大峯奥駈道(逆峯)
- GPS
- 34:18
- 距離
- 152km
- 登り
- 9,989m
- 下り
- 10,292m
コースタイム
02:00 吉野山観光駐車場
06:30 小笹ノ宿(水)
10:30 弥山
13:30 釈迦ヶ岳(水)
16:40 持経宿(水)
ブドウ糖300g
11/15(日) 10時間20分 39km +2,400m CT0.50
04:00 持経宿発
07:15 笠捨山
10:30 玉置神社
14:30 大斎原, 熊野本宮
ブドウ糖300g
11/16(月) 9時間10分 53km +2,500m CT0.44(本宮-清姫)
04:00 熊野本宮
08:40 道の駅ちかつゆ(自販機)
11:00 滝尻
13:10 朝来駅
惣菜パン2
天候 | 11/14~11/16 3日間晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2020年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
14:08 朝来駅発 きのくに線 紀伊田辺行(190円) 14:16 紀伊田辺駅着 14:45 紀伊田辺駅発 特急くろしお24号(4,400円) 16:33 天王寺駅着、徒歩5分で近鉄阿倍野橋駅へ 17:20 阿倍野橋駅発 近鉄大阪線 吉野行(急行990円) 18:50 吉野駅着 |
写真
感想
秋も深まり冬目前。もはや大峯奥駈道は夏山のシメには欠かせないイベントになった。体力、特にスピードが去年より上がった。装備は洗練され、三度目なのでルートは把握している。今回は余裕を持って完走できるはずだ。10月末から毎週毎週大峰の天気をチェックしていたが、ついにバチッと週末と好天が噛み合った。計画と持ち物リストは何週間も前から準備してある。行くしかない。
金曜は定時に仕事を終えたら吉野までクルマを走らせた。初めて名阪の針で降りた。お、今回は有料道路を使わなかったな。お財布に優しい。途中の大宇陀温泉で軽く汗を流すつもりが、泉質は良くサウナはめちゃ熱く水風呂は冷たい。えらい快適で長居してしまった。初めて逆峯をやった時はバス電車を駆使して吉野に入り宿に泊まった。これはとても時間と手間がかかるし十分な睡眠時間を確保できないので今回はクルマで吉野入りして縦走が終わってからクルマを回収する。この方が初日はホテルフィットでたっぷり眠れる。吉野の駐車場はめちゃくちゃ広いが誰も停まっていなかった。桜の時期は凄いらしい。
■11/14(土)
1時半起床の2時出発。長い一日が始まる。新月が近いので空はプラネタリウムだ。古く美しい建物の間を登っていく。この辺の宿ってお高いんだろうか。結局まだ吉野の桜を見ていない。次の春はお花見サイクリングに行こう。ひたすら登り続けて山上ヶ岳で朝が来た。やはりこの辺の山はどんなに晴れ予報でも1,200mより上は特濃ガスだ。太陽が出るまでガスは消えない。大普賢へ続く稜線に出ると北風がビュンビュン吹いてマジで寒くて泣きそう。太陽もっと頑張ってくれ。大普賢に取り付いて岩壁を登ったり下りたりへつったり全身運動。行者還小屋に到着する頃には太陽はすっかり高くなり、さっきまで出ていたガスは綺麗さっぱり消えた。空は雲ひとつない青空。山はどこまでも続いている。どこまでも行ける。
目の前には弥山がドーン。直線距離はすぐそこだが尾根はぐるっと迂回していく。行者還トンネルの分岐を過ぎると凄い数の登山者だ。ここまでの静けさが嘘のよう。子供も元気に登っていた。暑くなってきたので半袖短パンで登っていたら「嘘やろ!?」と言われた。自分、道産子なんで。弥山山頂はかなり賑わっていたが八経ヶ岳へ向かうとパタリと人が減った。さらに八経ヶ岳を過ぎれば釈迦ヶ岳まで2人しか会わなかった。この区間は今年はあまり歩かれていないようで去年より踏み跡が薄くなっていた。みんなで歩こう大峯奥駈道。
釈迦ヶ岳を越えれば深仙宿がある。ここまで12時間。良いペースで来ている。しかしここでやめるわけには行かない。暗くなってでも持経宿まで頑張る。深仙宿に泊まってしまうと翌日は特濃ガス(というか雨)の中のスタートになり、だだっ広い尾根は迷いやすく、びしょ濡れの下草で靴は濡れてひどい目に遭う(遭った、2回も)。初日は持経宿まで高度を落とすと翌日の快適さが段違いだ。釈迦の先も天狗山、奥守岳、地蔵岳、般若岳、涅槃岳、証誠無漏岳。登りの多いこと多いこと。釈迦ヶ岳から先は試練の2時間半だった。二度目のライトを使うことは無く明るいうちに持経宿に着いた。土曜日なので地元の人が宴会でもしてるかな。と思いきやまさかの貸し切りだった。こんな広い小屋に一人ぼっちだ。至高の白飯握り投入チキンラーメンを食べてバタンと眠った。戸棚にネズミがいて夜中にゴトゴトしていたが無視した。ネズミだよな?
■11/15(日)
3時起床の4時出発。今日は遅めの出発なので暖かいコーヒーを飲んでのんびり支度をした。昨日は激しい一日だったが、たっぷり眠ったから元気だ。持経の宿は1,080m. ここまで落とすとガスは沸かない。視界は良好で笹も乾いている。作戦通りだ。快適に歩みを進めてゆく。6時を過ぎると明るくなってきたが上空のガスが消えるまで太陽の光は入らない。笠捨山1,350mまで登るとやっぱりガスに包まれたが高度を落とすとすぐ晴れた。やはりこの時期この一帯は1,200mより上は日が登るまでガスだ。今回はポールは置いてきた。今シーズンは飛騨沢ピストンのような分かりやすい"往路登り復路下り"のルートでは使うが、それ以外では使っていない。大峯奥駈道はあまりにもアップダウンが多いのでポール無しの方が速かった。登りはポールを使った方が速くて楽だが下りは両手フリーの方が安全で速くて楽しい。
玉置神社を過ぎれば大きな登りは大森山だけ。大森山を越えればすぐに熊野川が見えた。終わりは近い。だがこの先も細かい登りがいくつもあることを僕は知っている。最後まで気持ちを切らさずに頑張ろう。ファイナルピーク七越峰を過ぎてもまだ登る。ここで今日最初の登山者に会った。登山道の通過時刻の関係か今日はこの終盤まで一人も登山者に会わなかった。そしてようやく熊野川到着。靴を脱いで熊野川を渡ろう。これがあるから順峯より逆峯の方が楽しい。熊野川の水量は少ないように見えたが川の真ん中は深くて膝まであった。気をつけて渡らないとドボンだ。渡渉だけはポールが欲しい。ちょうど良い木の枝でも拾ってくるんだった。川を渡った後は大斎原の鳥居をくぐって本宮へ参拝してミッション完了。バスの時刻表を見ると今日中に吉野にも名古屋にも帰れることに驚いた。初日に持経の宿まで辿り着く脚があれば3連休でなくとも土日だけで大峯奥駈道を決行できることがわかった。
帰ろうと思えば帰れるが明日は休みなので予定通りゲストハウス"くまのバックパッカーズ"に泊まった。今年も大村屋に泊まりたかったが湯の峰温泉は明日のルートの逆なので。くまのバックパッカーズも素敵な宿だった。宿泊客は僕と男性の2人だけ。街道古道歩きが趣味の彼は1,600kmのサンティアゴ巡礼の道を通しで歩いたと言っていた。現在75歳。すごい。僕も仕事を引退したら何日もかけて国内外の長距離トレイルを歩いてみたい。老後の楽しみはたくさんある。後に残る大きな怪我をしてはいけないし、まして山で死ぬわけにはいかない。将来元気な老人でいるために、いつまでも身体を鍛え続けていこう。
■11/16(月)
3時起床の4時出発。今日ものんびりコーヒータイムからスタート。一昨年は本宮から中辺路を歩いて那智へ抜けたが今日は中辺路を紀伊田辺へ抜ける。まだ歩いていない中辺路を歩けるし、吉野へクルマを回収しに行くなら西からの方が近かった。今日は小さな峠をいくつも越えるが大きな登りは無いだろうと思っていたが終わってみれば2,500mも登っていた。獲得標高は大峯奥駈の後半より多かった。中辺路、恐るべし。本宮から滝尻までの古道はよく歩かれていて迷うところは無い。中辺路はほぼ下界で道路の横を歩く時間が長いが、山でなくても知らない場所を歩くのは本当に楽しい。自販機や商店も多いので補給も困らない。平日だが結構な人が熊野古道を楽しんでいた。
滝尻には7時間で着いた。太陽カンカン照りで地獄のロードだったら紀伊田辺駅までバスを使うつもりだったが、高曇りで涼しいので一番近い朝来駅(あっそえき)まで走ることにした。駅まで15km. 7:00/kmで2時間ってところだろう。しかし走り出すとすぐに雲が流されてお日さま登場。暑すぎる。バスに乗らなかったことを後悔した。自販機やローソンの冷たい飲み物を買って気持ちを繋いだ。予定通り2時間で朝来駅到着。もう歩かなくていいです!朝来駅で二両編成のかわいい電車に乗って紀伊田辺駅へ。特急くろしおに乗り換えて大阪天王寺駅。大阪まで4,400円!?たっけえ!!と思ったが地図を見ると田辺から大阪まで150kmも離れている。特急カムイ(札幌-旭川140km, 4,500円くらい)と同じくらいだった。天王寺駅に着いたら歩いて近鉄阿部野橋駅へ。吉野行きの近鉄に乗る。朝来駅から4時間半かけて愛車の待つ吉野に帰ってきた。移動中にぺちぺち記録を書いた。クルマを回収したら帰りも大宇陀温泉に寄っていった。ここ最高。気に入ったが大峯奥駈をやるときくらいしかこっちに用事が無い。
あっという間の3日間、良い山旅だった。大峯奥駈はとても良い。3度目で慣れてきたが速くなるだけでキツさは変わらなかった。この厳しさが良い。夏のトレーニングの成果を思いっきり山にぶつけてボロボロになれる。身も心も山に磨かれるようだ。これで冬の準備が整うってもんだ。もういつ大雪が降ってもいいぞ。もしもいつか北海道に帰ることになっても11月の大峯奥駈は週末と天気が合う限り毎年やりたい。みなさんもぜひ。男子に生まれたからには一度は大峯奥駈をやるしかないだろう.
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