【第三次丹沢打通作戦】大山〜塔ノ岳〜丹沢山〜檜洞丸〜犬越路〜道志【丙96.8】
- GPS
- 16:42
- 距離
- 36.9km
- 登り
- 3,745m
- 下り
- 3,446m
コースタイム
- 山行
- 15:17
- 休憩
- 1:18
- 合計
- 16:35
天候 | 最初から最後まで気持ちの良い快晴で終盤晴れた御空に若干雲が出た程度 気温は暑くもなく寒くもなく風も穏やかというベストコンディション |
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過去天気図(気象庁) | 2013年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:東急山梨バス谷相バス停 |
コース状況/ 危険箇所等 |
大山〜ヤビツ峠 阿夫利神社下社までは女坂を通ったが、街灯が点いていて麓で行く行かないとやりあっていた若いカップルがライト持たずに行っても数回の転倒で行けるレベル。 ヤビツ峠〜塔ノ岳 ヤビツ峠では走り屋のたまり場 行者ヶ岳の鎖場等は慎重に。 塔ノ岳〜蛭ヶ岳 ここまでくればしばらくは楽 蛭ヶ岳〜檜洞丸 蛭ヶ岳までの道とは違い若干荒れている感じ。だが、それが良い。 檜洞丸〜犬越路 檜洞丸からの下りは傾斜が急で楽ではない。その後も急なアップダウンが続く。 大室山・加入道山 ガクンと高度を下げた後にその分登りかえさせるスパルタ道 |
写真
感想
どうしても道志の湯に行きたい行きた〜い!
と思ったのが木曜日。しかし、道志のバスの便は非常に悪い。
そこで、「じゃあバスの便に合わせて予定組めばいいじゃん」と考えた結果がこれである。といってもわざわざ山と組み合わせなくてもよい話なのだが、ぱっと思いついた案に丹沢に横串を刺してみたいという思いと、丹沢の大山に詣でてみたいという思いが乗っかったのである。簡単に言うと、冬場にコタツを出てトイレに行こうとしたら、ついでにミカン取ってきてと言われるようなものだ。
夜間山行というと以前「外秩父七峰縦走」コースを歩いたことがあるが、あれはいずれも1000m以下の低山で、車道歩きも多かった。今回は1500m前後の山々で本当の山道、しかも4月(外秩父は8月)の決行だ。不安が無いわけではないが、今後アルプス級の高山を訪れる際には未明スタートも多くなると考えられることから、夜道に慣れておくことは必要不可欠なことである。丹沢は夜間山行のレコも多く見受けられ、演習場としても適地と考えられた。
温泉でゆったりくつろぐ時間も含め、所要時間を20時間と見て大まかな予定を立てる。
【初歩からのミスとリカバリ】
土曜日は夜間行動に備えて昼間から寝る。時折強風が吹いており山の天気が気になっていたが、天気予報と気圧配置の推移を踏まえ、天候は今がベストと確信。夕方に起きて『名探偵コナン』を見た後、2100時頃スタートを期して家を出る。
家を出てすぐに何かがおかしいことに気がつく。何がおかしいか?時間である。推測では所要時間20時間。道志からまともに帰れるバスの時刻は15時過ぎ。出発は21時。18時間しかない。あれれ〜?何でこうなるんだろう?
これは所要20時間の内訳を1日目は5時間、2日目は15時間と分けて考えた時に、1日目について24時から5を引いて9時という計算をしてしまっていたのだ。あーしょうもない。15時と5時を間違えた以上に酷い。24時間制と12時間制の混同は許せるとしても24-5=9というのはどうしようもない。
ま、計算ミス以外にも時間見積もりがざっくりしているというのもあるが。
家に引き返して後日出直そうかとも思ったのだが、この機を逃せば、同様のコンディション(絶好の天候予想・ヒルの出没状況等)の機会はそうそう訪れないだろうと考え、当初の秦野もしくは鶴牧温泉から尾根に乗っていくという計画を、バスで大山の麓まで行き、そこから山行を始めることとして駅へ向かった。
もともと、バスの便が比較的良い平日に休みを取って、その日を2日目とする案も一時考えたのだが、今回のような文句なしの晴天(しかも二日連続)になる日を待っていたらヒルも増えるし、気温も上がるし、いつできるかわからない。まさに機を失する。思い立った今が吉日であることを確信していたし、それはその後証明された。
伊勢原駅で降り、なか卯で腹ごしらえをした後、食糧調達のためコンビニ等を探すがなかなか見当たらない。駅の周りを一回りして北口にようやくオダキューOXを見つける。駅に大山詣でやスタンプラリーのポスターが大量に貼ってあることもあり山行者の利用が多いのか品揃えもハイカーを意識したものになっており食糧の調達はしやすかった。
ここでの反省点:
長時間山行に備え食糧を多めに調達したのは良いのだが、所要数ではなく携行可能なだけ買い込んだため結果として余剰が発生し、山行に当たって単なる重しとなった。
【大山〜ヤビツ峠】
伊勢原駅北口からバスに乗り25分くらいで終点の大山ケーブルバス停に到着する。
降りると近くで若い男女が何やら言い合っている。男の方は「大丈夫」みたいな事を言って女の方は「無理」みたいなことを言っている。要するに男の方が大山だか阿夫利神社に夜の夜中に行こうと誘っているようなのだ。男の方は来たことがあるのか知らんが、女性への配慮が足りない。嫌でも聞こえてくるからさっさと出発しよう。
しばらくは土産物店の並ぶミニ門前町だが、橋を渡ると街から山の領域に入る。ケーブルの駅近くで男坂と女坂が別れているようなのだが、初めて来たこともあり道なりに進んだら女坂だった。外秩父の時は山に入るとき怖くて仕方がなかったのだが、今回は街灯があるからか怖くない。ちなみに男坂の方は街灯無しの模様。また、街灯があるからといって足元まで明るいというわけではない。念のため。
大山寺本堂脇を抜けたところで白い影が二つ左から右に抜けた。人にしては足音がしないしと思いつつ登っていくと鹿が二頭こちらの様子をうかがっている。スタートで鹿に見送られるとは縁起が良い。鹿は急な傾斜を下っていった。
夜間ではあったが大山が良い山であることは周囲の雰囲気からわかった。今度はデイタイムに歩いてみたい。石段が立派になってきて空間が広くなってきた所が阿夫利神社下社である。そこからは神奈川の夜景が一望の下に見渡せる。麓で悶着していた男はこれを女に見せたかったのだろうが、やり方が強引過ぎて駄目だ。
阿夫利神社から先は本格的な登山道。もちろん街灯も無い。大小の岩がゴロゴロ転がっていて特に注意を要する。大山山頂は展望に優れている。茶店があるので昼間来るのも良いのだろうが、バスの便が遅くまであるので、山歩きの〆に大山で夜景を楽しんで下るという手もある。山頂の神社に電気が点いていたのには驚き。
大山〜ヤビツの間は途中鎖場があるものの阿夫利神社〜大山山頂間に比べたら歩きやすい。山頂にいた時からずっと車の爆音が聞こえてくるのが気になっていた。夜遅くまで迷惑だなあと思っていたのだが、その音がだんだんと大きくなってくる。よくよく見聞きすればその爆音はヤビツ峠へ向かう車から発せられているようだ。夜中ずっと峠と麓を行き来しているのか。ご苦労なことだ。遭遇したくないなあと思ってもヤビツ峠〜富士見橋間は車道歩き。腹を決めて下る。
【ヤビツ峠〜丹沢山:三ノ塔で思わぬ地雷を踏む】
明かりの無いヤビツ峠のトイレで用を足して富士見橋方面へ。結局、峠を攻める車達とは遭遇し、向こうが「おお!?」と言っているのが聞こえた。車に乗っているだけなら騒音と道路を傷める以外の害は無いのだろうが、それでも熊よりもヒルよりも怖いのは人間だ。さっさと山道に入ってしまおう。
久しぶりに来たので取り付きを探すのに手間取ったが、無事登山道に乗る。二ノ塔を過ぎた辺りからは視界が一気に開け、関東の夜景を眼下に収めることができる。二ノ塔〜三ノ塔辺りは特に急な登りがあるわけでもなく山道に慣れてくるところ。
だが、そこで思わぬ伏兵にやられた。三ノ塔あたりから大倉尾根と並行する感じになるのだが、その大倉尾根方面から何かしら光の点滅が見える。何だろな?とそちらに気をとられつつ歩いていると、「バシャーン!」。
それまでの道が乾いていたので足元油断していたが、気がつけば大きな水溜りに足を踏み入れていた。勢いよく足をつけたため泥水のハネも凄く、ズボンを触ると泥がべっとりと手についた。士気が低下する。こういう時は泥が乾いてから払った方が良いのでしばらく放置することにする。気が緩んでいたなと気を再度引き締めなおす。その後、烏尾山、行者ヶ岳と要注意の山域を通過することとなるので、ここで気を引き締めておいたのは良かったと思う。
塔ノ岳には日の出1時間ほど前に到達。尊仏山荘も朝支度を始めたようだ。宿泊者はまだ出てこず、乾いた泥を払いながら独り朝空のグラデーションを楽しむ。
塔ノ岳から丹沢山に近づくにつれ明るさは増し、ライトも不要となった。富士山も雲をまとわない姿を現す。夜分、伊豆に近い辺りが若干白みがかっていたので、朝の霧・靄の類はやむなしと思っていたのだが、天気は想像以上に良いようだ。今日という日を逃さなくて良かったとしみじみ思う。
そんなことを思いながら丹沢山に到達。さすがに日の出直前ともなると多くの人が起きて富士山を撮ったりしている。私は山行途中から丹沢山で朝日が見れるなと思っていたので東側の空が見える所に陣取り日の出を拝む。その後暫く山頂で横になって休もうと思っていたのだが、ベンチ等も埋まっていたので、もう少し先の方で休むこととし、丹沢山を後にした。
【丹沢山〜檜洞丸】
丹沢からは例の如く笹原の間を縫っていく。
不動ノ峰休憩舎からの水場については傾斜が急で若干崩れている所もあったので、よほど水に困っていなければ下ることもないだろう。ヤマレコの「不動ノ峰」情報に「過去に大腸菌検出」とある。飲んでしまった…。生水には危険が付き物ですなあ。
丹沢の中でも標高の高い地域ではあるが、不思議と疲れないのは標高差があまりないからか、景色があまりにも良いからか。
蛭ヶ岳に到達後、横になったりしてまとまった休息を取る。暑くも寒くもないとは言え、まだ4月。風には若干冷たさもあり、ずっと休んでいると体が冷えてくる。長時間休むのもなかなか大変だ。背中を伸ばして栄養補給をした後、檜洞丸へむけて出発する。
この蛭ヶ岳からの下りだが、急な上に細かい砂利が多く、気をつけないとパラパラ小石を落とすこととなる。そういうこともあって、私に先行した人達も難儀をしていた。日が昇ったこともあり、主に山に泊まった人たちであろうが山行者も増えてくる。臼ヶ岳周辺では十人以上休んでいただろうか。蛭ヶ岳までとは違い、木が茂って展望面では劣るが、山の荒廃具合を楽しみながら歩いていく。途中、何度か道を譲っていただき、青ヶ岳山荘で用を足してから檜洞丸登頂。距離的にはそんなにないと思うが、結構時間がかかったように思う。蛭ヶ岳に続く休憩。
【檜洞丸〜道志】
檜洞丸から大室山へは犬越路まで450mほど下った後、400mほど上り返すという難所である。しかも犬越路への下りは単に下るだけでなく、細かいアップダウンが連続し、足元も決して歩きやすい道ではない。
檜洞丸から少し下って、丹沢奥の大展望を堪能してからガツンと高度を下げていく。この頃になると疲れが出てくるもので、足だけでなく腰や肩も悲鳴を上げてくる。それだけならまだ耐えられるのだが、体が熱くなったり冷えたりを繰り返したためか腹の具合も心配になってきた。そんな中、足元に注意しながらの細かいアップダウンが続く。また、歩くにつれ大室山がだんだんと大きく見えてくる。大室山までの尾根筋が見える所では「あそこまで下って、それから下った分上らないといけないんだなあ」と一目瞭然で精神的にもきついものがあった。それでも何とか犬越路に到達し息を整える。
疲労も蓄積しており、帰りの時間やバスの時間を気にする頃合となった。最後に上る大室山への道は犬越路までよりは道がやさしいとは言え急な上りの連続。疲れた足にはこたえる。後から確認するとコースタイムよりは速く上っていたので悲観することはなかったのかも知れないが、その時の自分にとってその歩みは非常につらく重く、一歩一歩何とか歩いている状態だった。
そして時間である。冒頭にも書いたとおり、第一の目的は道志の湯に入ることだった。この調子では「大室・加入道に寄って入浴できない」か「大室・加入道に寄らずに入浴する」かの二択だと思われ、大室山へ歩いては休み、休んでは歩きながら行く末を考える。
結局、入浴時間の問題に加え、疲労の蓄積、腹の具合、山頂に到達しても単なるピークハントになってしまうだろうことから大室山は断念することとした。大室山西ノ肩に到達して大室山頂まで残り300mまで迫ったものの、その時には既に大室放棄で腹は決まっており、その決定が覆ることは無かった。余力が十分あれば寄っていたかもしれない。あとは下ることだけを考えよう。
で、あとは下りかと思ったら大間違い。一旦高度を下げた後の破風口は下山口ではなく、またグングン高度を上げていく。結局上るんなら大室山に行っておいても良かったなと思いはしたが、今更引き返すわけにも行かず、また一歩一歩ゆっくりと歩いていく。前大室から加入道までも一旦ガンと下ってドーンと上るような道であることを確認し、加入道山についても後図を期すこととし、前大室から下り始める。
しかし、この前大室からの道は破線ルートなだけあって、明らかに最近誰も歩いていない。落葉が大量に積もったままでふかふかな地面。道も不明瞭で辛うじてわかる程度。こういう時ガーミンの地図どおりに行こうとすると、かえって道から外れたところに足を踏み入れてしまうことが今まで多々あったので、地図よりも現場の地面の状況や木と木の間隔、テープの装着状況に目を凝らす。やはり地図上の線とは100mほど離れた所に尾根の左側へ降下していく道があった。道を見つけた後も不明瞭なことに変わりはなく、急な下りでこけないように足元を注意するだけでなく、道を見失わないように周囲にも目を向けないといけない。途中、親子連れがいたので道に間違い無しと安心はしたものの沢と出会って暫く左に渡り右に渡りとしていると沢の右を行くべきか左を行くべきかわからなくなってくる。まあ、沢まで出れば残り4〜500mでキャンプ場なのでどちらでも到達はできるのかもしれないが。水場で転倒しないように気をつけていれば良いと思う。
試行錯誤しながら沢沿いを下っていくとキャンプ場に出る。やったー!しかし、里に出たのは良いものの、ここから道志の湯までどうやって行けばよいのかすぐにわからず、しばらくキャンプ場の中を彷徨う。地図をよく確認して、キャンプ場から道志の湯に真っ直ぐ行く道は無いとわかる。下山前に確認しておけよという話だが。あの時はとにかく道志の里に降りることを第一に考えていたので、どこに下りるかについて細かい所までは考えていなかった。
その結果、「真っ直ぐいけないので迂回する」→「その分時間がかかる」→「入浴時間が無くなる」ということに。
というわけで、最後尻切れトンボのような形になってはしまったが、それでもなおプラスの方に余りある、恵まれた楽しい山行だった。
今回のように大山からずっと歩くというのはもう無いかもしれないが、西丹沢は本当に良い山域なのでまた歩きたい。その際には、大室・加入道の頂に立つこととなるだろう。
〜おしまい〜
今回の反省点:
1.見積もった時間と確保した時間の乖離
→しかし、これは大山までバスで行ったことで概ねチャラになった。
2.今年まだ体が出来上がっていない状態での長時間山行
→これが本当の勇み足。前週山行の疲れも若干残っていたかな。
3.冷静かつ適確・臨機応変な判断ができていたか
→最後の局面では一度じっくり腰を下ろして考えれば良かった。
まあ、余力と時間のあるうちに下山することは大事だが。
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