【白山】大畠谷右俣右沢遡行・開津谷左俣下降
- GPS
- 18:23
- 距離
- 15.6km
- 登り
- 1,709m
- 下り
- 1,703m
コースタイム
- 山行
- 10:46
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 10:46
天候 | 1日目晴れ、2日目曇り時々晴れ一時小雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2022年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
○大畠谷右俣 ・大畠谷橋の手前左側に河原へ降りる踏み跡がある。 ・最初の関門22m滝は左岸巻きが定石だが、踏み跡は途中で不明瞭になる。10m滝の下流に降りるとまた高巻く羽目になるのですぐに降りないのがポイント。大き目に巻けば懸垂下降不要だが、10m滝の直上に降りるなら要懸垂下降。△竜録では両滝とも登攀されているが、かなりの登攀力が必要と思われる。,竜録では22m滝を小さく巻き、10m滝は右岸から巻いているが、これも易しくはないようである。 ・通常右から巻く2段8m滝は、頑張れば登れるので、水線に拘る方は試してみるとよい。この滝を登った記録は未確認。 ・10m+15mの連瀑は通常右岸から巻くが、左岸から巻くと開けていて景観も良く、落ち口ぴったりに出られるのでお薦め。 ・二俣大スラブの右俣左岸巻きは、トラバース気味に巻くとゴルジュ内に入れ、ゴルジュ内の滝もすべて直登可能なので、登攀力のあるパーティにはお薦め。 ・開津谷との鞍部へは、顕著な枝沢を少し登った後は、左にトラバース気味に登る。枝沢をそのまま登ると鞍部の東へ詰めてしまう。 ○開津谷 ・開津谷の二俣下の連瀑帯は右からも左からも巻けそうだが、滝を2つ小さく巻いてから、右岸大巻きに入り、ルンゼ状を下ると容易に連瀑帯の下流に降りられた。 ・開津谷は懸垂下降2回。残置スリングあり。 ・開津谷の下部は堰堤が連続し、巻きは藪が濃く面倒なので、適宜懸垂下降するとよい。 ・開津谷の堰堤工事用道路跡は、藪とガレにより完全に埋もれているので、できるだけ谷を下ってから道路跡に上がる方が良い。 ・下山が開津谷下降の場合、2泊3日での記録が殆どだが、実際には1泊2日で無理なく行ける。 |
その他周辺情報 | 【主な他の記録】 〇嚇从 https://yama-to-damashii.outdoor.cc/200809obataki/200809obataki.html △韻鵑犬蝓中嶋徹、オーブ http://henkura.dou-jin.com/Entry/77/ https://saruzaemon.exblog.jp/23162779/ 5都雪稜クラブ http://setsuryo.jpn.org/02_kiroku/0509-07.html 【同日入渓のPの記録】 ・tunotenkoさん https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4695006.html ・関西蛍雪山岳会 https://yamap.com/activities/19689960 |
写真
装備
備考 | ・ラバーソール適 ・ロープは50m1本で十分。 ・カムは多少使用。ハーケンは多用。 |
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感想
【計画の経緯】
一昨年、ザクロ谷遡行後、S田の強烈な希望で、S田とkumassiyは大畠谷を登ったが、tamoshimaはS田の計画した登山道下山が嫌なのと、足の調子もあまりよくなかったことから、参加を見送った。
翌年は、開津谷下降を含む2泊3日で計画したが、2日間しか天気が持たず、御神楽沢に転進した。
今年も、2回ある3連休を使って行こうとしたが、やはり3日間は天気が持ちそうにない。しかし、yoriponの発案で、途中でパーティを分ければよいのではないかという話が持ち上がり、調べてみれば、確かに開津谷下降の3日目は行程が短い。ということで、1泊2日での大畠谷遡行・開津谷下降が計画された。
【山行】
○遡行1日目
登山道入口に着いてみると、先行2パーティ。準備をしていると、知り合いの関西蛍雪Pにも抜かれ、4番目の出発。幕営地や薪が不安になる。
大畠谷橋の左側にある踏み跡がすぐには見つからず、右往左往してから、見つけてみればとてもしっかりした踏み跡だった。
大畠谷に入渓してしばらくはゴルジュだがゴーロ、いわゆるゴロジュで、せいぜい枝沢の滝が目を楽しませてくれる程度。適当に進むと最初の関門の22m滝。△竜録では登られているのでオブザベしてみるが、やはり簡単には登れなそうなので、定石通り左岸から巻くことに。最初は先行3パーティなだけあり、踏み跡が濃く楽勝な巻きかと思ったが、トラバースし始めると皆バラバラに進むようで、不明瞭になる。沢も見えないので勘で進んでいくと、残置スリングの巻いてある木が現れ、懸垂1pで困難な10m滝の直上に降りられた。上手く巻けて良かった。
その後はゴーロが長く続いてやっとゴルジュが出てくると、容易な5m滝の先につるつるの6m滝。これは右から容易に巻けるが、あえて水線に入ってみたところ、やはりつるつるで苦労した。右に逃げ気味に突破。
続く3mCS2条滝は、先行の蛍雪Pが激シャワーで登るのを待つ間にじっくりオブザベし、ほぼシャワーなしで登攀成功。
その先の2mCS滝+2段8m滝は、どの記録でも巻いている滝で、下から見ると確かに困難そうだが、とりあえず行けるところまで、と、2段8mの下段まではさらっと登る。2段8mの上段が困難そうだが、下からは見えなかった左壁ならエイドで登れそう。メンバーを待ち、ビレイしてもらって登攀。打ったハーケンでA0し、カムを決めたから微妙なバランスで落ち口へトラバースし、登攀成功。
5m滝の先の6m滝は、この沢の核心の1つと言われるが、右壁をフリーソロしてからお助け紐をセット。ここで、厳しそうな左壁を登っていた蛍雪Pを抜く。
通常右岸から巻く10m滝+15m滝は、とりあえず滝壺まで行ってみると、左岸から小さく巻けそうだとわかる。時間もあるのでそのルートにトライ。なお、10m滝単体なら右壁を登れそうだったが、あまり意味はないのでやめておいた。フリーソロとお助け紐で落ち口同じ高さまでは容易に達し、そこから念のためロープを1ピッチ出したが、難なく落ち口に出られた。なぜ、みなこの巻きをしないのだろうか。右岸巻きよりも明らかに効率的だと思う。
なおも続くゴルジュ内を適当に登っていくと、いよいよ大スラブが見え始め、程なくして二俣に至る。が、懸念していた先行Pの姿はなく、どうやら既に登って行ったようである。大変ありがたい。
薪を集め、整地し、後から来た蛍雪Pと記念撮影をして、タープを張り、焚火で温まり、deepblue特製のキーマカレーに舌鼓を打ち、焼きマシュマロを楽しんで、ブデチゲのお裾分けを頂いて美味しく頂き、焚火を盛大にして、暗くなったころには床に就いた。
○遡行2日目
3:50に起床し、スムーズに出発準備が整ったが、まだ暗い。明るくなるのを待つという無駄なことをしてから出発。もっと寝ておけばよかった。
早速ゴルジュに入ると、すぐに直登困難な滝が出てきて、ショルダーなら登れそうにも見えるが、面倒だしどうせその先で巻きになるので、少し戻って定石通りに左岸のルンゼ状の少し手前から巻き開始。出だしだけお助け紐を使ったが、以降は易しくフリーソロで標高をあげていく。ルンゼ状部の左壁を登ったところで、ロープを出してトラバース開始。殆ど登らずに2pのトラバースで、ゴルジュ内に降り立つ。ここから幕営地までの標高差を測ると65m程度で、右俣大滝は実際には随分小さいようであった。150mなんて書かれていることもあるが、大噓。
何だか困難な滝がありそうな不穏なゴルジュを進み、小滝を2つ登ると、案の定困難そうな13m滝。遠目には登れそうに見えず、左から巻こうかと思ったが、近づいてみると登れそう。とりあえずフリーソロで下部を登り、登れそうな目処がついたところでロープをもらってリード開始。途中、岩が脆くて一手が出せず、悪い態勢で緊張しながらハーケンをきめた箇所もあったが、脆い岩を騙し騙し、何とか登った。帰ってから調べたところでは、△竜録でもこのゴルジュ内に入っているものの、この13m滝は左を巻いていた。,竜録では、「人類には無理」とか書かれているが、私は人類ではないのでしょうか。笑
ゴルジュが終わると急に平穏な沢となり、幕営も可能。水量の多い左沢を分け、さらに右岸からの湧水も過ぎると水は一気に減り、伏流。その後最後の見どころ、21m大ナメ滝を快適にフリーソロすると、程なくして鞍部への枝沢出合。ここで登山道へ詰める2人と別れ、kaiseiと2人に。枝沢を少し登ってから左へトラバースしていくと、うまく鞍部の少し東に出た。
○開津谷下降
鞍部の少し東からすぐ下ろうとすると急斜面だったため、少し西へ移動してから下降開始。白ザレのリッジ状を少し下ってから右のルンゼに降りると、以降は超平凡な沢が長々と続いて二俣に至る。
二俣から下ること少しで、連瀑帯。最初の2つの滝は滝のすぐ脇を降りられたが、その下は厳しく、ゴルジュも続いているため懸垂下降もしたくない。かなり最近のものと思われる踏み跡を辿り右岸の藪へ突入すると、緩やかなルンゼ状地形となり、それを下ると何の問題もなく本流に戻れた。少々巻きすぎたので、ゴルジュの全体像を把握するため少しさかのぼってゴルジュを下から眺めたが、本当に登れない滝ばかりが続くゴルジュである。登れそうなら、時間の余裕もあるので少し登って遊ぼうかと思ったのだが。
またゴーロが続いた後、ゴルジュ状になり、景観はなかなかだが、滝は少ない。残置スリングを利用して5m滝を懸垂下降すると沢は開け、左岸から立派な滝をもつ枝沢が入ると、またゴーロ。
最後の滝場は、魚留滝とその上の5m滝。魚留滝は、残置ボルトがありありがたい。スリングはぼろいので、残置を1本足して懸垂下降していくと、途中に残置ボルトが多数。こんな滝が、ゲレンデとして利用されていた時代があるようで、意外である。
またゴーロを下っていくと、堰堤が出てくる。工事用道路跡があるだろうと、左岸を探りながら巻いてみたが、工事用道路跡は見当たらないし、棘と蔓の凶悪な藪だしで、散々だった。もう工事用道路跡を探すのはやめて、堰堤は懸垂下降メインで下ることに。
だいぶ下ったところで、右岸側に明確な工事用道路跡が出てきたので、それを辿ろうとするが、相変わらず藪が酷い。結局よく分からないまま藪漕ぎをすると、いつの間にか工事用道路跡はかなり上に見えるようになっており、枝沢を登って再び工事用道路跡へ。が、この道路跡、藪とガレで激しく荒廃している。結局ペースは上がらず、不快な藪漕ぎをとガレ場トラバースを続けていくと、次第に踏み跡が濃くなってきて、遂に現役の車道に出た。
の記録では、堰堤が工事中で、この工事用道路を使ってかなり速く下山できているようだが、17年の時の流れは、道路を消し去るのに十分だったようである。
登山道経由下山の2人はまだのようなので、トイレと水道のあるダム管理事務所まで歩いてから終了。
【総評】
人気の有名沢だけあって、二俣大スラブの景観は圧巻で、その下流のゴルジュも登攀、巻きともに楽しめる秀渓。5級とする資料もあるが、入渓者の増えた現在では3級上程度。下山路にやや難があるが、それでも遠方からわざわざ訪れる価値がある。
が、正直なところ、昨年に転進で行った、広谷川御神楽沢の方が遡行価値が高いというのが、メンバーの総意である。
【感想】
昨年の宿題を、パーティを途中で分けるという工夫により、1泊2日で好天に恵まれた中で遡行・下降できて非常に満足した。
大畠谷のような超メジャーな沢でも、CS滝の登攀、10+15m滝の左岸巻き、右俣ゴルジュ最後の滝の直登のように、独自性を出せるところが残されていた。これだから沢登りは面白い。
左俣も機会があれば行ってみたいと思う。
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