黒部スキー横断
- GPS
- 56:00
- 距離
- 35.6km
- 登り
- 3,281m
- 下り
- 3,595m
コースタイム
4:00日向山ゲートー5:30扇沢ー8:30マヤクボ出合ー10:20スバリ岳コルー11:20スバリ岳ー12:20下降点ー13:10滑降開始ー13:45大滝上(巻き)ー15:00滑降開始ー15:20黒部ダム湖畔(幕場)
3/16(土)
5:20幕場ー6:00御山谷出合6:30ー11:00一ノ越(⇔雄山登山道)ー12:00滑降開始ー12:30雷鳥平(幕場)
3/17(日)
5:30幕場ー6:20稜線ー7:30滑降開始ー9:20馬場島10:00ー11:00伊折
天候 | 3/15(金)晴 3/16(土)晴のち雪 3/17(日)晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
写真
感想
3/15(金)
4:00日向山ゲートー5:30扇沢ー8:30マヤクボ出合ー10:20スバリ岳コルー11:20スバリ岳ー12:20下降点ー13:10滑降開始ー13:45大滝上(巻き)ー15:00滑降開始ー15:20黒部ダム湖畔(幕場)
前夜七倉荘泊。タクシーで日向山ゲートまで行き、一時間半の林道歩き。
ここ数日まとまった雪が降っておらず、晴天の日が多かったので、斜面はカリカリ。早々にクトーを付けて歩き出す。
針ノ木雪渓には大規模なデブリが横たわっており、その脇を急いで抜ける。
マヤクボ出合から先は場所によっては雪が溜まっている。
急斜面でジグを切っていると、表層のスラブが切れて落ちたので、一部アイゼンに切り替えて直登。
スバリ岳のコルからは四ヶ月前には緑の湖面を湛えていた黒部湖が、純白に染まっている。
徒渉ルートを双眼鏡で観察してみると、ところどころヒビが入っているが、歩いて渡るのに問題はなさそう。
この時点で駄目そうなら針ノ木峠方面に切り替える予定だったが、凍結具合もOKそうなので、スバリ岳に向かって歩き出す。
11:20スバリ岳到着。山頂からは眼前に純白の立山と剱岳の姿。後ろを振り返ると、富士山もぽっかりと浮かんでいる。
場合よっては山頂から大スバリ沢に滑り込めるとのことだが、凍結した急斜面で下部は非常に細いルンゼなので、安全な場所まで板を担いで降りる。上部はクラストした斜面が続き、バックステップでの緊張した下りが続く。
安全そうな場所まで降りても、稜線直下は強風で雪が飛ばされた為か、盛大にハイマツが露出している。仕方がないので滑れるところまで降りて滑降開始。上部の雪は悪かったが、中腹部はまずまずの雪質。立山と黒部湖を眼前に見ながらの滑降は最高だった。
沢の合流点で迫力の大スバリ沢奥壁を見送ると、ポイントとなる大滝に到着。ここは降りられないので、スキーヤーズレフトのルンゼを登って、尾根の向こうのルンゼに降りる。下降はグサグサの雪が付いた急斜面なので、持参していた30mロープで懸垂下降×3回。幅広のルンゼを滑って再び沢の本流に合流すると、すぐに黒部ダム湖畔に到着。
なるべく黒部湖は早朝に渡りたいため、本日はここで幕。ロケーション最高、流水完備の最高の幕場であった。
3/16(土)
5:20幕場ー6:00御山谷出合6:30ー11:00一ノ越(⇔雄山登山道)ー12:00滑降開始ー12:30幕場
ヘッデンがいらなくなるぐらいの時間帯に黒部湖横断開始。念のため、ロープでアンザイレンして歩き出す。
本当に歩けるか最初は半信半疑だが、乗ってみると非常に安定しており、特に不安は無かった。
ここから一ノ越まで御山谷の1200mアップ。下部はなかなか標高が上がらず、気分的にも長い登り。
11:00一ノ越到着。予定では雄山山頂から山崎カールを滑る予定であったが、上部はカリカリの斜面、しかも岩が露出していそうだったので、100m程登ったところで一ノ越に戻る。稜線直下はやはり固かったが、中腹から雷鳥平までは雪も溜まっており、誰もいない室堂の景色を楽しみながら、最高の滑降を楽しんだ。
雷鳥平に到着した時点でまだ12:30なので、このまま立山川を滑れば本日中に下山も可能だったが、午後から気圧の谷の通過で天候が荒れるのと、翌日の晴れが確約されているのとで、本日はここに幕営決定。
3/17(日)
5:30幕場ー6:20稜線ー7:30滑降開始ー9:20馬場島10:00ー11:00伊折
朝、テントから出ると満点の星空。雄大な立山の脇には、さそり座に釣り下げられた浄土山の姿。日の出とともに、日本海が菖蒲色に染め上げられていく。
本日の登りはわずか200m。立山川上部で念のため雪質を確認すると、クラスト斜面の上に15cm程の新雪。特にスラブ化もしていないので、スラフマネジメントしながらであれば滑降も特に問題なさそう。後は足が痛くなるまでひたすら滑降を楽しむ。
東大谷出合あたりから斜度も急激に落ち、いたるところで両斜面からのデブリに遭遇する。
時期が遅ければ沢筋も割れてくるが、今回は特に板を外す事無く林道合流点まで抜ける事ができた。
最後一度だけ板を脱いで徒渉し、馬場島に到着。県警の方に挨拶して、ヤマタンを返却する。
馬場島近くまで除雪が入っていたので、伊折ゲートまでは40分程の林道歩き。
予定では湯川谷方面に下山した三浦さんパーティと打ち上げする予定だったが、連絡が取れないので、我々だけで富山のぼてやんで打ち上げ。富山駅に戻ると超軽量化装備がデポされていたので、あちらも予定通り下山されていた様だ。
帰京は深夜バスなのでそれまでの時間、金沢の後輩の車に載せてもらい金沢観光。
兼六園を始め、金沢市街のスポットを案内してもらい、アフターも充実であった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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昨年の5月連休に早月尾根でお会いした者です。
素晴らしい記録ですね。これは、佐々成政が超えた「さらさら越え」のルートでしょうか。
これからも素晴らしい記録を期待しています。
pamir88さん
お久しぶりです。
佐々成政の「さらさら越え」は今回のルートよりも南側になりますね。
https://maps.google.co.jp/maps/ms?ie=UTF8&oe=UTF8&msa=0&msid=113837414297841480025.00045b6110e26321291f6
こちらも黒部スキー横断に良く使われるルートで、
同時期に入っていた別パーティは、
さらさら越えに近いルートで横断していました。
http://skialpinist.blog92.fc2.com/blog-entry-139.html
黒部横断は色々バリエーションが取れるので、
次回は他のルートでも挑戦してみたいですね。
初めまして、
こんなレポ待っていた様な気がします^^
思わずコメントしてしまいました。
体力・気力・とスキーの機動力
まさにBCの理想ですね。
アクセス・ルートとも興味が湧きました。
天気も味方につけ素晴らしいレポ、有難うございました。
zukaさん
コメントありがとうございます。
個人的にも念願のルートだったので、無事に達成できてよかったです。
計画段階では三週間ぐらいのスパンで天候を見ていたのですが、
特に待つことなくチャンスがやってきたので幸いでした。
今年の北アルプスは例年の三月よりも晴天が多いようですが、
その分、降雪が少なくなっているので、賞味期限は短そうですね。
痺れる山行記録ですね…正直今の時期針ノ木雪渓を登る勇気は自分にはありません(>_<)そしてあのルートを2泊3日とは…スキーの機動力恐るべしですね(≧∇≦)このルートに必要なものは雪山総合力とスキー技術と勇気だと思いました…tianshanさんに素直に嫉妬しました…自分もいつか行ける様に修行します(`∇´ゞ…とても励みになる山行記録ありがとうございましたm(_ _)mそして成功おめでとうございました(*^o^*)
teteteさん
はじめまして。
このルートは局所的な危険個所は少ないので、天候や雪の状態など、行けるチャンスをしっかり狙って掴むのがポイントだと思います。
後は凍結した湖面を歩く時間や、雪崩の多い沢筋を通過するタイミング等、独自のタクティクスが少々。
黒部横断はエスケープが取りづらいというリスクはありますが、ロケーション、達成感共に素晴らしいので、もっと行かれて良いのではと思います。
はじめまして。
ルートを見てこれは凄いと思いました。
この時期にこんなルートで行けるのか?
まさに目から鱗 です。そしてこれを実行する勇気と
技術、凄いです。
日本のBCもここまで来たかと、思いました。
遭難しては困りますが、もっとBCを一般に広げていかないかと思ってます。
素晴らしいレコ、素晴らしい山行に乾杯 !!
okuho1banさん
コメントありがとうございます。
黒部スキー横断は13年前ぐらいから毎年の様にやられていて、
今回のコースに斬新さや難易度というのはあまりないのですが、
実行可能な期間が約一ヶ月と限られるので、
天候のチャンスを掴むという意味では難しいかもしれません。
【黒部横断の記録の数々】
http://skialpinist.blog92.fc2.com/blog-category-3.html
この周辺は発想しだいて色々と面白いルートが取れるので、
まだまだ挑戦のしがいがありそうです。
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