燕岳・大天井岳 / 30年ぶりの女王謁見
- GPS
- 16:31
- 距離
- 21.2km
- 登り
- 2,265m
- 下り
- 2,271m
コースタイム
- 山行
- 4:43
- 休憩
- 1:50
- 合計
- 6:33
- 山行
- 7:55
- 休憩
- 1:54
- 合計
- 9:49
天候 | 晴れ時々ガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
人気のコースだけあってよく整備されている。特に危険な箇所もなし。 北アルプス三大急登と呼ばれているが、ある程度の経験者にはそれほどとは感じないかも。 |
写真
感想
「山小屋に泊まってご来光とかの写真を撮りたい」と言っていた義妹を連れて初めて山小屋泊まりしたのが5年前。燕岳に行くか白馬岳に行くか迷って、結局その時は白馬に大雪渓から登り白馬山荘でディナー満喫、翌日は白馬鑓温泉に泊まって湯ったりというプランとなった。一昨年に義妹を連れて東鎌を縦走した時は大天荘・ヒュッテ大槍とこれまたサービスの行き届いた山小屋に泊まることができた。
今回夫婦で3連休を取り、上で1泊、麓で1泊の計画を立てることに。→それなら燕山荘に泊まりに行こう→それなら義妹も誘ってみようという流れとなったのであった。合戦尾根から燕岳に登って燕山荘に泊まり、翌日コンディションが良ければ大天井まで表銀座縦走路を往復して下山する計画にした。
土曜日の晩にひるね実家へ義妹を迎えに行き、日付が変わる前に大阪を出発。名神から中央道と乗り継いで明け方に長野入り。黒姫に行った時以来だ長野。本当なら先月にも乗鞍に行ってたはずなのになあ。梓川SAで朝メシを食い、常念山脈の山々の眺めに胸を高鳴らせながら登山口のある中房温泉へ向かう。ところが途中で警備員の人に止められる。どうやら登山口周辺の駐車場はすでに満車なのだそうな。下山後に宿泊予定の有明荘に電話して聞いてみるも、チェックイン当日しか駐車させてもらえないらしい。仕方なく有明山神社に車を停め、乗合バスで登山口へ向かうことに。
7;45、中房の登山口を出発。北ア3大急登と言われている合戦尾根。調子に乗ってガンガン登ればすぐに電池切れとなるであろう。最初は意図的にペースを落として、息が上がらない程度にゆっくり登るよう心がける。それでも登り始めは元気が有り余っているのか第一ベンチ、第二ベンチまではCTよりも早く到着。このコースは休憩場所が要所要所に整備されていて歩く目安にできる。第二ベンチから先は意図的にではなくフツーに疲れてペースが落ち、ほぼCT通りのペースとなる。
気になるお天気だが、当初はよく晴れていたのだが、登っているうちに下からあれよあれよのうちにガスが沸いてきて、富士見ベンチでは富士山どころではなくなり、合戦小屋に着いたころには辺り一面ガスガスに。合戦小屋ではまず名物のスイカをいただく。うまーい!しかしスイカを食ったら身体が急に冷えてきて慌てておでんを頼む。これまた美味い。
合戦小屋から少し上がると傾斜は若干ゆるやかになる。晴れてたら槍ヶ岳が見えるはずなんやけどなあ。やがて森林限界を超え、ちょっとしたクサリ場なんかも出てきて、高山植物の可憐な花々に心洗われていると割りといきなり頭上に燕山荘が現れる。晴れていればもっと手前から見えたようなのだが、ガスに巻かれていたため発見が直前になる。まあ「まだあんなに遠いの・・・」とレ目にならずにすんで結果オーライであろう。
稜線へ上がってビックリ。ガスっているのは安曇野側だけで、稜線の向こうは晴れている。眼下に高瀬川渓谷を挟んで鷲羽・水晶といった黒部源流の山々、南に目を向ければ北鎌尾根を従えた槍ヶ岳、そしてその横にチョコンと小槍。これだよこれこれ。こーでなくっちゃ!!
ところで、合戦尾根は「北ア三大急登」というからよっぽどだろうと覚悟していたが、登り終えてみると「言うほど急登か?」という感じだ。定期的に配置されているベンチのおかげなのか、行き届いた整備のおかげなのかはわからないが、ある程度の山行経験者なら拍子抜けするんじゃなかろうか。
12:30、燕山荘到着。マスクをして中へ。自前で消毒液や体温計も持参して来たが、両方玄関に備え付けられてあった。チェックインしてコロナ関連の誓約書だか名簿だかを提出し部屋へ。ずっと満室だった個室が一週間前にキャンセルで空きが出たのは願ってもない幸運だった。コロナが増えて山行をキャンセルした人がいるのだろう。早速予約を一般室から個室に切り替えて嫁や義妹と狂喜乱舞したものだった。個室はよい。誰に気兼ねすることもなく広いスペースで全裸になって、こんな場所の汗やあんな場所の汚れもゆっくりと拭き清めて着替えができる。カイコ棚ではこうはいかない。もちろんお値段は多少上がるが、費用対効果は十分である。あと特筆すべきはトイレ。以前大天荘やヒュッテ大槍に泊まった時、トイレが臭くないのに感心させられた。同じグループの燕山荘もおそらくそうだろうと思ってはいたが、臭くないどころか簡易水洗でしかもトイレットペーパーを流してもOKだという。そんな山小屋ある?これには驚きである。ひょっとしたらあと何年かしたら便座が温かいタイプに替わってるかも知れん。
少しゆっくりしていよいよ燕岳へ。実はオレにとっては燕岳は今から30数年前、中学生の時に父に連れられて家族で行った初めての本格登山の場所でもある。それから常念や槍、穂高などにも行ったが、その頃は特に山や北アルプスそのものに興味があったわけではなく、ただ連れられて登っているだけだった。大人になって妻と一緒にまた登るようになり、今度は主体的に山と向き合うようになった。今回の山行はそんな自分の原点を追体験する旅でもある。
燕岳は、日本二百名山にも数えられる山である。白い花崗岩とハイマツの緑に彩られた美しい山容は「北アルプスの女王」という異名を持ち、登りやすい山でありながら表銀座縦走ルートの起点でもあるため、初心者からテン泊装備を背負った山ガチ勢まで人気の山である。
燕山荘から燕岳まではおよそ30分ちょい。その短い間にも風化した花崗岩による種々の奇岩や、コマクサなどの高山植物が目を楽しませてくれる。中でもイルカ岩は一目見てすぐわかるほどイルカそのもの。目の位置や嘴の形、腹側が白いところまで思わず「マジで人間が手を加えてないの?」と言ってしまいたくなるほどの見事な造形。自然は偉大だ。
花崗岩でできた立体迷路のような登山道を進み、13:40、燕岳(2,762m)登頂。
山頂は狭く、標識は山名が刻まれた石のプレートが埋め込まれているのみ。そしてプレートの後ろには何故か多数の硬貨がお供え?されている、一体どのようなご利益があるのだろうか。
20分ほど山頂からの眺望を楽しんで、燕山荘への帰途に着く。来る時は気付かなかったメガネ岩は北側からみるとわかりやすい。
燕山荘に戻って装備を解く。11時ごろにスイカとおでんを食っただけなので小腹が減ってきたし、ちょうどおやつの時間なので喫茶室へケーキセットを食いに行く。2年前の大天荘では寝てしまってケーキにありつけなかったので燕山荘のケーキはかなり楽しみにして来た。3人でそれぞれ違うケーキを頼んでシェア。どれも美味かった。個人的にはキャラメルりんごがイチオシ。喫茶室から外を見ていると、時々ガスが薄くなってまれに安曇野の市街地まで見下ろせたりして楽しい。
明日に備えて荷物のパッキングをし直し、ちょっと一服したら晩メシの時間。オーナーによるスライドを見ながらの山の話が楽しい。燕山荘は今年99周年なのだそうな。そりゃスゲー。いつもならアルプホルンの演奏も披露されるようだが、今年はコロナの影響で自粛だそうな。残念。
メシを食った後は部屋に戻って就寝。持参したシュラフカバーを布団の間に挟み、そこに潜り込んで寝る。夜通し運転と山登りの疲れもあってか早々に眠りに落ちる。
0時半ごろ暑くて目が覚める。試しにカメラを持って外に出てみたが、あたりはガスがかかっていて星空を見ることはできなかった。
翌日4時起床。外は快晴。昨日は安曇野側が半分ガスに隠れていた燕岳が今日はその全容を見せている。南に目を向ければ大天井から常念山脈の山並みが美しい。
朝メシを食って山荘をチェックアウト。不要な荷物をザック置き場にデポって6時前に大天井に向け出発する。
残念ながら今日は槍ヶ岳は雲の中。どうやら槍も時短営業らしい。雲ノ平方面も上空にガスが立ち込めている。急ぐに越したことはなさそうだ。
他の登山者と「蛙岩は蛙に見えない」「笠の抜戸岩はそれっぽいよ」「笠ヶ岳は登ったことがない、どんなか」「しんどいよ」「やっぱね」などと山談義をしながら歩く。
大下りの頭から一度ガクンと高度を下げ、樹林帯に入ってまた登っていく。やがて道はすこぶる歩きやすいなだらかな道となり、行く手には大天井岳が存在感を増しながら近づいて来る。これは田中陽希氏でなくとも「うひょー」とか言いながら走り出したくなろうというものだ。しかしそれにしてもここから見たら高っかいな大天井。
切通岩でクサリ場とハシゴを越え、喜作レリーフの下でひと休みしてからいよいよ大天井へ向けての登りにかかる。今年は営業していないらしい大天井ヒュッテへの分岐を左に折れて、表銀座縦走路と別れる。足元はいつしか丸くてザラザラした花崗岩の砂礫帯から、ツルツルして角ばった岩の転がるガレ場と変わり、これぞ「ザ・北アルプス」といった風景である。山頂へは冬道を直登する案もあったのだが、どこから冬道に入るのかわからず結局大天荘へのトラバース道を登っていく。まあ分岐周辺では飛騨側から強風が絶えず吹き上げていたので、安曇野側のトラバースの方が歩きやすいかも知れん。
大天荘の前のベンチで行動食を口にしていよいよ山頂へ。一昨年に来た時は義妹は小屋の中で寝ていて山頂を踏んでないのでそのリベンジとなる。オレとひるねは登頂はしたが天候が悪く何も見えなかったので、今回は大天井からの槍を眺めてみたい。果たしてどうかー。
8:50、大天井岳(2,922m)登頂。辺りは見事にガッスガスで槍どころかあたり一面真っ白けで何も見えん。それでも一昨年は山頂付近で雷鳥のファミリーと出会ったことを知っている義妹はしきりに「雷鳥はどこ?」とキョロキョロしていたが、そう簡単にはエンカウントしないよ特別天然記念物。
待っていても天候の回復は見込めなさそうなので、あきらめて帰路に就くことにする。切通岩まで戻ると、燕方面からやって来た若いカップルが喜作レリーフを見て「これは誰なんですか?」と聞くので「この道を作った人です。拝んでおいた方がいいですよ」と言っておいた。
表銀座の分岐から少しガスに雨が交じりはじめ、内心ヒヤヒヤしたが切通岩をすぎてしばらくすると雨は消えていた。それどころか大下りの頭まで戻ってきて振り返ると大天井めっさクッキリ見えてる。おいwww今頃晴れるなwww
義妹の見たがっていた雷鳥だが、あちらこちらのハイマツの茂みからゴアゴアと雷鳥らしき鳴き声は聞こえてくるのだが、登山道周辺にはなかなか現れない。ひるねは「私は何回も見たことあるもんねー♪」と謎のマウントを取りに行っていた。
蛙岩をすぎて少し行った辺りから霧状の雨が風とともに横から吹き付けはじめたが、滑り込みセーフで燕山荘へ。
燕山荘で昼メシを食ってる間に雨は上がったのか、結局レインウェアを着ることなく下山の途に就く。昨日よりもガスは晴れていて、意外と遠くから燕山荘見えてることが判明。登ってくる人に「もうすぐ小屋ですよ」と教えてあげたらその場から小屋が見えていて大恥。
燕山荘からジャスト3時間で中房登山口に戻ってくる。有明山神社に車を取りに行かないといけないが、乗合バスが発車するまで30分以上あるので、とりあえず有明荘に行って先にチェックインをすませ、バスが来たらオレだけ空身で下りることに。
下山後の荷物を載せた車に乗って大急ぎで有明荘に戻り、さっそく温泉へ。うっはあ、気持ちいい!!
そしてお待ちかねの夕食。穂高地ビールがめっさ美味い。あまりの美味さに3人ともおかわりする始末。この後に岩魚の骨酒も来るというのに。楽しみにしていた馬刺しも超美味い。行者ニンニクと一緒にいただく。
夕食の際には宿の人が登山の心得などを話してくれる。今日の宿泊者は全員が明朝燕岳へ登る人で、下山してきて泊まっているのはなんとオレたち3人だけなんだそうなwww
翌朝は早朝から露天風呂に入りに行き、6時から朝食。この朝食も特筆すべき御馳走メニューはないもののどれも美味かった。
他の客がメシを食ったら登山装備を整えてさっさと出ていくのを横目に我々はのんびりと準備をして、それでも7時半にチェックアウトする。
一昨年に立ち寄って品揃えがよかった安曇野スイス村に土産物を買いに行く。ところが行ってみると臨時休業なのだそうな。うへえマジかよ。これもコロナの影響なのか、
まだ時間もあるので、前から行ってみたいと思っていた松本城を見学に行くことに。
市営駐車場に着いてビックリ。なんと無料のレンタサイクルが置いている。この情報は知らなかった。
早速自転車を人数分借りて松本城へ。国宝・松本城は現存する五重六階の天守の中では最古のものだそうで、堀の水面に浮かぶ黒い天守が美しい。って、それってSCHWARZ KASTELLやんけ。グーテンモルゲングーテンタッグ。
松本城を見学した後は、信州蕎麦を食いに松本城近くのそば屋五兵衛へ。夫婦二人で営んでいる店なのだそうで、メニューは潔くせいろそばのみ。3人ともせいろそばの大盛を注文。しばらく待たされて出てきた蕎麦はお世辞抜きで絶品。つゆも鰹が効いていて、ワサビも香りが高くどれもが上質。こりゃ家の近所ではしばらく蕎麦は食えんな。
その後、観光マップを見て松本インターの近くに酒蔵があるから行きたいという義妹の希望で、亀田屋酒造店に立ち寄り、運転しないひるねが試飲をしてアルプス正宗など酒を何本か購入し、途中駒ヶ岳SAで土産を買ったりしながら大阪へ帰る。
二年ぶりの泊まりの山行。やっぱり山小屋泊まりと縦走は非日常感を味わえて楽しい。上で二泊、下で一泊というのはしばらく難しそうなので、一泊の山行の案をいくつか温めておくのも良いかも知れない。
楽しい旅だった。またいつか行きたいな燕山荘。
この盆休にどこに行こうか迷っていたら
クラリーさんのレコにヒットしました
すんごく楽しそうで、ええレコです!
こういう楽しい雰囲気の伝わってくるレコが好きなんで
コメントさせていただきました
それにしても、自分の知る関西の山ヤさんは山に対する
バイタリティがハンパないです!
というか飢えてます
最後のほうの馬刺しも美味しそう!!!
自分なら冷酒です
junbader様はじめまして!
コメントありがとうございます!
燕からの大天井楽しかったです。
やっぱり縦走はいいですね〜。
馬刺しも美味かったですよ。馬だけに。
冷酒もいいっすね!
いいお盆休みをお過ごしください!
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