八方尾根→唐松岳頂上山荘→餓鬼山→祖母谷温泉→清水岳→白馬岳→白馬大雪渓→猿倉
- GPS
- 52:00
- 距離
- 53.1km
- 登り
- 6,319m
- 下り
- 6,589m
コースタイム
5:34黒菱平-8:40唐松岳頂上山荘-10:47大黒銅山跡-12:20餓鬼山-13:12餓鬼山避難小屋-14:40南越峠付近の水場-15:14沢出合-16:31祖母谷温泉
9月21日(土)
5:10祖母谷温泉-10:00不帰岳避難小屋-12:30清水岳-15:00白馬岳頂上宿舎テント場
9月22日(日)
5:02テント場-5:40白馬岳山頂-6:02白馬岳頂上宿舎-8:25白馬尻-9:20猿倉
天候 | 9月20日(金):快晴、微風、気温高し 9月21日(土):快晴、微風、気温高し 9月22日(日):晴れ、薄曇り、微風 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
・猿倉から八方まではバス利用。 ・八方バス停から10分ほど歩いてゴンドラ乗り場へ向かい、ゴンドラとリフトを利用。リフトを降りてから黒菱平の駐車場までは下りの急傾斜。(冬期はスキーのゲレンデ。) |
コース状況/ 危険箇所等 |
<各ルートの状況> ・黒菱平-唐松岳頂上山荘:尾根沿いの好展望の道。樹林帯が少ないので風が強い日は大変。山荘直下には一部鎖などあるが、なくても問題ないレベル。人通りは多く、特に八方池までは観光客も多い。 ・唐松岳頂上山荘-餓鬼山避難小屋:山荘から下ると始めにテント場があり、その後は1900m付近まで約600m下る。この間鎖など設置された箇所もあるが、登山道は明瞭。下る途中に水場の方向を示す道標あり、往復15分とのことだが確認せず。下りきった後は餓鬼山へ向けて200mほど登り返す。餓鬼山の登りは両側が切れ落ちた狭い尾根道のところも多いので滑落などしないよう注意。餓鬼山周辺には梯子なども設置されている。下り始めて1時間ほどで餓鬼山避難小屋に達する。避難小屋はきれいで宿泊に適するが、周囲に水場はなく、小屋にトイレが設置されていない。この区間の登山者は極めて少ない。(この日は全く見掛けず。) ・餓鬼山避難小屋-祖母谷温泉:南越峠付近までは通常の登山道だが、南越峠付近から祖母谷温泉の直前まで日の当たらない斜面が続き、草や岩が湿っていて大変足を取られやすい。日帰りで下ってくると相当時間歩いているはずなので、足に疲労が蓄積にスリップし易い。登山道は刈り払いはされているが、所々草で覆われていて分かり難いところもあった。昼間の明るい時間であれば登山道をロストすることはあまりないと思われるが、暗い時間帯に行動する場合は登山道から外れないように要注意。南越峠付近の水場は利用可能。南越沢に合流した後はしばらく沢を歩き、その後は左岸を下り、祖母谷温泉手前で大きな鉄橋を2つ渡り祖母谷温泉に達する。この区間の登山者が極めて少なく、当日は名剣温泉から山菜採りに来ていた人を1名見たのみで、登山者には会わず。 ・祖母谷温泉-不帰岳避難小屋:祖母谷温泉からしばらくは林道を歩き(林道は祖母谷の右岸)、林道にスノーシェッド(?)のようなものが見えると左手に白馬岳方向の入口がありそこが登山口になる。登山口から入るとその後いくつもの沢を横切る。いずれの沢も飲用可とのことなので、不帰岳避難小屋までは水場が多く多く担ぐ必要はないが、増水した際は渡渉に注意。祖母谷温泉から出発する場合は、小屋で近況を確かめたほうが良いだろう。避難小屋までは基本的には登り一辺倒で、大きな登り返しはないが、所々でアップダウンがあり標高を稼がないので、標高差が少ない割に時間が掛かる。不帰岳避難小屋はきれいで宿泊に適する。小屋から歩いて数分で水場があり利用可能。トイレは小屋内にあったが使用不可となっていた。この区間の登山者は少なく、当日は1人も見掛けず。 ・不帰岳避難小屋-清水岳:この先頂上宿舎まで水場はないのでここでしっかり酌んで担いで行く必要がある。小屋を出てしばらくすると樹林が切れて展望が得られるようになり、白馬鑓ヶ岳や杓子岳が見えるようになる。樹林帯を抜けると夏期はお花畑が広がるだろう思われる尾根道に出る。展望も良く、気持ちのいいトレイルである。清水岳まではところどころハイマツが濃いところもあるが、登山道に問題はなく明瞭。清水岳山頂付近は広くてガスが濃い時には方向を見失うかもしれない。要注意。この区間も登山者は少なく、この日は5名とすれ違ったのみ。 ・清水岳-白馬岳頂上宿舎:展望の良い尾根道が続く。清水岳から一旦下って裏旭岳にかけて登り返すが標高差にして200m程度。登山道は旭岳の南側を回り込むようにしてついている。旭岳にカラ身でピストンを目指す登山者を数名見たが、それ以外には見掛けず。白馬岳へ続く稜線に達すると人は多くなる。 ・白馬岳頂上宿舎-白馬岳:登山者多く、特に危険箇所無し。人が多すぎて自分のペースで歩けない時もあり。 ・白馬岳頂上宿舎-白馬尻:雪渓上を歩くのは白馬尻に近い2箇所のみで、それ以外は通常の登山道を歩く。雪渓も距離は短いのでアイゼンを付けるほどではないし、実際に付けているパーティは見掛けず。小雪渓付近は左手に水の流れを見ながら下り、所々で沢を渡る。木の橋がかけられていることが多いが、ないところもあり渡渉の際は要注意。大雪渓はガラガラの登山道でスリップし易い。白馬尻に近付くと登山道が狭くなり、すれ違いが難しい場所も多数。登山者は大変多いので落石への注意が必須。 ・白馬尻-猿倉:15分ほどは登山道を歩くが、それ以降は砂利の林道歩き。特に問題なし。 <テント場> ・祖母谷温泉:整地良く、平坦で快適。沢に近く音が気になる程度。温泉は料金を払えば24時間いつでも入浴かとのこと。この日のテント場利用者は自分のみ。水はテント場の水道を利用可能。トイレも近い。携帯(ドコモ、フォーマ)は使用不能。 ・白馬岳頂上宿舎:宿舎そばの窪地にある。連休初日の15時過ぎに到着のため、既に快適な場所の空きはほぼなくなっていたが、18時過ぎくらいまで適地を探してウロウロする人も見られた。この日は空きがなくて小屋泊に切り替えた人も多く出た。水は小屋近くのタンクから(雪渓から汲み上げている)。トイレにはペーパーの備え着けなし。携帯はテント場入ったり入らなかったりで不安定。使いたければ少し歩いて高いところであれば安定して利用可能だった。 |
写真
感想
前回の山行から1ヶ月以上のブランクがあり、その間運動らしい運動をせず、テント泊装備を持ち、その上、今回のようなロングルート2本(黒菱平-祖母谷温泉、祖母谷温泉-白馬岳)を2日続けて歩くことができるか出発前心配に感じたが、天気が良いことを頼りにして決行した。結果的には無事に帰ってこれたが、このルートを2日で続けて歩くのは体力的にかなりしんどかった。
初日、まだ暗い朝5時過ぎに黒菱平の駐車場に到着。出発準備中の人も見られるが、閑散としている。連休は明日からなのでこんなものか。それよりも駐車場の寒さに驚いた。クルマの外気温計は7℃を示しているし、実際に寒い。既に1,500mあるのだから不思議ではないのだが、下界とのギャップを改めて感じた。朝食と準備を済ませ、明るくなってから出発。4日分の食料と3リットル強の水合わせて20kg程度だろう。最初はスキー場のゲレンデを上り詰めるのでいきなりの急登、なまりきった体にカツを入れる感じだ。薄いウィンドブレーカを着て歩き始めたが、直ぐに熱く感じるように。ゲレンデが終わるとその後は普通の登山道に、昨秋来た際は強風で煽られるほどだったが、この日はそよ風も吹かない快晴の好天。天気が良いのは大変有り難いが、この先の暑さが思いやられた。
昨年日帰りの荷物で歩いた時よりも少し時間がかかって山荘到着。標準コースタイムよりは早かったが、自分の予定よりは遅れていたので唐松岳の頂上往復は諦めて祖母谷温泉までの長い下りに取りかかる。山荘直下ではテント泊の登山者が撤収の準備をしていたが、それ以外に登山者は見られない。時々鎖が掛かっている登山道を下るが登って来る登山者は皆無。これはえらく静かなところにきてしまったかもしれない、などと思いながらもどんどん下る。始めのうちは時間も早く、標高も高かったので日差しの強さは感じても、暑さはさほど感じなかったが、標高を下げるに連れ暑さが増し、水の消費量が増えてきた。大黒銅山跡地は手前の水場の案内を見送ったが、登山道から水場が近ければ、少しは給水しに行ったかもしれない。
1900m付近まで下り切った後は餓鬼山の山頂へ向けての登り返しになる。この時間帯は暑くてかなりしんどい思いをした。9月下旬の秋山とは思えない暑さだった。通常、1時間に1回程度で十分の休憩だが、この頃からそれでは全く足りず、30分に1回に短縮せざるを得なくなっていた。久々に完全にバテた感じ。木陰のある涼しいところで座って水を飲んでカロリーを取って歩き始めるを繰り返してようやく餓鬼山山頂に到着。天気快晴で雲の姿はどこにもなく、じりじりと焼かれる思いがした。餓鬼山からは下りに入るが傾斜がきついので慎重に下らざるを得ない。梯子なども多く設置されていた。餓鬼山の登りでは木陰がなく暑さに苦しんだが、下りに入ると樹林帯に入るのでその点は楽だった。餓鬼山山頂から1時間ほどでわりとあっさり避難小屋に到着。体も疲れたし暑いので、この日の行動はここまでとしたかったが、この小屋には水はなく、周囲にも水場は皆無のためそれは断念せざるを得なかった。ちなみにこの時点で持っていた水は2リットル程度だったので、飲み水、炊事、翌日の行動用と考えると、到底足りるものではなかった。
避難小屋で大休止した後はしばらく快調に歩けたが、それも束の間で、元ののろいペースに戻ってしまった。この1ヶ月間ろくな運動をしていなかったので体もすっかりなまっていたのだ。南越峠が結局どこかは分からなかったのだが、それまでカラカラに乾いていた登山道が湿気てきて、よく見ると水が流れているようだった。よく見ると水場の表示がありそちらに誘われるとしっかりとした水場があった。手ですくって冷たい水を何度も飲む。生き返った心地がした。それと共に、何故登山地図にはこの水場が掲載されていないのか不思議に思った。水場の表示は新しい物ではなかったので最近作られたものではないのは確かだった。
冷たい水で生き返ったものの、足は限界に近くなっていて、湿った岩や草、苔の生えた岩の多い登山道の下りは楽なものではなかった。時間は15時過ぎとまだ明るい時間帯だったが、谷間の常で、暗くなるのは早くなりそうだった。かといってペースを上げることはできないので、スリップには気を付けて歩く。一旦南越沢に降りて少し沢を歩いた後、沢の左岸を下る。この道も湿っていて歩きづらいうえ、所々草に覆われてルートが分からなくなる。うっすらと踏み跡が付いているので大幅にロストすることはなかったが、暗い時間帯に歩きたくない気がした。
遠くに鉄橋が見え、目指す祖母谷温泉もようやく見えた。沢沿いでGPSをロストしていて正確な距離は分からないが、20kgの重荷で20km以上は歩いただろう。無事に小屋に着くことができて安堵した。テント場にはテントの姿はなく、小屋にも泊まりは1組2名のみという静けさであった。この日、唐松岳頂上山荘から下り始めて祖母谷温泉まで登山者は全く見掛けなかった。貸し切りのテント場にテントを張り、疲れで動けなくなる前にとにかく温泉だけには入ってきた。こちらも貸し切り。普段温泉にはそれほど拘りはないのだが、この日は11時間行動の後だったためやはり格別だった。
2日目。初日の到着後に小屋の主人に白馬岳方面へのルートを確認しておいた。聞いた感じでは、暗い時間帯に出発するのは適当ではない感じがして、明るくなるのを待つことにし、5時過ぎにテント場を出て行動開始。昨晩の間にしっかり結露してフライシートはしっかり水を含んでしまったが、これは乾かす時間は当然ないので諦めてそのままパッキングした。標高は800m弱と低いので歩き始めからTシャツ一枚で十分だった。祖母谷温泉を出て15分ほどすると登山道入口を示す看板がありその方向へ進む。不帰岳の避難小屋までは沢がいくつもあり、いずれも飲用可とのことだったので飲み水は多く持たなくても問題ないと事前情報を仕入れていたが、正にそのとおりで、500mlのペットボトルでも足りるくらいの頻度で沢が現れ、美味い水を飲むことができた。昨日太陽に焼かれ、手持ちの水を消費し続けながら歩いた餓鬼山周辺とは大違いだった。避難小屋までの標高差は1100m程度なので、3−4時間あれば着くか?などと甘い考えを持って歩き始めたが、標高を上げるところとその後、その標高付近でアップダウンすることろが繰り返すため、思った以上に時間がかかる。それ以上に昨日の行動の疲れがあって、ペースは全く上がらない。休憩は昨日同様30分に1回だった。
ほぼコースタイムどおりに不帰岳避難小屋に到着。ここで下りの登山者が1人休憩していた。小屋から少し下ったところにある水場はしっかり出ていて問題無く、ここでこの日の行動分の水をくむ。正直、昨日の疲れがあったし、ここなら水も豊富なので行動を切り上げようかとも思ったのだが、快晴の時に清水岳付近を通過してみたいという願望のほうが打ち勝って、出発することにした。この後、数組の下山パーティとすれ違うが、それ以降は旭岳周辺まで人とは出会わず。
避難小屋を出てしばらくすると樹林がきれて展望が得られるようになった。前方には白馬鑓ヶ岳や杓子岳、後方には剱岳。天気は快晴で微風。避難小屋に沈殿しなくて良かったと感じる瞬間だった。季節は既に9月後半なので花の姿で確認できたのはチングルマの綿毛くらいだったが、その密度はかなり濃く、花の時期に再訪したいと思わせるほどだった。池塘なども散在している。既に疲れていてクタクタだったが、歩くことが全く苦にならないエリアだった。緩い登りを登り切り清水岳の山頂直下に到着。山頂付近はだだっ広いのでガスに巻かれると厄介だろう。小旭岳方面へは少し下り、裏旭岳付近で標高を稼ぐ。旭岳をぐるっと南に回り込むとようやく白馬岳が見え、ゴールが間近になった。
白馬岳の主稜線に上がり、窪地にあるテント場を見ると、、、やはりテント場は一杯だった。どこか張る場所はあるだろうか?と心配になりながら受付を済ませ、テント場の奥のちょっと狭いスペースを確保。小屋泊まりも覚悟したが何とか寝床を得られた。この日も10時間行動で、ゆっくりしたいのはやまやまだったがフライシートはびしょ濡れなのでとにかく先にテントとフライシートを取り出して乾燥を始めた。標高が高く、風も少しあったので案外早く乾きテントの中に入ることができた。この日は連休初日の人気の山域らしく混雑は激しく、テント場でテントが張れそうなところはほぼ全て張られていた。それでも諦めて小屋泊まりに切り替えていた人が多くいたようだった。日が出ている間は暖かかったが、日没後は一気に気温が下がり、防寒着なしではいられない寒さになった。やはり9月後半の2700mなのである。
3日目。昨夜からこの日の朝にかけては風が強く、テントにも風が当たって音が時折バタバタするくらいだった。そのお陰が、テントの結露は全くなく乾燥した軽い状態で持ち運ぶことができた。3時30分に携帯のアラームで起きた時のテント内の気温は約6℃。外は風が強いが天気は良いので支度を進める。小屋にザックをデポしてカラ身で白馬岳を目指す。この日で北アルプスに入って3日目だが、ピークらしいピークは踏んでいないので、ここも逃すとちょっと切ない山行になってしまう。カラ身で軽荷なので一気に山頂まで歩くが、途中でちょうど日の出の時間を迎えたようで、白馬岳山頂や付近が赤く染まるのを目の当たりにできた。山頂はたくさんの登山者で賑わっており、昨日まで人っ子一人いない登山道を歩いてきた者には場違いな気がして早々に退散した。ここは5月の連休明けくらいの閑散期に来る方がのんびりできて良い。
小屋まで戻りザックをピックアップして下りにとりかかる。白馬三山を縦走して、不帰ノ嶮を越え、更に唐松岳を越えれば八方尾根を下るだけになって、クルマ回収の手間も減らせるのだが、連休で混雑している不帰キレットを歩く気がしなかったことと、この2日間めいっぱい歩いていたので、更に10時間行動をする気にはなれなかった。迷うことなく大雪渓を下ることにした。大雪渓は残雪期に何度も来ているが、雪のほとんどない時期はこれが初めてだった。雪のない大雪渓は雪のある時期よりもペース的には遅くなったが、それでも変化に富んでいたので、案外面白く、退屈せずにあるくことができた。大雪渓も上部のほうは登山道が広く、朝も早い時間帯だったのですれ違いを気にする必要がなかったが、途中からは道が狭く、登りの人も多くなってきたのでペースを保って歩くことは不可能になった。焦っても仕方ないので、安全第一で下る。白馬尻の小屋も残雪期に建設途中しか見たことがなかったが、この日初めて営業している時を見ることができた。白馬尻から猿倉までの林道を歩き行動終了。9時過ぎのバス停着だったが、この時間からタクシーで乗り付けて登り始める登山者がいるのを見て少し驚く。
この後、バスで八方まで移動し、徒歩で八方尾根スキー場のゴンドラ乗り場へ移動。ゴンドラとリフトを乗り継ぎ、さらに急傾斜の斜面を降ってようやく駐車場着。金曜日の朝はガラガラだった駐車場は係員が出て案内するほどの盛況ぶりだった。好天の連休様々と言ったところか。
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