カムイエクウチカウシ山ーワイルドな難関コース
- GPS
- 20:41
- 距離
- 30.8km
- 登り
- 1,674m
- 下り
- 1,672m
コースタイム
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
飛行機
(復路)逆コースで幌尻ゲート。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
全体を通してやはりカムエクは難関と感じましたが、沢と岩のミックス歩きが長いですね。底がゴムで少し固い沢靴が最適と思いました。 以下、区間ごとの気付き事項を列記します。 最後に札内川の水量推定方法と我々の熊対策等を補足します。 <幌尻ゲート(登山口)⇔七ノ沢出合> ・アップダウンの少ない林道歩き1時間半程。自転車部隊も多い。 <七ノ沢出合⇔八ノ沢出合> ・川幅の広い沢歩き。テープ探しながら時に渡渉、時に高巻しながら進んでいく。 ・テープは多い順にピンク、青、赤で、多少特徴があり、ピンクは沢好き、青は陸歩き志向と感じた。 ・テープ見過ごしても多少歩きづらい岩歩きや深目の渡渉があるだけで、基本沢筋なので大きなミスコースは無い。 ・渡渉箇所が多いため沢靴が滑りにくく活躍する場面が多い思われます。 ・当日の水量は多くがスネ程度、最も深い場所でも膝程度で問題無かった。 ・八ノ沢出合のテン場は沢の左岸(上流を見て右側)に5張以上張れるテン場あり。周辺にもポツポツある。 <八ノ沢出合⇔三股> ・同じく渡渉箇所が多数ある。八ノ沢分岐から川幅が狭くなる。岩のサイズと斜度も次第に大きくなるので、次第に脚が疲れてくる。 ・ここも沢靴が無いと滑って困難と思いました。 ・三股のテン場は平らなのが2張程度。手前にもポツポツ1張サイズが複数あり。 <三股⇔八ノ沢カール> ・一気に斜度が上がる。急で濡れている岩場が続くので我々は沢靴のまま登ったが、斜度のある岩でも滑らないので非常に安心感があった。 ・道迷い箇所が多いと聞いていたが、よくみれば大体は判読可能で、思ったよりルートファインディングは楽な印象であった。とはいえ、登り下りとも1か所でミスコース(笑)。下り1か所はピンクテープも間違えているので引き込まれた。 ・ロープが数か所出てくるがトラバース的な箇所は慎重に行けば問題ない。1か所、かなり斜度のある5m程の岩場があるが、ホールドやスタンスは沢山あるので慎重に行けば問題無い。(古びたトラロープは信用しない方が無難と感じた。)下りは足元が見づらいのでより慎重に。 <八ノ沢カール⇔山頂> ・カールに上がると沢音が消え、静かな桃源郷の風情がある。カムエク山頂は目の前。 ・有名な福岡大ワンゲル部の1970年の遭難慰霊碑がある。 ・水場はその先のルート脇の沢水だが直上で湧いている模様。 ・稜線までツズラ折れで登って行くので見た目ほど急登ではない。 ・稜線は少し細尾根のトラバースもあるが慎重に行けば問題ない。 ・ハイマツは太い枝は刈りこまれているので、下半身に”刺さる”ことは少ないが、細い枝が被っていて圧をかけないと進めない。 ・山頂は晴れていれば360度の大絶景。当日は北の幌尻岳や戸蔦別岳が綺麗に見えた。ピラミッドピークは山頂では西半分だけ、直下では綺麗に全容が拝めた。 以下、補足情報です: <水量データ> ・カムエクは札内川の水量が鍵で、多いと渡渉できず即敗退となる。 ・札内川の水量を札内川ダムの流入水量から推測するという画期的な方法を見出された方のHPを発見したので、既に多くが利用されていると思いますが、参考添付します。 (↓札内川水量に関するHP) https://yukinoshingun.com/kamueku-toshou/ (↓ダム諸量データベース) http://mudam.nilim.go.jp/chronology/summary/12 (画面下で期間を指定) 7立米/秒程度なら問題無しのところ、9月1日、2日とも4立米/秒前後で、多くの場面でスネ程度でした。 なお、参考まで、当日会った方も2回目でこのHPを利用されていたが、初回トライ時は13立米/秒の股上で流されそうになって七ノ沢出合で敗退とのこと。 <我々の熊対策> ・熊鈴、笛に加え、熊スプレー(大)、火薬銃(カネキャップ)とナタを持参。 ・ナタは各論あるも北海道のヒグマ研究の先生が最後の切札と著書でお勧めされていたので北海道には念のため持参しています。生還の鍵は反撃と。 ・下は参考HP。 http://www.yasei.com/jituzou.html http://www.yasei.com/news/myhistory.pdf https://kitano-michikusa.com/mountain/beginner_14/ https://www.kitakaido.com/outdoer/outdoer/higuma_03.html <沢靴> ・ヤマレコでは通常の登山靴で歩かれている方も時折見かけますが、大半は沢靴を使用されていたので、我々も下記を使用しました。 ・沢と岩のミックスなので、ラバーソールのモデルを選択。常時沢登をするわけではないので高額シューズには手が出ませんでしたが、どちらも濡れの有無によらず岩には絶大の信用が置け(苔はNG)、意外だったのはパドリングシューズはつま先の強化もされ、靴底が少し固いのでサワタビより長時間歩きでも疲れないと感じました。 ・登山靴も担いでいきましたが、結果的に2人とも七ツ沢出合から山頂まで通して使用しました。 (↓モンベルのパドリングシューズとサワタビ) https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1127372 https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1125117 |
その他周辺情報 | 十勝ナウマン温泉「ホテルアルコ」の日帰りを利用。500円/人。 コロナ禍でも夜23時迄入れるのが嬉しい。 ヌルスベのいいお湯と思いました。 https://hotel-arco.jp/spa/ |
写真
感想
momohiroさんからお誘いがあり、今年最大のイベントであるカムエクを登ってきました。
以下、自身の備忘録もあり長文失礼します。
天気予報の関係で1日早めて8/31夜に新千歳空港まで飛び、札内ヒュッテに2:00頃到着するとまさかの貸切。ワインパーティーで軽く宴会のあと翌朝は遅めの8時半スタートします。
初日は三股ないし八ノ沢出合のテン場までの沢歩きだけなので少し気楽です。
七ノ沢出合から渡渉が何度もあります。
気になっていた水量は札内川ダムの流入水量(ルート案内参照)では4立米/秒前後と少ないです。
テープを追いかけて右岸、左岸、中洲を歩いたり、時に高巻くコースもあり、ルートは一つではなく自分達の感覚を信じて進みます。
八ノ沢出合までは沢の分岐も無く基本沢筋なのでミスコースしても、多少歩きづらいだけで、今日のように水量が少ないと渡渉が何度あっても心配ありません。
八ノ沢出合で、丁度下ってきた方(三股でテン泊)に聞くと、先行の若者2名が三股でテン泊なので2人で上がっても同じ場所に張れない可能性が高いようです。
二人で相談し、明日が少し長くなりますが、八ノ沢出合からのピストンとし、昼過ぎからのんびりします。
早目の夕食と宴会のあと18時頃に就寝します。
が、ちょっと気になることがあって、我々の2張以外にテントが2張あり、1張は男女カップル、もう1張は熟年男性らしいのですが、どちらも戻っていないのです。
気になりながら寝ていると21時半に40歳前後と思われるカップルが戻って来ました。
三股下で日暮になりヘッ電で慎重に下ってきたそうです。
岩の多い沢歩きを真っ暗な中よく歩いたなと驚きましたが、ゆっくり慎重に下ってきたそうです。先ずは何より無事の到着に安心です。
でも、もう一人の男性は戻っていません。テントを開けっぱなしで出たままです。
翌日の登山の目的が変わるのではないか、と思うと気持ちが高ぶってしまい朝まで寝れませんでした。
さて翌朝。
長丁場なので準備して日出少し前ですが4時半に薄明りの中スタートします。
岩が次第に大きくなり脚の筋肉が疲れてきます。
正面にカムエクや八ノ沢カールが見えテンションアップ!
その先、テープがほとんどなくなるので男の直感を信じて右岸、左岸と渡渉しながら進みます。沢靴の調子がいい(濡れていても滑りにくい)ので気持ちいいです。沢歩き初のmomohiroさんもご満悦。
1時間強歩くと、先に50代の男性が一人下ってきます。
もしや!?と思って
(私)「どこから、ですか?」
と聞くと、
(男性)「三股からです」と。
(私)「八ノ沢出合のテントの方ですか?」
(男性、少し間があって)「・・・はい」
見つかってほっとした瞬間でした。
最悪、最悪の事態も頭にあったからですが、杞憂でよかったです。
暗い中の渡渉歩きは危険と判断し、持っているもの全て着て三股下でビバークしていたそうです。夜半10℃弱あったのと雨が降らなかったのも幸いでした。
自分の力量を見極めた山行計画の大切さを噛みしめましたが、それはそれで慎重な判断だったのかな、と思いました。
momohiroさんと意を新たに登ります。
三股では若者2人が焚火の始末をしていました。
昨晩は釣果を焚火で楽しんだようです。
倶知安からきた30歳前後の男性2人、この後、猛烈な速さで追いついてきて1日抜いたり抜かれたりしました。
三股先は核心部と思っていましたが、急登や一部濡れた岩場もありますが、沢靴で行ったのが正解と思いました。どの場面でも滑らずしっかりグリップしてくれる安心感がありました。
八ノ沢カールでは1970年の遭難慰霊碑があり合掌します。
その先で湧水の沢水があり給水のあと、稜線までを登ります。
左手にピラミッドピークを見ながら、右手の稜線を進みます。
一部細尾根や足場の狭いトラバースもありますが、慎重に行けば問題無いです。
ハイマツも上は覆いかぶさっていますが、足もとは明瞭です。
少し息を切らして山頂到着。
北の幌尻岳や戸蔦別岳が至近に見えています。
5年前に向こうから眺めたカムエクに今登っていると思うと感無量でした。
山頂でmomohiroさんとの記念写真を先ほど来の若者に撮ってもらい下ります。
時間が押しているので慌てず少し急ぎます。
とはいえ、山の会の方針で他県に登山中の事故は絶対避けるように厳命が出ているので(コロナ禍のため)、急降下箇所などはいつも以上に慎重に下ります。
三股で装備をまとめ終わった若者2人と談笑のあと先に行ってもらいます。
八ノ沢出合に自分達で決めた時間リミット直前に到着。
テント装備を担いで七ノ沢出合まで、また右岸、左岸と記憶が怪しい箇所もあり来たルートとは少し違ったコースでしたが戻りました。
日没まで半時間ほどでしたが、ここまで来ればあとは林道歩きなので安心でした。
沢靴の裏が柔らかすぎて足裏が終わってしまったmomohiroさんも最後まで頑張ってくれたおかげで2日目日暮までに戻れました。
momohiroさんがいなければ達成できなかったと思います。
熊のリスク、沢のリスク、距離などなど、やはり難関コースと言われるだけのことはあると思いました。そんな中、精神的にも二人でいることの心強さや、ルートファインディングの眼の多さに幾度となく助けられました。
天気予報から1日早める提案を受けて頂いたおかげで晴れにも恵まれ、俗に言われる「ラスボス」を完登できてよかったです。
ありがとうございました。
長文になりましたが、最後までお付き合い頂いたヤマレコUserの方々ありがとうございました。
ShuMaeさん、此方こそありがとうございました。
声掛けしたのは確かに自分ですが、その後の計画において、札内川の流入量のサイトを見つけて頂いたりで、まさしくおんぶに抱っこ状態でした。
それにしてもカムエク!
昭文社の地図とかに破線ルートとか載ってますが三股迄はルート無しといった方が良いかもしれません。
一人だとルーファイにもっと手こずって、且つ足を痛めていたので、恐らく2日目の夜に七ノ沢出合迄戻れなかったと思います。
色々とホントにありがとうございました^_^
PS 写真の追加アップはもう少し待って下さい(mo)
コメント
この記録に関連する登山ルート
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なんだかんだと楽しいで登ってらしてうらやましいです。お天気もよくて充実した山旅でしたね。
40代のカップルも驚きでしたが、50代の方はよくぞ と感動ものでした。
比較的気温があり雨ではなかったのが幸いだったのか、少し眠れたと聞いて安心しました
本音的には、自分の力量をわきまえながら歩きたいよな、とは思いましたが、何より最悪の事態ではなかっただけでもよかったです。
天気も土日雨予報だったので1日早めたのですが、結果4日ともほぼ雨無しでした。
やっぱ、自分って晴れ男 なんだなぁ
と確信に近く思ってしまいました
私には山名を読むだけでも難関!と感じた北のお山(正しく入力できる自信すらない^^;)、景色も道中の色々も、そして準備段階での色々、全てにおいてとっても刺激的なレコ!3往復ぐらいして楽しませていただきました♪
北海道の山も素晴らしく魅力的ですね。
今回も魅力的な山行、お疲れさまでした&ありがとうございます!
なんだか舌を噛みそうな名前ですよね、私も最初そうでした
カムエク、最難関の200名山と言われることも多いですが、時間さえかければ(熊対策は別途するとして)、変化のある楽しい山だと思いました。歩いている際は大変だな、一人じゃ即撤退だな、とか思ってたのに、また機会があれば行きたくなっています。<中毒!?
3往復も見ていただいて恐縮です。今年最大のイベントだったのでレコにも気合が入ってしまったようですみません
Mt221さんも、機会みて北海道はデッカイ道のワイルドな山歩きにトライくださいまし
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