この夏最高の好天だった黒部の名渓・赤木沢
- GPS
- 16:59
- 距離
- 31.6km
- 登り
- 2,040m
- 下り
- 2,023m
コースタイム
- 山行
- 5:37
- 休憩
- 2:09
- 合計
- 7:46
- 山行
- 9:17
- 休憩
- 1:08
- 合計
- 10:25
天候 | 1日目: 晴ときどき曇 2日目: 晴のち曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
自転車
7月の集中豪雨で大きな被害を受けたR471は、7/31から夜間通行止が解除 ただし片側相互通行が多数あるので、通常より通過に時間がかかることを考慮した方がいい 新平湯温泉付近はR471の通行止が続いているが、福地温泉経由で迂回可能 R158は安房峠を通る旧道は通行止だが安房峠道路で迂回可能。坂巻温泉付近で片側相互通行あり |
コース状況/ 危険箇所等 |
黒部川本流(奥ノ廊下)は増水していて左岸のへつりが困難 赤木沢では雨の影響は特になし 源頭部付近で熊に遭遇した 詳細は感想欄参照 |
写真
感想
長い長い梅雨が明け好天が期待できる8月最初の週末。ここしか狙う日はないと黒部の名渓である赤木沢を目指す。
金曜の夜、自宅からMTBで中央道日野バス停まで行き、松本行きの高速バスに輪行。乗客は十数人、若い女性ばかりですいていた。松本バスターミナルからまた自転車で移動してhaleと合流する。大雨で激しく損傷したR471を迂回して糸魚川から北陸道に。途中、黒部川を渡り「ここを歩くのか…」と思う。
なお私達は知らなかったが、R471の夜間交通規制は7/31に解除されていて、糸魚川を回る必要はなかったようだ。
さて夜が明け折立からスタートすると空は青い。期待は高まる。沢装備が入ったザックは重いが3時間かからずに太郎平小屋。登山道の整備が年々進んでいる。その先も順調に歩いて午前中のうちに薬師沢小屋へ到着。
この小屋はハイシーズンの週末は激こみするのだが、コロナ対策で予約さえしておけば2人分のスペースを1人で使えることが確約されている。有難いが小屋の人は大変だろうと思う。
午後は偵察。赤木沢出合の途中まで行ってみるがやはり水量は多めのようだ。だが何とか行けそうだろうと思った。初沢のhaleは最初はおっかなびっくりだったが、へつりを何度か繰り返すうちに少し慣れてきたようだった。一か所高巻きしたが、水線突破は可能そうだった。戻る途中、10人くらいのパーティが渡渉していた。奥の廊下を遡行するのだろうか。
夜はおいしい食事をいただいてぐっすりと寝た。
翌朝、いよいよ本番だ。朝食もしっかり取って5時半に小屋を出る。同宿の方々に見送られながら梯子を降り、沢に入ると水は冷たいが仕方ない。昨日の下見で引き返したへつりは対岸へ渡渉して回避した。しかしその先の2m滝の手前にもっと深いへつりがあった。平水なら腰くらいの深さで通れるようだが、増水のため足は着かず流されてしまう。2度ほどトライしたが取り付けそうにない。やむを得ず冷たい黒部川本流に飛び込んで泳いで渡渉し、へつりを回避した。対岸に上がったら寒くて身体が震え出していた。今回の山行の核心だった。後で調べたら高巻きは一応可能だったようだ。
へつりの先に赤木沢出合がある。ここからは滝が連続する。もう飛び込む必要はなく寒さとはおさらばで、快適な登りになる。インスタ映えしそうな滝が何度も出てくる。陽も差してきて明るい。ヌメった岩が多いが慎重に歩けば大したことはない。初沢のhaleもよく着いてきた。
順調に写真を撮りながら進む。滝は初心者でも容易に登れて、ロープを出す必要はなかった。エメラルドグリーンの水とナメと北アルプスの植生を楽しみながら登る。こんな美しい沢は釜ノ沢以来じゃないか。ときどき釜で泳いでみる。もう泳いでも寒くなかった。
やがて30m大滝が出てくる。ここは登れないので右手へ高巻く。下から見上げたときは、巻いた後の下りが面倒そうに見えたが何のことはない。上部にある5m滝の脇にドンピシャで降り立つことができて拍子抜けだった。なるほどこれが癒し系沢か…。
しかしその先でつい調子に乗って登りすぎて、左手の枝沢に間違って入ってしまった。10分ほど登ってから気がついて引き返す。右手に滝があったがなぜかスルーしていた。
さらに登っていくと水量が減って源頭部が近づく。同時に森林限界にも近づいて見晴しがよくなってくる。一度伏流して、再び水が出てきたあたりで沢の水を飲もうと腰をかがめた。そのときhaleがあっ熊! と小声で叫んだ。私は下を向いていたので気付かなかったが、至近距離で出くわしてしまったようだ。しばらくこちらを睨んだあと逃げていったとのこと。熊鈴は音が小さすぎて沢の音にかき消されてしまい全く役に立たないから、持ってきていない。念のため笛を数回吹いた。以前、釣りの教室で「沢では90dbくらいの笛でなければ音が届かない」と聞いたので110dbの笛を常備している。
熊の心配がなくなったら最後の詰めへと登る。再び水が出なくなったら沢装備を解除。振り返ると大きな赤木沢カールと薬師・水晶の山々が広がっていた。
最後は岩場もなくなり草原の中を歩く。かなり遠くまで見渡せるが、熊はもう見える場所にはいなかった。そしてそのまま稜線上の登山道へ。詰めも簡単でなるほどこれでは人気が出る訳だと思った。ただし今日は薬師沢小屋を出てから誰にも出会わなかったし、先行者の踏跡も見かけなかった。時計を見たらまだ午前中だった。そのまま北ノ俣岳まで登ってちょうど12時。
ここからは折立まで長い長い下山になるが、ちょうどいいタイミングでガスが出てきてくれた。登山なら晴れてくれた方がいいが、今日のメインディッシュはもう終了しているので視界がなくても涼しい方が助かる。太郎平までかっ飛ばして1時間。ガスに包まれた太郎平小屋でコーラを補給したが、その後は暑さと疲れでペースが落ちた。それでも16時には折立に無事に下山。
帰りは集中豪雨の被害があちこちに残る飛騨郷を抜ける。ナビは「大きく迂回しろ」と何度も何度も言ってくるが、規制が解除されているのは確認済みなので無視して安房峠経由で松本へ。平湯周辺でもあちこちで倒木や土砂崩れの跡を見かけた。ひらゆの森で汗を流し、松本ICで最終1本前の新宿行高速バスに余裕を持って乗ることができた。乗客は私を含めて4人だった。
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