【北ア 黒部ダム〜読売新道〜赤牛岳〜水晶岳〜黒部源流〜新穂高】

- GPS
- 03:01
- 距離
- 49.0km
- 登り
- 3,420m
- 下り
- 3,827m
コースタイム
黒部ダム09:00→ロッジくろよん09:22→御山谷渡渉09:57→中ノ谷渡渉11:58→12:37平ノ小屋(昼食)13:55→14:05平ノ渡14:20→16:54奥黒部ヒュッテ(幕営) ※ドコモ携帯利用不可
8月2日(金) 奥黒部ヒュッテから読売新道を経て,赤牛岳・水晶岳に登頂し,水晶小屋泊
奥黒部ヒュッテ03:05→1/8標識04:20→2/8標識05:13→3/8標識06:20→4/8標識07:20→5/8標識08:24→6/8標識08:54→7/8標識09:40→10:40赤牛岳山頂10:55→2,742奪圈璽手前(ビバーク予定3人組と情報交換)12:50→温泉沢分岐14:00→15:55水晶岳山頂16:10→16:55水晶小屋(素泊まり) ※小屋前・中ともドコモ携帯利用可
8月3日(土) 水晶小屋から黒部源流に降りて水汲みの後,巻道ルートをのんびり歩いて双六小屋で幕営
水晶小屋06:45→07:52岩苔乗越(北側水場確認)08:15〜花や雪渓の写真撮影〜09:32黒部源流(上流で水汲み)09:56→10:40三俣山荘(カレー&ビールの昼食)11:10〜巻道ルート〜14:10双六小屋(幕営) ※テン場の小屋に近い場所の一部でドコモ携帯利用可
8月4日(日) 双六小屋から新穂高温泉に下山
双六小屋04:10→05:15弓折岳分岐05:25→06:02鏡平山荘06:15→07:33秩父沢(ラーメン&ビールの朝食)08:06→わさび平小屋09:08→登山口10:06→10:30新穂高温泉登山者用駐車場
※ 帰宅後,GPSのログをPCに保存しようとして,誤ってログを消してしまいました。そのため,このレポのルート表示は実際のGPSログではなく,カシミールで作成したルートをアップしています。
| 天候 | 8月1日(木) 朝のうち強い雨。平ノ小屋手前から晴れてきましたが,夜はまたも強い雨。 8月2日(金) 曇りのち雨。読売新道は雨でずぶぬれ。しかし赤牛山頂を過ぎてから急速に晴れ,水晶岳では快晴。 8月3日(土) 終日晴れ。水晶小屋〜岩苔乗越のルート上では,目の前の水晶岳や鷲羽岳はもちろん,薬師岳や雲ノ平,黒部五郎岳,槍穂高連峰,裏銀座など周辺山岳の大展望が楽しめました。 8月4日(日) 双六小屋から秩父沢まで曇り。その先は雨となるも,新穂高の登山口付近で雨が止み,その後時々晴れ。 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
7月31日(水) 自宅を18:00に出発。北関東道〜上信越道と走行し,22:00過ぎに松本ICから一般道へ。新穂高温泉の登山者用無料駐車場には,23:30頃到着。積んできたバイクをクルマ脇に下ろし,車中泊。 8月1日(木) 朝3時に起床するも大雨のためしばらく待機。意を決し,05:00雨の中,約115厠イ譴神霏瑤悗肇丱ぅで出発。途中,安曇野市内のコンビニで食料を調達し,08:20に扇沢の無料駐車場にバイクをデポ。08:30発のトロリーバスに乗車し,黒部ダム駅08:45下車。携帯メールを送信後,09:00に雨の中を歩き出しました。 ◆復路 8月4日(日) 10:30に新穂高温泉の登山者用無料駐車場着。バッテリー上がりで困っていた登山者の方に電源供給の協力をしたのち,11:00にバイク回収へ扇沢と向かう。扇沢駐車場には13:20頃到着。バイクを回収し,近くの日帰り温泉施設「薬師の湯」で入浴しようとしましたが,なんと大型バス3台を含め,駐車場は満車状態。これでは「芋洗い」状態だろうと,ここでの入浴は諦め,少し戻って安曇野市営「上原の湯」で入浴しました。入浴料400円。露天風呂はないですが,空いていて快適でした。 入浴後,15:15頃,麻績ICから高速道路に入り,18:55に茨城町東ICから一般道へ出て,自宅には19:15に到着。 |
| コース状況/ 危険箇所等 |
◆ 黒部ダム〜奥黒部ヒュッテ ・ 黒部ダム駅には08:45到着。ダムに降りていくと雨が降り続いていて,ちょっとブルーな気持ちに。でも,「本日は稜線を歩くわけではないので,慎重に行けばOK」と自分を納得させて,09:00ちょうどに歩き始めました。 ・ なお,黒部ダムは携帯電話が通じますが,黒部湖岸の登山道では,電波が遮られてしまうので,通じません。そのため,ここで家人に登山スタートのメールを送信しました。 ・ 雨の中ダムを渡り,トンネルの中にあるケーブルカーの改札の手前を左折して外に出ると,目の前がかんぱ谷橋。この吊り橋を渡ると,登山道が始まります。 ・ 12〜13分ほど歩くと,ロッジくろよんに到着。ロッジの手前には,テン場とトイレがありました。 ・ さらに5分でタンボ沢。雨の影響でかなり増水していましたが,木製の橋が架かっていて,通行は問題ありませんでした。 ・ この先も,いくつか沢を越えますが,いずれも木製の橋が整備されているので,歩くのには支障ありません。ただし,登山道はダム湖岸沿いを,アップダウンを繰り返しながら湾を回り込むように進むため,同じような景色の繰り返しとなり,長くて飽きます。 ・ ロッジくろよんから2時間ほど歩くと,渡渉のため長い木の階段をいったん下って登り返すところがありますが,結構きついです。さらに15分ほどで崩れた斜面を通過する箇所が出てきますが,ここは転落注意です。転ぶと,ダム湖に落ちます。 ・ 中の谷に架かる橋を通過したのは11:58。この時点で12:00発の乗船はあきらめました。このあとは14:00まで無いので,のんびり歩いて,12:37に平ノ小屋に到着。黒柴のモモが迎えてくれたので,ひとしきり相手をしてやって(してもらって?),そのあとはテーブルでビールを飲みながら昼食としました。幸い,雨は止み青空が広がってきたので,雨具など濡れたものを乾かしながら,さらにもう一本ビールを追加し,1時間20分も休憩。こんなのんびりしたランチも良いものですね。 ・ 14:00発の船は5分ほど遅れて出発。乗客は私一人。乗船名簿に名前と連絡先・目的地を書きながら,本日の乗船状況を確認すると,奥黒部ヒュッテ方面へ向かった登山者はいませんでした。このあとは17:00発なので,本日は私だけになりそうです。 ・ 対岸の船着き場には14:21に到着。ここからは,本日の後半戦。道は険しさを増し,アップダウンの連続となります。幸い,崩れた部分はすべて補修され,木の階段や桟道がしっかり整備されていました。ありがたいことです。 ・ しばらく歩いていると,対岸との距離が徐々に縮まってきて,いつの間にか沢沿いとなり,右手に東沢谷に架かる橋が見えてくると,奥黒部ヒュッテは間もなくです。この橋を渡り,5分でヒュッテに到着しました。 ・ 奥黒部ヒュッテは,とても良いところにありますね。冷たくておいしい水が豊富にあり,トイレもとてもきれい。テン泊利用者は夜はトイレを利用できないというような記述を読んだ記憶がありましたが,実際はそんなことはありません。夜中でも開放されていて使用できます。 ・ この日のテン場は私一人。夜は強い雨が降りましたが,深夜には止み,星空が見えました。 ◆ 奥黒部ヒュッテ〜赤牛岳〜水晶岳〜水晶小屋 ・ 前日にヒュッテのオヤジさんから聞いた情報では,本日も天気は良くないとのことでした。天候回復は明日にずれ込みそうということだったので,途中でのビバークも覚悟して,03:05にヒュッテを出発しました。なお,このときはまだ雨は降っていませんでした。 ・ 周囲は真っ暗。ヘッドランプを頼りに急な斜面を黙々と登ります。これだけ急な登りが続くなら,4〜5時間で山頂まで行けるのでは?との期待もふくらみましたが,そう簡単ではありませんでした。 ・ 1時間15分ほど登ると,ようやく1/8の標識に到着。ここからは,斜度が緩み,木の根と苔むした岩の上を,アップダウンを繰り返しながら徐々に高度を上げます。滑りやすいので,転ばないよう注意が必要です。 ・ 2/8を過ぎ,周囲が明るくなってくると,雨が降り出したので,雨具を着ました。ただ,幸いなことに風雨は弱く,体温を奪われるようなことはありませんでした。 ・ 3/8の標識の手前,標高2,000辰曚匹里箸海蹐如し搬咾療展擦鯑れてみたところ,アンテナが建ったので,家人に読売新道を登っている旨メールを入れました。 ・ 07:20に4/8の標識に到着。ガスが薄くなって,上空には青空も見えるようになってきたので,晴れるかなと期待したのですが,その後はまた雨模様。お腹も減ってきたので,その先で朝食休憩をしていると,上のほうからテント装備のソロの登山者が降りてきました。話をすると,昨晩水晶小屋に泊まって,早朝に出発したとのこと。水晶岳・赤牛岳ともにガスでまったく展望無しで残念だったそうです。今日はこのあと平ノ小屋経由で五色ヶ原へ向かうということでかなりの強者でした。 ・ 15分ほどの朝食休憩の後,また歩き出すと,登山道はコバイケイソウの群落の間を縫うように登っていきます。周囲はいつの間にか樹林帯から灌木帯へと変わり,少し傾斜が増した登りを頑張ると,08:24に5/8の標識に到着。ここはテントを張れる程度のフラットな砂地でした。ビバークできそうです。 ・ この先は,徐々に高山らしい雰囲気が出てきます。30分ほどで標高2,578奪圈璽に出ました。ここが6/8の標識のところです。ガスで展望はないものの,風雨は強くはないので,歩くには支障ありません。 ・ 岩場が出てくるとやがて7/8の標識。山頂はもうすぐです。しかし,この先は大岩の堆積するロックガーデンを岩伝いに歩くので,結構,足に来ます。また,その先は東側が数百胆擇賤遒舛織ラ場やトラロープの張られた急斜面を通過しますので,慎重に。 ・ 赤牛岳山頂には,10:39に到着。奥黒部ヒュッテから7時間35分かかりました。ここで食事休憩。残念ながら期待していた薬師岳の大展望は得られませんでしたが,セルフ写真などを撮って自己満足。いつかまた,晴れたときにこの頂上に立ってみたいですね。 ・ さて,15分ほどの休憩の後,水晶岳に向けて出発です。最初は赤みを帯びた砂礫の緩い下り道ですが,標高2,803奪圈璽の脇を過ぎると50辰曚匹隆箴譴療个衒屬靴箸覆蝓い修里△100旦瓩下って標高2,0742奪圈璽の肩に出ます。 ・ この肩で3人の登山者が休んでいたので,話しかけると,今からここでビバークするとのこと。昨晩,野口五郎小屋に宿泊し,水晶岳を越えてここまでやって来たものの,今日中に読売新道を下るのは難しいので,融雪水が取れ,テント設営できる場所があるここで本日は終了ということでした。時刻は13時近くになっており,確かにこの先赤牛岳まではビバークできそうなポイントは無かったので,納得です。互いの健闘をたたえ合って,私のほうは,その先を目指しました。 ・ ここから温泉沢の頭までは,標高差約180辰療个蠅箸覆蠅泙垢,すっかり疲れてしまい,足が前に出ませんでした。5〜6歩進むたびに息を整えながらの歩行となり,温泉沢の分岐までに1時間近くを要し,分岐で15分休憩。温泉沢の頭までは,さらに10分少々。赤牛岳からは3時間以上かかっています。テント装備がきつかったです。 ・ 水晶岳へはこのあと岩場の稜線を,また50辰曚媛爾辰討ら100辰療个衒屬靴任后コースタイムは温泉沢分岐から水晶岳山頂までで50分となっていますが,1時間半かかりました。重荷での縦走の疲れで,歩くスピードが一気に落ちたせいです。それでも,なんとか,15:55に水晶岳山頂に到着。いつの間にかガスも晴れ,歩いてきた赤牛岳からの稜線もはっきり見えます。南には,鷲羽岳,東には裏銀座コース,西には黒部五郎岳と雲ノ平がはっきりと見えるではありませんか。歩いてきて良かった。この絶景が見られて良かった,と心の底から喜びが溢れてきました。 ・ さて本日は途中でのビバークを覚悟していましたが,水晶小屋はすぐ近く。宿泊予約していないので不安でしたが,小屋の受付でおそるおそる聞いてみると「従業員用の2畳の部屋で良ければ,大丈夫ですよ。」と受付のお兄さん。素泊まり料金5,500円を支払い,小屋泊まりをすることができました。 ◆ 水晶小屋〜黒部源流〜三俣小屋〜双六小屋 ・ 縦走3日目は,朝から晴れ渡りました。本日は,双六小屋まで,コースタイムで5時間弱と時間に余裕があるので,小屋の前で2台のデジ一を駆使して,朝日や周辺の山々の素晴らしい眺めを撮影するなど,のんびり過ごすことができました。 ・ 自炊の朝食も他の宿泊者が出発したあと。最後にドリップコーヒーを味わってから,従業員の皆さんにお礼の挨拶をして06:45に小屋を出発。まずは岩苔乗越までの展望の稜線歩き。7年前にもこのあたりは歩いているのですが,何度歩いても素晴らしいところですね。目の前に鷲羽岳やワリモ岳,祖父岳。もちろん,振り返れば水晶岳。西には雲ノ平を前景に薬師岳の圧倒的な迫力。祖父岳の奥には,カールを抱いた黒部五郎岳。見飽きることがありません。何度もシャッターを押してしまい,なかなか前に進みません。 ・ 岩苔乗越では,荷物を下ろして北側の水場を訪ねてみました。斜面の中腹から流れる沢が水場となっていて,水量は十分。この下りの先は,高天原温泉へと続いています。いつか是非行ってみたいところです。 ・ 岩苔乗越に戻ると,今度は黒部源流を目指します。下り初めてすぐ,左手に沢が流れています。最初はこれが源流ではないかと思いましたが,そうではありません。大量の残雪が溶け出して,そこかしこから水が流れ出してきているのです。 ・ 正面に三俣蓮華岳を望みながら,沢沿いの登山道を下ると,残雪の上を歩くところが出てきますが,一部かなり薄いスノーブリッジ状態のところがありますので,注意が必要です。落ちたらかなり危険です。 ・ さらに下ると,祖父岳の中腹を回って雲ノ平へと続く登山道と三俣山荘へと登る登山道とに分岐するポイントに出ます。ここの左手方向から右手方向に流れているのが,黒部源流でした。 ・ 源流碑は,三俣山荘への登山道を登ってすぐのところにありました。ここに荷物を置いて,源流を遡行してみます。踏み跡ははっきりしており,迷うことはありませんが,かなり上の方まで続いていたので,途中で諦め,適当なところで水を2箸曚漂亮茵自宅に持ち帰ってこの水でコーヒーを入れたり,ウィスキー用のロックアイスを作ったりしてみようと思いました。 ・ さて水汲みが終われば,三俣山荘を目指して今度は登りです。こちらも沢沿いを歩き,35分ほどで三俣山荘に到着しました。良い天気なので,従業員の皆さんが布団干しをしていました。 ・ 私は,2階の展望食堂へ。ここで,エビスビールを飲みながら,ビーフカレーのランチとしました。両方でしめて1,900円とちょっと値段は張りますが,よく冷えたビールと,じっくり煮込んだ大きめの牛肉が入ったカレーライスの取り合わせは,最高の贅沢!しかも,カウンターからは目の前に槍ヶ岳の眺め。素晴らしい! ・ 昼食のあとは,巻き道ルートを経由して双六小屋へと向かいました。このルート,実は稜線ルートよりアップダウンが激しくてきついのですが,この時期は高山植物が豊富で,残雪の残る緑の山肌もきれいです。途中の沢を渡るところで,スノーブリッジが崩れかかっている場所がありましたので,要注意ですが,それ以外は危険なところはありません。 ・ 双六小屋には,14:10に到着。テン場はまだ余裕があり,良い場所に設営できました。一人500円。でもビールを飲んでゆっくりしていると,急速に混んできて,最終的には100張りを超えるテント村になりました。 ◆ 双六小屋〜新穂高 ・ 縦走最終日は曇り。前日はゆっくりと休めたので,午前2時には目が覚めてしまいました。やることもないので,トイレに行ってから,朝食を食べ,ゆっくり片づけをして午前4時10分にテン場を出発しました。 ・ まだ暗いのでヘッドランプを点灯しながら登っていくと,標高2,622奪圈璽手前で四角の缶をガンガンたたいている3名の方がいました。聞いてみると,昨日熊が目撃されたので,登山道に近づかないよう,音を立てているとのこと。その先のピークのところにも3名。合計6名の内訳は,山岳警備隊3名と双六山荘従業員3名とのこと。皆さんのおかげで,安全が保たれているのですね。感謝! ・ 弓折岳分岐には05:15に到着。ここで水分補給の休憩を取り,鏡平山荘へと下りはじめると,20名ほどの団体が登ってきました。こちらは,通り過ぎるまで待機。このあと,さらに2つの団体とすれ違いのため,待機させられました。団体の皆さんは,当たり前のように歩いて行かれましたが,はっきり言って迷惑です。せめて,5〜6名くらいに分散して欲しいものです。そうすれば,交互に進むこともできるでしょうに。 ・ 鏡平山荘には06:02に到着。山荘前のベンチで水分補給のため休憩。槍ヶ岳方面はガスで何も見えませんでした。休憩後は,ひたすら下ります。新穂高温泉まで,約1,200辰硫爾蠅任后 ・ 途中,秩父沢でラーメンの朝食休憩。その先で雨が降り出し,林道に出たところで本降りとなりました。しっかりと雨具を着込んで,林道歩きです。雨のわさび平小屋を09:08に通過し,ゲートのある登山口に10:06到着。ここから一般道を歩き,10:30に新穂高温泉登山者用駐車場に到着しました。 |
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感想
◆ 読売新道の登りについて
・ 2年前の夏,立山の室堂から五色ヶ原を経て薬師岳へと縦走した際,薬師岳へ向かう登りの途中から見た,赤牛岳のその優美で存在感のある山容に惚れ惚れしました。そしていつか必ず登ろうと心に決めていました。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-122160.html
・ しかし,赤牛岳の山頂に立つためには,黒部湖から立ち上がる長大な尾根上の道「読売新道」を登り又は下りのどちらかで踏破する必要があります。自分としては,下りが苦手なので,ここは登り以外選択肢はありませんでした。
・ 読売新道を登る場合のコースタイムは7時間。ここから最も近い宿泊施設である水晶小屋まではさらに3時間半,合計10時間半です。稜線上で天候が悪化すれば,ビバークするしかないわけですから,そのための装備が必須です。軽量化のためツエルトも検討しましたが,強い風雨のときは耐えられないので,テント装備としました。
・ スピードもスタミナも無い中高年オヤジが,このルートをはたして,歩き通せるのか?不安は大いにありましたが,テントさえ携行すれば,いざというときはビバークすれば良い。幸い,赤牛岳や温泉沢の頭周辺は二重山稜の船窪地形のため,ビバーク適地が何カ所かあるとの情報も得て,実行に移す決心がつきました。
・ 奥黒部ヒュッテから赤牛岳までの登りは,20垓瓩ぅ謄鵐帆備で雨の降る中歩きましたが,特に1/8の標識が出てきてから3/8あたりまでが,滑りやすい木の根と苔むした岩のアップダウンが多く,標高をなかなか稼げない長い登りで結構苦しい感じでした。でも,ゆっくり確実に登ろうと意識して歩いたせいか,休憩を含めて7時間半で登ることができました。
・ ところがその先,水晶岳までは,赤牛岳登頂の疲れが一気に出て,予定を大幅に超える時間がかかってしまいました。特に重装備の場合,この区間をどう攻略するかが課題でしょうね。それにしても,地図上で見ると赤牛岳〜温泉沢の頭の距離は,読売新道後半(CT4時間)と同じくらいなのに,CT2時間って短すぎるような。さらに,温泉沢の頭〜水晶岳もCT50分は空身でのタイムではないでしょうか。この水晶岳までの後半部分は,体力に自信のある方以外は,十分余裕を見ておいたほうが良いと思います。
・ 水晶小屋は2人で布団1組という混雑具合でしたが,スタッフの対応は良い感じでした。ビバークの可能性もあったので予約はせず,飛び込みで素泊まりをお願いしましたが,気持ちよく受け入れていただきました。夜の8時過ぎに飛び込んでくる客もいるそうで,その場合は,食堂スペースで寝ることになるそうです。私の場合は,従業員用の2畳の部屋を相部屋3名で使わせていただけたので,ぐっすり眠ることができました。
・ それと,水晶小屋周辺のロケーションは素晴らしいです。7年前に折立〜雲ノ平〜水晶岳〜裏銀座と縦走したことがあって,今回は2回目ですが,晴れたお陰で周囲の名峰がすべて見渡せました。まさしく,「北アルプスのど真ん中」ということが分かりますね。
◆ 黒部源流について
・ 黒部源流は,以前からこの目で見てみたいという思いと共に,その水を持ち帰ってコーヒーやロックアイスにして味わってみたいと考えていました。
・ 岩苔乗越から下ると,すぐに沢が流れており,最初は「これが黒部源流か」と思いましたが,地図の標記は三俣分岐付近。分岐で標識を探してウロウロしても分からず,途方に暮れていたところ,「源流の標識は,三俣方面に登ってすぐですよ」と教えていただき,何とかたどり着けました。
・ しかし,源流の最初の一滴のところまで行くには相当登るような感じでしたので,あきらめて途中で2蛤凌紊掘せち帰りました。今はペットボトルに入れて自宅の冷蔵庫の中においてありますが,この週末にでも味わってみたいと思います。
・ それにしてもこの周辺は残雪が遅くまで残り,本当に水が豊富なところです。晴れた夏の日の登山では,どこでもおいしい水が飲めてありがたいです。また,高山植物もたくさん咲いていました。特にコバイケイソウの群落は見事。今年は当たり年かな。
◆ 全体を通して
・ 今回はテント縦走でしたので3泊4日で設定しましたが,そのお陰で,後半2日は時間に余裕があって楽でした。小屋泊まりならば,2日目の宿を三俣山荘にすれば,2泊3日で歩けます。もちろん,健脚の方なら,テント装備でも三俣まで足を伸ばすことで2泊3日は十分可能でしょう。でも,余裕を持って楽しむならば,3泊4日をおすすめします。
・ 今回のこのコース,初日の行程が,いかにも深い山の中に分け入る感じがして,縦走登山のプロローグとしては秀逸だと思います。読売新道を登りに使うこともアグレッシブで良い感じ。これを逆コースで歩く場合は,赤牛岳を登頂し読売新道を歩き終わったあとに,長いアップダウンの黒部湖周辺歩きとなるので,気を抜いて転落しないように気をつけたいです。なにせ,この部分が,今回のルートで最も危険度が高いですので。
・ 赤牛岳山頂がガスで展望がきかなかったことが残念ですが,その後,翌日まで良く晴れ,ハイライトとなる水晶岳〜黒部源流〜双六岳で素晴らしい眺めを楽しめました。この夏は直前まで不純な天候続きだったと,三俣山荘の方も仰っていたので,そのことを考えれば,とてもラッキーでした。
・ もしも,次に赤牛岳に登る機会があれば,今度は,秋晴れの時にでも奥黒部ヒュッテに泊まって,軽装でトライしてみたいと思います。そのときは,水晶小屋から裏銀座ルートか竹村新道かな。
りきまる




















楽しいレポありがとうございました。
私は2年ほど前、逆コースで歩きましたが、雨の中、読売新道の登りは大変そうですね。
私もまた歩いてみたくなりました。
それにしても、クルマをデポしてバイクで扇沢に向かうとは、なかなかすごいと思いました。
goroさんの2年前のレポを読ませて頂きましたが,私などよりよほどパワフルですね。
黒部源流を2回歩いたり,そのあとの水晶岳〜赤牛岳のスピーディな歩きはたいしたものです。
私のほうは,加齢と共に忍び寄る体力の低下を前に,「是非とも今のうちに読売新道を登りたい」
という思いで,今回トライしました。赤牛岳までは緊張していたので,それほどきつい感じでは
無かったのですが,そこを過ぎると,一気に安心感が広がり,大幅なスピードダウンとなりました。
それでも,登頂時の急速な天候回復や,翌日の快晴など,神様に感謝したい気持ちで一杯です。
また,goroさんの最近の山行「島々から徳本峠越えで上高地」のルートは,以前から興味を持っていたところなので,「あっ,先を越された。」という想いもあります。
記録を参考に,私も島々から徳本峠へといずれ足を伸ばしてみたいと思います。
今後とも,どうぞよろしくお願いいたします。
rikimaruさん、前回から追記された分を拝見しました。臨場感ある描写で再び楽しませていただきました。
デジ一2台とは!それで素晴らしい写真が撮れるのですね。また水2Lを持ちかえられるとか、こだわりの登山に驚きです。同年代の方でもあり、これからの記録も楽しみにしております。
私の2年前の投稿も見ていただいたとか。平ノ渡しで会った女性は谷口ケイさんでした。去年、「岳人」の表紙で知りました。
私は天気よければ、来週、雲の平、高天原を歩きに行きます。rikimaruさんに刺激され、余裕あれば、高天原から再び読売新道に抜けてみたいと思いました。
お互いにこれからも安全登山で楽しみましょう(50代の遭難者が多いですから)。
ではまた
来週,雲ノ平&高天原ですか〜。うらやましい〜。
雲ノ平のテン場は素晴らしい水場があって,また訪れたいと思っています。
高天原は,是非とも行かなくてはと思いつつ,まだ行けていません。
この先しばらくは良い天気のようですので,気をつけて,楽しんできて下さい。
それにしても,山行記録を拝見しましたが,「西穂−奥穂−前穂縦走」など,
素晴らしい行動力に,脱帽です。私など,足下にも及びません。
この8月後半も天候は良さそうなので,週末は,白馬岳周辺を歩こうかと
考えております。
これからも,どうぞ,よろしくお願いします。
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