羽後朝日岳と志度内畚(北方尾根往復)
- GPS
- --:--
- 距離
- 18.6km
- 登り
- 1,421m
- 下り
- 1,429m
コースタイム
天候 | 薄曇りのち時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
和賀山塊の女王、羽後朝日岳の北方に、部名垂沢とシトナイ沢に挟まれて細く伸びている尾根があります。今回はこの尾根を往復しました。羽後朝日岳登頂後には、支尾根の先に立つピーク、志度内畚(しとないもっこ)へ足を延ばしてみました。 国道46号から部名垂沢に向かう道は、仙北市のごみ処分場までは冬季でも除雪されています。通過の際は対向車と落石に注意。処分場入口からは林道を歩き、八木沢の橋を渡ったところで左へ。八木沢の左岸を100m少し進んだところで尾根に取り付き、間もなく上部の林道に出ます。林道を辿り、林道終点からもまっすぐ杉林を行くと、100m程で沢に出ます。10m程下がるだけですし、水量は大したことはありません。渡ったところで尾根に取り付き、あとはひたすら高みを目指します。杉林からやがてヒバやブナが現れ、標高750m付近からは太いブナ林帯に。標高1,000m付近の支尾根合流点からは特に左手(シトナイ沢)に切れ落ちた細い稜線が続きますが、特に危険な所はありません。雪面はよく締まり、標高1,200m付近からはアイゼンを着けました。 |
写真
感想
JR田沢湖駅を出ると、正面には羽後朝日岳が見える。その山の塊の左側にすっきりとした三角形の頂を見せているのが、志度内畚(シトナイモッコ)だ。羽後朝日岳は夏道が無いこともあって秘峰の一つに数えられているようだが、長い沢に囲まれて羽後朝日岳以上に人の立ち入ることの滅多に無いピークが、志度内畚である。羽後朝日岳からは北方に延びる稜線上から北東に延びる支尾根を辿って達する。生保内地区から美しく眺められるこのピークに、いつか立ちたいと願っていた。登るとすれば雪のある時期だが、そこに至る尾根は細く、そして距離も長い。チャンスをうまくつかむ必要があると思っていた。ここを歩くことを考えて、昨年冬に登山靴とアイゼンを新調したのだが、昨年はチャンスを逃していた。
今年に入ってから、週末の天気予報で秋田に晴れマークが付いたのは初めてではないだろうか。月末の仕事もそこそこに、久しぶりの山の準備をする。入山ルートは昨年の晩秋に下見をしていたから大丈夫。不安なのは1,000mを超えてからの細く長い稜線の状態だ。過去に歩いたニノ沢畚〜羽後朝日岳の稜線ほど細くはないようだが、どうだろう。
当日朝の空は雲がびっしり張り付いて、青空のかけらも無い。それでも秋田駒以外の奥羽山系は見えている。まあピストンだから、途中で引き返して再挑戦ということもありだなと思いながら、車を走らせた。目星を付けておいた道路脇のスペースに車をとめて歩きだす。驚いたことに、数日前と思われるスキーのトレースが付いていた。単独だろうか。私は八木沢で林道と分かれて尾根を少し登り、上部の林道に上がったが、そこでもトレースはある。もしかして、この人も羽後朝日岳? そのトレースとは林道途中で分かれたが、標高750m付近の枝尾根が合流するあたりでまた合流した。明らかに羽後朝日岳へ向かっている! そのトレースは上部の細い尾根も軽くこなし、私がワカンからアイゼンに履き替えた標高1,200m付近よりさらに上でツボ足(アイゼン着?)に変わった。それより上でもスキーのシュプールはあったから、きっとスキーを背負って登頂したのだろう。枝尾根の合流点付近には幕営した跡もあり、ブナ林の広い斜面には気持ちの良さそうなシュプールが描かれていた。きっと達人に違いない。「レコ」があったら、ぜひ読んでみたいものだなあと思う。
標高1,000m付近の支尾根合流点付近からは、左前方に三角形の志度内畚を見ながら進む。羽後朝日岳には無理でも、志度内畚にはにはぜひ立ちたいと思っていたのだが、登っていくにつれ、志度内畚はそこへ連なる支稜線よりも、高さが弱冠低いことがわかってきた。むろん一旦下がってピークとなるのだが。そうなると、前方奥により高くそびえる羽後朝日岳の方を優先したくなってくる。生保内川源流部の広大な雪原を左に見ながら、そして肩からは和賀岳を望みながら、クラストした斜面を一歩一歩登って、三度目となる羽後朝日岳に立った。
どっしりとした白岩岳から盟主和賀岳、そして根菅岳から大荒沢〜沢尻〜モッコ〜五番森〜貝吹岳へと連なる県境稜線、その向こうに美しい岩手山と秋田駒、東側には包丁峰の先に険しい東面を見せるニノ沢畚・・羽後朝日岳からの四方の眺めは、変化に富んでいて見飽きることがない。この時期にしては暖かく、山シャツのままで羽後朝日岳の肩まで来ていたが、山頂はさすがに風があって、冬用ヤッケを被った。素手のままだとかじかんでくる。熱いお茶が有難い。
眺めを楽しみ、山頂に別れを告げ、分岐から今度は志度内畚へ向かう。志度内畚のピーク手前は風の通り道になっているようで、喘ぎつつ登る。たぶん一期一会となるだろう、志度内畚の山頂からは、シトナイ川や生保内川などに挟まれた低い山波が秋田駒に向かって延々と延び、期待に違わぬすばらしい眺めだった。
久しぶりのロングは正直体力的にきつかった。帰りの林道歩きには気力がいった。雪面が締まっていたお陰で歩き通すことができたと思う。もろもろのことが頭から消え去り、山登りに浸ることができた。今年も山を歩けることがうれしい。
コメント
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志度内畚とは参りました
ゴミ処分場があるから車が入っていけるのですね
この日は高気圧が東北を通過して久しぶりに晴天の休日を迎えましたよね。kamadamさんのチャレンジ精神には言葉がありませんよ
新しいアイゼンと登山靴の使い心地はいかがでしたか?
いや〜、僕もこのルートは歩いてみたいですね
近々真似してみるかもしれません
こんばんは、ヤマレコ拝見しました。
すばらしい・・・・羽後朝日岳に志度内畚
写真もすばらしいですね。
アプローチの長い・・・厳冬期の稜線歩き羨ましいです。
kamadamさんの山岳知見と体力(技術)に脱帽です。
登山口までのアプローチの方法も参考になりました。
私にとっては・・・どちらも未踏の山です。
羽後朝日岳と志度内畚のどちらも和賀の山頂から眺める山でした。
昔は和賀から羽後朝日の方向に登山道があったと記憶していますが・・・・
※昭和36年の秋田国体の山岳コースだったと・・・・・
kamadamさんのヤマレコを拝見して挑戦してみたくなりました。
ご苦労様でした。
Kamadamさん
やりましたね!
和賀岳に登った時に、「あれが羽後朝日岳」と教えてくれた山。
よく覚えています。
レコの写真一枚一枚に感動です。
まるで自分がそこを歩いているような気持ちになりました。
(とても私には行けるコースではありませんが)
天気予報のわずかな晴れのチャンスを逃さず
ホント凄すぎです!
私もこんなすごい山行してみたいです。
nyororo
光り輝く稜線、尾根、雪面の美しさ 素晴らしいです。
そこに立って眺めた者にしかわからない醍醐味のあるルート
このような山歩きは憧れます。
事前に地形図を持って現場検証がいかに大事かよくわかります
スキーヤーのレコも是非拝見したいものですね〜
襞のような(プリーツのような)山波が秋田駒に、岩手山に押し寄せる画は絶品です
昨年行きそびれていたルートを、今年の積雪期最初に持ってきましたが、正解でした 雪が締まっていて、上ではサクサク状態でした。ラツキー アイゼンも昔よりずっと軽くて、重さを感じませんでしたよ。
このコースは、ニノ沢畚〜羽後朝日もそうですが、標高1000mくらいに上がってしまうと、あとは標高差があまりなくて、危ない岩場もありません。tooleさんなら楽々でしょう 豪雪だった昨年よりは明らかに雪は少ないです。歩くなら早めが良さそうですよ
こちらこそ、750RSさんのレコには、いつも学ばせてもらってます。山岳知見と言われると、恥ずかしい・・ 生保内から眺めて、登りたいなあと思っていただけです
でも羽後朝日岳はやっぱり和賀山塊の核心部だと、今回も思いました。登られるなら、絶対好天の日に、山頂での時間をたっぷり確保して
本当に久しぶりの週末好天でした。これからも週末に晴れがくるといいですね
和賀山塊を歩いたとき、nyororoさんには羽後朝日岳がよく見える場所で待っていただきました。あの反対側から今回登りました JR田沢湖駅にお送りした時にも、よく見えていましたね。
昨年はまれにみる大雪でしたが、今年は秋田県内陸南部以外は普通の積雪です。夏道のないルートを登られるなら、ぜひGWよりも前においでください
コメントありがとうございます
羽後朝日からの景観は、meikenさんもお嬢さんとぜひ味わってみてください 大荒沢岳までは登られているのですから、雪のある時期に、早出をされて。沢尻岳方面からの登山の形跡は、この日に関しては見当たりませんでしたが、やっぱりすばらしい山々です
スキーのトレースの主、どんな人なんだろう・・と思いながら、今回歩いてましたよ。自分の知らないところに、達人はいっぱいいるんだろうなあと 私は今、ふくらはぎ筋肉痛中です
最初「羽後朝日岳」ってどこ?って感じでした。すごいです。
私は4月下旬からスパイク長靴で栗駒あたりがシーズンインです。
ヤマレコでの皆さんの山行記録を拝見すると,刺激されます。
やっぱりアイゼン会った方がいいのでしょうか。
仙北市生保内地区からだと秋田駒が存在感ありますが、私は羽後朝日岳の方に目が行ってしまいます 国道46号と341号が分岐するT字路にあるコンビニあたりからも良く見えますよ
藪が雪に覆われているGWまでのこの時期こそ、私にはハイシーズンです 行けるかどうかは別にして、気分的には 低山でもピークに立てなくても、自分のオリジナルルートで歩けるのが面白いですね
アイゼン必要かどうかは、もちろん山・ルートによるのでしょうが、雪質は日によって違うし、その方の技術・体力にもよるでしょうし・・・
答えにならなくて、スイマセン
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