記録ID: 3892379
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
日高山脈
厳冬期日高横断単独行 西川尾根~1823峰~ピラトコミ
2021年12月30日(木) ~
2022年01月05日(水)
北海道
- GPS
- 152:00
- 距離
- 85.3km
- 登り
- 3,330m
- 下り
- 3,234m
コースタイム
最近どうにも山のモチベーションが上がらない。山は逃げない。そう言って人が山から離れていくのだということがよくわかる。でもせっかくなら大学生活ももう長くないので自分の気持ちを確かめるためにも入山だけはしようと何とかモチベーションを維持した。
一人で山旅的な山ができれば正直言って場所はどこでも良かった。ただ,最近やられてしまった39南西稜やカムエク南西稜に行く気は起きなかったので,この冬は2年前くらいに存在を教えてもらって知った西川尾根を行くことにした。部報をざっと見たところ記録は中谷さん戸田さんパーティーのものくらいしかなかった。記録では苦労しているし,ラインは美しいのに全く歩かれていないのは両サイドが人気なせいだろう。こんなルートだからこそやり方にこだわった山行にしたい。12/25~27のカムイ〜1940で冬の単独行でもある程度携帯電話なしで戦える自信を得た。(今回の山で自分として結構納得のいく答えが出たのでまた書きたい。)それから下山後の不確定要素を持たせるためにもお迎えは頼まなかった。(まあ頼めないんだけど。)そして中二日での入山。
Day1: 晴 静内ダムゲート(7:40)高見少年研修広場(14:30)=C1
研究室の同期に送ってもらい入山。40km以上の林道に戦慄を覚える。まだ車が見えるうちから靴が痛くなった。が一旦帰りたいとはもはや言い出せない。何度も本気でやり直そうと思った。すでに電話がないのでどうしようもないのだが。インナーシューズを脱ぐことで幾らか快適になったが今度は靴擦れ。それでも何とか20kmほどは歩いてC1。何だか辛くて悲しい。
Day2: 小雪 C1(7:40)西川尾根末端(14:00)=C2
今日も林道だけなので遅出。精神が崩壊するのであまり頻繁に地図を見てはいけない。km標識だけを楽しみに歩き続ける。ナナシと別れたあたりで除雪が終わり最後5kmほどは脛ラッセル。ラジオは入らなかったので紅白は落陽の録画で見ることに。
Day3:冬型 晴→雪 C2(6:40)西川岳(12:00)Co1360ポコ(14:00)=C3
何の感慨もない正月。小屋の横から始まるブル道や鹿道を使ってコンタ上げ。いつまでたっても朝は弱気。ただもう引き返す勇気もない。ビバ単独行。少し上がると右に39,左にカムエク,ピラミッド,正面に23と日高のエース級がそろい踏み。西川岳はまやかしポコが多く疲れた。ピークから先は樹林内ではあるが雪庇,岩っぽいポコの登り降りが連続し,距離が伸びなくなってくる。今日からFMが入りニッコリ。
Day4: 冬型緩み→L接近 高曇り C3(6:40)Co1620岩峰の先=Ω4(12:20)
やや細い尾根に雪庇,岩の連続+脛ラッセル。代わり映えなくほぼ修行である。10:30頃にコイカク方面へ動く二つの黒い点が…。聞こえるわけはないがコールを飛ばす。1427あたりから嫌らしさup。1620の岩峰は近づいてみると確かに登れない。コイボク側をEPにして通過。ちょっと怖いが面倒なのでザイルは出さない。天気悪くなってきたのでΩ作成。ゴージャスにしようとしたら崩壊。作り直しで無駄に疲れた。明日は停滞と決め込む。
Day5: L通過→冬型バチバチ ガス? 停滞Ω4=5
NGU。かなり吹き溜まっていて真っ暗なので除雪するとやっぱりガスガス。昼ごろに今回も入山前に送っておいたメールがAIR-Gで読まれてニッコリ。ぬくぬく寝正月。
Day6: 冬型 風,晴 Ω5(6:30)1823(9:00?)ピラトコミ分岐(10:10)ピラトコミ手前Co1500=C6(14:00)
Ω出ると一部青空が見えるが気になる風。肩まで上がると振られる風となったのでシビアな時間待ち。視界は十分,風も十勝側では弱いパターンという確信を持ちフルフェイスでのっこしをかける。ピーク周辺は白いが広いので耐風姿勢でもスノーシューで行けた。写真も撮らずに秒で降りる。手足すべての指がカチンコチンになった。コルでほっと一息。ちょいやりすぎたなと反省。23ピークからしみじみとトレースを眺める余裕がなかったのも少し寂しい。分岐の上りはEP。十勝側にはいると風,天気ともにgood。細いところもあるが西川尾根に比べたらへっちゃら。街明かりの見えるテンバで最終泊。乗っ越し祝いのもつ肉300gを一気喰い。
Day7: 冬型 スカッ晴 C6(7:00)ピラトコミ(7:30)ゲート(11:30)中札内!(1640)
今日のっこすんだったなぁ…。さくっとピラトコミを踏む。ずっといられる最高のピーク。僕は「取るに足らない山」だとは思いません。下降尾根は所々急で雪も少なく歩きにくい。道路に出てひとまず終了。ゲートまで3人分の足跡が続いていた。ゲート直前のカーブを曲がった瞬間,車が行ってしまうのが見える。鶴見中継場かよ,と渾身のツッコミを入れる余裕がこの時はまだあった。ところがその後もあるけどあるけど車が通らない。数少ない車にもスルーされ気が付くと上札内。何だ?顔か?顔が悪いのか?もはやゾーンに入り,脇目も振らず中札内まで歩き通した。最後は日も暮れて気にならない風まで吹いてくる始末。心身ともボロボロに。
バス停の向かいのスーパーに入り爆喰いしていると地元のおばあちゃんが話しかけてくれた。あったかい。僕はこんな瞬間のために旅要素の強い山をやっている。
バスで帯広まで行き,はげ天へ。最終の汽車で帰札。新しい年になっても,いつもの場所にいつもの顔があった。
一人で山旅的な山ができれば正直言って場所はどこでも良かった。ただ,最近やられてしまった39南西稜やカムエク南西稜に行く気は起きなかったので,この冬は2年前くらいに存在を教えてもらって知った西川尾根を行くことにした。部報をざっと見たところ記録は中谷さん戸田さんパーティーのものくらいしかなかった。記録では苦労しているし,ラインは美しいのに全く歩かれていないのは両サイドが人気なせいだろう。こんなルートだからこそやり方にこだわった山行にしたい。12/25~27のカムイ〜1940で冬の単独行でもある程度携帯電話なしで戦える自信を得た。(今回の山で自分として結構納得のいく答えが出たのでまた書きたい。)それから下山後の不確定要素を持たせるためにもお迎えは頼まなかった。(まあ頼めないんだけど。)そして中二日での入山。
Day1: 晴 静内ダムゲート(7:40)高見少年研修広場(14:30)=C1
研究室の同期に送ってもらい入山。40km以上の林道に戦慄を覚える。まだ車が見えるうちから靴が痛くなった。が一旦帰りたいとはもはや言い出せない。何度も本気でやり直そうと思った。すでに電話がないのでどうしようもないのだが。インナーシューズを脱ぐことで幾らか快適になったが今度は靴擦れ。それでも何とか20kmほどは歩いてC1。何だか辛くて悲しい。
Day2: 小雪 C1(7:40)西川尾根末端(14:00)=C2
今日も林道だけなので遅出。精神が崩壊するのであまり頻繁に地図を見てはいけない。km標識だけを楽しみに歩き続ける。ナナシと別れたあたりで除雪が終わり最後5kmほどは脛ラッセル。ラジオは入らなかったので紅白は落陽の録画で見ることに。
Day3:冬型 晴→雪 C2(6:40)西川岳(12:00)Co1360ポコ(14:00)=C3
何の感慨もない正月。小屋の横から始まるブル道や鹿道を使ってコンタ上げ。いつまでたっても朝は弱気。ただもう引き返す勇気もない。ビバ単独行。少し上がると右に39,左にカムエク,ピラミッド,正面に23と日高のエース級がそろい踏み。西川岳はまやかしポコが多く疲れた。ピークから先は樹林内ではあるが雪庇,岩っぽいポコの登り降りが連続し,距離が伸びなくなってくる。今日からFMが入りニッコリ。
Day4: 冬型緩み→L接近 高曇り C3(6:40)Co1620岩峰の先=Ω4(12:20)
やや細い尾根に雪庇,岩の連続+脛ラッセル。代わり映えなくほぼ修行である。10:30頃にコイカク方面へ動く二つの黒い点が…。聞こえるわけはないがコールを飛ばす。1427あたりから嫌らしさup。1620の岩峰は近づいてみると確かに登れない。コイボク側をEPにして通過。ちょっと怖いが面倒なのでザイルは出さない。天気悪くなってきたのでΩ作成。ゴージャスにしようとしたら崩壊。作り直しで無駄に疲れた。明日は停滞と決め込む。
Day5: L通過→冬型バチバチ ガス? 停滞Ω4=5
NGU。かなり吹き溜まっていて真っ暗なので除雪するとやっぱりガスガス。昼ごろに今回も入山前に送っておいたメールがAIR-Gで読まれてニッコリ。ぬくぬく寝正月。
Day6: 冬型 風,晴 Ω5(6:30)1823(9:00?)ピラトコミ分岐(10:10)ピラトコミ手前Co1500=C6(14:00)
Ω出ると一部青空が見えるが気になる風。肩まで上がると振られる風となったのでシビアな時間待ち。視界は十分,風も十勝側では弱いパターンという確信を持ちフルフェイスでのっこしをかける。ピーク周辺は白いが広いので耐風姿勢でもスノーシューで行けた。写真も撮らずに秒で降りる。手足すべての指がカチンコチンになった。コルでほっと一息。ちょいやりすぎたなと反省。23ピークからしみじみとトレースを眺める余裕がなかったのも少し寂しい。分岐の上りはEP。十勝側にはいると風,天気ともにgood。細いところもあるが西川尾根に比べたらへっちゃら。街明かりの見えるテンバで最終泊。乗っ越し祝いのもつ肉300gを一気喰い。
Day7: 冬型 スカッ晴 C6(7:00)ピラトコミ(7:30)ゲート(11:30)中札内!(1640)
今日のっこすんだったなぁ…。さくっとピラトコミを踏む。ずっといられる最高のピーク。僕は「取るに足らない山」だとは思いません。下降尾根は所々急で雪も少なく歩きにくい。道路に出てひとまず終了。ゲートまで3人分の足跡が続いていた。ゲート直前のカーブを曲がった瞬間,車が行ってしまうのが見える。鶴見中継場かよ,と渾身のツッコミを入れる余裕がこの時はまだあった。ところがその後もあるけどあるけど車が通らない。数少ない車にもスルーされ気が付くと上札内。何だ?顔か?顔が悪いのか?もはやゾーンに入り,脇目も振らず中札内まで歩き通した。最後は日も暮れて気にならない風まで吹いてくる始末。心身ともボロボロに。
バス停の向かいのスーパーに入り爆喰いしていると地元のおばあちゃんが話しかけてくれた。あったかい。僕はこんな瞬間のために旅要素の強い山をやっている。
バスで帯広まで行き,はげ天へ。最終の汽車で帰札。新しい年になっても,いつもの場所にいつもの顔があった。
天候 | 詳細後述 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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その他周辺情報 | はげ天(2年ぶり!) |
写真
装備
共同装備 |
ステラリッジ2
ザイル(使わず)
Wisper lite
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感想
もはや徒歩旅行。自分のマゾ気質に毎度驚かされてばかりです。山行中8割くらいの時間,俺何やってんだろうって思って歩いていた。
人との繋がりを絶っているときにこそ,人との繋がりを強く強く感じます。
記録の少ない(またはない)ところの詳細な記録を残すことは,ある意味罪かもしれないと思ったり。
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お褒めの言葉ありがとうございます。
日高は性癖をぶつける巨大なキャンバスですね。
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