ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 338045
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
甲斐駒・北岳

静かな静かな南アルプス 北沢峠〜栗沢山〜アサヨ峰〜広河原

2013年08月24日(土) ~ 2013年08月25日(日)
 - 拍手
GPS
--:--
距離
9.5km
登り
946m
下り
1,409m

コースタイム

1日目 9:27北沢駒仙小屋奥の登山口―11:40栗沢山12:00―12:56アサヨ峰―15:34早川小屋
2日目 5:19早川小屋―5:46広河原峠―7:19西広河原沢―7:34広河原峠入口―7:50ヴィジターセンター
天候 1日目 曇り
2日目 雨
過去天気図(気象庁) 2013年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
バス 自家用車
仙流荘8時5分発のバスに乗る予定でしたが、3時半にセットした目覚まし時計が鳴らず、目が覚めたのは5時5分前でした。慌てて自宅を出て、高速道路をつっぱしり、間に合わなければ仕方がないと思っていましたが、渋滞もなく、なんと7時40分に戸台口の駐車場に着くことが出来ました。バス停横の駐車場はまだ数台分が空いていて、下の駐車場には一台も停まっていませんでした。岐阜県では降っていた雨も、恵那山トンネルを出ると止みました。
コース状況/
危険箇所等
 仙流荘前のバス停で登山届を提出。8時5分発のバスは補助席は使用せず、まだ数席余裕があります。北沢峠で皆さんが降りられてから、わたしは運転手さんに頼んでその先の回転場まで乗せて頂きました。北沢駒仙小屋の前でストレッチをし、栗沢山の登山口に入ります。登山口にはしっかりした標識があり、迷うことはありません。根っこの這いまわった急坂が続きます。50分ほど登るとようやく緩やかな尾根となり、ひと息つきます。が、それも束の間、再び林の中の急坂となります。樹間から垣間見る甲斐駒ケ岳は雲の中です。林が終わり、ハイマツが広がり、周りの景色は一変しますが、甲斐駒ケ岳は雲の中です。行く手上に岩の塊が見えます。頂上かと思いきや、岩場がさらに続きます。昭文社の「山と高原地図 北岳・甲斐駒」を見ると、栗沢山にはマル危マークがついています。先程までの林の中の道とは大違いです。栗沢山の頂上には男女4人の若者がいました。彼らは栗沢山ピストンのよです。出がけにコンビニで買ったオムスビを食べ、昼食とします。ガスで甲斐駒も仙丈も全く見えません。「←アサヨ峰」の標識が指す方を見ますと、岩が重なる斜面です。岩には丸印は一切ありません。ガスの向こうに稜線が見え隠れしています。そちらに向かって岩岩の斜面を進みます。時々は道も現れ、間違っていないことが判ります。ハイマツと岩の中の道、通る人が少ないため、ハイマツが両側から生い茂り、搔き分けながら進みます。次々と大岩が行く手をはばみます。屹立する岩にも鎖はありません。でも、岩にはホールドが豊富で、3点支持でクリア―出来ます。目の前に鶏冠の先が赤くなった雷鳥が突然現れます。写真を撮ろうと、もたもたとデジカメを取り出している間に、雷鳥さんはハイマツの中へと消えて行きました。幾つかピークを越えますが、その度に振り返って甲斐駒を見ます。白い山肌は見えますが、頂上は雲の中。暫く待っても頂上は姿をみせません。八ヶ岳方面は真っ白です。山川尾根最高峰、アサヨ峰は岩山でした。ここから南アルプスの山々を見るために登ってきたのですが、甲斐駒がちらほら、姿を見せようか見せまいかしていますが、仙丈、北岳は真っ白け。でも南アルプスの岩山に、たった一人でいるのは贅沢なものです。アサヨ峰から真っすぐ尾根が続いているのが見えますが、こちらへ行ってはいけません。頂上の手前に左へ入る道があります。何の案内もありませんが、この道を下ります。ハイマツ帯から樹林帯に入り、登り返したミヨシの頭で振り返りますと、甲斐駒の頂上の雲が一瞬流れ、姿を見せて呉れたのかそうでなかったのか、じらしの甲斐駒です。ピークを下り、また登り、大きなピークに立つと、鳳凰三山が飛び込んできます。でも稜線は雲に覆われ、オベリスクは見えません。そちらに向かって尾根が伸びています。どうやらあの尾根を辿るようですが、小屋らしき姿は見えません。下ったり登ったり。そして樹間から小屋の屋根が見えました。早川小屋はこじんまりした古い小屋です。今夜の宿泊者が関西弁の男2人組とわたしの3人だけでした。
 翌朝、雨の中、ヘッドランプを照らして小屋を発ちます。広河原峠ではランプは不要となりました。ここから急坂を下ります。雨に濡れた木の根っこ、そして石。滑って尻餅を打ちました。バスの発車時間は9時、時間はたっぷりあるので慎重にゆっくり下ります。地図を見ても同じような等高線が並ぶだけで、メルクマールになるようなものはなく、今どこにいるのか判りません。峠から1時間半ほど急坂を下ると、西広河原沢の流れに出会います。ここから傾斜は緩やかになり、快適な南アルプスの苔むした森の中を歩いて、広河原峠入口に降り立ちました。降り立った場所には何の標識もありません。変だなと思って南アルプス林道を少し登ると登山口の標識がありましたが、道は草むして今は使われていないようです。林道を下って広河原のヴィジターセンターに着いたのは、バスの発車時刻の1時間以上も前でした。小屋からゆっくり下って2時間半、昭文社の地図のコースタイムは3時間15分となっていますが、ビールを売っていないヴィジターセンターで1時間以上も過ごすのは疲れます。北沢峠でバスを乗り換え、仙流荘で汗を流し、帰りはゆっくりと高速道路を走りました。
仙流荘前のバス停です。
雨は降っていませんが、曇っています。
2013年08月26日 08:05撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
8/26 8:05
仙流荘前のバス停です。
雨は降っていませんが、曇っています。
鋸岳が姿を見せますが、甲斐駒は雲の中です。
2013年08月26日 08:06撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
8/26 8:06
鋸岳が姿を見せますが、甲斐駒は雲の中です。
北沢駒仙小屋は新しい奇麗な小屋です。
2013年08月26日 08:07撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
8/26 8:07
北沢駒仙小屋は新しい奇麗な小屋です。
小屋の奥の橋を渡ったところが登山口です。
2013年08月26日 08:08撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:08
小屋の奥の橋を渡ったところが登山口です。
木の根っこが這いまわっている急登が続きます。
2013年08月26日 08:08撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
8/26 8:08
木の根っこが這いまわっている急登が続きます。
緩やかな尾根も束の間、再び急登が続きます。
2013年08月26日 08:09撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:09
緩やかな尾根も束の間、再び急登が続きます。
樹林帯を抜けると岩山が現れます。晶文社の地図ではマル危マークがついています。
2013年08月26日 08:10撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
8/26 8:10
樹林帯を抜けると岩山が現れます。晶文社の地図ではマル危マークがついています。
栗沢山の頂上です。
甲斐駒は真っ白の中です。
2013年08月26日 08:10撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
8/26 8:10
栗沢山の頂上です。
甲斐駒は真っ白の中です。
仙丈方面でしょうが、こちらも真っ白です。
2013年08月26日 08:11撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
4
8/26 8:11
仙丈方面でしょうが、こちらも真っ白です。
アサヨ峰への下りですが、岩にはペンキマークはありません。どうかガスよ晴れて呉れ。
2013年08月26日 08:12撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:12
アサヨ峰への下りですが、岩にはペンキマークはありません。どうかガスよ晴れて呉れ。
ハイマツと岩の中、どちらへ行こうかな。
2013年08月26日 08:12撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:12
ハイマツと岩の中、どちらへ行こうかな。
標識や案内は皆無です。
2013年08月26日 08:13撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
8/26 8:13
標識や案内は皆無です。
行く手に岩が次々と。
2013年08月26日 08:13撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:13
行く手に岩が次々と。
鎖はありません。
ホールドが豊富なので、しっかり3点支持をとれば問題ありません。
2013年08月26日 08:14撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
4
8/26 8:14
鎖はありません。
ホールドが豊富なので、しっかり3点支持をとれば問題ありません。
岩また岩です。
2013年08月26日 08:15撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
8/26 8:15
岩また岩です。
どうやらあれがアサヨ峰のようです。
2013年08月26日 08:15撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
8/26 8:15
どうやらあれがアサヨ峰のようです。
アサヨ峰に着きました。
2013年08月26日 08:16撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
6
8/26 8:16
アサヨ峰に着きました。
真っすぐ尾根が続いていますが、こちらへ行ってはいけません。
2013年08月26日 08:17撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:17
真っすぐ尾根が続いていますが、こちらへ行ってはいけません。
仙丈、北岳はガスに沈んでいます。
2013年08月26日 08:18撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
8/26 8:18
仙丈、北岳はガスに沈んでいます。
ハイマツが両側からせり出して、道を覆っています。
2013年08月26日 08:19撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:19
ハイマツが両側からせり出して、道を覆っています。
八ヶ岳方面ですが、見えません。
2013年08月26日 08:21撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:21
八ヶ岳方面ですが、見えません。
これが本日精一杯姿を見せた甲斐駒です。
2013年08月26日 08:22撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
8/26 8:22
これが本日精一杯姿を見せた甲斐駒です。
鳳凰三山、オベリスクは見えません。
2013年08月26日 08:24撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:24
鳳凰三山、オベリスクは見えません。
ヤマハハコです。
2013年08月26日 08:24撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
8/26 8:24
ヤマハハコです。
オンタデの向こうに野呂川が見えます。
2013年08月26日 08:25撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:25
オンタデの向こうに野呂川が見えます。
トリカブトです。
2013年08月26日 08:26撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
8/26 8:26
トリカブトです。
シナノオトギリです。
2013年08月26日 08:29撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
6
8/26 8:29
シナノオトギリです。
岩山は過ぎ、こんな樹林帯の中を下ったり、登ったり。
2013年08月26日 08:30撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/26 8:30
岩山は過ぎ、こんな樹林帯の中を下ったり、登ったり。
本日、これが仙丈の精一杯の姿でした。
2013年08月26日 08:30撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:30
本日、これが仙丈の精一杯の姿でした。
早川小屋に着きました。
2013年08月26日 08:31撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:31
早川小屋に着きました。
夕食は4時半から。
レトルト食品と味噌汁です。
2013年08月26日 08:32撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
8/26 8:32
夕食は4時半から。
レトルト食品と味噌汁です。
今夜の宿泊はわたしも入れて3人だけ。
2013年08月26日 08:33撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:33
今夜の宿泊はわたしも入れて3人だけ。
シシウドの奥にトイレがあります。
2013年08月26日 08:34撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:34
シシウドの奥にトイレがあります。
テン場には2張りだけでした。
2013年08月26日 08:35撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:35
テン場には2張りだけでした。
晴天続きだったのが、何もこの日に来なくっても。
2013年08月26日 08:35撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
8/26 8:35
晴天続きだったのが、何もこの日に来なくっても。
広河原峠に着きました。
2013年08月26日 08:36撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:36
広河原峠に着きました。
雨に濡れた根っこと石、樹林帯の急坂です、
2013年08月26日 08:37撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/26 8:37
雨に濡れた根っこと石、樹林帯の急坂です、
緩やかな道となり、間もなく林道に出ます。
2013年08月26日 08:38撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:38
緩やかな道となり、間もなく林道に出ます。
こんな所に降りつきました。
2013年08月26日 08:41撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
8/26 8:41
こんな所に降りつきました。
標識のある場所は、使われていないようです。
2013年08月26日 08:40撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:40
標識のある場所は、使われていないようです。
ヴィジターセンターで1時間以上過ごしました。
2013年08月26日 08:42撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/26 8:42
ヴィジターセンターで1時間以上過ごしました。
北沢峠でも30分以上バスを待ちました。
寒かった。
2013年08月26日 08:43撮影 by  uT8000,ST8000 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
8/26 8:43
北沢峠でも30分以上バスを待ちました。
寒かった。

感想

 南アルプスのアサヨ峰、南アルプスと云ってもマイナー、軽い気持ちで登ることにしました。3時半に起き、4時半に出発し、戸台口の仙流荘8時発のバスに乗る予定です。ところが目覚ましが鳴らず、目を覚ましたのは5時前でした。まだ間に合うかもしれない、駄目なら帰ってこればいい、と眠気まなこをこすって車に飛び乗りました。高速道路をつっ走って、誰にも追いこされず、ノンストップで伊奈ICを降りました。信号待ち時に、ナビを仙流荘に合わせ、高遠から長谷村に入り152号線を下ります。この3週間ほど猛暑が続いていましたが、前線が発生し、西日本は大雨という予報です。自宅を出発する時は雨でしたが、恵那山トンネルを出ると雨は止んでいました。バスの発車まで20分を残して、余裕で仙流荘横の駐車場に着きました。雨もやみ、バスにも間に合い、まずはひと安心です。

 北沢峠で乗客は降りますが運転手さんに頼んで、バスの回転場の仙水峠への分岐まで乗せてもらいました。北沢駒仙小屋の奥の登山口はすぐに判りました。根っこの這いまわる急登が続き、じきに汗が出始めます。調子は上がらず、30分程のインターバルで休憩を取ります。地図を取り出してながめると、栗沢山のテッペン近くにはマル危マークがついています。マル危マークは大キレットとかジャンダルムとかについているマークです。こんな森の中に、マル危マークって一体何なんだろう。登山口から2時間程登るとハイマツの世界となり、行く手に大岩が見えます。あそこが頂上だろうと岩を登ると、その先に幾つも大岩が続いています。岩には印がついていません。兎に角、上に向かって行ける岩を伝います。これがマル危マークなんだ。栗沢山に着きましたが、ガスの為眺望はありません。お弁当を食べながらガスの晴れるのを待ちます。が、一向に晴れる気配はなく、諦めてアサヨ峰に向かうことにします。

 栗沢山からは岩を伝って下ります。岩とハイマツが広がっている中、どこが登山道なのか、岩には丸印はなく、勝手に判断しなければなりません。ガスがかかっていますが、今のところ視界はあるので大丈夫です。これ以上ガスが出ないよう祈るばかりです。ハイマツの中の道は、両側からハイマツがせり出していて、踏み跡は細いです。目の前1m、岩の上で雷鳥さんがこちらを見ています。カメラを取り出そうとゴソゴソしている間にハイマツの中に消えてしまいました。嫌なものを見てしまったな、この先天気が持ってくれれば良いが。栗沢山から1時間ほどでアサヨ峰に着きました。甲斐駒の白い山肌が見えますが、頂上は雲の中です。アサヨ峰の先には尾根が伸び、尾根が途切れた先に野呂川が見えます。野呂川の最深部が両俣です。その左側が北岳、右側が仙丈の筈ですが、両者は全く姿を見せません。でも、わたし以外誰もいない山頂、静かな静かなまぎれもない、ここは南アルプスです。

 アサヨ峰から樹林帯に入り、またハイマツ帯に登ります。幾つかピークを越え、その度に甲斐駒を振り返ります。頂上の雲が流れ、ちらっと全容を現わしますが、それも束の間です。ハイマツの中から、「ゲッ、ゲッ」と鳴き声が聞こえますが、天気はまだ持っています。樹林帯をどんどん下り、早川小屋に着きました。早川小屋は古い小さな小屋です。中から中年の女性が出てきて、冷たいお茶を差し出してくれます。喉に滲み、旨い。今夜の宿泊者は関西弁の男2人組とわたしの3人だけと、何ともうれしい小屋です。着替えをし、明日の準備を終え、缶ビールと持参の焼酎を飲みながら外で過ごします。4時半に夕食です。レトルト食品のタマゴどんぶりと味噌汁だけなので、あっという間に食べ終わり、5時には毛布に潜りこみます。3人しかいない大部屋、毛布を3枚かむっていますが寒い。夜中、ネズミがガサガサとザックを齧る音と、屋根を叩く雨音に何度も目を覚まされ、ウトウトと夜中が過ぎて行きます。

 翌朝、4時過ぎに小屋番さんに起こされ、4時半から朝食です。わたしは朝食を頼んでいませんので、持参のメロンパンをかじりながら出発の準備をします。9時に広河原発北沢峠行きのバスが出ます。昭文社の地図でコースタイムを見ると、広河原峠まで30分、広河原峠から南アルプス林道まで2時間半の下り、そして林道歩きが15分、しめて3時間15分です。小屋を出たのは5時19分。雨の中、ゆっくり下っても充分間に合いそうです。広河原峠まではヘッデンをつけて、ほぼコースタイム通りに下りました。峠からは急坂です。赤テープを探しながら慎重に下ります。根っこと石の急坂は雨に濡れ、滑りやすくなっています。ダブルストックですが、滑って尻餅をつきました。地図を見ても、同じような等高線が続き、メルクマールが無いので今どこら辺りにいるのか判りません。行き交う人も全くありません。峠から1時間半ほど急坂を下ると、川に出合います。ここからは道は緩やかとなり、苔むした南アルプスの静かな森を独り占めにして進みます。林の向こうが明るいなと思っていると、あっけなく南アルプス林道に出ました。なんとコースタイムより40分も早く着き、ヴィジターセンターで1時間以上もバスを待つことになりました。ビールは販売されていませんので、持参の焼酎を飲みながら過ごしました。

 アサヨ峰、気楽に出掛けた山ですが、マル危マークもあって結構面白く、そして本当に静かな静かな南アルプスの峰でした。仙流荘で汗を流し、ぐっとビールを我慢して、帰りはゆっくり高速道路を走りました。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:2673人

コメント

真っ白ですな
ほんとに、この夏は雨ばかりですね。晴れたのは蓼科だけ?o(^_^)o
2013/9/7 19:15
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら