【What's The Story?】馬返し─岩手山─八幡平─焼山─玉川温泉
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- GPS
- 80:00
- 距離
- 56.8km
- 登り
- 3,727m
- 下り
- 3,562m
コースタイム
- 山行
- 4:56
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 6:01
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 2:05
- 合計
- 9:05
- 山行
- 6:42
- 休憩
- 2:45
- 合計
- 9:27
- 山行
- 3:29
- 休憩
- 1:28
- 合計
- 4:57
913 一王子 着
(以下、クルマに便乗)
天候 | (1日目)雨のち曇り (2日目)曇り時々雨 (3日目)晴れ後曇り一時雨 (4日目)晴れ |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
<ゆき> 富山2219(日本海1号)534秋田552(たざわ2号)704田沢湖709━758盛岡804=830分レ <かえり> 玉川温泉入口1130=1252田沢湖1316(たざわ9号)1435秋田1440━1624遊佐1645(いなほ16号)1900新潟1908(あさひ4号)1926長岡2000(かがやき10号)2153富山 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
着替え
靴
ザック
ザックカバー
サブザック
行動食
非常食
調理用食材
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
日焼け止め
ロールペーパー
時計
タオル
ツェルト
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
ラジオ
天気図用紙
|
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感想
盛岡駅で30人くらいの登山客を乗せた八幡平ゆきのバスが、分レバス停で私だけを降ろしたのは8時半だった。残りの登山客はみんなバスで八幡平頂上まで行ってしまうようだ。地図を見て、田んぼのド真ン中にバス停だけが立っている寂しい場所を勝手に想像していたのだが、バス停の真ン前にはローソンなんかが建っており、予想に反して案外開けた所。そんな分レバス停を後にして、岩手山の登山口となる馬返しまで2時間半の車道歩きの筈だったが、分レバス停から1時間ほど歩いて、一王子の集落を過ぎたころ、通りがかりの地元・柳沢の登山愛好家の方から「車に乗せてやろう」と誠に有り難い申し出。お言葉に甘えて、馬返しまで乗せてもらう。これで1時間半の歩きを短縮できたわけだ。馬返しでの天気は雨。しばらく雨が止むのを待つ。ラジオの天気予報を聴いてこの先の天気が回復傾向にあるのを確認し、実際雨も止んできたので、歩き始めることにする。2合目辺りまで登ると、天気予報の言うとおりどんどん天気が回復してきて、姫神山、早池峰山がよく見えた。ただし、日が射していないので寒かった、が、半袖のまま登り続けた。4合目で休憩の後、1時間で7合目まで登る。「今日の宿泊地・八合目避難小屋はまだか!」と思いながら歩いていると、7合目から10分もしないうちにアッケなく八合目避難小屋に着いた。八合目避難小屋には管理人がおり、1000円管理代を徴収された。小屋に荷物を置いて、前日降ったとされる初雪がところどころに残っている岩手山の頂上を往復しに行く。頂上からは、姫神山、盛岡市街、この後歩く裏岩手連峰から八幡平にかけての稜線がよく見えた。登山口の馬返しでの天気からは考えられない天候の回復ぶりだった。どこかのオヤジが「こりゃ、明日も快晴だぞ!」と叫んでいたのもよく分かる。私もそう思っていたのだから…。
だが、実際翌8日の天気は一日ガスがかかり、鬼ヶ城から黒倉山、犬倉山、三ッ石山、小畚をへて大深岳への裏岩手重曹路を展望も何もない真っ白いガスのなか、ひたすら機械的に歩くだけとなった。この日の宿泊地は無人小屋の大深山荘。この小屋に着いた15時ころにはまだ1人しか小屋に着いていなかったが、次から次から宿泊者がやって来て、20人しかキャパのない小屋はすぐさま満員状態。たまらず小屋の横の平坦地にテントを張ることにする。テントを張り終わった後も、小屋には登山者が大勢押しかけ、小屋の床下の物置にまで寝泊まりするひとが出るくらいの混み様で、つくづくテントを持って来て良かったなあ…。
翌9日の朝は快晴。嶮岨森−石沼−諸桧岳−畚岳にかけては、素晴らしい天気で、眺めも良かった。岩手山、姫神山、森吉山、秋田駒、そして遠くは鳥海山も見えた。雲行きが怪しくなったのは観光客の世界の八幡平の頂上付近に入ってから。頂上レストハウスから源太森の頂上へ歩く途中から雲が増え始め、源太森から折り返し八幡沼の畔りにさしかかったころからガスが視界を奪い、八幡平頂上に着いたころにはいよいよ雨が本降りになった。たまらず八幡沼の陵雲荘避難小屋へ逃げ込み、雨が止むのを待った。1時間くらい待つと雨が止んだので、再び歩き出す。八幡平頂上から大深温泉への道へ入る。涸沢状の歩きにくい道で、倒木の処理以外は殆ど整備の手が入っていないようだ。八幡平頂上付近とうって変わって人影まばらな道を1時間ほど下ると、車道に出て、大深温泉に着いた。さらに大深温泉と後生掛温泉を結ぶ遊歩道に入る。この遊歩道は先程までの歩きにくい道と違い、とても歩きやすく、また紅葉ももの凄く綺麗。どうやらここらへんが紅葉のビークのようだ。後生掛温泉まであとわずかというところで、再び雨が降りだし、しゃくなげ茶屋なる土産物屋に逃げ込んだ。今度の雨は先程の雨とは違い生半可な雨ではなく、時折あられを伴う土砂降り。悲鳴をあげながら観光客が大勢逃げ込んできた。しゃくなげ茶屋で30分くらい雨宿りするも、一向に雨は止む気配なし。この日は焼山避難小屋に宿泊する計画で、事実そのつもりで1泊分の水を背負ってきたのだが、この天気では焼山避難小屋まで歩くのは無理と判断。後生掛温泉の少し先の大沼にキャンプ場があるということなので、そこに泊まることに予定変更。大沼キャンプ場はオフ・シーズンということもあり、管理人不在。なるべく目立たないところにテントを張る。あられ混じりの雨が降った後なので、すっかり空気は冷え切っている。せっかく後生掛温泉に来たのだから、温泉でも入ろうかなと考えたりもしたが、この寒さで、今夜幕営ということを考えると、確実に湯冷めしてカゼをひくので、入浴を断念。「明日の下山地・玉川温泉で入りゃいいや」と思い、後生掛温泉名物『温泉黒たまごまんじゅう』を食べながら、コーヒー飲んだあと、寝た。
翌10日、霧が出ている大沼の畔りを朝6時出発。後生掛温泉の手前から焼山の登山道に入る。少し歩くと後生掛温泉の露天風呂が見渡せる箇所に着く。露天風呂には男の人がひとり入っていて、そこに向かって手を振ったら、向こうもこっちに気づいてくれて、手を振ってくれた。中ノ湯温泉の露天風呂入浴者と上高地への観光バスの乗客との間で長年とりかわされてきたコミュニケイションが再現されたわけである。しばらく濡れ落葉を踏みしめながら登る。八甲田山や岩木山が見える国見台なる地点を過ぎ、雨露に濡れながら笹ヤブを漕ぐと、視界が開け、焼山の頂上部の一端に到達。ここから避難小屋や頂上はすぐかと思いきや、登り下りの多くなるような道のつけかたがされており、意外に時間がかかる。ようやくたどり着いた焼山避難小屋は改築されたばかりで、真新しい建物だった。が、早くもトイレがまるで阪神大震災の避難所となった学校のトイレみたいな状態になっていた…。避難小屋を後にし、焼山の頂上を目指す。まるで幼稚園児がクレヨンで描いたようにホントの“水色”をしている火口湖、硫黄で辺りを黄色くしながらガスが噴出しているのを見ると、この山が今も火山活動を続けているのがハッキリ解る。そんな焼山だからして、『有毒ガスのため登山道以外の立ち入り禁止』なる札が立っていても、至極当然で、そのせいもあって、ホントの頂上には登れない。札による警告よりも、三角点付近のうるさそうなヤブの威嚇の方が効いて、ホントの頂上への盗聴は断念し、おとなしく名残峠から玉川温泉に下った。せっかくだから、ひと風呂浴びるか…と思いながら下った玉川温泉は行楽客でごった返していて、入浴の順番を待つ長蛇の列ができ、整理券まで出る始末。金を払ってまで芋の子を洗うような状態の風呂に入るほどアホではないので、すぐさま田沢湖駅ゆきのバスの車中の人となった。
(越中やたらと登る会会報「さんぼ」No.14(1996.6.6発行)掲載の記事をほぼ全文忠実に転載)
追記:
2日目の宿泊地である大深岳避難小屋には早めに到着してるけど、最初のうちは私と同じくらい早く小屋に到着してた(私と同じ世代の)女性単独行者と仲良くお話ししていた。しかし、後から小屋に到着した男性単独行者に、話し相手として彼女を取られてしまい、ひとりテントのなかで嫉妬に狂いそうになっていたことは上の文章からはキレイに省かれてます(苦笑)。
最終日のである4日目の1995年10月10日は、『歴史的名盤』であるオアシスのセカンド・アルバム『モーニング・グローリー』の発売日。長岡で上越新幹線から在来線特急への乗り換え時間がたっぷりあったので、当時、長岡駅の東口にあった『ダイエー』のCDショップへ買いに行ったことをよく覚えてる。この山行記録のタイトルは、このアルバムにあやかって付けました(笑)。
(2022.2.10・記)
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