立山室堂→笠ヶ岳 〜7日間70kmの縦走
- GPS
- 146:46
- 距離
- 65.0km
- 登り
- 4,732m
- 下り
- 6,060m
コースタイム
18日:五色ヶ原山荘5:25 - 8:00越中沢岳 - 9:50スゴノ頭 - 12:00スゴ乗越小屋
19日:スゴ乗越小屋5:40 - 9:15北薬師岳 - 10:35薬師岳11:10 - 14:10太郎平小屋
20日:太郎平小屋5:50 - 7:50薬師沢小屋 - 11:30雲ノ平山荘
21日:雲ノ平山荘5:50 - 7:00祖父岳分岐 - 8:00黒部源流 - 8:40三俣山荘9:00 - 11:10双六小屋
22日:双六小屋5:35 - 6:35弓折分岐 - 9:15笠新道分岐 - 10:25笠ヶ岳山荘 - 10:40笠ヶ岳
23日:笠ヶ岳山荘5:45 - 6:50笠新道分岐 - 10:00笠新道登山口 - 10:55新穂高
天候 | 17日:晴れ 18日:曇り のち 晴れ 19日:晴れ 20日:曇り のち 雨 21日:雨 のち 曇り 22日:曇り のち 晴れ 23日:雨 のち 曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
立山駅→室堂: 立山黒部アルペンルート(ケーブル+バス) 新穂高→松本: バス(アルピコ または 濃飛バス) |
コース状況/ 危険箇所等 |
■登山ポスト:室堂ターミナルで見つけられず、山岳警備隊詰所に提出 ■道の状況:歩きにくい場所などのみ以下に記す ・獅子岳→ザラ峠の下り:標高差400mのザレた急下り ・越中沢岳、スゴノ頭の下り:岩ゴロの急な下りが長く続く ・北薬師岳直下の登り:大きな岩を伝って登る道が数百m続く ・薬師沢→雲ノ平の登り:苔むして滑りやすい大岩が続く標高差500mの急登 ・笠新道:標高差1400mの長い急坂 登りも下りも苦しい ■入浴:ロープウェイ付近、新穂高温泉付近に多数 今回は 中崎温泉 奥飛騨の湯 http://shinhotaka.com/nakazaki.html |
写真
感想
昨年末に故郷の富山から現住地の神奈川まで(何回かに分けて)歩いて横断することを思い立ち、少しずつ調査を進めた。
当初は梅雨の空ける直前の7月初旬に富山市の海岸から歩き出すつもりだったが、異例に早い梅雨明けとその後の猛暑で方針を転換。
熱中症にかかる危険のある平地部分を後回しにして室堂から新穂高までを先ず歩くことにした。
この機会にできるだけ未踏の山頂を踏んでいきたいので、当初の計画は「室堂→薬師岳→黒部五郎→笠ヶ岳→新穂高」
長期縦走はそれほど経験がないので一日の歩行時間を6−7時間以内に抑えることを原則に計画する。
【1日目】
8時前に室堂へ着き登山計画書の提出先を探すがターミナル内に見つけられず。
仕方なく山岳警備隊の詰所へ出向いて提出してから出発。雄山登山の人達に紛れて先ず一ノ越経由で浄土山を目指す。
天気は快晴で、浄土山からはこれから歩く五色ヶ原、薬師岳、黒部五郎、笠ヶ岳、そして槍穂の姿が一望できて高揚感が抑えられない。
何組かの登山者と前後しながら五色ヶ原を目指す。意外とアップダウンがあり、ガレた足場の悪い道が続く。
少し懸念した鬼岳の雪渓のトラバースはアイゼンを要することもなく通過したが、獅子岳からザラ峠への標高差400mの急降下はこの日の核心部で、足に相当のダメージとなった。
五色ヶ原へ登り返すと、大きく立派な赤牛岳の向こうに再び槍の穂先が顔を出していた。
五色ヶ原の花は既に盛りを過ぎたようでコバイケイソウばかりが目立つ。
室堂から約5時間かけて五色ヶ原山荘に到着。
小屋で同室になったSさんとは年代が近いこともあって話が合い、この後の道程を暫く共にすることになる。
【2日目】
山荘を出た時は五色ヶ原全体がガスの中だったが、鳶山を越える辺りからガスが引いて雄大な周囲の景色を見渡しながらの歩行となる。山頂に少し雲がかかるが薬師岳もかなり大きくなってきた。
眼前の越中沢岳へは比較的なだらかで長大な斜面をゆっくり登って行く。
鳶山からおよそ2時間で越中沢岳の頂上。みんなここで比較的長い休憩を取るので、狭い山頂には人がいっぱい。
話を聞くと予想以上に笠ヶ岳まで行く人が多い。
ここで出会った富山のY子さん、テント泊の千葉のTさんとは3日後に双六小屋で再会することになる。
登りでは優しい表情の越中沢岳だったが、下りは一転して大岩がゴロゴロの厳しい難路に変わる。
300mをやっとの思いで下り切ると、次のスゴノ頭の下りも再び石の多い急坂。
越中沢岳山頂からこの二つのやっかいな下りを終えてスゴ乗越まで2時間40分もかかってしまった。
スゴ乗越でSさんが来るのを待って休憩しているうちに、栃木の山岳会グループ5名と岩手の山岳会グループ5名がやって来る。
この2グループとは太郎平まで一緒だったが、どちらも気さくで楽しい人たちだった。
この後、最後の力を振り絞ってスゴ乗越小屋に登り着く。この日はここまで。
スゴ乗越小屋は設備的にはお世辞にも快適と言えないが、玄関前のテラスの広さやテーブル・ベンチ同士の間隔が丁度よくて、グループ間の交流が自然に起こる雰囲気がある。
2階の小さなベランダとのやり取りもできて、みんなで声を掛け合って会話が盛り上がる。
お昼前後に着いた五色ヶ原からのグループと、3時頃に到着した太郎平方面からのグループもテラスで自然に情報交換し、ここでの和気藹々としたやり取りは忘れられないものになった。
【3日目】
この日も良い天気。
Sさんとゆっくりのんびり薬師岳への尾根を登って行く。最初は急登だが森林限界を抜けると傾斜は緩む。
間山付近で後ろを振り返ると、だいぶん遠くなってきた立山と剱岳が目に入り、幾度もシャッターを切る。
順調に高度を上げ、薬師岳へもなんなく着いてしまうかと思われたが、北薬師岳直前の稜線がまたしても岩ゴロの歩きにくい道。ここでペースが格段に落ちて、北薬師から薬師岳本峰までも1時間20分かかってしまう。
薬師岳山頂からは雲ノ平や槍ヶ岳が前日より随分大きく眺められたが、翌日から天候は下り坂となり、槍の姿を見たのはここが最後になってしまった。
ここで後から小屋を出発した岩手チームが追い付いて来て、先に頂上を出発して行った。
頂上から3時間かかってこの日の目的地、太郎平小屋に到着。
翌日からの天気が芳しくないことを知って、新穂高まで行くのを計画していた岩手チームは瞬時に下山を決めて折立へ下りて行った。
大半の登山者が翌日の行動方針に悩みながら眠りに就く。
【4日目】
夜明けまで降っていた雨は止んだが予報は雨で稜線は強い風。
雷の発生確率も高いということで、小屋の人のアドバイスも勘案してこの日の計画を黒部五郎経由から雲ノ平経由に変更する。
Sさんは今後の日程に自信が持てないと折立へ下山することを決める。
Sさんと別れて薬師沢への道を辿る。
このルートは木道なども整備されていて歩きやすい。前半はグッと高度を下げるが、その後は概ね平坦な道を歩く。
2時間弱で薬師沢小屋に着き、少し休憩した後にいよいよ誰もがキツイと言う薬師沢から雲ノ平への登りにかかる。
テント泊で高天原まで行くという人と励ましあいながら、最初から最後まで滑りやすい大岩が積み重なる激登の道を登る。
息を切らしながら何とか2時間で急登を登り切り、さらに1時間半あまり歩いて雲ノ平山荘に到着。
この日は午後の方が天気が悪そうだということでここに泊ることにする。
案の定、午後からは土砂降りになったのでラッキーだった。
【5日目】
僅かの期待も裏切られて朝から雨降り。
覚悟を決め、レインウェアを着込んで小屋を出る。
テント場の水場で水を調達した後、前を行く人たちを少しずつ追い越しながら祖父岳の分岐へ。
稜線へは登らず、日本庭園を経由して黒部源流に下り、さらに三俣へ登り返す。
三俣山荘へは雲ノ平を出てから3時間ほどで着いた。
ここで2階の喫茶に寄ってコーヒーを貰い、双六方面からの人と情報交換をした後、双六へ向かう。
レインウェアの鬱陶しさを我慢して巻き道を辿り、2時間ほどで双六小屋に到着するとウェアもザックもビショビショだった。この小屋は数年前に訪れた時より格段に快適になったような気がする。
その時の記憶はあまりはっきりしないが、トイレや談話スペース、昼食メニューを含む食事などが最近改善されたのかも知れない。
ここで3日前に越中沢岳の頂上で偶々話をしたY子さんとTさんの二人に再会。
聞けば二人とも其々に違うルートを辿りながらここまで歩いて来たとのこと。三人で再会の記念撮影をして道中の話題で盛り上がった。
明日は三人とも笠ヶ岳へ。
【6日目】
雨は降っていないがガスの中。
朝食で見かけたY子さんに先に行く旨告げて小屋を出発。
テント泊のTさんは既に撤収して先行しているようだ。
晴れそうで晴れないガスの中を歩くこと約5時間で笠ヶ岳山荘。
小屋の直前で山頂から戻って来たTさんとすれ違い、無事に下山してと送る。
小屋にザックをデポしてそのまま山頂へ。
誰もいず、何も見えない山頂で三角点にタッチしてサッサと小屋へ戻る。
同室の人達と小屋の前でビールを飲んだりしているうちにだんだんガスが晴れてきて、笠ヶ岳の頂上や歩いて来た抜戸岳の稜線などが見え始めた。
日も出てきたので、日向ぼっこをしながら本命の槍穂が姿を現すのをじっと待つ。
夕方近くになって穂高は少しずつ見えてきたが、槍は最後まで姿を現さなかった。
笠ヶ岳からの槍を見るのが山行のモチベーションの一つだったので残念だが仕方がない。
この日は満月なので夜中に槍穂が照らされる姿を見られるかも、と期待したが、すっかりガスに覆われて叶わなかった。
【7日目】
朝起きてみると小雨。
気落ちしながらも視界の悪いガスの中を新穂高へ向けて出発。
雨は強くなったり弱くなったりしながらも止まない。
笠新道を杓子平へ下りる間に前を歩いていた人たちを全部追い越す。標高差1400mを一気に下る長い長い笠新道は、整備されてはいるものの急坂で歩きやすくはなく延々と続く。
この大変な道を登る人、とりわけ年配の登山者には尊敬を禁じ得ない。
もういい加減にして欲しい、と思った頃に沢音が聞こえ始めて勾配が緩み、さらに数十分歩き下ってやっと笠新道の登山口に下り立った。
新穂高への林道を歩き始めると雨もいつしか止んでいた。
今回は自分として初めての1週間の縦走。
かなり慎重な日程計画を立てたので毎日ちゃんと体力は回復できて辛くはなかったが、天候の悪い時のことはもっとよく準備しておく必要があったと感じる。
しかし何と言っても今回は色んな出会いと交流があってこの上なく愉快な山行だった。
Sさん、Y子さん、Tさんを初め、
・見かけによらず(?)最後には健脚を発揮した栃木の山岳会チーム、
・身長183cmの美女を擁し、歩いている時以外はいつも飲んでいた印象のある酒豪揃いの岩手県の山岳会チーム、
・富山県民デーの話や様々な故郷の話題を教えてくれた二人の富山のお姉様方、
・薬師岳山頂で会った後、雲ノ平山荘でも双六小屋でもお昼に食堂で会って笑いあった東京のテント三人組、
・この日の笠ヶ岳で百名山を僅か4年で達成した、77歳の東京のT77さん、
・馬場島から双六まで2日で歩いて来たと言って驚かせてくれたクールなハイカー、
みんな、ありがとうございました。
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