【聖岳】なりゆきで日帰りピストン、Hスタイルで
- GPS
- 11:44
- 距離
- 17.5km
- 登り
- 2,371m
- 下り
- 2,370m
コースタイム
天候 | 晴れ! ぽかぽか陽気で風も穏やか |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
行きは渋滞と道迷いで八王子から8時間半 帰りは渋滞で家に着いたのが午前1時半(泣) ◆聖光小屋駐車場 車中泊のみ500円 駐車のみなら無料 車中泊用の駐車場は道をはさんで小屋の反対側 駐車のみは小屋前の駐車場 キャンプ場施設を兼ねていて水洗トイレ、水道、屋根つきのテーブル、イスなど、快適な車中泊をお約束 寂しいときは小屋犬のハチが遊び相手になってくれる |
コース状況/ 危険箇所等 |
【便ヶ島-西沢渡】 登山口からトンネルまで少し登った後は約2.5kmのほぼ水平の遊歩道が西沢渡まで続いていて、何にもなければ楽なパートなのですが、写真のように途中10箇所くらい土砂が崩れて歩道を埋めています。それほど危険じゃないところからなかにはかなり緊張を強いられるところもあり、特に疲労が蓄積した下山時には注意が必要です。ネットの記録を見る限り少なくとも4年前からこのままのようですし、今後もっとひどくなって通れなくなる可能性もあるかも。 とくに大雨や台風の後は要注意です。 【西沢渡-薊畑】 ひたすら急登です。 大ガレの付近はロープがついた道が崩れかかったところがあります。 苔平から上はほぼ雪に覆われ登りの時間帯はそれほど腐っておらずアイゼンなしでも歩きやすかったですが、トレース部は凍っていたのでトレースを外して進みました。下山時はかなり腐ってきて踏み抜き多発。また倒木や藪にさえぎられてトレースを見失いがち。テープもまばらなところがありルートから外れることしばし。ルートを見失っても尾根筋をたどれば問題ありません。 【薊畑-小聖】 2478mピークから小聖までの樹林帯は藪っぽい感じで枝がザックに絡んで鬱陶しい。 雪質は登りは表面が緩んでいるくらいで踏み抜くことはありませんでしたが、下山時は腐って踏み抜き多発。足をとられて転倒しまくり、木に顔面を強打してしまいました。疲れた体にはかなり堪えました。踏み抜きはせいぜい股まで。 【小聖-前聖】 小聖からしばらく痩せ尾根の緩んだナイフリッジで雪面には多数のクラックが目に入り緊張します。雪庇の上を歩く箇所もありました。痩せ尾根の後は約45度の多少腐った雪面を、途中夏道を少しばかり挟んで、ほぼ直登しました。緩んだ雪でアイゼンは効かず、キックスッテプを地道に刻みここまでの疲労も重なってかなり疲れました。下りはさらに緩んでズリッと滑ること頻回、一度滑落しましたが、幸い制動が効いてくれたので事なきをえました。 今回のルートでは一番きついパートでした。 【下山後の温泉】 神楽の湯 ナトリウム・カルシウム塩化物泉 pH8.51 600円 情緒はないが入浴施設としての機能は十分。 泉質もよし。 |
写真
感想
やっちまった...
雄大な南アルプスを眺めながら最悪の気分でシラビソ峠にぼーぜんと佇むワタシ。
ナビにだまされこんなところにいるマヌケなワタシ。
今年のGWは終わったな。
暗澹たる思いで来年の下見にと、とりあえず便ヶ島へ。
朝4時半に家を出て登山口に着いたのが13時近く。
移動になんと8時間半。
GWの渋滞を甘く見たのと、道迷いが原因。
去年はそうでもなかったのにこの日は5時前で八王子ICはすでに渋滞してました。
聖光小屋の駐車場でしばし試案。
ここに泊まってこの辺の日帰りできそうなところ、もしくは実家に帰って北アのあそこにするか...
ダメもとで小屋に泊まれるかおやっさんに聞いてみたところ、体調を崩されて今日は営業してないとのこと。
お話している間にも、
「ちょっとごめんね」といいつつしゃがみこむご主人。はた目にも具合悪そう。
とりあえず、なんのプランもなく勢いで車中泊の申し込みをしてしまいました。
時刻はまだ13時。
来年のためにと西沢渡まで歩いてみることにしました。
事前情報で気になってた遊歩道の状況を確認するためです。
おやっさんから「かなりひどいよ」と教えられていたのですが、想像以上にひどい有様は写真の通り。
「飯田市が何もしてくれねえんだよ」とおやっさんがぼやいてました。
ウワサのロープウェーも確認。ここは飛び石で渡れることも確認。
車に戻って明日のプランをたてます。
聖岳ピストンはちょっとなあ...光岳ならいけるかなとコースタイムを計算してみると、なんと聖よりも長いじゃないですか!
むむむ...
行き詰った。
コースタイム的には聖は行けそうなんだけど、それは夏道の場合。
雪が腐ってるときついかな。
さきほど下山してきた方の話では通った時間が早かったので昼近くの雪の状況がわかりませんでした。
それでも早出すればギリギリ届くかもしれない。
ほかに妙案も浮かばないのでリミット13時に設定し行けるとこまで行くことにしました。
ほかにすることもなく聖平で飲むはずだったモルトをちびちびなめてると、遊びに来ていた小屋のおやっさんの友人の娘さんが小屋犬のハチに引っ張られてたびたび訪問してくれました。
モテる男はつらい。
ハチはとにかくテンションが高い。
駐車場に着いた時も一目散にこちらに向かって走ってくるし、
「お手」というと両足で交互にパンチを連打してくれます。
その上勢い余ってワタシの股ぐらを執拗に攻撃してくるので、いたいけな女の子が見てるのに教育上甚だよろしくない。
穏やかな時間を過ごし、だだっ広い駐車場で人生初の車中泊を経験しましたが、思ったよりも快適で今後の参考にちょいちょい利用しようかしらん。
翌朝珍しく予定通りに起床しましたが、もたついて出発時間がちょっと遅くなります。
問題の崩落個所の一つを通過するとき上から小石がパラパラと落ちてきました。
すわ落石か?と急いで引き返して上を見上げるとシカが2頭。
こいつらが落石起こしたのか。シカに殺されちゃたまんないよな〜。
それ以外は昨日の偵察のおかげで西沢渡の渡渉まで順調にこなし、急登にとりつきます。
この日はまずまずのコンディション。
序盤は抑え気味のセオリーは無視してバテても構わないつもりで初めから飛ばします。
そうしないと達成できそうにないからです。
苔平を過ぎたあたりで最初の下山者と会います。
日帰りと話すと
「えー!?それはどうかな〜、ヘッデン下山ならいけるかもしれないけど」
このおっさん何たわごと言ってんの?みたいな感じで言われてしまいました。
すでに雪が緩み始めていて薊畑から山頂まで3時間は見積もったほうがいいとのこと。
なぬっ?やはり上は厳しいのか?
「いや〜、もともとダメもとなんで、13時には引き返しますよ」
という言葉とは裏腹にぜったい登頂して明るいうちに帰ってやる!と精神年齢が幼いワタシは反骨心をメラメラと燃やすのでした。
薊畑に予定時刻よりも早く到着したのはいいもののオーバーペースがたたりかなり足にきているのを感じていました。
ここでしっかり休憩を取り足の攣りの気配があったので芍薬甘草湯を投入。
さらにビバーク装備をすべてデポし荷を軽くし、準備万端。
いざ聖へと向かいます。
しかし小聖手前の樹林帯で早くもグロッキー。
しんどいことこの上ない。
ペースがガタ落ち。
それでもCTよりも若干のオーバーで小聖にたどり着き、いよいよ聖の斜面へと取り付きます。
前方に2人組。
この時間登っているのは私と彼らだけでした。
ほかにも登っている人がいると励みになるものです。
痩せ尾根のリッジを通過し45度の雪面に取り付いたときにはさらに足が重くなっていて、進む時間よりも休む時間のほうが長くなっていました。雪はやはり腐ってきていてアイゼンが効かず、キックスッテプを刻んでいきます。
休憩中周りを見渡すと絶景。下を見るとお尻がきゅん。
それでもすこしづつ足を運んでいくと不思議なものでついに山頂に立ちました。
この時の達成感はかなりのものでした。
山頂からの赤石岳をはじめとする南アの山々、遠くに富士山、北ア、中アの絶景は文字通り疲れがふっとびました。
だれもいない山頂でこの景色を独り占め。こんな幸せなことはありません。
究極の自己陶酔。
少しして途中で追い抜いた2人組が登ってきて感動を共有。
この2人組、昨日偵察のときにお会いした方たちであのとき遅い時間に入山してきて「今日は行けるとこまで」と言ってましたが、標高1900mあたりでビバークしたとのことでした。
しばし景色を堪能して下山します。聖からの下山は腐った雪で滑りやすく一度滑落。緊張を強いられました。
小聖からの樹林帯は枝と踏み抜きに体力をさらに奪われ薊畑に着いた時にはガチでヘロヘロ。
疲労で転倒滑落しないように注意しながら西沢渡に着いてもまだ安心できません。
あの恐怖の遊歩道歩きが待ってるからです。
ここで滑落してはシャレになりません。
できるだけ慎重に通過し、無事明るいうちに駐車場に帰還。
到着した時の疲労感はこれまでの山行で一番だったかもしれません。
なりゆきで思ってもみなかった聖の日帰りピストン。
達成はできたものの、これが私の限界かな、と思います。
今回の山行にあたってはhottenさん、Evergreenさんのレコを参考にさせていただきました。
HスタイルのHとはもうおわかりだと思いますが、hottenさんのことです。
よい子はまねしちゃいけません。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
こんなに長い距離と標高差を日帰りとは、さすがです!
もう歳も歳なんですから、あまり無茶しないでくださいネ。
それともネタづくりのため、わざと?
突然の事態にHスタイルシフトでの聖、お疲れ様でした!
車中泊がはじめてというのが意外でした
犬のハチにもシカにも愛され、いやもてあそばれ?、それでも 何やかやと言いながら山頂まで登ってしまうところが、kanosukeさんですね~
この時期の聖の日帰りピストンだけでもさすがです。お疲れ様でした!
zucchi
そうなんですよ、zucchiさんはもう当たり前のようですけど。
なんか熟睡できない気がして避けてましたが、ばっちり熟睡できましたし、早朝眠気と戦いながら高速を運転するよりはいいかもしれませんね
子供からも動物からも好かれる(いじられる)のは人徳ですかね〜
困ったもんです
zucchiさんは聖まだでしたっけ?
zucchiさんなら無雪期なら日帰りで余裕ですよ、どうですか?
パチパチパチパチ...すばらしい
往路のつまずきにもめげず、臨機応変になんとかスタイルで山頂に立ってしまうところがさすがですね〜
私も一昨年かな、同じ時期に日帰りしましたので、懐かしく拝見しました。
最後の聖の登りはきついですよネ
あと山頂までどのくらい歩けばいいのか判らない
聖の下りでは雪が腐り、アイゼンは団子状態で二度仰向けに滑落しました。
無事のご生還ほんとうに何よりでした。
でもご褒美ですネ、写真がきれいだわ、富士山もクリア
お疲れ様でした
なんとかスタイルはよくご存じのはずですが 、hottenさん
本当はあとキュウリも必要でしたが前の晩の晩酌で食べちゃったので
あとワカンも装備しないといけませんでしたね。
中途半端で本家に申し訳ない気持ちでいっぱいです
一昨年のhottenさんのレコは事前によく読ませていただきました。
最初読んだ時もこんなハードな行程ありえないと思ってましたが、まさか自分がするとは思いませんでした
達成できたのは体調と条件に恵まれてたまたまだと思いますが。
残雪期の日帰りだとやはり山頂直下に取り付くのが雪が腐る時間帯になってしまうのでここが一番つらいですよね。
かなりしんどい山行でしたがその分たくさんご褒美がいただけたのでよかったですよ。
でももう背伸びしてHスタイルはやめときます
カノスケどん、まいど。
この遊歩道、かつて、よく歩きましたよ。
便りヶ島までも、遠山川ぞいの林道で、流星号が何度パンクしたことか・・・
聖岳へのアプローチとして、登り降りしたこともありましたが、
もっぱら、某沢へ渓流釣りに行くためでした。
ここは昔の軌道跡で、以前はとても歩きやすかったのに・・・
(軌道は便りヶ島で、円を描いて標高をかせいでいた)
しかし、登りのほうはナイス・パフォーマンスです。
ちゃんとサミットしているところも、すばらしいですね!
Hスタイルというのが、もっと別の意味かと?
期待をもたすレポートもなかなかなものでした。
クマ
クマさんは便ヶ島はよくご存じなのですね。
昔を知っているとなおさら現状をみるとびっくりされると思いますよ。
便ヶ島は本当に山奥で、道も悪いし、アクセスが大変というのがよくわかりました。
山でお会いした人も以前ここでパンクしたことがあると言ってましたね。
パンクは想定していかないと大変なことになるかもしれません。
もう勢いだけで突っ込みましたので結果オーライな感じでそんなに褒められたもんじゃないと思いますが、達成感だけは凄いものがありました
Hスタイルについてはご期待にそえる内容じゃなくて本当に申し訳ございやせん
次にご期待を!警察に捕まってなければですが。
kanosukeさん、お疲れ様でした。
Hスタイルって・・・
「Hentai」のHだと思って読み進めてましたよ
それにしても、こうやって見ると南ア もいいですね。
聖か....聖と言えば『完全なる飼育』.....
衝撃的でしたね
さすがronさん、ヘンタイはヘンタイを知る。
Hスタイルとは、とある「Hentai」さんのユーザー名のダブルミーニングですからその解釈で間違いありません
聖から『完全なる飼育』を連想するのはronさんぐらいですよ〜
ヘンタイもほどほどに
そんなことより花の名前わかってたら教えてくださいよ〜
geraさんいつも温かいコメどうもです。
前昼泊はまったりのんびりできていいんですけど、酒量が増えていけませんね
これまで車中泊は敬遠してきましたが、やってしまうとこっちのほうが体に楽かも。
おっしゃる通りもう無理ができる年齢ではないですね
出発前は日帰りなんてとんでもないと思ってたのに勢いとは恐ろしいものです
次はGスタイルでいきます。
あ、でもヒイヒイいいながら残置無視のクライミングでヘッデン下山だからやっぱやめときます
kanosukeさん、こんばんは。
てっきりGWはお山に行けないのかと思っていたのですが、聖、行かれてたんですね。
しかも日帰りで
前々から思っていたんですが、実はその気になれば、日帰りロングやハードなお山も余裕なのでは。流石でございます
いい天気の中、ハードな山行お疲れ様でした。
私も、来年は目指してみようかな
今年のGWはあきらめてたんですけどね
なんとか2日間捻出したんですよ
それなのに日帰りになるなんて!!
今年はみなさん後半4連休に集中したみたいで例年より高速の渋滞がひどかったようです。
そのへんの読みが甘かった〜
余裕どころか全てを出し尽くしてカスも出ない有様で、次からはまた身の丈にあった山行を楽しみたいと思います
ナイトハイクつきウルトラロングのCスタイルなんて、とてもとても
ところでこの時期のこのコース日帰りはcirrusさんにはピッタリ。
ぜひ来年試してみてください。
ピストンじゃつまらないでしょうから、易老渡⇒光⇒上河内岳⇒聖⇒便ヶ島の日帰り周回もCスタイルなら十分可能かと
シロヤシオのお山はまた連絡しますね〜
kanosuke さん こんばんわ
何だ 凄くいい景色の南ア ヤバイ-ハイキングコース 前泊ノリノリで
いい経験して 人徳でましたね
車中泊も癖に成りそう
アルコールの入りが 悪いと眠れないかも?
でも このコース 日帰りは 苦難の道程か?
でも 綺麗な写真だな
技術も必要そうで 夏道見えたら 今年行ってみたいなぁ と
思います
無事帰還 お疲れ様でした
soarさん、コメありがとうございます。
人徳!さすがわかる人にはわかっていただけますね
私にはちょっと背伸びした行程でしたが、夏道ならsoarさんの足をもってすれば朝メシ前でしょう
是非トライしてみてください。
物足りなければそのまま光まで行っちゃうのも手かと
晴れてれば南アの絶景がお待ちかねです
朝の絶景が拝めなかったのは残念でしたがしっかりアルコールを入れれば車中泊も快適に眠れることがわかって収穫でした。
今後車中泊の選択肢が増えそうな予感がします。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する