静かな静かな南アルプス 北沢峠〜栗沢山〜アサヨ峰〜広河原
- GPS
- --:--
- 距離
- 9.5km
- 登り
- 946m
- 下り
- 1,409m
コースタイム
2日目 5:19早川小屋―5:46広河原峠―7:19西広河原沢―7:34広河原峠入口―7:50ヴィジターセンター
天候 | 1日目 曇り 2日目 雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
仙流荘前のバス停で登山届を提出。8時5分発のバスは補助席は使用せず、まだ数席余裕があります。北沢峠で皆さんが降りられてから、わたしは運転手さんに頼んでその先の回転場まで乗せて頂きました。北沢駒仙小屋の前でストレッチをし、栗沢山の登山口に入ります。登山口にはしっかりした標識があり、迷うことはありません。根っこの這いまわった急坂が続きます。50分ほど登るとようやく緩やかな尾根となり、ひと息つきます。が、それも束の間、再び林の中の急坂となります。樹間から垣間見る甲斐駒ケ岳は雲の中です。林が終わり、ハイマツが広がり、周りの景色は一変しますが、甲斐駒ケ岳は雲の中です。行く手上に岩の塊が見えます。頂上かと思いきや、岩場がさらに続きます。昭文社の「山と高原地図 北岳・甲斐駒」を見ると、栗沢山にはマル危マークがついています。先程までの林の中の道とは大違いです。栗沢山の頂上には男女4人の若者がいました。彼らは栗沢山ピストンのよです。出がけにコンビニで買ったオムスビを食べ、昼食とします。ガスで甲斐駒も仙丈も全く見えません。「←アサヨ峰」の標識が指す方を見ますと、岩が重なる斜面です。岩には丸印は一切ありません。ガスの向こうに稜線が見え隠れしています。そちらに向かって岩岩の斜面を進みます。時々は道も現れ、間違っていないことが判ります。ハイマツと岩の中の道、通る人が少ないため、ハイマツが両側から生い茂り、搔き分けながら進みます。次々と大岩が行く手をはばみます。屹立する岩にも鎖はありません。でも、岩にはホールドが豊富で、3点支持でクリア―出来ます。目の前に鶏冠の先が赤くなった雷鳥が突然現れます。写真を撮ろうと、もたもたとデジカメを取り出している間に、雷鳥さんはハイマツの中へと消えて行きました。幾つかピークを越えますが、その度に振り返って甲斐駒を見ます。白い山肌は見えますが、頂上は雲の中。暫く待っても頂上は姿をみせません。八ヶ岳方面は真っ白です。山川尾根最高峰、アサヨ峰は岩山でした。ここから南アルプスの山々を見るために登ってきたのですが、甲斐駒がちらほら、姿を見せようか見せまいかしていますが、仙丈、北岳は真っ白け。でも南アルプスの岩山に、たった一人でいるのは贅沢なものです。アサヨ峰から真っすぐ尾根が続いているのが見えますが、こちらへ行ってはいけません。頂上の手前に左へ入る道があります。何の案内もありませんが、この道を下ります。ハイマツ帯から樹林帯に入り、登り返したミヨシの頭で振り返りますと、甲斐駒の頂上の雲が一瞬流れ、姿を見せて呉れたのかそうでなかったのか、じらしの甲斐駒です。ピークを下り、また登り、大きなピークに立つと、鳳凰三山が飛び込んできます。でも稜線は雲に覆われ、オベリスクは見えません。そちらに向かって尾根が伸びています。どうやらあの尾根を辿るようですが、小屋らしき姿は見えません。下ったり登ったり。そして樹間から小屋の屋根が見えました。早川小屋はこじんまりした古い小屋です。今夜の宿泊者が関西弁の男2人組とわたしの3人だけでした。 翌朝、雨の中、ヘッドランプを照らして小屋を発ちます。広河原峠ではランプは不要となりました。ここから急坂を下ります。雨に濡れた木の根っこ、そして石。滑って尻餅を打ちました。バスの発車時間は9時、時間はたっぷりあるので慎重にゆっくり下ります。地図を見ても同じような等高線が並ぶだけで、メルクマールになるようなものはなく、今どこにいるのか判りません。峠から1時間半ほど急坂を下ると、西広河原沢の流れに出会います。ここから傾斜は緩やかになり、快適な南アルプスの苔むした森の中を歩いて、広河原峠入口に降り立ちました。降り立った場所には何の標識もありません。変だなと思って南アルプス林道を少し登ると登山口の標識がありましたが、道は草むして今は使われていないようです。林道を下って広河原のヴィジターセンターに着いたのは、バスの発車時刻の1時間以上も前でした。小屋からゆっくり下って2時間半、昭文社の地図のコースタイムは3時間15分となっていますが、ビールを売っていないヴィジターセンターで1時間以上も過ごすのは疲れます。北沢峠でバスを乗り換え、仙流荘で汗を流し、帰りはゆっくりと高速道路を走りました。 |
写真
感想
南アルプスのアサヨ峰、南アルプスと云ってもマイナー、軽い気持ちで登ることにしました。3時半に起き、4時半に出発し、戸台口の仙流荘8時発のバスに乗る予定です。ところが目覚ましが鳴らず、目を覚ましたのは5時前でした。まだ間に合うかもしれない、駄目なら帰ってこればいい、と眠気まなこをこすって車に飛び乗りました。高速道路をつっ走って、誰にも追いこされず、ノンストップで伊奈ICを降りました。信号待ち時に、ナビを仙流荘に合わせ、高遠から長谷村に入り152号線を下ります。この3週間ほど猛暑が続いていましたが、前線が発生し、西日本は大雨という予報です。自宅を出発する時は雨でしたが、恵那山トンネルを出ると雨は止んでいました。バスの発車まで20分を残して、余裕で仙流荘横の駐車場に着きました。雨もやみ、バスにも間に合い、まずはひと安心です。
北沢峠で乗客は降りますが運転手さんに頼んで、バスの回転場の仙水峠への分岐まで乗せてもらいました。北沢駒仙小屋の奥の登山口はすぐに判りました。根っこの這いまわる急登が続き、じきに汗が出始めます。調子は上がらず、30分程のインターバルで休憩を取ります。地図を取り出してながめると、栗沢山のテッペン近くにはマル危マークがついています。マル危マークは大キレットとかジャンダルムとかについているマークです。こんな森の中に、マル危マークって一体何なんだろう。登山口から2時間程登るとハイマツの世界となり、行く手に大岩が見えます。あそこが頂上だろうと岩を登ると、その先に幾つも大岩が続いています。岩には印がついていません。兎に角、上に向かって行ける岩を伝います。これがマル危マークなんだ。栗沢山に着きましたが、ガスの為眺望はありません。お弁当を食べながらガスの晴れるのを待ちます。が、一向に晴れる気配はなく、諦めてアサヨ峰に向かうことにします。
栗沢山からは岩を伝って下ります。岩とハイマツが広がっている中、どこが登山道なのか、岩には丸印はなく、勝手に判断しなければなりません。ガスがかかっていますが、今のところ視界はあるので大丈夫です。これ以上ガスが出ないよう祈るばかりです。ハイマツの中の道は、両側からハイマツがせり出していて、踏み跡は細いです。目の前1m、岩の上で雷鳥さんがこちらを見ています。カメラを取り出そうとゴソゴソしている間にハイマツの中に消えてしまいました。嫌なものを見てしまったな、この先天気が持ってくれれば良いが。栗沢山から1時間ほどでアサヨ峰に着きました。甲斐駒の白い山肌が見えますが、頂上は雲の中です。アサヨ峰の先には尾根が伸び、尾根が途切れた先に野呂川が見えます。野呂川の最深部が両俣です。その左側が北岳、右側が仙丈の筈ですが、両者は全く姿を見せません。でも、わたし以外誰もいない山頂、静かな静かなまぎれもない、ここは南アルプスです。
アサヨ峰から樹林帯に入り、またハイマツ帯に登ります。幾つかピークを越え、その度に甲斐駒を振り返ります。頂上の雲が流れ、ちらっと全容を現わしますが、それも束の間です。ハイマツの中から、「ゲッ、ゲッ」と鳴き声が聞こえますが、天気はまだ持っています。樹林帯をどんどん下り、早川小屋に着きました。早川小屋は古い小さな小屋です。中から中年の女性が出てきて、冷たいお茶を差し出してくれます。喉に滲み、旨い。今夜の宿泊者は関西弁の男2人組とわたしの3人だけと、何ともうれしい小屋です。着替えをし、明日の準備を終え、缶ビールと持参の焼酎を飲みながら外で過ごします。4時半に夕食です。レトルト食品のタマゴどんぶりと味噌汁だけなので、あっという間に食べ終わり、5時には毛布に潜りこみます。3人しかいない大部屋、毛布を3枚かむっていますが寒い。夜中、ネズミがガサガサとザックを齧る音と、屋根を叩く雨音に何度も目を覚まされ、ウトウトと夜中が過ぎて行きます。
翌朝、4時過ぎに小屋番さんに起こされ、4時半から朝食です。わたしは朝食を頼んでいませんので、持参のメロンパンをかじりながら出発の準備をします。9時に広河原発北沢峠行きのバスが出ます。昭文社の地図でコースタイムを見ると、広河原峠まで30分、広河原峠から南アルプス林道まで2時間半の下り、そして林道歩きが15分、しめて3時間15分です。小屋を出たのは5時19分。雨の中、ゆっくり下っても充分間に合いそうです。広河原峠まではヘッデンをつけて、ほぼコースタイム通りに下りました。峠からは急坂です。赤テープを探しながら慎重に下ります。根っこと石の急坂は雨に濡れ、滑りやすくなっています。ダブルストックですが、滑って尻餅をつきました。地図を見ても、同じような等高線が続き、メルクマールが無いので今どこら辺りにいるのか判りません。行き交う人も全くありません。峠から1時間半ほど急坂を下ると、川に出合います。ここからは道は緩やかとなり、苔むした南アルプスの静かな森を独り占めにして進みます。林の向こうが明るいなと思っていると、あっけなく南アルプス林道に出ました。なんとコースタイムより40分も早く着き、ヴィジターセンターで1時間以上もバスを待つことになりました。ビールは販売されていませんので、持参の焼酎を飲みながら過ごしました。
アサヨ峰、気楽に出掛けた山ですが、マル危マークもあって結構面白く、そして本当に静かな静かな南アルプスの峰でした。仙流荘で汗を流し、ぐっとビールを我慢して、帰りはゆっくり高速道路を走りました。
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ほんとに、この夏は雨ばかりですね。晴れたのは蓼科だけ?o(^_^)o
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