百里ヶ岳〜若狭駒ヶ岳〜焼尾谷☆新緑のブナの稜線から巨樹の谷に
- GPS
- 07:42
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 1,071m
- 下り
- 1,067m
コースタイム
- 山行
- 6:28
- 休憩
- 1:14
- 合計
- 7:42
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
百里ヶ岳東尾根はバリエーション・ルートではあるが踏み跡あり (詳細は感想にて) |
その他周辺情報 | 朽木温泉てんくう https://gp-kutsuki.com/spa |
写真
感想
朽木を過ぎて木地山に向かうと、谷間には低い雲が立ち込めている。ということは朝の気温が低かったということだろうか。確かにいつになく涼しく感じられるようだ。道路脇では満開のコアジサイがまるで生垣のように道路を飾っている。
木地山はトイレの前に停める場所はあるのだが、車を停めるスペースが少ないので、いつも何となくここに車を停めることが躊躇される。集落を通り過ぎて与助谷林道入口の広地に車を駐めて出発する。木地山の集落では紅紫色のジギタリスの花が多く目立つ。果たしてこんなにジギタリスの花が多かっただろうかと思う。この草から強心薬が作られたことで有名ではあるが、鹿が食べない毒草なので繁殖しやすい。
百里ヶ岳の東尾根はほぼ並行に二本の尾根が走るが、より明瞭な登山道がつけられている南側の尾根を選択する。なだらかな尾根を辿ると早速にもブナが現れるようになる。p723の手前の急登に差し掛かると、途端に踏み跡は薄くなるが、斜面には真新しいトラロープがつけられている。樹々の間隔が広いブナの林となり、斜面にはブナの大樹が次々と現れる。
P723のが近づき急登が終わると、なだらかな台地状のピークの手前ではいつも二本並んだブナの樹に足を停めることになる。この樹々が横から見ると東側の斜面に向かって枝を差し伸べているように見えるのだが、振り返ると二本の樹が均整よくこちらに向かって枝を広げているように見える。
ピークを過ぎると南側には比良の山々の展望が広がるようになる。百里ヶ岳から地蔵谷峰へと続く尾根の彼方には蛇谷ヶ峰から武奈ヶ岳にかけての奥比良の稜線が見える。比良の上でも上空の高い雲の間から蒼空がのぞいている。
やがて樹木のない草原に飛び出すと、この時期はイワヒメワラビによる緑のカーペットが美しい。途端に周囲の展望が大きく開ける。振り返ると視界に大きく飛び込んでくるのは野坂の山々だ。驚いたことに三十三間山の左手の彼方には残雪を纏った白山が見える。この尾根からは過去に何度も野坂山地の好展望を眺めたが、その彼方に白山が見えた覚えがない。一年の中でもとりわけ空気中の水分の高そうな時期ではあるが、意外にも空気が澄んでいるようだ。そういえば、確かに空気がカラッと気持ちよい。琵琶湖の方向を眺めると白く霞んだ朝靄の上に島のように伊吹山が浮かび上がっている。
百里ヶ岳からは北西尾根に入るとすぐに北側に桜谷山の展望が開ける。しばらくはブナの快適な樹林が続くが、尾根が北に向きを変えると植林の中へと入ってゆく。祠のある木地山峠を過ぎて再び桜谷山に向かって登り返すと、ブナの樹が。昨年の夏にも上根来からp820へと登り、桜谷山に周回したのだが、その時は本来は落葉の季節にはまだ早いにも関わらず山頂一帯のブナの樹々が一様に葉を落としていたで、ブナの樹々がどうなっているのか心配していたのだったが、こうして青々と若葉を生い茂らせている様子を見ると一安心だ。桜谷山では好展望を眺めながら早めではあるが行動食でのランチ休憩をとる。
桜谷山から与助谷山の間はアップダウンの少ない稜線の随所に好展望のイワヒメワラビの草原やブナの大樹が現れ、この稜線の中でも白眉とも云うべき快適なところだ。桜谷から稜線を眺めた時には遠くに感じらた与助谷山にすぐについてしまうように思われた。与助谷山を過ぎるとしばらくは山毛欅の大樹もすくなくなり、南側斜面から植林が登ってくる。
若狭駒ヶ岳に到着すると山頂の北東には再び野坂山地の展望が大きく広がり、三重獄がかなり近くに感じられる。北東の方角には相変わらず白山の姿が見えているが、かなり雲が増えてきたようで、琵琶湖の彼方の鈴鹿の山々はすっかり見えなくなってしまっている。
明神池に向かうと1組の男女のカップルに出遭う。この日唯一出遭った登山者であった。若狭駒ヶ岳からこの明神池にかけての稜線もブナの樹々が素晴らしいところだ。以前、歩いた時はやはり6月の梅雨の季節ではあったが、10m先が見えるか見えないかという濃霧の中であり、この日のからりとした天気はまるで違う景色のように思われる。
樹高の高いブナの樹々が立ち並ぶ壮麗な林を進むと尾根が広く二重山稜になったところで、先の方からゲコゲコと賑やかな蛙の鳴き声が聞こえてくる。池のほとりに立つとやはり以前に訪れた時に比べて水の量が少なくなった印象がある。比良の長池でも同様の印象だが、近年の冬の降雪が少ないせいなのだろうか。
池の周りの樹々には多くのモリアオガエルの卵がまるで果実のように産み付けられている。田んぼのカエルもそうであるが、ふと一斉に鳴き声がやんだかと思うととまた再び一斉に鳴き始める。
池の周り巡ると駒ヶ池と記された標柱がある。元来は明神池と呼ばれ、明神池と記された標柱もあったのをその代わりにこの駒ヶ池と記された標柱が建てられたらしい。明神池とい名称はそれが本来、雨乞いの対象であったことを意味するのだろう。果たして駒ヶ池と池の名称を変えることが適切なのだろうかと疑問に思う。
池を後にすると木地山に焼尾谷の東谷を下降するルートを選択する。最初は尾根の急下降である。谷に降り立ったところで上流の左俣を見ると、一本のカツラの巨樹が目に入る。滅多にお目にかからない類いの巨樹に思われる。早速、谷を登るが、KWさんが足元のヒルに気がつく。もしやと思って足元をチェックすると靴下の上からまさに吸血しようとしているヒルが一匹、そしてかなりの大きなのヒルが急速に靴を這い上がろうとしているところであった。
この斜面は相当にヒルが多いようだ。早速にも「ヒル下りのジョニー」を二人の足元にふりかける。折角、カツラの樹の近くまで来たので、その近くまで寄ってKWさんに写真を撮って頂くが、早々に退散することにする。
谷はよく歩かれているルートだけあって、さすがに踏み跡は明瞭で、渡渉も難易度の高いものはない。沢沿いにはいくつもの苔むした炭焼き窯の跡が現れる。綺麗なV字の谷には自然林が続き、ここは改めて秋の紅葉の季節に来てみたいものだと思う。やがて谷が平坦になると登山道沿いにも一本の根元から株立ちのする大きなカツラの樹が現れる。こちらも立派な大樹ではあるのだが、上流のカツラの大樹を見たあとではその印象が薄れてしまった感じがある。
西谷と合流すると最後の渡渉が難易度が高く問題である。しかし、わずかに上流に戻ったところで格好の渡渉ポイントをKWさんが見つけて下さり、難なく対岸に渡渉することが出来る。麻生川にかかる小さな鉄橋を渡ると、トイレの前には一台の名古屋ナンバーの車が停められていた。先ほど駒ヶ岳の手前でお遭いした方々のものだろうか。
木地山から再び朽木に向かったところで道路脇のコアジサイの写真を撮るために車外に出るとあたりには濃厚なコアジサイの甘い香りが漂っていた。朽木に寄り道して久しぶりにてんくうでゆっくりと温泉に浸かる。コロナ禍で営業を休止していたが、つい最近、再開したそうだ。
京都への帰路ではすっかり曇り空が広がっていたが、夕空はわからないものである。気がつくと燃えるような夕焼け雲が広がっていた。
コメント
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本日もお立ち寄りありがとうございました。
温泉のロビーのテレビで映している動画は私が撮影・編集しました。サイトにも埋め込まれています。
駒ケ池の真相については詳しい人に尋ねる予定です。わかったらお知らせします。
それにしても、なぜこのようなメジャーな山をメジャーなルートで周回したのか不思議だ。じつにyamanekoさんらしくない。
百里ヶ岳〜若狭駒ヶ岳の稜線はなんとも魅力的で何度も歩きたいと思うところです。kiwtayamawalkさんは既に5〜6回も歩いているそうですが、ここはメジャー・ルートを歩く以外の選択肢が残念ながらないですね。
この時期、あの場所から白山&別山が見られるとは、ちょっとびっくりましたね。たしかに、この日は気温が低かったこともあって、空気が澄んでいたからだと思います。木地山のメジャールートでしたが、久しぶりに歩くことができました。
お付き合い下さりどうも有難うございました。
ここは百里ヶ岳あるいは若狭駒ヶ岳のみではコース的に少し物足りないので、この二つの山を組み合わせたくなりますね。
それにしても、早々にヒルに気がついて頂いて良かったです。私だけであればカツラの大樹の写真を撮るのに夢中になって足元から這い上がってくるヒルに気がつかなかったことと思います。
まだまだこんな美しい森を持つ山があるのですね。感銘を受けました。
明神池もオトワ池みたいに神秘的な池ですね。またカツラの木もその大きさだけでなく形も素晴らしいです。
湖北(北)の山では前々から三国山から野坂岳まで歩きたいと思っいて行けてはいなかったのですが、ヤマネコさんのレコや、やぶこぎネットで風力発電の施設ができると言う事を知り非常に残念です。
yukkyさん コメント有難うございます。
明神池は水が減っているのが心配ではありますが、池の周囲の樹林の林相も大変美しいところで、訪れる価値のある魅惑の山上の池です。
三国岳〜野坂岳の若越国境稜線は庄部谷山にかけてこの山域随一ともいえる素晴らしいブナ林が広がるところですが、急速に伐採が進んでいるようです。機会があれば美しいブナ林が失われる前に訪れてみてください。
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