奥秩父主脈縦走 (奥多摩駅〜雲取山荘〜雁坂小屋〜大弛小屋〜瑞牆山荘)
- GPS
- 38:10
- 距離
- 77.6km
- 登り
- 7,153m
- 下り
- 6,147m
コースタイム
- 山行
- 7:25
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 8:42
- 山行
- 11:12
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 12:42
- 山行
- 9:58
- 休憩
- 1:04
- 合計
- 11:02
- 山行
- 4:16
- 休憩
- 0:28
- 合計
- 4:44
天候 | 1日目 曇のち雨 2日目 概ね晴れ 3日目 晴れ 4日目 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
下山は瑞牆山荘より茅ヶ岳みずがき田園バス、韮崎より特急あずさを利用した。 なお、この記録はポエムである為、見る方は注意して下さい。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
三条ダルミから将監峠までは延々と続くトラバース。 三ツ山から飛龍山の間は桟道が多かった。早朝は前夜の雨が凍っていて、この山行中で1番危なかった。 飛龍山から将監峠の間で2箇所登山道が崩落していたが、迂回のステップは切って有ったので助かった。 山ノ神土から唐松尾山と笠取山の間は、急斜面にどうにか道を切ったような登山道で非常に歩き辛かった。 残雪が多かったのは木賊山、甲武信ヶ岳の山頂前後、国師のタルから金峰山の間。 甲武信ヶ岳から国師ヶ岳の間、今年は雪が少なかった。 |
写真
感想
2019年のゴールデンウイークに、
瑞牆山荘(富士見平小屋で一泊)〜金峰山〜大弛小屋泊〜国師ヶ岳〜甲武信ヶ岳〜甲武信小屋泊、そして西沢渓谷に下山するテント泊縦走を行った。
自分にとって初めての残雪期テント泊縦走で、
金峰山から降りてすぐの、鉄山のトラバースに刻まれた踏み抜きだらけのトレースと、
国師ヶ岳〜甲武信ヶ岳の縦走路の、日中もなお暗い残雪の道の記憶が強く残っていた。
今回は2019年よりも深くこの時期の奥秩父主脈縦走路を体感するため、
奥多摩駅から歩いて国師ヶ岳まで登り、鉄山のトラバースを再訪することを目的とした。
仕事の休みの都合上、3泊4日で行程を組み、予備日を1日とした。
5日分の食料は、初日のみ惣菜パンで2300kcal分、残りの4日分はアルファ米24食、エナジーバー4本、真空パックの調理済みチキン4食とし、1日2300kcal程度、足りない分は小屋を頼ってカップめんを買う等を考えた。
水は毎日2.7Lでスタート。その内の500ccはお湯で持っていき、行動食としてのアルファ米を戻すのに使った。
ウェアは行動中にマイナス一桁台で風に吹かれても死なない程度に準備。
寝具として、1mm銀マットをテントマットとし、マットレスはニーモのスイッチバックを切った物、シュラフは3期用にダウンジャケット&パンツを使ったが、大弛小屋で溶けてない雪の上で寝た日は底冷えが冷たく感じた。
アイゼンは10本爪。予定上、どうしても国師ヶ岳を雪の緩む午後に登ることになる為、念の為ワカンを持っていった。
水、食料込みで、ザック重量は20kgになった。
***
今回の山行を無事に歩ききれたのは、幸運に恵まれた事が大きかったと思う。
初日を除き、天気が良かったこと。
2日目の燕山、古礼山、水晶山を登っている時、今にも雨が降りそうな雲が湧いて来たが、何とか捕まらずに済んだ。その後雷鳴が聴こえた方向を見れば、数時間前に自分が歩いていた唐松尾山方面の上に黒い雲が湧いていた。
テント場に着く時間が毎日遅かったが、3泊とも比較的平らな場所にテントを張ることが出来た。
この山行に向けてトレーニングをして来てはいたが、疲れ切ってからも最低限歩き続けられた。
全体的に雪が少なく、国師ヶ岳の登りでは雪が締まっていて、踏み抜きが無かった。
最終的には全てが良い方に転がりラッキーだった。
大変だったことや失敗、反省点など。
ずぶ濡れになった雲取山荘でのテント泊。濡れを免れたウールのグローブを濡らさないため、凍ったテントをびしょびしょのレイングローブに手を突っ込み撤収した。
2日目に倒木に右膝を打ち付け、以降ずっと違和感が消えなかった。
想定よりも体力の消耗が大きく、毎日半分歩く頃には登りで足が上がらなくなってしまった。
コースタイムの設定を甘く見て、毎日時間に追われて歩いた。ゆっくり歩けたのは、最終日のみだったのは勿体なく思う。
雲取山から西側は、コースタイムが厳しく感じた。
三ツ山から飛龍山の間に有った桟道が凍っていて、滑落の危険を感じながら通過した。
うっすら残った雪の上でテントを張った大弛小屋の夜、寒くてあまり寝られなかった。
食事はモンベルリゾッタ、サタケのアルファ米を、朝に1食、行動中に3食、夜に2食、これに要所でエナジーバーを1本摂取したが、摂取カロリーは足りなかったように思う。しかしこれ以上食べるのは大変だ。或いは単にオーバーワークだったのか。
***
今回の山行は、体力こそ必要だが、ロープを出したり、進路を切り開く必要のない、技術的には単純な山登りだ。甲武信ヶ岳〜国師ヶ岳〜金峰山の残雪帯も、ゴールデンウイークも何日か過ぎれば、凄い奴らのトレースが付いている。
自分はただ登山道を歩き、雪が出て来てもトレースを追って歩いただけだ。
しかし、それでも自分にとっては、冒険とも言える山行だった。
甲武信ヶ岳から降りて、毛木平への道を別けてあの細い登山道に入って行った時、ワクワクして笑みがこぼれた。
疲れ切った体で国師のタルに着いて休憩をした時、まるで映画かゲームの中の世界に居るみたいに感じた。
国師ヶ岳の登りでは体の何処にそんな力が残っていたのかと、自分でも驚くくらい頑張れた。きっと雪の急登で使う筋肉が違ったのだと思うが、何か神秘的な物だと思いたい(笑)
ようやく国師ヶ岳の山頂に着いたとき、確かな達成感を得た。
歩いて歩いて辿り着いた鉄山のトラバースは、思い出よりも雪がちょっと少なかったが、金峰山から来ても、大弛峠から来ても、やはり良い場所だった。
金峰山への最後の斜面、森を抜け、白い雪面を、青空に吸い込まれるように登って行った時、
心が震えて、涙がこぼれて来た。
いい歳してしょーがねーなと思いながら、涙と鼻水を拭きながら最後の山頂を目指すも、直前の岩場で右往左往する。
人の話し声が聴こえる方に岩をくぐり抜けていくと、そこはゴールデンウイークの賑やかな金峰山の山頂だった。
瑞牆山荘まで無事に下山して、バスに乗り温泉に寄った。
汗と垢を流した後、飲んだビールが美味かった。
コメント
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kensuker6さんの気持ちがよく伝わってきて、面白く読めました。
奥秩父縦走は、いつかはやりたいと思っているのですが、このルートを奥多摩から登る方向で、4日でやり遂げるのは、体力的にかなりのものだと思いました。しかも、テント箔で、食料をほとんど担いでいったのですか。すごい。一日目から奥多摩駅から雲取山荘でも結構なものなのに、二日目は雲取山荘から雁坂小屋まで!かなりの健脚ですね。
まだ残雪残るこの時期、甲武信ケ岳を超えたあたりからのテンションが上がってきて、ちょっとしたことでも涙が出てしまう感じもよくわかります。
よくぞやり遂げられましたね。お疲れさまでした。
自分にとってこの行程は、やはり限界に近い挑戦であったので、すごいと言って頂き素直に嬉しいです。
甲武信ヶ岳の先からは本当に変なテンションになってきて、色々な感情が湧き上がって来てしまいました。
本や映画ではなく、自分がやっていることに、その時その場でこんなに感動出来たのは初めての体験で、頑張って歩いて良かったなと思っています。
重ね重ねになりますが、暖かいコメントありがとうございます。いつかどこかの山でお会いできたら嬉しく思います!
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