利尻山
- GPS
- 25:25
- 距離
- 32.6km
- 登り
- 4,311m
- 下り
- 4,396m
コースタイム
5/2 5:00北麓キャンプ場-9:45長官山-10:15利尻山避難小屋-11:50利尻山12:40-13:30利尻山避難小屋14:15-14:30長官山手前-16:00北麓キャンプ場
5/3 10:20アフトロマナイ川横林道終点-11:50鬼脇山下斜面-12:30林道終点
5/4 7:15北麓キャンプ場-11:10利尻山避難小屋12:00-12:20豊漁沢川登り返し地点-13:10オチウシナイ川北尾根-14:00オチウシナイ川横林道
天候 | 5/1 曇のち晴 5/2 晴のち曇(強風) 5/3 晴(強風) 5/4 晴のち曇(強風) |
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過去天気図(気象庁) | 2009年05月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
4/30(木)
移動日。午前の飛行機で、羽田から稚内へ飛ぶ。
稚内では地元高知の山スキー集団「土佐雪酔」の人達と合流。これからよろしくお願いします。
稚内からはさらにフェリーに乗り継いで利尻島へ。
さすがは酒国土佐の会、船に乗り込むなりいきなり宴会が始まるが、自分は船酔いでダウン。
そして夕方、ついに利尻島の土を踏むが、異常な強風が吹き荒れておりビビる。
地元の人の話だと、本当は三月ぐらいに吹く風で、GWのこの時期にこんな風が吹くことは珍しいとのことであった。
港からは直接白い雪を被った急峻な利尻山の姿が見え感動。これからあの山の斜面を滑る!
ということで、本日は民宿「丸善」に宿泊。
本日は我々と、もう一人のスキーヤーの方が泊まられているようだったが、夕食時に話を聞いてびっくり。
なんとその方は、ぶなの会に所属するスキーアルピニストの三浦大介さんであった。
なにせ自分は今年度から同会に入会することになっており、いつかは三浦さんとスキー山行できたら良いなあと思っていた矢先の出来事なので、運命的なものを感じざるを得ない。
三浦さんは本日すでに利尻山に登られたらしく、今日から5/4まで利尻島に滞在して、色々な斜面を滑られるとの事であった。
夕食後は三浦さんも招いて再び宴会。
栗焼酎ダバダ火振を飲みながら、雪酔の人達の話を聞くが、高知独特のテンションでとても面白い。
世代の差はあるものの、故郷の繋がりを感じると言うのは、とても居心地が良いものである。
5/1(金)
5時頃に起床してお弁当を受け取り、6時頃に北麓キャンプ場を出発。
本日は天気が優れない為、長官山付近までの調査で終わるという予定で出発。
最初は甘露泉まで板を担いで登り、そこからはシール歩行で登り始めるが、やや左に進みすぎてポン山の方に回ってしまう。
あきらかに利尻山の方向と違うので、ヤブを漕いで軌道修正し再出発。
下部の樹林帯を抜けると視界の開けた台地に到着し、そこから左の沢上地形を登っていくことになる。
と、ここで斜面を見上げてみると、三浦さんが調度斜面を登りきっているところであった。
我々も一本を取り、同ルートをトレースすることにする。
傾斜のキツい沢上地形を登っていくと沢は左右に分岐するが、今回は比較的登り易そうな左斜面から登行。
シール歩行でジグザクに切って行けば登れるが、上部はヤブが露出しておりとても面倒くさい。
北稜の尾根に取り付いてみると上部がガスで覆われていたので、本日はここで行動を打ち切って滑降開始。
ムービーなどを取ってもらいながら、利尻の斜面を快適に滑る。雪質も適度に緩んでおり、大変楽しい。
沢上地形下部で休憩すると、エゾシマリスが辺りを走り回っている。
本日、これだけの滑降では物足りないということで、再び西側の斜面に登り返し、そこから北麓キャンプ場へ向かって滑降。
いろいろルートを工夫して滑っていると、甘露泉ではなく、もっとキャンプ場に近いところへ西側からアプローチすることができた。
昼前にサクッと行動が終了してしまったので、まずは温泉に入り、車を借りたりして利尻島調査。
温泉ではボーダーのTさんに、大山チームのmixiコミュニテイへ登録を勧められたので、関東在住予定なのにコミュ登録申請をさせてもらう。
夜は再び三浦さんも交え宴会を行うが、その際に本日山頂直下から滑ったという東ノ大空沢(オチウシナイ川)の写真を見せてもらった。
有名なローソク岩に、ぽっかりと穴の空いた窓岩や悪魔の指など、利尻は面白い奇岩が多い。
話によるとなまら癖ーXの佐々木大輔さんが西ノ大空沢を滑ったそうなので、三浦さんは東ノ大空沢に挑戦したとのことであった。
滅茶苦茶楽しそうだけど、雪崩も発生していたそうなので、エクストリーム系は道具と技術をもっと向上させてからかな・・・。
ちなみに終始TLTをプッシュされたので、来シーズンからはディアミールを卒業しようと思う。
5/2(土)
本日は雪酔のメンバーも利尻登頂を狙うということで、気合を入れて5時出発。
ルーファイも昨日の反省を生かし、最短距離で下部のヤブ地帯を突破する。
沢上地形の分岐では、今回より長官山に近い右側を登ることにするが、思ったより上部の傾斜がキツく、最後は板を担いでのアイゼン歩行。
天気は快晴で、礼文島やサハリンまで見渡せるが、徐々に南西の風が強まってくる。
この数日、サハリン沖に強い低気圧が停滞しており、それが終始風を呼び込んでいるため、北稜に乗ってからは異常な風との戦いとなる。
この時点でボーダーのTさんは強風の為、ここから滑降して帰るとのことだったので、ここまで同行していた三浦さんと長官山北東斜面を滑られて行った。
我々は板を引きずり、荒れ狂う強風の中を進む。
長官山からは、利尻山の精悍な姿が視界に飛び込んでくる。
利尻は一度夏にも登ったことがあるが、その際はガスって視界ゼロだったので、この景色を見るのは始めて。
改めて三浦さんが昨日滑った斜面を見てみると、かなりエキサイティングな感じ。
避難小屋でしばし休憩し、強風の中、意を決して利尻山アタックを試みる。
ここからしばらくは比較的傾斜も緩いので、シール歩行で九合目まで歩き、そこからアイゼン・ピッケル装備にチェンジ。
体ごと持っていかれそうな強風の中、細い北稜を登るのは中々スリリングである。
ニセピークに少し騙されながらも、12時前に利尻山頂に到着!
傘雲の中にいるので少々ガスっているが、たまに視界が開けたときに見えるローソク岩や、北東稜の奇岩群など、利尻ならではの奇岩群が大変面白い。
皆の登頂を待って、結局一時間ぐらい山頂の祠の前で写真を撮っていた。
雪酔のメンバーも5人がなんとか登頂。悪条件の中、無事登頂できて何よりである。
避難小屋に戻ってからは、小屋の西側の大斜面を滑ろうという話も出たが、時間が押しているので、結局長官山の方に戻る。
長官山手前からは、本日登った沢の西側の急斜面が下部で登ってきた道と合流するということで、本日は滑降することに。
早速準備をしていたら、なんといきなり向こう側の斜面でスキーヤーが飛び出し、標高差200mぐらいの斜面を二回ぐらいの大回りターンで滑り降りていった。
どうやら北海道のガイドの人らしいが、ああいう気合の入った滑降は魂がシビれる。
自分達も長官山北面の滑降を存分に楽しみ、16時頃に無事北麓キャンプ場に帰還。
明日、雪酔の人達は北海道本土に渡るとのことであったが、そこで後二日滞在する三浦さんと一緒に滑ったらどうかと言うまさかの展開になり、有難く同行させてもらうことにする。
本日も相変わらず酒豪自慢の多い高知のノリで、登頂成功を祝っての宴会が続く。
5/3(日)
本日は天気は文句なしではあるが、昨日以上に風が強く、出発を遅らすことにする。
帰還する雪酔の人たちと別れを告げ、9時半ごろに三浦さんが気になっているという利尻東面のアフトロマナイ川調査へ出発。
10時半頃に、やや荒いダート林道の終点からシール歩行で出発。
この辺は夏道の登山道などがあるわけではないので、鬼脇山の辺りまで雪の付いた斜面を適当に登っていく。
風が強いこともあり、上部の雪が切れそうなところで早めの調査終了。
そして、サロベツ原野の浮かぶ海を見ながら、お楽しみの滑降。
三浦さんの滑りを見るのは今回が初めてであったが、とても綺麗なターンで、軽やかに板が回っていく。
さすが百戦錬磨のスキーアルピニスト。勉強になります。
この日の午後は利尻山調査の為、時計回りに島を一周。
開けた場所に来るたびに、双眼鏡を取り出して、面白い滑降ラインがあるかどうかを念入りに調べていく。
それにしてもこの山、利尻富士と呼ばれているが、山頂付近は南北に細く伸びており、東西から見ると台形状で北岳の様な山容。
そして、オタトマリ沼や沓形〜鴛泊間で見ると、まるで槍ヶ岳の様な見事な峻峰となり、時に奇岩の続く南稜や東北稜をあわせて見ると、北方稜線を従える劔岳の様にも見える。
見る方角によって、様々な表情を見せる利尻山。世界的に見ても、たかだか周囲63kmの島にこんな秀峰が聳える山はないはずである。
利尻あなどるべからず。
5/4(月)
この日は最終日なので、再び山頂を狙うとうことで早起きするが、昨日に引き続き異常な強風の為、出発を少し遅らす。
話によると一週間この様な風が続くのは本当に珍しいことらしく、すごい時に来てしまったなあという感想。
自分の中で、すでに利尻は「風の島」となってしまったが、本来的にはこれは事実に反するらしい。
7:15昼過ぎから風が弱まることを期待して、北麓キャンプ場からゆっくりと出発。
多くの登山者がぞろぞろと一昨日の登行ラインを登っているのが見えるが、我々は風を避けるために、一昨日に滑った長官山北斜面を板を担いで登ることにする。
快適な登行が続いているかと思いきや、上部の急斜面で再び風が強くなり、無数の氷の粒が散弾銃の様に全身に飛来してくるのが滅茶苦茶痛い。
気合を入れて小屋まで行ってみるものの、天気は回復どころが悪化の兆しを見せているので、しばし休んだ後、もう降りようかという話になる。
滑降は滑降で強風の煽りを受けるのだが、ここで急遽三浦さんが豊漁沢川の方に行ってみようと提案され、有無を言わさずいきなり飛び込んでいった・・・。
無論それに従う他なく付いていくが、下部のノドの通過が怪しまれる。
一部大きなシュルンドをジャンプで飛び越し、両岸から岩場の迫ったノドに差し掛かるが、なんとか雪が繋がっており滑降可能。
ただ、落石が多く、あまりスキー板にはよろしくない。
豊漁沢川を下っていったところで、南側から来る沢と合流するポイントがあったので、三浦さんが三日前に滑ったというオチウシナイ川との合流を狙って、再びその沢を登り返す。
相変わらず風は強いが、この斜面は調度利尻本山が風避けになってくれており、快適そのもの。
上部の良いところで左にトラバースすると、オチウシナイ川北側の尾根にピンポイントで登り上げ、ここから滑降可能。まさに完璧なルーファイ。
ここからは北東稜が間近に見え、ミニローソク岩や悪魔の手など、おどろおどろしい奇岩群が目を楽しめる。
そしてここからは利尻最後の滑降。
海を見ながら歓声を上げて、最高の滑降を楽しむ。
「利尻サイコー!」
最後はヤブを抜けてオチウシナイ川の林道に到着。利尻最終日を満喫できた喜びで、三浦さんとガッチリと握手をしてこの山行を締めくくった。
ここから見る利尻山は、昨年骨折した時に馬場島から見た池ノ谷っぽい感じを受ける。
話によると下部で倒木があるとのことだったので、タクシーが入れるところまで歩いていく。
それにしても、本日はオンサイト滑降の気分を満喫できた良い一日であった。
プロの人に付いていく事で、少しずつ技術やマインドを学べるというのは、とても貴重な経験である。
モチベーションも一気に高まったので、もっと面白いことに挑戦できるようにこれからも精進していきたい。
本日の夕食は料理が得意という三浦さんと自炊。
タコやサーモンといった利尻の海産物に舌鼓を打ちながら、利尻の最終日を楽しむ。
それにしても三浦さんは渋いというか、カッコ良い。
これが、エクストリームをやるスキーアルピニストならではのオーラか。
5/5(火)
帰還日。ペシ岬の麓にあるオシャレなカフェで朝食を取る。
ここは無料の写真展もやっており、オーナーは利尻・礼文・サハリンを専門とする有名な写真家のようだ。
利尻山からの滑降ラインを検分しながら、もう一回は来たいなあという話に花を咲かせる。
宿に戻って今までお世話になった丸善のお姉さんに挨拶を告げ、いよいよ利尻を出発。
たくさんの人にお世話になり、良い思い出のできた最高のGWであった。
そして、やはり意識の高い人と付き合うことが、自己の進化にも繋がるんだなあと実感。
是非、来年はスノーキャンプにも参加させてもらいたいです。
まずはGW最後のオプションである後方羊蹄山を目指して、一人バスでニセコの地を目指す。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-38467.html
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