【北ア】新穂高から行く厳冬期西穂高岳(ロープウェイ利用)
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- GPS
- 04:27
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 1,008m
- 下り
- 1,017m
コースタイム
- 山行
- 3:56
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 5:06
天候 | 天気: 快晴 気温: 新穂高で−11℃(8:00頃)、西穂高口駅で−9℃(9:30)西穂高岳頂上で−16℃(13:00頃) 風: 稜線から西穂高岳頂上までは西の風3〜7m/s |
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過去天気図(気象庁) | 2022年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
指導センター目の前の県営公共駐車場(注:臨時※記号はP3)に駐車。ここの駐車場は普段は基本的に閉鎖されているが、繁忙期には有料で可能となっている。しかしなぜかこの1月の3連休にはいつも無料で開放されており、今回もやはり開放してあった。8時の時点でほぼ満車だった。深山荘前の登山者用無料駐車場(市営新穂高第三駐車場※記号P5)はまだまだ余裕があった。 新穂高ロープウェイは朝一番の運転開始時刻は9:00、西穂高口の最終便は16:15となっている。時期により変動あり。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
当日の積雪状況は、新穂高ロープウェイ西穂高口駅(終着駅)で160cm位、西穂山荘周辺で200cm位、稜線上では計測不能ではあるが、ハイマツ等が完全に隠れる位の積雪量で、ここ数年の間ではまずまずの積雪量だった。雪質はしっかりと締まっており尚且年末年始からの登山客が付けたトレースがしっかりとしていて、雪上ハイクをするには最高に良いコンディションだった。また、独標〜西穂主峰間の岩峰連続地帯についても、コンディションは抜群に良かった。ただし、雪の状況が新雪フカフカだったり、アイスバーンだったり、強風やガスが覆うような状況だと、難易度が上がるどころか遭難案件にもなりかねない。それくらい状況がガラリと変わるのは紙一重であるということは常に頭に置いておく必要がある。また、独標までは問題なかったが、その先西穂高岳主峰までの間はトレースが複数あり、どこを進むか熟考する登山者の心情が見て取れた。トレースに頼るのではなく、その時その場所で採るべきルートを自身で判断することが求められる。 以下、各セクションごとの状況。何度も登っている厳冬期の西穂高岳なので、これをご覧になられる方の安全登山の一助になればと思い、詳しく書いてみます。 @西穂高口駅から西穂山荘まで 積雪量は多いが、抜群の整備状況に加えてトレースもバッチリで、何の問題も感じなかった。これなら雪山初挑戦でも寒さ対策をしっかり整えることを前提にオススメできる。ただし降雪直後だったりすると一転して困難な道程となるのでその点は十分に注意されたい。 @西穂山荘から独標手前(12峰)まで 穏やかな傾斜の広い稜線上を行く。ハイマツなどのやぶは完全に雪に覆われていて雪質は硬く締まり、だからといってアイスバーンでもない。これ以上良いコンディションはなかなか無い。このようなコンディションは1〜2月の降雪後1週間位天気が安定したあとに現れることが多い。安全な雪山ハイクを楽しむにはこういったコンディションを狙うと良いという典型的なパターンであった。 @12峰から西穂独標(11峰)まで ここから岩峰の登下降が連続するため、ピッケルなどの装備はここで整えるのが良い。今回のように雪がたっぷりある場合、12峰(独標手前の小さな岩峰)は直接登って通過するのが基本だと思うが、今回は西側の夏道にトレースが付いていた。自分は直接登って通過したが、ここら辺は状況をよく踏まえて選ぶ必要がある。その先独標の岩壁は、雪に覆われるとどのようにアプローチしていいか迷うこともあると思うが、途中の鎖場を必ず通過するように進路を見極める必要がある。トレースは必ず正しいとは限らないので、進退窮まらないよう注意が必要。また、独標は登るよりも下る方が高度感を感じやすく恐ろしい。 @西穂独標から10峰、9峰、ピラミッドピークまで 独標からの下り、10峰と9峰の下りと、計3回続く垂直に近い岩壁の下りは特に恐ろしく注意が必要。ピッケルを雪や岩に効かせアイゼンを履いた足の置き場をしっかり選ぶことに集中する。また、それぞれの峰の間は道幅が細く雪庇もあるので、できる限り西側を歩いて雪庇の踏み抜き事故の無いように注意深く進む必要がある。また、どのセクションでもそうなのだが、この時期は、夏道=安全なルートではないので、ミクロ、マクロと視線を交互に頻繁に配らせどこを進むかを慎重に判断する必要がある。その先ピラミッドピークへは比較的穏やかなトラバースルートだが、途中の雪壁は雪質がズルズルだと上がるのに難儀するが、この日はよく締まっていてすんなり通過できた。 @ピラミッドから7峰、6峰、チャンピオンピークまで この間は、これまでと比較すると少し穏やかになる。それに伴ってなのかトレースが複数見られた。いずれにしても雪庇の踏み抜きや進退窮まることの無いようなルートを選択して安全を確保しながら進む。ちなみにチャンピオンピークの手前の岩峰(5峰)はトラバースして通過するのだが、登ってしまわないように注意が必要。(自分は過去に登って進退窮まり半泣きになった経験あり^^;;;) @チャンピオンピークから3峰まで この時期チャンピオンピークから先へ進もうとすると、いったいどこから進めば良いかわからないと思う。どこを見渡しても険しい下り道だからなのだが、ここでは西側の急斜面を下るのが基本だが、急斜面の岩と雪のミックスなので、ピッケルとアイゼンを駆使して慎重に慎重に降りる必要がある。ここを降りると3峰方面へのトレースは夏道のある方向(3峰をトラバースする形)に付けられていたが、これだけ雪があれば3峰を直接登ったほうが安全で楽に通過できる。 @3峰から2峰、西穂高岳主峰(1峰)まで 3峰を通過後、2峰をトラバースした後の急斜面はアイゼンが刺さりづらいほど雪が硬く締まっていて登り下り共に恐ろしい。ここを登り切るとトレースは夏道の方に付けられていたが、自分は直進しミニカール状の雪壁ショートカットルートを選択した。理由は万が一滑落という事態になっても大事には至らないから。ここを登り切ると山頂直下のルンゼを残すのみとなるが、このルンゼがまたカンカンに締まった硬雪でアイゼンとピッケルで一歩一手確実に雪面を捉えながら進む必要があり、今回の状況ではここがいちばん緊張する場面だった。 |
その他周辺情報 | 登山者御用達のひがくの湯は冬季閉鎖中。今回はひらゆの森 http://www.hirayunomori.co.jp/access.html で温まってから帰路についた。 |
写真
感想
今回、約1ヶ月ぶりのハイクということで、当初は南アルプスのとある山に登るつもりでいたのだが、あろうことかワクワクしすぎて寝付けないという事態になり、このまま一睡もせずに厳冬期のロングハイクをすれば遭難案件となる恐れがあったので泣く泣く断念。。。最高の天気が約束されたこの日、このままハイク自体を中止にするのはあまりにも勿体ない。そこで思いついたのが西穂高岳。ここなら睡眠を確保した上で行けるし、この天気なら最高の雪山ハイクができる。そういえば去年は行ってないし、これは行くしかない!何度も行っている山だからワクワクもそれほどでもない(笑)ので、そう思ったらすんなり寝られた(笑) そして当日は予想通りの快晴・ベリーグッドコンディション。何度も登っている厳冬期の西穂高岳だったが、その中でいちばんのグッドコンディションで、ただひたすら感動的であった。やっぱりいい山は何度登ってもいい! そう思える今回のハイクであった。
以下、備忘録
@着用衣服・装備(スタート時)
メリノウールのベースとタイツ、フリースジャケット(ポーラテックパワーグリッド)、フリースジャケット(ポーラテックサーマルプロ)、靴下(厚手)、ビーニー、ハードシェルパンツゲイター内蔵、薄手グローブ、厳冬期グローブ、前後コバ付き冬季ブーツ、チェーンスパイク
@持参装備・衣服(状況により使用する物など)
12本爪アイゼン(使用)、ウィペット2本(使用)、ピッケル58cm長・ベントカーブ品(使用)、ハードシェルジャケット(使用)、バラクラバ(使用)、ゴーグル(使用)、サングラス、予備化繊ベースレイヤー、予備靴下、化繊中綿ジャケット、化繊中綿パンツ、予備の厳冬期グローブ、予備の薄手グローブ、ヘッドランプ2個、調理器具一式、予備のGPS機、気象観測計(使用)
@飲・食料
ポカリ1.5リットル(うち0.5リットル消費)、コンソメスープ粉末&熱湯(消費せず)、ナイススティック(消費せず)、ジャンボフランクパン(消費せず)、塩分チャージ飴5個(消費せず)、ブドウ糖アメ5個(消費せず)、生なごやん抹茶味2個(消費)、巨大カルパス1個(消費せず)
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