2022年3月 積雪期 栂海新道縦走 親不知〜三国境〜栂池高原
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- GPS
- 42:25
- 距離
- 44.3km
- 登り
- 5,026m
- 下り
- 3,290m
コースタイム
- 山行
- 6:50
- 休憩
- 0:04
- 合計
- 6:54
- 山行
- 6:00
- 休憩
- 0:22
- 合計
- 6:22
- 山行
- 9:28
- 休憩
- 1:07
- 合計
- 10:35
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
- 山行
- 3:39
- 休憩
- 0:09
- 合計
- 3:48
- 山行
- 6:09
- 休憩
- 0:04
- 合計
- 6:13
- 山行
- 5:52
- 休憩
- 0:08
- 合計
- 6:00
天候 | 3/23(第1日目)→曇り 3/24(第2日目)→晴れ(雲あり)・15時以降は軽い吹雪 3/25(第3日目)→1日中夜まで快晴 3/26(第4日目)→朝は曇り・断続的な雨・吹雪 3/27(第5日目)→小雨と軽い吹雪・晴れ・吹雪(ホワイトアウト) 3/28(第6日目)→吹雪(ホワイトアウト)・晴れ(稜線上) 3/29(第7日目)→曇り・強風 3/30(第8日目)→1日中快晴・強風(西風) |
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過去天気図(気象庁) | 2022年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
・栂池高原ロープウェイ・ゴンドラリフト(1番上~1番下)→片道2000円 ・栂池高原スキー場~南小谷駅→村営バス530円 ・行き帰りJR「青春18切符」計4日分・宿泊「快活CLUB」 |
その他周辺情報 | 登山後の食事: 栂池高原スキー場のゴンドラリフト乗り場横のレストラン→外国人の方の運営で、「まぐろのたたき丼」「唐揚げ」を食べた。スキー場なので当然だが少し割高。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
アイゼン
ピッケル
スコップ
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
ナイフ
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
ヘルメット
5mm
スタティックロープ
簡易ハーネス
タイブロック・カラビナ
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感想
☆ 山行形態: ソロ
☆山行可否: 親不知〜栂池高原 縦走(ただし白馬岳登頂断念)
☆コメント
皆さんは「栂海新道」という縦走ルートをご存知だろうか。新潟・日本海の海岸「親不知」という北陸道の難所から標高3000m級の山々が連なる北アルプス稜線へと繋がる総距離約50kmにも及ぶ縦走ルートである。海抜0mから標高3000m級の山々に登れる道は日本広しといえどここしか無いのではなかろうか。
私がこの栂海新道をそれも積雪期に縦走することにした理由はいくつかあるが、その最も大きな原動力は漫画「孤高の人」に出てくる加藤文太郎への漠然とした憧れであろう。厳冬期槍ヶ岳北鎌尾根で遭難死したあの加藤文太郎をモチーフにして描かれた漫画の主人公である。この中で主人公は仲間を失いながらもただ1人「厳冬期北アルプス全山縦走」という偉業を成し遂げた。その縦走がまさに栂海新道から始まったのだ。流石に僕自身の能力では積雪期に北アルプス全山縦走などとても不可能であることは明白だが、一生で少しずつ各セクションごとに分けて登れば達成出来るのではないかと考えた。そうなった際、北アルプス全山縦走のスタートエリアの栂海新道もいつかは通らないと行けなくなる。しかしこのルートは長い日数がかかる(特に積雪期は)ので、何としても時間のある学生の今しかやる機会は無いのではと考え実行に移した次第なのである。
ちなみに余談ではあるが、2016年12月に北海道の山岳ガイド舟生大悟氏が厳冬期北アルプス27日間単独縦走を殆ど漫画「孤高の人」と同じルートで達成している。インターネットでこの記録を拝見し、深く感銘を受けたことも今回の山行の原動力でもある。
【第1日目】新潟・親不知海岸〜尻高山〜坂田峠手前の659m峰頂上
栂海新道登山口で、最初から全く違う向きに進んでしまい焦った。ピンクテープがあるので良く見ること。
栂見新道登山口では、漫画「孤高の人」で出てきたように鳥居があるのかと思ったが柱があるだけで少し残念だった。標高300m過ぎから雪道になったが、それまでは結構土の道で登山靴・アイゼンの内側が汚れてしまい悲しかった。尻高山までがこの日の目標だったが、思ったより早く着いたので更に進むことにした。
トレースはほとんどなく、動物の足跡が沢山あった。
宿泊→坂田峠手前の659m峰頂上でテン泊
夜ご飯→トマトスパゲティ味ご飯(モンベルα米)
行動食→スニッカーズ1本・塩分チャージ2個・羊羹1個・水500ml・SOYJOY1本
【第2日目】坂田峠手前の659m峰頂上〜白鳥山〜白鳥山避難小屋
この日は、まず最初の方に出てきた標高差300m程の急登が大変だった。しかし確実にワカンを蹴りこんで淡々とラッセルしていけば意外とすぐ越えられた。ただ、ワカンに大量に付く雪団子に苦しめられた。ラッセルも足首ほどだった。時々木の近くを通った時に、腰まで踏み抜くこともあったが、、、
また、白鳥山までは1部うっすらとトレースがあった。夕方からは、白鳥小屋に入った途端ホワイトアウトが始まり間一髪だった。
それにしても白鳥山はとても綺麗な山だ。山頂付近は非常になだらかな斜面となっており、登山者も少ないことからノートレースでの雪稜ハイクが出来る所だ。
雪質も初めの急登とそれ以降でははっきり変わった。初めは、シャーベット状だったが、その後クリーム状に変化した。
白鳥山頂上避難小屋は木造で綺麗だった。入口は少し雪で埋まっていたので掘り出すことになった。協力金2000円を箱に入れ泊まらせてもらった。入口を掘り出して2Fに宿泊。富山側の窓だけほんの少し電波が通じた。とても快適な夜だった。
宿泊→白鳥避難小屋
夜ご飯→インスタント麺・α米(ビビンバ味)
行動食→スニッカーズ1本・SOYJOY1本・飴2個・羊羹2個・塩分チャージ2個・水750ml
【第3日目】白鳥山避難小屋〜栂海山荘避難小屋
この日は朝からずっと快晴だった。最初はとてもテンションが上がったが、歩くうちに暑いのと雪がグズグズになっていてあまり良いものでは無いなと感じた。雪がグズグズだからか、ワカンに半端ないほどの雪団子が付いてしまいピッケルで叩きながら進むことになり大変苦労した。また、この日の白鳥山から犬ヶ岳までのルートはまあまあのナイフリッジやクレバスまであり結構痺れた。雪庇から離れすぎても逆に歩くのに危険だということは感じた。ギリギリの見極めが重要だろう。この日は登山靴の中まで濡れてしまい、栂海山荘到着が夕方17時過ぎということもあり本当に体力も気力もボロボロだったので、栂海山荘は入口が大量の雪に埋まっていて絶望したが、上を少し掘るだけで扉が開いたので本当に助かった。
栂海山荘は、1Fはほとんど窓が雪に埋まっており暗かったが、2Fは窓が4つありそれぞれ雪を取り除くと結構明るくなった。白鳥小屋同様に富山側の窓から少し電波が入るくらいだったが正直入ったことに助かった。
この日は雪を途中食べていたが、これは良くないようだ。体力も奪っていく。この日からは遂に持ってきたジェットボイルガス缶小が無くなり、最後のガス缶大に切り替えた。この日から先、とにかくガスの残量が心配だった。尽きたら水を作れなくなり進退極まる。
宿泊→栂海山荘避難小屋
夜ご飯→なし(疲れすぎてすぐに寝てしまった)
行動食→飴2個・スニッカーズ小1個・SOYJOY1本・羊羹1本・水750ml
【第4日目】栂海山荘避難小屋にて停滞
この日は午後から大型の低気圧が来るようだったので栂海山荘避難小屋で停滞することに決めた。前日18時頃からすぐに寝入ってしまい、この日は朝5時過ぎに自然に目が覚めた。ラジオは今までの宿泊地点全てで問題なく繋がるので寂しさはなかった。この日は昼頃から天候が崩れる予定だったが、午前9時頃から雨のようなものが降り始めた。
朝に、750ml程のアクエリアスを作り水筒に貯めた。昼には棒ラーメンを作って食べた。
この日は一日中することが無かったので、午前中は避難小屋の清掃と昼寝・午後は荷物の整理等を行った。避難小屋の箱に協力金5000円を入れた。
宿泊→栂海山荘避難小屋
飯→ドライフルーツ・棒ラーメン・ハヤシメシ・フルーツゼリー
【第5日目】栂海山荘避難小屋〜犬ヶ岳〜黒岩山手前の1612m峰稜線直下
朝2時40分に起床。ゆっくり準備して明け方を待つ。昨日雪・雨が降ったので雪崩の危険があることから明るくなってからスタートすることにした。午前9時になっても雲が晴れずに焦り始める。雨は止んだようなので出発する準備だけとりあえず始める。午前9時過ぎに犬ヶ岳山頂まで偵察に行ってみると、ホワイトアウトしていたので絶望して今日も停滞するかと考えていたが、そのうちみるみる雲が取れてきて晴れてきた。すぐに栂海山荘避難小屋に戻り、ザックを回収し正式に出発した。やはり、前日の雨が祟ったのか雪がグズグズだし結構溶けてて土の地面や潅木がむき出していた。一晩で積雪期から残雪期へと移行したようにも思える。犬ヶ岳からサワガニ山までは痩せ尾根も多くとても通過が怖かった。ただ痩せ尾根のゾーンを超えたあとは、雪稜をひたすら歩く形となりとても気持ちよかった。ただ、そこら中にクレバスというか雪の裂け目があり気は抜けなかった。4時間ほど歩いたとき、どんどんホワイトアウトしだして全く視界が効かなくなった。天気予報では夕方まで晴れだったのにおかしなものだ。山だから仕方ないのかもしれないが、、。急遽稜線直下に幕営することにした。ちょうど木が少し密集している部分があったのでその中に幕営適地を探した。ちょうど最も良さそうな気に囲まれた場所に誰かが半雪洞のようなものを掘った名残があったので拡張してダブルウォールテントを建てた。ここで1泊することにした。相変わらず靴下や登山靴はびちょ濡れとなり大変だった。テントの中で足の太ももの濡れはテントの中で直接外気にさらしていると良い感じに乾いた。ただしメリノウールの靴下は服の中に入れたり、テントの中で放置したりしたがなかなか乾かなかった。この日はガスの残量を気にしてドライフルーツだけ食べて寝た。ダウンを全て着込んで、シュラフに入ってやっと寒くなくなった。
宿泊→黒岩山手前の1612m峰稜線直下の小さな樹林帯でテント泊
飯→朝にα米(チーズサーモンリゾッタ)・ドライフルーツ・カントリーマアム等各種非常食
行動食→塩分チャージ・SOYJOY・水750ml
【第6日目】黒岩山手前の1612m峰稜線直下〜朝日岳〜朝日小屋
この日は朝から何度も目が覚めた。あまりの強風でテントが揺れまくり倒壊の恐怖に怯えながらの朝を迎えた。やはり稜線直下にテントを張ると大変だ。朝5時過ぎに起き、天気予報の昼には晴れるという予報を信じてひたすら待つ。午前8時頃にはハードシェルに着替えてひたすらテント内で晴れるのを待った。午前10時前に吹雪が収まったので、ホワイトアウト状態であるがスマホのGPSを頼りに進むことにした。この日のルートはひたすら平原のようであったので雪庇に近づきすぎて滑落するリスクは無いためホワイトアウト状態でもスマホを頼りにして行けると判断した。また、もしスマホの電源が寒さで落ちてしまった時にはその地点で即テント泊を行うことに決めていた。出発してから黒岩山までは雪庇が張り出す斜面が少しある可能性があることに気付いたので潅木を目印にしながらなるべく潅木のそばを歩くように心掛けた。基本的に平らな道が多く、一昨日の雨で雪が凍っていた為ラッセルもほとんど無く非常に快適に歩くことが出来た。天気予報ではこの日は昼前から晴れるはずだったが、結局標高2000mをこえるまではずっとホワイトアウト状態で、超えた瞬間に一気に雲がなくなり晴れ模様となった。おそらく雲がずっとアヤメ平にはかかっているのだろう。強行して出発して良かった。あのまま晴れるまで待っていたら永遠と停滞することになっていた。
長栂山を超えた辺りで、初めてスキーヤー(人)に会った。僕とは逆の向きに栂海新道を行くようで情報提供を少しして別れた。この後朝日岳を超えて朝日小屋に向かった。もしかしたら冬期小屋があるかもと思っていったが存在せず小屋の近くにテントを張った。夜は風もなくとても静かだった。ただ、日焼けで顔や唇がただただ痛い。この日には縦走の終わりが見えてきたので、縦走中、最も心配したガスの残量についての懸念がなくなり心置き無く使えるようになった。
宿泊→朝日小屋付近にテント泊
飯→SOYJOY・キーマカレー飯・カフェオレ
行動食→スニッカーズ・SOYJOY・塩分チャージ・飴
【第7日目】朝日小屋〜雪倉岳〜雪倉岳避難小屋
今日は、明け方午前0時頃から強風が吹き始めてすぐに目が覚めてしまった。ラジオを聞きながら寒いがなんとか寝袋から脱出。雪倉岳周辺はどこも強風で大変だった。他の人の記録でもそうなのでそういう地形なのかもしれない。雪倉岳への登りの際に通過した雪渓のトラバース及びそこからの斜面の急登はとても辛かった。急登は、1度滑り始めたら遥か下まで落ちていくような地形だったので精神的な負荷が凄かった。雪倉岳の頂上付近は雪がほとんどなく地面が露出しており、雪倉岳避難小屋も全く雪に埋もれていなかった。この日はあまりの強風ということもあり、テントを張るのを諦め避難小屋に入ることにした。雪倉岳避難小屋は避難小屋としてはとても快適であった。明日には栂池高原スキー場から下山する予定なので最後の晩餐を行う。最後にこのような綺麗で快適な避難小屋に泊まれて良かった。なお、明後日には大きな低気圧がくるようだったので白馬岳には行かないことに決めた。また、別のルートから行く機会もあるだろう。夜は寝る直前まで漫画「孤高の人」をスマホで読んだ。
宿泊→雪倉岳避難小屋
飯→残った行動食いろいろ・味噌汁・スニッカーズ・カレーメシ
行動食→飴・塩分チャージ
【第8日目】雪倉岳避難小屋〜小蓮華岳〜栂池高原スキー場
この日は、次の日に大型の低気圧が日本に近づくため何としても目標地点の栂池スキー場に辿り着く必要があった。朝は3時になんとか起きたが、そこからダラダラしてしまい出発5時が30分遅れてしまった。実は映画「岳」のテーマソングをかけてモチベーションをあげたりしていたのだ。結果的に、雪が結構溶けていたのもあって半分くらいは砂利の夏道を通ることになったこともあって昼には栂池スキー場に到着することが出来た。白馬大池付近でスキーヤーの方に写真を撮って頂き、Facebookの友達にもなった。どうやら写真を専門にしている方のようだ。スキー場直前の白馬乗鞍岳以降はスキー場のゲレンデかと見紛うほど綺麗な斜面で、人生で初めてシリセードで下った。(実は今までする機会もなくは無かったがハードシェルが傷付くのを恐れて出来なかったのだ。今回も初めはアイゼンでゆっくり下ろうと思ったが、縦走最後でくたくたなのと斜面の雪がグズグズなことから最早ハードシェルについて気に掛ける心の余裕がなくなりシリセードを敢行した)ピッケルでちょくちょく制動をかけながら滑りながら下ったがそうとう楽しいものだった。栂池スキー場までざっと30人くらいのバックカントリーをされる人とすれ違った気がする。結構話しかけられ、栂海新道について知っている方も多くおられたのでとても嬉しかった。最後の最後にこのような楽しい場所で今回の縦走を終えられたのはとても幸運だ。
飯→味噌汁・行動食あまり
行動食→スニッカーズ小2個・SOYJOY・飴
☆反省点
・トレッキングポールの先端を忘れずにコインロッカーにおいてくれば良かった
・ワカンやアイゼンには雪団子が付いてしまうので、油のような物を塗っていれば良かった
・スマホのタッチペン忘れた
・朝飯は味噌汁1杯で、少しお腹を空かせた状態で出発するようにする→夜食べる
・行動食としては、飴がとても役に立つ
(もりもり山の飴が良い)
・雪山では、竹ペグが欲しい
・ガス缶はとにかく多目に持っていく
→雪を溶かす場合と、水を溶かす場合にはガス使用料が変わることを押さえておく
・冬季テン泊の際は、必ず近くにトイレも作っておく(穴ほり)
・やはりネオプレンの靴下が欲しい。どう頑張っても登山靴は浸水する。メリノウールでは乾かない。
・ファイントラックのドライメッシュの手袋は良い。靴下も欲しいところだ。
・銀マットはとても便利だった。ただ持っていきすぎるのも問題
・行動5日目で足が塹壕足になって痛み始めた。濡れへの対策が必要
・今後雪山では、絶対に日焼けについての対策が必要である。汗で落ちない日焼けクリーム等
☆良かった点
・全体的に理想的なペースで歩けた。身体が疲れないギリギリのペースを維持できた。この歩き方はしっかり覚えておきたい。
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