這松を漕いで漕いで、1839峰


- GPS
- 32:00
- 距離
- 23.5km
- 登り
- 2,291m
- 下り
- 2,290m
コースタイム
- 山行
- 8:45
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 9:40
- 山行
- 11:55
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 13:25
天候 | 7/20 晴 7/21 晴後曇 |
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過去天気図(気象庁) | 2020年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
装備
個人装備 |
軍手
|
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感想
三百名山を狙ってるのに何故1839峰に行くのか?そうなんです。
へそ曲がりなので、メジャーな山のピストンでは飽き足らなくなってきているんです。数年前に1839峰の存在を知り、一度は登ってみたいと思っていた。そんな時カムエクと同じ辺りから登ると知り、今回ぜひ挑戦してみたいとなった訳だ。
しかしカムエク登山で、疲れ切ってしまった。ヒュッテに戻り、出発準備をするも、気持ちは「あ〜休みたいな」である。だが一方で折角来たんだから登ってみたいなと言う気持ちもあり、朝晴れてたら行くかとなった。疲れてるから30分遅めの出発予定とした。
一応天候は1日目は晴一部山沿いで雨、2日目は曇り午後から下り坂とのこと。天気の具合で途中敗退もやむなしとの超低空のテンションで眠りについた。
ところがと驚くことはないが、予報通り朝3時半星空。ノロノロと出発準備を開始する。水2.8ℓの天泊装備で、ずっしりと重い。沢歩きから始まるのでスタートから沢足袋で出発する。
○札内ヒュッテ〜夏尾根取付き
沢歩きのコツが掴めたのか足裏の痛みは少なくなった。気持ちが重いので足取りも当然重い。砂防ダムで躊躇していたお陰もあって堰堤を越えたのは出発から1時間になろうとしている。これはまずい!道草せずにペースを上げる。2つの函をクリアし、取付きに着いたのは予定の2時間を大幅に超えていた。
○夏尾根取付き〜コイカク岳
急いで山靴に履き替え、沢足袋はデポし出発した。入口にはピンテがあり、踏跡もはっきりあった。これなら安心と思ったのも束の間、背丈を越える笹薮となり道が分からなくなった。少し戻って踏跡を確認し、笹を掻き分けて進むと尾根の登りとなった。
ここからはキツイ尾根の登りとなる。だが道には笹が覆いかぶさってくる。取付きは丈の高い笹でトンネル状の所もあったが、次第に笹は低くなってくいく。しかし1305台地まで笹道は続く。
台地から少しの間緩むが、直ぐ激急登となる。お助けロープのある岩場が肩とのほぼ中間点。この辺りから見晴らしがよくなる。重荷と急登に耐えること1時間半コイカクの肩に出た。360°の素晴らしい展望だ。一休みしてコイカクに向け出発、もう登らなくてもいいと喜んだのは浅はかだった。コイカクまでは快適な稜線歩きだが、既にうっとしいハイ松歩きが始まっていた。
コイカク岳は肩との高低差がないので頂上らしくない。
○コイカク岳〜ヤオロ岳
ここからがこのコース最大の苦難の道であった。踏跡はしっかりあるが、なにせハイ松が道を覆いひどい所は背丈より高い。下りなのにハイ松の圧力は強い。強引に漕いでは体力が消耗するだけだ。かと言って手で漕いでも延々と果てしない。
漕いで漕いで1時間超、やっとヤオロの窓。一張の天場があった。さすがに漕ぎ疲れた。そのうえお日様が惜しげもなく陽を浴びせてくれる。もう暑くてバテバテだ。窓からは急な登り、ハイ松は上から張り出している。少し歩いては水を飲み、また歩いては水を飲む。早くヤオロに着いてテントで寝たい。遅々として進まぬ歩み、ヤオロは遥か彼方に思えてくる。
1750mピークからは藪薄くなり日高の山々の眺めがよいなどとレコにあったが、とても景色に見とれている余裕などない。なお藪が薄くなったとの実感もなかった。疲れ果ててヤオロに到着、予定より1時間遅れ。
○水場
さっそく水の確保だ。残る水は1ℓを切っており、何としても水を汲んでこなければならない。もし得られなければ撤退もできない。水場はヤオロ頂上TS地から踏跡を東側に下って行く。100m位とレコにあったが、距離ではなく標高差だ。なので心配になるほど下って行く。だが諦めるわけにはいかない。一応数日前と思われる踏跡が残っていたので心強くはあったが…。下ること15分ようやく水場に到着した。しかし2.5ℓ汲むのに5分位かかった。細いが冷たくうまかった。登り返しは20分。だが一番大切な水が確保できたので安心してひと眠りした。
○ヤオロTS地〜1839峰
雨は夜パラっとしただけで大したことはなかった。1839峰までは往復で5時間とのレコ。雨が降っていればもちろん朝露タップリでも撤退しようと思っていた。だが3時に起きると星空だ。行かない理由が見つけられない。テントをそのままにして出発したが、朝露もない。まあこれは山の神様が「張り切って歩け!」と言ってくれていると割り切って、昨日と変わらぬハイ松漕ぎに突入した。昨日歩いてCTはほぼレコ通りであった。この藪では遅くなることはあっても早くなることはないと分かった。そうなると4時に出発しても、ヒュッテには18時頃になってしまう。何としても日没前にはヒュッテに着きたい。
今日も漕いで漕いでひたすら漕ぐ。雑念を捨てて漕ぐ。道迷いはない。間違えれば猛烈な這松藪で1mと進めない。尾根も縫うように進むので、道が途切れたように思う。しかしあれ〜こんな方にと思わぬ方向に踏跡が続いている。1770mピークからは30分。おっかないお助けロープもない岩場を登れば頂上は近い。お花が増えてくると間もなく頂上だ。1839峰頂上は期待通りの大展望だ。北にコイカク、カムエク。南にぺテガリ。あとはわからん。<m(__)m>愛知県から北海道のこんなマイナーな山までよく来たものだと感慨に浸った。
○1839峰〜ヤオロTS地
もう二度と来ることはないだろうと思うと、ゆっくり登頂気分を味わっていたいところであるが、そんなことが許されるはずもない。早々に引き返す急な岩場を慎重に下り、再びハイ松を漕いで漕いで。2ヶ所ほどお花畑がある。やはりCTは予想通り5時間。
○ヤオロTS地〜コイカク岳
荷を軽くするため水を0.5ℓしか持っていかなかったので水切れ。水をがぶ飲みし、テント撤収。昨日歩いて分かっていてもコイカクが遠く感じる。藪漕ぎ7時間でコイカクの登り、最後の気力を振り絞って登る。まるで流れに逆らって河を遡るような感じだ。コイカクに着いたら精魂尽き果てた。
○コイカク岳〜夏尾根取付き
夏尾根の下りも急なので慌てず急いで下った。1305台地でCTを確認すると意外に早かった。その後も快調に下り、笹薮で迷わないように注意し沢に出た。シャツを見るとダニが数匹ついていた。取り除いた後汗だくのシャツは沢で水洗い。その間ブヨに纏わりつかれ、数か所やられた。急いでる時に勘弁してよと言いたくなる。こんな状況だったのでダニを完全に取り除けたかは不安は残った。
○夏尾根取付き〜札内ヒュッテ
沢足袋に履き替え出発。荷物が軽くなったせいもあるが、順調に下れた。砂防堰堤は勢い余って行き過ぎ、少し戻ることに。夏尾根の下りで時間を稼げたので、ヒュッテには18時前に到着できた。我ながらよく歩いた。充実の山行であった。
ヒュッテに着いたが中札内まで降りる気力もないので、ヒュッテ泊とする。粗食を食べようとしたが、藪漕ぎ疲れで食器を持つ手が震えている。藪漕ぎをするとよく腕や胸が筋肉痛になるが、今日は三角筋や肩胸全体が筋肉痛だ。藪漕ぎ7時間超だからな、よく頑張った明日は休養日だ。ゆっくり養生しよう。
ちなみに軍手と藪用ズボンは破れとヤニでお払い箱(@^^)/~~~
※ダニについて
ダニは夏尾根取付きの笹薮で取付かれたと思う。往きは取付かれてもハイ松漕ぎで振り払われたと思う。しかし執念深い一匹に食いつかれていた。
ヤオロTSで寛いでいたら右尻辺りが痒く無意識に掻いた。するとカサブタの様なものが取れてきた。やばい、血が出てるかなと触ったが、それらしいものが感じられない。おかしい、もしやとカサブタを見るともぞもぞと動いている。やられた!ダニだ!と潰して動かなくなったのを確認しテントの外に捨てた。幸い深く食い込んでいなかったので引っ搔いただけで取れたようだ。
二匹目はヒュッテで寝る前に左脇腹辺りに違和感があった。もしやダニの残りか、と思って体をひねってよく見るとダニだ。今度は爪の先で抓んでも取れない。そういえばトゲ抜きがあったな。とトゲ抜きでダニの口あたりをぎゅっと挟んで捻るようにして引っ張たら、何も残らず運よく取れた。
行動中はダニのことなど気にしている余裕はない。汗をかくので防虫剤の効果も甚だ疑問が残る。暑いのにカッパを着て歩けない。下山したら体中をよく見るしかない。特に見にくい所が危ない。
※感想
カムエクを切って、返した刀で1839峰を切る。などと威勢のいいことを考えて挑戦したが、所詮はなまくらな刀だ。カムエクで刃がボロボロに欠け、1839峰で折れ曲がったのが実際の所だ。
だがよく登ったものだと充実感はあった。今回断念していたら、もう二度とチャンスはなかっただろうなと思う。奇跡的に2日間とも晴れた。
山の神様に感謝、感謝。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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初めまして、カムエクの後にまた登るとは、凄いことです。北海道では難攻の山として良く知られています。僕も未踏の1839峰、を今年予定していますが、果たしてどうなることやら、昨年はコイカクまで登り急登を体験しました。ここだけでも大変ですね。twvv1979さんの詳細な記録を読ませてもらい改めて大変さが良く分かりました。這い松漕ぎが体力を奪って苦しめるようですが、水の確保が一番ですね ! 僕(69歳)は北海道在住なのですが愛知からだと今しかありませんものね、そのパワフルさに驚嘆しています。twvv1979さんの記録を大切に心に刻んで糧にします。
本当にお疲れ様でした。
ありがとうございます。m(__)m
ただの貧乏性です。折角来たんだからとどこの山に行っても欲張ってしまいます。登れる時には無理してでも登っておかないと、二度とチャンスは巡って来ないのではないかと思うのです。天候や年齢からくる体力、気力、いつも次はないと焦りを感じ、つい欲張ってしまう。もっとまったり登山が夢ですが…。
まだ10年位は毎年通いたいと思っています。1回の遠征で1山行位は難関の山や変わった山、コースに挑戦したいと思っています。
レコはポンコツ親爺の挫けそうな気持ちやら嬉しさやら揺れ動く気持ちを交えるように心がけています。
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