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Yamareco

記録ID: 2715154
全員に公開
沢登り
東海

【奥美濃】スギクラ(杉倉) 扇谷のタラガ谷から

2020年11月07日(土) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 福井県 岐阜県
 - 拍手
GPS
--:--
距離
20.2km
登り
1,207m
下り
1,199m

コースタイム

日帰り
山行
13:00
休憩
0:00
合計
13:00
4:50
80
櫨原集落記念碑のある広場(駐車地)
6:10
60
狂小屋
7:10
290
作六ツシ
12:00
210
スギクラ(杉倉)
15:30
60
作六ツシ
16:30
80
狂小屋
17:50
櫨原集落記念碑のある広場(駐車地)
天候 曇りのち雨
過去天気図(気象庁) 2020年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
・国道417号線の扇谷姫街道橋の北詰から伸びる細い道を上がったところにある櫨原集落記念碑のある広場に駐車(7〜8台くらいは停められるスペースあり)。
・扇谷右岸には地図にない林道が谷奥に続いている。駐車地から細い道を少し戻ったところに林道入り口があるが,車止めゲートがあり一般車両の進入は不可。
コース状況/
危険箇所等
【作六ツシ(さくむつし)までの林道の状況】
・狂小屋(カラカン谷出合)までの林道は、ところどころ藪っぽい箇所や、扇谷の渡渉が一箇所ある以外は特に問題ない(2019年11月の若丸山の記録や、2020年10月の美濃峠の記録を参照)。
・狂小屋から作六ツシまでの区間(特に、滝ノ又谷との二俣以降)はかなり藪っぽくなるが、谷沿いに林道跡が続いており、路盤跡の踏み跡を辿って概ね歩行可能。一部崩壊している箇所もあるが、扇谷の河原に降りて容易に迂回できる。
※ 狂小屋…扇谷のカラカン谷出合の地名
※ 作六ツシ…扇谷が滝ノ又谷と別れた後の550m付近二俣の地名

【タラガ谷(扇谷本流が作六ツシで二つに別れた後の左俣)】
・「樹林の山旅」(森本次男著)と「奥美濃」(高木泰夫著)及び「日本登山体系」では「タラガ谷」,「美濃の山」(大垣山岳協会編)では「タガラ谷」と記載されており,谷名に混乱があるが,この記録ではとりあえず「タラガ谷」とさせていただいています。
・650m付近までは沢沿いに林道跡らしき平場が続いており(最初は左岸沿い、途中から右岸沿い)、容易に通過できる。
・700m付近の等高線が詰まり始める辺りから急に谷が険しくなり、3段15m滝、多段50m?滝を筆頭とした連瀑帯となる。両岸もかなり立っており、結構大変な高巻きとなるので要注意。

【越美国境稜線〜スギクラ山頂】
・越美国境稜線は背丈くらいの笹藪に覆われ、藪こぎが大変だが、灌木の藪ではないのでまだましなほう。尾根が広いうえ、藪で視界が制限されるためルートファインディング注意。
・スギクラ山頂は広い台地のようになっており、かつ深い笹藪のため、三角点を見つけるのは容易ではない。三角点は山頂の南西寄りにあるため、その付近の小高いところを探すのがポイント。三角点の周囲は小さな切り開きとなっている。
扇谷沿いの林道を1時間半ほど歩いて,扇谷本流と滝ノ又谷の二俣に到着。ここから廃橋を渡って扇谷本流の右岸沿いに残る林道跡を東進する。
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扇谷沿いの林道を1時間半ほど歩いて,扇谷本流と滝ノ又谷の二俣に到着。ここから廃橋を渡って扇谷本流の右岸沿いに残る林道跡を東進する。
林道跡はかなり藪っぽいが,一筋の踏み跡(恐らく獣道)が走っており,いいペースで進んでいくことができる。
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林道跡はかなり藪っぽいが,一筋の踏み跡(恐らく獣道)が走っており,いいペースで進んでいくことができる。
穏やかに蛇行を繰り返す扇谷の流れ。
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穏やかに蛇行を繰り返す扇谷の流れ。
両岸の黄葉がきれいだ。
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両岸の黄葉がきれいだ。
こんな廃橋を3回ほど渡る。橋の上は藪がひどいが,踏み跡が続いており通過は問題ない。(写真は扇谷の河原に降りて撮影)
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こんな廃橋を3回ほど渡る。橋の上は藪がひどいが,踏み跡が続いており通過は問題ない。(写真は扇谷の河原に降りて撮影)
こんな感じで林道がほとんど原型を留めており歩きやすい区間もある。
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こんな感じで林道がほとんど原型を留めており歩きやすい区間もある。
川中の大岩の上の黄葉が美しい。
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川中の大岩の上の黄葉が美しい。
カーブミラーの残骸が藪の中に突っ立っている。ここまで車が入ってきていたとは,現在では想像もつかないが…。
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カーブミラーの残骸が藪の中に突っ立っている。ここまで車が入ってきていたとは,現在では想像もつかないが…。
扇谷本流の550m付近二俣,古い地図では「作六ツシ」と地名表記のある場所に到着。扇谷はここで二つの流れに分かれており,二俣に挟まれた土地は小広い平地となっている。
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扇谷本流の550m付近二俣,古い地図では「作六ツシ」と地名表記のある場所に到着。扇谷はここで二つの流れに分かれており,二俣に挟まれた土地は小広い平地となっている。
周辺の山腹には,恐らく焼畑の跡と思われる草地の斜面が散見される。「ムツシ」は焼畑(または焼畑を行った後の休耕地)のことを指す言葉なので,「作六ツシ(さくむつし)」は徳山の人たちが焼畑をしていた場所なんだろうと想像していたが,あながち間違ってはいないようだ。
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周辺の山腹には,恐らく焼畑の跡と思われる草地の斜面が散見される。「ムツシ」は焼畑(または焼畑を行った後の休耕地)のことを指す言葉なので,「作六ツシ(さくむつし)」は徳山の人たちが焼畑をしていた場所なんだろうと想像していたが,あながち間違ってはいないようだ。
林道跡は扇谷の右俣に沿って続いているのだが,今回はスギクラを目指すため,林道跡を離れて沢に降り,真ん中に大岩のある二俣を左(タラガ谷)に入る。
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林道跡は扇谷の右俣に沿って続いているのだが,今回はスギクラを目指すため,林道跡を離れて沢に降り,真ん中に大岩のある二俣を左(タラガ谷)に入る。
左俣のタラガ谷を少し進むと,右手の二俣に挟まれた平地に杉が植林してある一角があり,古い石垣が残っていた。ここに焼畑や山仕事のための出作り小屋が立っていたのだろうか。
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左俣のタラガ谷を少し進むと,右手の二俣に挟まれた平地に杉が植林してある一角があり,古い石垣が残っていた。ここに焼畑や山仕事のための出作り小屋が立っていたのだろうか。
と,タラガ谷の左岸側に沿って林道跡らしき平場が続いており,それを辿っていくことができた。まさか,タラガ谷沿いにまで林道が作られていたとは意外だった。
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と,タラガ谷の左岸側に沿って林道跡らしき平場が続いており,それを辿っていくことができた。まさか,タラガ谷沿いにまで林道が作られていたとは意外だった。
林道跡を少し進むと,何と藪の中に年代物の廃車が! しかも林業用車両や工事車両ではなく,普通の乗用車だ。こんなところまで一般の乗用車が乗り入れられるような道が昔は存在していたのだ。いまでは想像が難しいが…。
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林道跡を少し進むと,何と藪の中に年代物の廃車が! しかも林業用車両や工事車両ではなく,普通の乗用車だ。こんなところまで一般の乗用車が乗り入れられるような道が昔は存在していたのだ。いまでは想像が難しいが…。
この山腹にも焼畑跡らしき草地が。昔は櫨原集落の人々がこの谷を上り下りして日々の糧を得ていたのだろう。
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この山腹にも焼畑跡らしき草地が。昔は櫨原集落の人々がこの谷を上り下りして日々の糧を得ていたのだろう。
左岸側の林道跡は一旦途切れ,右岸側に渡り返す。渡り返した箇所が,ちょうど昔の地図で美濃峠への峠道が描かれている枝沢の位置に当たっており,まるで峠道の目印のようにも見えるカツラの巨木が一株立っていた。少し藪をかき分けて枝沢沿いに登ってみたが,獣道らしき薄い踏み跡があるだけで,峠道の痕跡らしきものは見つからなかった。
(森本次男「樹林の山旅」では,この枝谷は「越前ギ」と呼ばれている。)
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左岸側の林道跡は一旦途切れ,右岸側に渡り返す。渡り返した箇所が,ちょうど昔の地図で美濃峠への峠道が描かれている枝沢の位置に当たっており,まるで峠道の目印のようにも見えるカツラの巨木が一株立っていた。少し藪をかき分けて枝沢沿いに登ってみたが,獣道らしき薄い踏み跡があるだけで,峠道の痕跡らしきものは見つからなかった。
(森本次男「樹林の山旅」では,この枝谷は「越前ギ」と呼ばれている。)
林道跡らしき平場はタラガ谷の右岸沿いにしばらく続く。
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林道跡らしき平場はタラガ谷の右岸沿いにしばらく続く。
とうとう谷の両岸が狭まり,林道跡が尽きたため,谷に降りて本格的に遡行開始。タラガ谷は,二俣付近ではただの藪っぽい小川のような風情だったのだが,いつの間にか岩がちな沢の姿に変貌している。
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とうとう谷の両岸が狭まり,林道跡が尽きたため,谷に降りて本格的に遡行開始。タラガ谷は,二俣付近ではただの藪っぽい小川のような風情だったのだが,いつの間にか岩がちな沢の姿に変貌している。
このチョックストーンの小滝は左隅を登ってクリア。
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このチョックストーンの小滝は左隅を登ってクリア。
しばらく小滝を越えていくと,奥に大きな滝の姿が見えてきた。
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しばらく小滝を越えていくと,奥に大きな滝の姿が見えてきた。
3段15m位の立派な滝だ。最も大きな最上段は2条の滝になっており,なかなか美しい。
この滝は右岸から高巻いたが,かなり急斜面で,結構きわどい高巻きとなった。
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3段15m位の立派な滝だ。最も大きな最上段は2条の滝になっており,なかなか美しい。
この滝は右岸から高巻いたが,かなり急斜面で,結構きわどい高巻きとなった。
3段15m滝を越えると,息つく間もなく10mほどの滝が出現。この上にもさらに大きな滝が連続しているが望見され,突然の連瀑帯の出現に緊張が高まる。
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3段15m滝を越えると,息つく間もなく10mほどの滝が出現。この上にもさらに大きな滝が連続しているが望見され,突然の連瀑帯の出現に緊張が高まる。
両岸とも岩がちな急斜面で,高巻きは容易ではなさそう。意を決してわずかに緩そうな左岸側に取りつく。今にも切れそうな細い木の根や雑草にかじりついて耐えつつ,じりじりと登っていく。なかなか斜面の傾斜が緩まず,かなり高く登らされてしまった。
眼下には樹林の間に多段の滝が見え隠れしており,全部合わせればかなりの高さがありそうである(写真右上の木の間に少し見えている白いものも、滝である)。これが日本登山体系にある4段50m滝なのかもしれない。
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両岸とも岩がちな急斜面で,高巻きは容易ではなさそう。意を決してわずかに緩そうな左岸側に取りつく。今にも切れそうな細い木の根や雑草にかじりついて耐えつつ,じりじりと登っていく。なかなか斜面の傾斜が緩まず,かなり高く登らされてしまった。
眼下には樹林の間に多段の滝が見え隠れしており,全部合わせればかなりの高さがありそうである(写真右上の木の間に少し見えている白いものも、滝である)。これが日本登山体系にある4段50m滝なのかもしれない。
ようやくトラバース可能なラインが見えたため,山腹を巻いていく。谷底に大きな滝が白煙を上げているのが見える。
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ようやくトラバース可能なラインが見えたため,山腹を巻いていく。谷底に大きな滝が白煙を上げているのが見える。
相変わらずの急傾斜の泥斜面を慎重にトラバースし,ドンピシャで多段50m?滝の最上段の落ち口に出ることができた。写真は最上段の落ち口から見下ろしたところ。最上段だけでも20mくらいはありそう。
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相変わらずの急傾斜の泥斜面を慎重にトラバースし,ドンピシャで多段50m?滝の最上段の落ち口に出ることができた。写真は最上段の落ち口から見下ろしたところ。最上段だけでも20mくらいはありそう。
大滝の上から,紅葉の谷を遠望する。
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大滝の上から,紅葉の谷を遠望する。
大滝の上はすぐに次の滝が続いている。岩盤をえぐったような樋状の5mほどの滝で,面白い形の滝だ。
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大滝の上はすぐに次の滝が続いている。岩盤をえぐったような樋状の5mほどの滝で,面白い形の滝だ。
右岸側から小さく巻こうとしたが,樋状5m滝の上にもさらに10mほどの滝が連なっており,両岸はつるつるのゴルジュで突破は難しそう。仕方なく一旦クライムダウンして,左岸側から大きめに高巻いた。
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右岸側から小さく巻こうとしたが,樋状5m滝の上にもさらに10mほどの滝が連なっており,両岸はつるつるのゴルジュで突破は難しそう。仕方なく一旦クライムダウンして,左岸側から大きめに高巻いた。
高巻きに入ると必ず見かけるのが,クマさんの大きな落とし物…。しかも「さっきまでいました」と言わんばかりのホカホカものだ。先週の滝尾根(美濃峠)では2回もクマに接近遭遇して危ない目を見ていたため,今日は3分おきに大音量で「ホーイ」「ホーイ」とコールしながら進んでいく。
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高巻きに入ると必ず見かけるのが,クマさんの大きな落とし物…。しかも「さっきまでいました」と言わんばかりのホカホカものだ。先週の滝尾根(美濃峠)では2回もクマに接近遭遇して危ない目を見ていたため,今日は3分おきに大音量で「ホーイ」「ホーイ」とコールしながら進んでいく。
先ほどの10m滝を越えてすぐ谷に降りようとしたら,その先にも滝が続いている…。まるで沢全体が滝でできているかのようだ。結局,谷に降りられず高巻きを継続したまま,840m二俣を右俣に入る(二俣も2段15mほどの滝になっていた)。
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先ほどの10m滝を越えてすぐ谷に降りようとしたら,その先にも滝が続いている…。まるで沢全体が滝でできているかのようだ。結局,谷に降りられず高巻きを継続したまま,840m二俣を右俣に入る(二俣も2段15mほどの滝になっていた)。
840m二俣の左俣を遠望したところ。ひたすら小滝が続いているのが見える。今回は最短経路でスギクラを目指すため右俣に入ったが,地図上では険しく描かれているのは左俣のため,左俣に入ればさらに滝を見ることができたかもしれない。
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840m二俣の左俣を遠望したところ。ひたすら小滝が続いているのが見える。今回は最短経路でスギクラを目指すため右俣に入ったが,地図上では険しく描かれているのは左俣のため,左俣に入ればさらに滝を見ることができたかもしれない。
右俣出合いの2段15m滝を越えてから谷に降り立つと,やっと谷は穏やかな姿を取り戻していた。
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右俣出合いの2段15m滝を越えてから谷に降り立つと,やっと谷は穏やかな姿を取り戻していた。
標高を上げれば上げるほど,紅葉が冴えてくる。
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標高を上げれば上げるほど,紅葉が冴えてくる。
ブナの黄葉が美しい。
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ブナの黄葉が美しい。
タラガ谷の右俣は概ね穏やかだが,ところどころ小滝が掛かって楽しい。
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タラガ谷の右俣は概ね穏やかだが,ところどころ小滝が掛かって楽しい。
これは直登できそうだが,さすがにこの時期なので濡れるのを嫌って右岸から巻いた。
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これは直登できそうだが,さすがにこの時期なので濡れるのを嫌って右岸から巻いた。
ついに源頭の様相。枯葉が敷き詰められた中を縫うように流れる細流。
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ついに源頭の様相。枯葉が敷き詰められた中を縫うように流れる細流。
ついに水切れとなり,同時に背丈以上の猛烈な笹薮に突入。これぞ越美国境,といった感じの藪だ。
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ついに水切れとなり,同時に背丈以上の猛烈な笹薮に突入。これぞ越美国境,といった感じの藪だ。
コンパスで北を出しつつ藪の中を突き進み,スギクラの山頂らしき台地に乗ったが,地形図から予想していた通り,特徴のないだだっ広い山頂で,一面濃い藪に覆われており,どこに三角点があるのか皆目見当がつかない。しかも今日はガスっていて遠望も利かず,条件はかなり悪い。霧にかすむブナの森が美しいのが救いだが…。
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コンパスで北を出しつつ藪の中を突き進み,スギクラの山頂らしき台地に乗ったが,地形図から予想していた通り,特徴のないだだっ広い山頂で,一面濃い藪に覆われており,どこに三角点があるのか皆目見当がつかない。しかも今日はガスっていて遠望も利かず,条件はかなり悪い。霧にかすむブナの森が美しいのが救いだが…。
地図をにらんだり,木登りしたり,地面に這いつくばって藪を透かしたりしながら,少しずつ三角点の探索範囲を狭めていく。GPSを持っていれば一発なのかもしれないが,持っていないので,地道に推理を重ねるしかない。でも,藪山の三角点探しは,宝探しみたいで結構好きだ。
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地図をにらんだり,木登りしたり,地面に這いつくばって藪を透かしたりしながら,少しずつ三角点の探索範囲を狭めていく。GPSを持っていれば一発なのかもしれないが,持っていないので,地道に推理を重ねるしかない。でも,藪山の三角点探しは,宝探しみたいで結構好きだ。
藪の中をうごめき続けること15分…
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藪の中をうごめき続けること15分…
山頂台地の南西付近を重点的にガサガサやっていると,突然ぽんと小さな切り開きに飛び出した。切り開きの中央にはちょこんと三角点。スギクラ山頂に到着だ。
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山頂台地の南西付近を重点的にガサガサやっていると,突然ぽんと小さな切り開きに飛び出した。切り開きの中央にはちょこんと三角点。スギクラ山頂に到着だ。
三等・杉谷。福井県側の杉ヶ谷から採られた点名だろう(スギクラは,杉谷山という別名も持っている)。
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三等・杉谷。福井県側の杉ヶ谷から採られた点名だろう(スギクラは,杉谷山という別名も持っている)。
こんなマイナーな藪山なので,当然三角点以外には何もない山頂だろうと思っていたら,立派な山名板が設置されていてびっくりした。スギクラって意外と人気なのか?(んなわけないか…。)
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こんなマイナーな藪山なので,当然三角点以外には何もない山頂だろうと思っていたら,立派な山名板が設置されていてびっくりした。スギクラって意外と人気なのか?(んなわけないか…。)
今年4月の日付が記された赤布と黄布も巻いてあった。正直,切り開きに出るまで存在に気付かなかったが,事前に気を付けていれば良い目印になるかもしれません。
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今年4月の日付が記された赤布と黄布も巻いてあった。正直,切り開きに出るまで存在に気付かなかったが,事前に気を付けていれば良い目印になるかもしれません。
山頂でゆっくりしたかったが,半日ぐずつき続けた空からついに冷たい雨が降り始めたため,立ったままおにぎりを2コ頬張っただけで下山を開始。帰路もタラガ谷を下降することにした。
地図とコンパスを確認しつつ慎重に降りていったつもりだったが,東に寄りすぎたらしく白谷側の源頭を降りかけてしまい,すぐ登り返した。やはりガスった日の藪山は油断ならない。
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山頂でゆっくりしたかったが,半日ぐずつき続けた空からついに冷たい雨が降り始めたため,立ったままおにぎりを2コ頬張っただけで下山を開始。帰路もタラガ谷を下降することにした。
地図とコンパスを確認しつつ慎重に降りていったつもりだったが,東に寄りすぎたらしく白谷側の源頭を降りかけてしまい,すぐ登り返した。やはりガスった日の藪山は油断ならない。
今度はきっちりタラガ谷の源頭に降り立ち,どんどん下降していく。
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今度はきっちりタラガ谷の源頭に降り立ち,どんどん下降していく。
次第に谷らしくなってきた。
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次第に谷らしくなってきた。
登りで苦労した連瀑帯は,一気にまとめて左岸側を巻いてしまうことにした。
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登りで苦労した連瀑帯は,一気にまとめて左岸側を巻いてしまうことにした。
山腹には獣道が走っており,それを辿って比較的スムーズに連瀑帯を巻きおおせることができた。
ただ,この獣道はクマさんのものらしく,真新しいクマ糞がたくさんおちてました…。コールの声に力が入ったのは言うまでもない。
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山腹には獣道が走っており,それを辿って比較的スムーズに連瀑帯を巻きおおせることができた。
ただ,この獣道はクマさんのものらしく,真新しいクマ糞がたくさんおちてました…。コールの声に力が入ったのは言うまでもない。
高巻きを終えて谷に降り立ったところが,ちょうど連瀑帯入り口の3段15m滝のすぐ下流側だった。
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高巻きを終えて谷に降り立ったところが,ちょうど連瀑帯入り口の3段15m滝のすぐ下流側だった。
枯葉の舞うタラガ谷の美しい流れを振り返りつつ下っていく。
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枯葉の舞うタラガ谷の美しい流れを振り返りつつ下っていく。
ついに林道跡が出てきた。ここまで下ってくればもう安心。
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ついに林道跡が出てきた。ここまで下ってくればもう安心。
作六ツシの二俣まで戻ってきた。
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作六ツシの二俣まで戻ってきた。
寂しそうにぽつんとたたずむカーブミラーともお別れ。
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寂しそうにぽつんとたたずむカーブミラーともお別れ。
荒れ果てた林道だが,道端の紅葉は美しい。
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荒れ果てた林道だが,道端の紅葉は美しい。
静かな水面に影を落とす廃橋の上から川岸の紅葉を見下ろして,徳山の人々が行き交った扇谷の昔を偲びながら、次第に強まる冷たい雨の中を帰路に就いた。
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静かな水面に影を落とす廃橋の上から川岸の紅葉を見下ろして,徳山の人々が行き交った扇谷の昔を偲びながら、次第に強まる冷たい雨の中を帰路に就いた。

装備

備考 ・フェルトソール沢足袋使用。タラガ谷はぬめりがあるため、フェルトのほうがいいと思う。
・40mロープを携行したが不使用。

感想

 今回の山行は、もちろん越美国境の藪の秘峰であるスギクラ(杉倉)に登ってみたいということもあったが、扇谷本流が作六ツシで2つに別れた後の左俣であるタラガ谷を覗いてみたいという関心もあった。日本登山体系の古い記録によると、タラガ谷には4段50m滝など大滝があるとされており、もしそれが本当なら、揖斐川源流域では最大級の滝の一つということになる。あの穏やかな扇谷の奥に本当にそのような巨瀑があるのか半信半疑ながらも、スギクラを目指してタラガ谷に入渓した。
 タラガ谷は、序盤はぱっとしない藪沢にしか見えないのだが、標高700m付近で等高線が詰まり始める辺りからそれまでの穏やかさからは信じられないほど突発的な険しさを見せ、沢全体が滝でできているかのように思われるくらい多くの滝を連ねており、驚かされた。あまりの険しさに大部分を高巻いてしまったため間近に観察できず、本当に50mあるかは不明だが、少なくともそれに近いスケールの多段の大滝が現れるなど、日本登山体系の記述に偽りはなかった。両岸とも岩がちで際どい高巻きを強いられ、扇谷の流域では恐らく最も険悪な支谷なのではないだろうか。
 登りついたスギクラの周辺は背丈を超える濃密な笹藪がひたすら続いており、山頂ものっぺりした感じで、三角点探しはかなり苦労させられた。今回は天気が悪くガスっていたため条件も悪かった。しかし、こういう本当の藪山で地図をにらんだり木登りしたりしながら真剣に三角点を探すのは、宝探しをしているようで何だかとても楽しい。三角点の周りには小さいながらも切り開きがあるので、好天に恵まれれば笹の葉擦れに聞き入りながら静かなお昼ご飯を楽しめるだろう。
 また、その不思議な響きを持つ地名に興味を持っていた作六ツシ(さくむつし。扇谷本流の550m付近二俣の地名)に行くことができたのも感慨深かった。ここは昔、出作り小屋があったところだそうで、「ムツシ」は焼畑(もしくは、焼畑を行った後の休耕地)を指す言葉なので、恐らく焼畑をしていた土地なのだろうと想像していが、実際に現地には焼畑の跡と思われる草地の斜面が多く見られた。谷沿いのわずかな平地には、苔むした石垣も残っていた。森本次男の「樹林の山旅」には,作六ツシの平地の真ん中に出作り小屋があったと記されており,その出作り小屋の跡なのかもしれない。徳山の人々が扇谷流域の山や谷を生活の場として闊歩していた時代に、しばし思いを馳せた。

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コメント

長っ
ワタシやったら3日くらいかかりそうです

それにしても この時季の谷沿いはカラフルでいいですよねー。

茸は あんましあれですか?

あと、熊の糞の件、お気持ちよく分かります。無事ご帰還!すばらしー
2020/11/10 15:20
Re: 長っ
こんばんは!一見長く見えますが、半分は林道(というか林道跡)なので(^^;
紅葉はなかなかきれいでした。これくらいの標高ならもう少し楽しめそうですね。
キノコは、ナメコを楽しみにして倒木がある度に覗きこみながら歩いてたのですが、何故か全く出ていなくて残念でした。昨年は同じ時期にこの界隈でたくさん取れたのですが…。
報道に感化されてるだけかもしれませんが、今年はやっぱりクマの気配が濃い気がします。先週、頭の上でクマに唸られた時は目の前に走馬灯が走りました。
2020/11/10 19:28
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