮れなずむ山々、刻一刻と形を変える雲海をOP尾根突破記念のビール(富良野ビンテージ)を飲みつつ眺める。
この楽しみを形容する言葉が見当たらないほど、素晴らしい時間。
太陽はまるで海に沈んでいくかのように雲海に沈んでいった。
そして、上ホロ避難小屋へ。十勝を超えてきたパーティと一緒に泊る。今夜はクリームシチュー。疲れた体に染み渡る。疲れもあったのか酒はそこそこに沈。
12日 L初の冬の十勝岳
早起きして練習するつもりが、ねつぼる。雑炊を食べて、日の出を眺めながらかるくパッキングして、上ホロの斜面で練習をする。
スノーバーを打ち込み、スタンディングアックス、フィックスなどの練習をこなして、上ホロへ。
地味にL冬に来るのは初めて、昨日より雲海が少なくなったが、見える山は増えた。表、裏大、天塩、芦夕、増毛、日高、阿寒、余市まで見え放題。
Peakのボッコの文字の並びにいちゃもんをつけつつ写真を撮って、小屋の荷物を回収して、今度は十勝を目指す。
相変わらずスラッとした美しい山。今まで、近くの山から眺めてずっと冬に登りたいな思っていたPeakにようやく立てそうだ。
昨日の疲れもあるが、青空のもと白い尾根、白い斜面を登って行き、十勝岳へ。
隠されていた美瑛、オプ、そしてトムラが白い姿を見せてくれた。う〜ん最高だ。あとは適当にGコースを下りながら、木村さんと片山くんにコンテの練習してもらう。Gコースから望むことができるさまざまな火口を眺めつつ、十勝岳が「生きている山」であることを実感する。
十勝岳避難小屋からは、九条武子歌碑に向かって進んでいき、夏道に合流して、吹上温泉まで。温泉からは主稜の山々が望むことができた。ついさっきまであそこにいたのが冗談みたいに思える。
白銀荘はちょうど、リニューアルオープンで今月いっぱい半額でごっつぁん。「いえ、半額は終わりまし料金は2倍の1200円です」という受付の方の冗談に少しドッキとしながら、いいヒバの香りがするお湯を堪能して、富良野でオムカレーを食べて帰路についた。次は上ホロ北西稜だ。いろいろドキドキだが一つづつこなしていこう。
上は結構積もってるね
吹上の写真見るとまだ行く気にはならず
上は11月の2週目としては多いと思う。でも下は初冬という感じ。今回は雪が締まってて下部も楽でした。
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