新緑の奥多摩・丹波天平(親川〜保之瀬天平〜丹波天平〜サオラ峠〜丹波山村)
- GPS
- 25:41
- 距離
- 12.9km
- 登り
- 1,021m
- 下り
- 967m
コースタイム
【18日】テント泊地点7:12−9:02丹波天平9:12−10:06サオラ峠10:20−12:39青梅街道出合(水場)12:41−12:55道の駅たばやま・のめこい湯
歩行時間(17日)2時間56分 (18日)5時間17分 計 8時間13分
天候 | 晴れ時々曇り 保之瀬・丹波天平の気温(日中20℃)(0時10℃)(6時10℃) 風ほとんど無し |
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過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
【帰り】のめこい湯14:17(西東京バス)15:10奥多摩駅15:27(ホリデー快速)16:58新宿駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【親川バス停〜サオラ峠】 しっかりとした山道があり、分岐ごとに立派な標識もあります。保之瀬天平や丹波天平もコース上は踏み跡が明瞭で迷うことはありません。ただ積雪期は保之瀬天平で踏み後が乱れますが、樹木の赤テープを探し、地図読みをすれば、問題ありません。 【サオラ峠〜丹波山青梅街道出合】 下り始めに数箇所崩落現場があり、慎重さが求められます。特に最初の現場は道が極端に狭くなっており、傾斜もあり、すべり落ちると怪我をします。特に積雪期はこのコースは危険だと思われ、丹波天平分岐近くの下山道の方が無難です。 |
写真
感想
昨年の11月に雲取山(三条の湯でテント泊)へ出掛けた折、50Lの古いザックを背負って行ったのですが、ウエストベルトが貧弱なため、肩が痛い思いをしました。そこで今回新しいザック(ドイターのエアーコンタクト65+10)を購入し、そのテスト山行として不必要な水7Lやテント、シュラフなどを詰め込み(容量65L、重量23kg)、傾斜が緩く(高低差900m)、距離の短い(13km)、しかし新緑を存分に味わえる丹波天平へ出掛けました。
いつものように奥多摩駅前から鴨沢西行きのバスに乗り、奥多摩湖畔を走ること35分、多くの登山客を鴨沢で降ろし、終点である鴨沢西のバス停で降りたのは我々を含めて3名だけでした。登山客ではなさそうなおじさんと一服している運転手の方を残し、我々二人だけで新緑の香りする青梅街道を初夏の陽射しを浴びながら丹波天平の登山口である親川まで歩いて行くことにしました。30分ほど歩いて、三条の湯への入口であるお祭のバス停を過ぎ、後山川に架かる親川橋を渡ると、すぐに丹波天平(たばでんでいろ)への登山口があります。
最近たびたび丹波天平を訪れているので、道は熟知しているのですが、今回は普段の5倍ほどの重量のあるザックを背負っているので、どうなることやらといった不安ではなく、逆に浮き浮きした気分で登り始めました。ところがドイターのザックはウエストベルトがしっかりしているので、腰や肩に過剰な負担はないのですが、どうも重量が腰を通り抜けて、足に来ているようでした。普段背負い慣れない23kgの重量に足が悲鳴を上げましたが、聞こえぬ振りをして歩き続けていると、次第に体全体でバランスの調整が進み、短い休憩を断続的にとりながらも、なんとか歩き続けることが出来ました。
親川から高畑廃屋や後山集落跡を経て、保之瀬天平(ほうのせでんでいろ)や丹波天平へ至るコースは登山者が少なく、のんびりとした山歩きを楽しめます。始めのヒノキ林を抜けると、すぐにブナ系の広葉樹林やカヤなどの混合した山道となります。昨年暮れの厚く堆積した落葉を踏みしめ、木々のみずみずしい若葉や風雪に耐えてきた樹皮の表情を見つめながら登って行くと、いつの間にか前方に朽ちた家屋が姿を現します。高畑廃屋です。すぐ隣上方には、いまだ使用に耐える家と、道の先に解体跡の広場があります。水場もあり、ここで昼食となりました。コッヘルにストーブでお湯を沸かし、コーヒーを淹れます。山の澄んだ空気の下、まろやかな湧水で淹れたコーヒーを味わうのは、至福のひと時です。近くにはランに似た白い花をつけた樹木があり、場違いな高貴さを漂わせていました。
昼食を終え、しばらく山道をたどると、ほどなく後山集落跡に出ました。今年の1月に来た時は、雪に覆われて判然としませんでしたが、今はくっきりとその姿を現しています。下方にある樹木の綿状の種が、次々と石垣を越えて上空を流れるように保之瀬天平の方へ飛んでいました。それに導かれるように薄暗いヒノキの急な山肌をジグザグに登って行くと、傾斜の緩い明るいミズナラの森に出ます。保之瀬天平です。
他ではなかなか見られないほど広々とした尾根に、爽やかな涼風がかすかに吹きぬける新緑の世界が広がっていました。小道の脇にはシロヤシオの白い花が、今を盛りに咲いていましたが、なかなか美しく清楚な花ですね。小高い尾根道に出た後、私達は丹波天平の方ではなく、逆方向の保之瀬天平の奥へ向いました。尾根の傾斜が急になる所まで歩き、そこで休憩することに。周りは見渡す限り人の気配のない全く自然そのものの世界でした。周囲を歩き回って観察した後、厚く落葉で覆われた樹木の下に腰を下ろし、軽く食事をしていると、いつの間にか時が過ぎ、夕暮れ近くになっていました。ところどころシカの糞もあり判断に迷いましたが、ここは無難にテント泊することに決めました。
昨夜の睡眠不足もあり、早めに就寝しましたが、夜の10時ごろ、テントのすぐそばで、シカのするどい警戒音が鳴り響きました。数頭の群れが走り回る音が聞こえ、他に正体不明の動物達の気配も感じられ、予想通りここが動物達の夜会の場であることを体感させられました。夜中の0時過ぎ、静かになったので、テントの外に出てみると、すでに動物達の姿はなく、月の光に照らされた静寂の世界が広がっているだけでした。再びテントのシュラフにもぐり込み、プチライトを頼りに串田孫一の「山のパンセ」を読みながら山の奥ゆかしさに浸っていましたが、いつの間にか寝入ってしまいました。
鳥のさえずりで目が覚め、時計を見ると、朝の5時、周りはすでに朝焼けに照らされていて、樹林の向こうに見える小袖山の稜線からは、すでにまばゆい朝日が顔をのぞかせていました。パンとコーヒーで朝食をとり、ザックのパッキングを終え、7時過ぎには丹波天平、サオラ峠目指して歩き出しました。ところどころ枯葉の中からミズナラやカヤなどの新芽や若木が育っているのが見受けられました。落葉を踏みしめながら新緑の広葉樹林帯を歩いていると、時々キツツキの木を穿つ音と共に、フクロウのようなとぼけた鳴き声が聞こえて来ます。鳥達も朝の澄んだ爽やかな空気に触れて、気持ちよく、鳴かずにはいられないのでしょうね。
30分も歩くと、広葉樹林からアカマツなどの針葉樹林帯に変わります。柔らかい癒しの森から清涼な雰囲気の漂う世界へと移ります。巻き道のついた小高いピークが目の前に現れ、これを登り切って、左に進路をとると、丹波天平の入口である分岐点に出ます。昨年の暮れにはつむじ風で枯葉が音を立てて舞い上がっていましたが、今日は静寂そのものでした。アンテナのそばにある山姥の化身たる老木に挨拶をすませ、湿地帯気味の広場で小休止、初夏を思わせる色濃い青空を見つめていると、少年の頃の汗ばんだ昆虫採集の日々を思い出しました。
左に針葉樹林、右に広葉樹林とはっきりと分かれた尾根に沿った小道を1時間ほど歩いて行くと、広いコル(鞍部)に出ました。サオラ峠です。このまままっすぐ進むと、熊倉山(火打岩)を経て飛龍山(2077m)へ至り、右斜めの道を進むと、三条の湯を経て雲取山(2017m)へ登ることになります。今回は左へ折れ、急坂を下って丹波山村へ向います。奥多摩の森を守った中川金治翁に感謝しつつ、丹波天平分岐からの下り道に較べて、悪路で注意を要する丹波山村への下山道へ入りました。
確かに下り始めてすぐに崩落によって道の消えかかった現場があります。悪いことに傾斜がきつく、足を滑らせると、かなり下まで転落し、大ケガをしかねません。通過には慎重を要します。積雪後の凍結期は、このコースは危険で、丹波天平分岐の方が安全だと思われます。これほどではないですが、この後も幾つか連続して土砂崩れの通過場所が出て来ます。ただこれらを過ぎた後は、枯葉を踏みしめながら、みずみずしい新緑の森の中のプロムナードとなり、時々色鮮やかなヤマツツジが、緑に映えて美しく咲いているのを見ることが出来ます。
2時間ほどかけて丹波山村の青梅街道まで下りて来ました。写真を撮りながらのゆっくりとしたペースです。街道に出て左折するとすぐに道沿いに湧水があります。冷たくて美味しい山水です。ここで一息ついた後、すぐそばの始発のバス停「丹波」の前を通り過ぎ、昔の宿場丹波の家並みを眺めながら、15分ほど歩くと道の駅【たばやま】に着きます。【たばやま】では丹波山村特産品が売られています。道の駅の裏手を流れる丹波川をつり橋で渡ると、村営の【のめこい湯】があり、泉質がよく、ゆったりとくつろぎ、心身ともに癒すことが出来ます。
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